ざっくり要約!
- ホームエレベーターの維持費には、月900円程度の電気代と、年間5万円以上のメンテナンス費用がかかります。
- ホームエレベーターは改築や増築で後付けが可能です。
自宅を新築・購入した際にはエレベーターを必要としていなかったものの、将来を見据えて設置を検討し始めた方もいるのではないでしょうか。同居する家族のために必要な場合もあるかもしれません。
この記事では、ホームエレベーターの価格や維持費、後付けの可否を解説します。ホームエレベーター付きの住宅を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
ホームエレベーターの価格はどれくらい?
ホームエレベーターの価格を把握するために、まずは大手メーカーである三菱日立ホームエレベーター株式会社の参考価格を押さえておきましょう。
三菱日立ホームエレベーター「スイ~とホームS」
三菱日立ホームエレベーターでは、さまざまなシリーズのホームエレベーターを展開しています。そのなかで、参考価格を公開しているのは、以下の「スイ~とホームS」と「スイ~とモアS」です。
製品名 | 用途 | 参考見積価格(税込) |
スイ~とホームS | 個人住宅用 | 4,015,000円~ |
スイ~とモアS | 小規模建物用 | 4,279,000円~ |
上記の参考見積価格は、標準装備のエレベーター本体と設置費の合計価格です。手続き費用や建物側の工事費、遠隔地費用のほか、オプション装備品は別途かかります。
ホームエレベーターの維持費
ホームエレベーターの維持費には、主に電気代とメンテナンスコストがあります。それぞれ、どの程度の費用がかかるかを見ていきましょう。
電気代
電気代はホームエレベーターのサイズや仕様により異なりますが、1日10往復程度の稼働と仮定した場合、1か月で900円程度が目安です。ただし、製品サイズやアンペア数等によって金額は異なります。
メンテナンスコスト
ホームエレベーターの所有者には、建築基準法第8条により維持管理の義務が定められています。そのため、常時適切な状態を維持できるように、定期検査を受けるなどのメンテナンスが必要です。
Panasonicでは、以下の内容と金額でホームエレベーターの点検を行っています。
おすすめプラン | ホームエレベーター | |||||
定期点検回数 | 定期点検 年1回 | 定期点検 年2回 | ||||
利用頻度目安 | 1日30回(15往復)未満 | 1日30回(15往復)〜50回(25往復) | ||||
価格一覧 | 月額 | 油圧式 | ロープ式 | 油圧式 | ロープ式 | |
4,620円 | 5,102円 | 6,160円 | 6,642円 | |||
年間 一括支払い |
52,800円 | 58,300円 | 70,400円 | 75,900円 | ||
オプション | 遮煙乗り場 ドア点検付き |
月額 | 482円 | 963円 | ||
年間 一括支払い |
5,500円 | 11,000円 | ||||
エレベーター 自動通報システム |
月額 | 770円 | ||||
年間 一括支払い |
8,800円 |
1日の利用頻度により、定期点検が年1回か年2回かに分かれます。
そのほか、油圧式かロープ式か、月額払いか年間一括払いかによってメンテナンス費用が異なります。
上記のPanasonicの例の場合、定期点検が年1回なら年間52,800~58,300円、年2回なら年間70,400~75,900円となります。
ホームエレベーターは後付けできる?
住宅の新築時にはホームエレベーターを設置しておらず、後から必要となるケースもあるでしょう。その場合、ホームエレベーターを後付けすることが可能です。ここでは、後付けに関する3つの情報を紹介します。
狭小住宅でも後付け可能
ホームエレベーターを設置するには、広いスペースが必要となるイメージがあるかもしれません。しかし、小さいタイプなら畳1帖分のスペースがあれば設置が可能です。そのため、狭小住宅であっても問題なく後付けできます。
改築・増築で後付け
ホームエレベーターは、改築・増築することで後付けが可能になります。たとえば、上下階で同じ位置に配置された押入れや吹き抜けなどがあれば、そのスペースを活用することで設置できます。
増築は敷地が広い場合に限られますが、居住スペースを圧迫せずにホームエレベーターを設置できることがメリットです。
独立した形で設置も可能
ホームエレベーターが独立した形でも後付けは可能です。
独立した形とは、ホームエレベーター棟を住宅とは別棟として増築した状態です。本来、建築基準法では一つの敷地に一つの建物という原則があり、独立した建物がある場合は敷地を分ける登記手続きをしなければなりません。
ただし、エレベーター棟という形で既存の住宅とは切り離せないものであるとすることで、独立させることが可能となります。
ホームエレベーターを設置するときに知っておきたいポイント
ここでは、ホームエレベーターを設置するときに知っておきたいポイントを解説します。
ホームエレベーターの床面積は容積率に不算入
2014年に施行された改正建築基準法により、エレベーターの床面積は容積率に算入されないこととなりました。容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合で、地域ごとに上限が設けられている数値です。
従来は、容積率超過によりエレベーターを増築できないケースもありましたが、バリアフリー化の推進にともない改正され、その後は設置できるようになりました。
ただし、あくまでも容積率に参入しないだけであって、建築面積や延べ面積にはエレベーター昇降路も算入されます。
また、エレベーター棟などで増築した部分は、道路斜線、北側斜線などの斜線制限の対象にもなります。
助成制度があることも
ホームエレベーターの設置はバリアフリー化につながることから、助成金等の制度を利用できる場合があります。
たとえば、国では2023年度に「こどもみらい住宅支援事業」による補助金の支給を実施していました。一定の条件を満たす場合にホームエレベーター設置費用として補助額が支給される内容です。
2024年1月時点はすでに受け付けが終了していますが、今後も同様の助成が行われる可能性はあるでしょう。
また、地方自治体でも独自に取り組んでいるケースがあり、過去には新潟県上越市や兵庫県西宮市で助成金が支給されていた事例があります。制度の有無や内容は自治体によって異なるため、お住まいの地域で確認してみてください。
「階段昇降機」という選択肢
ホームエレベーターを設置したくても、建物の構造や建築基準法上の問題、予算の関係などで設置できないケースもあるでしょう。
その場合には、階段昇降機で代替することも選択肢のひとつです。階段昇降機とは、椅子に座った状態で階段に沿って昇降する機械です。
大掛かりな工事が不要で、ホームエレベーターよりも設置費用や維持費を抑えられるというメリットがあります。
一方で、ホームエレベーターは複数人が同時に乗れるのに対し、階段昇降機は移動する本人しか乗れません。介助者が同乗できないため、不便に感じる可能性もあります。
ホームエレベーターと階段昇降機は、それぞれにメリット・デメリットがあるので、目的や予算、建物の状況などにあわせて選びましょう。
まとめ
ホームエレベーターは、改築・増築することによって後付けが可能で、狭小住宅にも取り付けできます。新築当初にはエレベーターを利用する予定がなかったものの、後から必要性が生じるケースもあるでしょう。その場合にも、畳1帖分のスペースがあれば設置可能です。
また、予算や構造の兼ね合いからホームエレベーターが設置できない場合には、階段昇降機が選択肢のひとつとなります。ご家族の状況を考慮して、最適な設備を選びましょう。ホームエレベーター付きの物件をお探しの場合は、不動産会社に相談してみてください。
この記事のポイント
- ホームエレベーターの価格はどれくらい?
標準装備のエレベーター本体と設置費の合計で約400万円程度が目安です。
詳しくは「ホームエレベーターの価格はどれくらい?」をご覧ください。
- ホームエレベーターの維持費はどれくらいかかる?
電気代が月900円程度かかります。そのほか、メンテナンス費用は定期点検が年1回なら年間5万円台、年2回なら年間7万円台となります。
詳しくは「ホームエレベーターの維持費」をご覧ください。
- ホームエレベーターは後付けできる?
後付け可能です。狭小住宅でも後付けできるほか、改築・増築でも後付けできます。
詳しくは「ホームエレベーターは後付けできる?」をご覧ください。
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