ざっくり要約!
- 家屋番号とは、建物を特定するために付けられる固有の番号のこと
- 不動産を所有している場合、家屋番号や地番は権利証や登記識別情報で確認ができる
「『地番』という言葉は聞いたことがあるけれど、住所や住居表示の違いがわからない」という人は多いのではないでしょうか。また、「家屋番号」という言葉も日常生活で使うことはほとんどありません。
しかし、不動産の相続や売買などの取引を行なう際に「地番」や「家屋番号」は必要かつ重要な役割を持っています。
今回は「地番」と「家屋番号」の意味や役割、住所との違いについてわかりやすくお伝えします。
記事サマリー
地番とは
地番とは、土地を特定するために法務局が土地に付ける番号のことです。
土地の単位は「筆」といい、1筆(いっぴつ・ひとふで)、2筆(にひつ・ふたふで)…と数えますが、地番は1筆の土地に対して1つ付けられています。
それぞれの地番は、「地番区域」ごとに1番から順番に付けられます。
地番区域とは、市町村の中で、「〇〇町」、「△△一丁目」のような、ひとまとまりのエリアをいいます。地番区域をある程度細かく分けておかないと、地番の数が膨大になり把握しづらくなってしまうためです。
地番は、分筆や合筆を行なうことによって変わることがあります。
分筆とは、土地の一部を売ったり、相続で土地を分けたりするために、土地を分割することをいいます。土地は筆という単位なので「筆を分ける」という意味ですが、分筆によって筆が増えると、地番に新しく枝番が付けられます。
たとえば、「8番」という地番の土地を2筆に分筆すると、「8番1」と「8番2」の土地に分かれます。
また、「12番3」のようにもともと地番に枝番がある土地を分筆すると、従前の「12番3」と新たな「12番の4」になります。
次に合筆とは、複数の土地(筆)を合わせて1筆にすることをいいます。合筆後は最も若い地番を残します。
住所、地番、住居表示の違い
住所とは、住んでいる場所のことをいいます。
民法では住所を「各人の生活の本拠をその者の住所とする」と規定しています(第22条)。
住所は、住んでいる場所を示すほか、郵便物や宅配物を配達するためにも使います。
住所を示す方法として、地番と住居表示の2つがあります。
もともと住所は地番で示していました。しかし、1962年に「住居表示に関する法律」が施行され、市町村が住居表示区域に定めた区域では、住所を住居表示によって示すことになりました。
住居表示区域では、住所を「〇〇町一丁目2番3号」のように表示します。丁目の数字は正式には漢数字で書きますが、日常生活では「〇〇町1-2-3」などと省略することもあります。
住居表示は住所を示すためにあるので、過去に建物が建っていたことがない場所には住居表示がありません。その場合、新しく建物を建てた際に市町村に住居表示番号付定の申請をすると、担当者が現地でその建物を確認し、住居表示を付けてくれます。
ただし、住居表示区域は市町村内全体に指定されているわけではありません。同じ市町村でも住居表示区域に指定されなかった地域では、従来通り地番を住所としています。
地番で住所を示す際には、正式には「△△町(大字)123番地45」のように表します。普段は「△△町123-45」のように、「大字」と「番地」を省略することもあります。
住所の町名の後ろに付いていることがある「大字」とは、明治時代以前の村や町の名前を残したもので、地番で住所を示す区域では今でも使われています。
このように、現在では住所を「住居表示」で表す地域と、「地番」で表す地域があるのです。
住居表示区域かどうかは、役所でも教えてくれますが、住所に「〇丁目」が付いているかどうかでもほぼ判断できます。
1つの宅地が、複数の筆の土地で成り立っていても、住所に使われる地番や住居表示は1つだけです。また、前述のように土地の分筆や合筆が行われると、地番と住所が一致しなくなることもよくあります。
なお、区画整理が行われた地域では、以前あった地番はなくなり、新たな地番が付けられますが、建物が建つと多くの場合は住居表示と地番が同じ番号になります。
出典:民法|e-Gov法令検索
住居表示に関する法律|e-Gov法令検索
家屋番号とは
家屋番号とは、建物を特定するために付けられる固有の番号のことです。
建物を建築すると、建物の表題登記を行い、建物の種類、構造、床面積などを表示しますが、あわせて法務局がその建物に家屋番号を付けます。
家屋番号は「1234番」のように表示されますが、1筆の土地の上に複数の建物がある場合は「1234番1」、「1234番2」…のように建物ごとに枝番が付くため、複数の建物があっても識別することができます。
なお、同じ土地の上で建て替えをした場合でも、新しい建物には新しく家屋番号が付けられます。
もともと家屋番号は地番と同じ番号が付けられていました。土地の分筆や合筆が行われると地番が変わりますが、家屋番号はそのまま変わらないため、地番と家屋番号が一致しなくなったケースも多くあります。
分譲マンションの家屋番号
分譲マンションには1棟の建物に複数の住戸がありますが、住戸ごとに家屋番号が付けられています。
通常、分譲マンションの家屋番号には部屋番号が使われています。
たとえば、〇〇町12番3という地番の土地に建っている分譲マンションの101号室と1515号室の家屋番号は下記のようになるため、住戸を区別することができます。
101号室…12番3の101
1515号室…12番3の1515
通常、住所を書く場合には「ブランズ〇〇」「ブランズタワー△△」など、マンション名も書きますが、登記ではマンション名は記載しません。そのため、地番と家屋番号の両方を確認することで、そのマンションであることがわかります。
ただし、かなり古いマンションの場合は家屋番号に部屋番号が使われていないケースもあります。そのため、築年数に関わらず、家屋番号をきちんと確認することが重要です。
地番と家屋番号の役割は?
地番と家屋番号は不動産の取引を行なうときに使われます。
地番は1筆の土地ごと、家屋番号は1棟の建物(分譲マンションは1戸)ごとに1つ付けられており、それぞれの所有権も明らかになっているため、取引する不動産を間違いなく特定することができます。
住居表示区域でも、不動産の取引においては、地番と家屋番号を使います。
また、自治体が固定資産税などの税金を徴収する際にも、地番と家屋番号は課税対象の不動産を特定するために利用されています。
そのため、徴税の必要がない国有地や公有地(市町村などの土地)には、原則地番は付いていません。
不動産登記と地番・家屋番号
不動産の登記をすると、地番や家屋番号が登記記録に記載されます。
登記と手続き
住まいの購入や建物の新築をした際には、登記を行なう必要があります。
登記を行なうことにより、その不動産を所有していることを第三者に主張することができます。これを「不動産登記の対抗力」といいます。
登記をすると、登記した土地の地番や建物の家屋番号とともに、所有者の名前が登記記録に記載されます。
不動産の登記は自分で行なうこともできますが、司法書士や土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
司法書士は所有権移転登記や保存登記(はじめて行われる所有権を示す登記)、抵当権設定登記などを行い、土地家屋調査士は表題登記(不動産の物理的内容を記した登記)を行います。どちらかに依頼しても、手続きに必要な専門家につないでくれます。
地番、家屋番号の調べ方
地番と家屋番号は、以下の方法で調べることができます。
権利証、登記識別情報を見る
不動産を所有している場合は、自宅にある権利証や登記識別情報で確認ができます。
固定資産税納税通知書を見る
1月1日時点に不動産を所有している人には毎年市町村から固定資産税納税通知書が送られてきます。その中にある土地・家屋課税明細書に地番、家屋番号が記載されています。
法務局で登記事項証明書を取得する
登記の内容は、以前は登記簿として法務局に紙のファイルで管理されていました。しかし2008年までにデジタル化への移行が完了し、現在は登記記録としてデータ管理されています。
この登記記録を印刷したものが登記事項証明書です。デジタル化以前の名残りで登記簿謄本と呼んでいる人もいます。
登記事項証明書は、法務局の窓口で取得するほか、オンライン申請や郵送申請でも取得することができます。
詳しい取得方法については以下の記事をお読みください。
・「登記簿謄本の取得方法」に関する記事はこちら 登記簿謄本の取得方法 オンラインでの方法についても解説 |
法務局に電話で問い合わせる
住所がわかっていれば、法務局に電話で問い合わせをすることもできます。住所を伝えると地番や家屋番号を教えてくれます。
ただし、建物が未登記の場合、家屋番号はありません。
インターネットの「登記情報提供サービス」に登録をすると、地番検索サービスで地番が記されている地図を閲覧することができます。
不動産取引において家屋番号で注意することは?
家屋番号には、不動産取引の際に地番にはない注意すべき点があります。
家屋番号がわからないと建物が特定できない
同じ地番の土地に建物が複数建っている場合、家屋番号を確認しないと、どの建物が取引の対象かがわかりません。
たとえば、借地権付き建物を売買する場合、大きな1筆の土地の上に複数の建物が建っていると、地番だけではどの建物が取引の対象なのかが判断できません。
しかし、それぞれの建物に家屋番号が付いていれば、対象の建物を特定して売買することができます。
また、以前あった建物を建て替えた場合、解体した古い建物の滅失登記をしないとその建物の家屋番号は残ったままで、登記上は新旧2棟の建物が存在することになります。
そのため、2棟分の固定資産税が課せられていたというケースもあります。売買する際にも支障があるため、解体した古い建物は滅失登記しなければいけません。
家屋番号がない建物は売買できない可能性がある
建物が建っていても、その建物が登記されていないと家屋番号はありません。
このような未登記の建物でも、基本的には買主が承諾していれば取引することは可能です。
しかし、買主が銀行などから住宅ローンを借りて購入する場合、未登記の建物には担保を付けることができないため、住宅ローンを借りることができず、結果として売買もできません。
そのため、買主が住宅ローンを利用する場合には、売主が契約前に建物を登記する必要があります。
不動産広告では所在地だけではなく住所も確認
不動産の広告では、物件の所在地については町名または地番を表示することが不動産の表示に関する公正競争規約施行規則により定められています。しかし、地番だけではその物件がどこにあるのかがわかりません。
住所が記載されている広告もありますが、記載がなければ不動産会社に問い合わせるなどして必ず住所を確認する必要があります。
出典:不動産の表示に関する公正競争規約施行規則|不動産公正取引協議会連合会
この記事のポイント
- 家屋番号とは何ですか?
家屋番号とは、建物を特定するために付けられる固有の番号のことです。
建物を建築すると、建物の表題登記を行い、建物の種類、構造、床面積などを表示しますが、あわせて法務局がその建物に家屋番号を付けます。
なお、同じ土地の上で建て替えをした場合でも、新しい建物には新しく家屋番号が付けられます。詳しくは「家屋番号とは」をご覧ください。
- 未登記で家屋番号がない建物は売買できる?
未登記の建物でも、基本的には買主が承諾していれば取引することは可能です。
しかし、買主が銀行などから住宅ローンを借りて購入する場合、未登記の建物には担保を付けることができないため、住宅ローンを借りることができず、結果として売買もできません。詳しくは「不動産取引において家屋番号で注意することは?」をご覧ください。
物件探しや売却がもっと便利に。
無料登録で最新物件情報をお届けいたします。
Myリバブルのサービス詳細はこちら