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不動産取得税はいくらかかる?計算方法や軽減措置についても解説!

自宅マンションや一戸建て住宅を購入するときは、購入代金や仲介手数料、引越し費用など多額の資金のほか、さらに不動産取得税という税金も必要になってきます。

この記事では、不動産取得税とはなにか、計算方法や軽減措置について解説します。

不動産取得税とは不動産を取得したとき支払う税金

不動産取得税とは、不動産(土地・建物)を購入したり、建築したり、または贈与などで不動産を取得したとき、「取得した人が支払う税金」のことをいいます。

不動産取得税を支払うタイミング

「不動産所得税」は国税ではなく地方税のため、各自治体から納税通知書が送付されます。

自治体によっても多少異なりますが、不動産を取得してから数ヶ月程度で納税に関する通知書が届くのが一般的です。

不動産取得税の計算方法

不動産取得税の金額は、次の計算式で算定されます。

不動産取得税=不動産の価格(課税標準額)×税率

以下では不動産取得税の詳しい計算方法をご紹介します。

不動産の価格

不動産取得税の算定の基礎となるのが、不動産の価格(課税標準額)です。

不動産の価格(課税標準額)とは、固定資産評価基準により評価された価格(原則として固定資産課税台帳に登録されている価格)のことを指します。

注意したいのは、ここでいう不動産の価格とは不動産の購入価格や建築工事費そのものではないという点です。

通常は、不動産の時価に対して6〜7割程度となります。

なお、令和6年3月31日までに宅地等(宅地及び宅地評価された土地)を取得した場合、当該土地の不動産の価格(課税標準額)は、本来の不動産の価格の1/2となりますので、覚えておきましょう。

不動産取得税の税率

不動産の取得日が「平成20年4月1日~令和6年3月31日」までであれば、不動産取得税の税率は、以下のとおりになります。

  • 土地又は家屋(住宅)…3%
  • 家屋(非住宅)…4%

不動産取得税の軽減措置

不動産取得税は、一定の要件を満たすと、不動産の価格から一定額を控除する軽減措置が適用されます。

また、軽減措置の対象となる建物が建っている土地についても、税額控除を受けられます。

以下では、新築住宅を取得した場合と中古住宅を取得した場合とに分けて、軽減措置の内容を説明します。

新築住宅を取得した場合

新築住宅を取得した場合、建物の種類と床面積によって、軽減措置の適用の可否が決まります。

以下の床面積を満たす新築住宅には軽減措置が適用されます。

  種類 床面積
 貸家以外の新築住宅  50㎡以上240㎡以下
 貸家 一戸建て住宅 50㎡以上240㎡以下
一戸建て住宅以外40㎡以上240㎡以下

新築住宅の取得について不動産取得税の軽減措置の要件を満たす場合、不動産の価格からの控除額は1,200万円です。

ただし、取得した建物が長期優良住宅である場合は、1,300万円に控除額が増額されます。

したがって、新築住宅を購入するなら長期優良住宅の方が不動産取得税の節税メリットが大きいといえます。

中古住宅を取得した場合

中古物件を取得した場合、軽減措置の適用要件は以下のとおりです。

  • 耐震基準に適合する中古住宅を取得すること
  • 個人が自己の居住用に取得した住宅であること
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下

中古住宅で不動産取得税の軽減措置の適用を受ける場合、建物の新築日からの経過年数にしたがって、不動産の価格から100万円〜最大1,200万円が控除されます。

新築された日控除額
平成9年4月1日以降 ~1,200万円
平成元年4月1日 ~ 平成9年3月31日1,000万円
昭和60年7月1日 ~ 平成元年3月31日450万円
昭和56年7月1日 ~ 昭和60年6月30日 420万円
昭和51年1月1日 ~ 昭和56年6月30日 350万円
昭和48年1月1日 ~ 昭和50年12月31日 230万円
昭和39年1月1日 ~ 昭和47年12月31日 150万円
昭和29年7月1日 ~ 昭和38年12月31日 100万円

また、中古住宅の取得後に耐震改修工事を行う場合も、一定の要件のもと軽減措置が適用されます。

ただし、この場合に適用される控除額は最大126,000円であり、そこまで節税効果が高いわけではありません。

軽減措置を受けるためには申告が必要

不動産取得税の軽減措置による節税メリットを享受するためには申告が必要です。自動的に減税された金額が請求されるわけではありません。

なお、軽減措置の適用を受けない場合であっても不動産取得税について申告は必要です。申告漏れがないように事前に手続き内容を確認しておきましょう。

不動産取得税の申告期限は都道府県の条例によって定められています。このため、地域によって時期や手続きなどが多少異なる可能性があります。

例えば、東京都の場合は、不動産を取得した日から30日以内に、土地又は家屋の所在地を所管する都税事務所に申告の手続きをする必要があります。

不動産取得税の事例

不動産取得税の実際の計算事例をご紹介します。一戸建て住宅を購入した事例で、「新築」と「中古」に分けて説明します。

新築一戸建て住宅の場合

3,000万円の新築一戸建て住宅を買った以下のケースで説明します。

土地面積:80㎡
評価額:1,200万円
建物延べ床面積:70㎡
評価額:1,100万円

まず、土地について不動産取得税を計算します。

このケースのように宅地等を取得した場合には、取得した不動産の価格に2分の1を乗じた金額を課税標準額とします。したがって、このケースでは、以下のとおりです。

土地の不動産取得税=1,200万円×1/2×3%=180,000円

さらに、土地上の建物は床面積が70㎡であり軽減措置の適用を受けます。したがって、土地についても税額控除が適用されます。

税額控除の金額は、以下の2つの数値のうち高い方の金額です。

A:45,000円
B:土地1㎡当たりの価格(宅地や宅地比準土地の場合は、固定資産評価額に1/2を乗じた額)×住宅の床面積の2倍(1戸当たり上限200㎡)× 住宅の取得持分 × 3%

上のケースでは、Bの金額は以下のとおりです。

(1,200万円÷2÷80㎡)×70㎡×2×1×3%=315,000円

よって、不動産取得税の金額より税額控除額の方が大きいため、このケースでは土地の不動産取得税額は0円となります。

なお、このケースで、例えば土地の面積が150㎡となる場合、ほかの条件が同じでも土地についての不動産取得税は12,000円となります。

建物についても新築住宅の軽減措置が適用される結果、不動産の価格1,100万円から少なくとも1,200万円が控除されます。したがって、建物の不動産取得税も0円です。

中古一戸建て住宅の場合

3,000万円の中古一戸建て住宅を買った以下のケースを説明します。

なお、新築時期は平成20年1月1日とします。

土地面積:80㎡
評価額:1,200万円
建物延べ床面積:70㎡
評価額:1,100万円

このケースでは建物は昭和57年1月1日以降に建っているため、新耐震基準を満たします。また、個人が自己の居住用に取得した住宅であり、床面積が50㎡以上240㎡以下です。

したがって、建物については不動産取得税の軽減措置の適用要件を満たしています。

平茂9年4月1日に以降に新築された中古住宅は、軽減措置の控除額が1,200万円です。これは建物の評価額1,100万円を上回ります。

よって、建物の不動産取得税は0円です。

また、新築住宅の取得と同様に、建物が軽減措置の適用を受ける場合には、その建物が建っている土地の不動産取得税は税額控除の対象となります。

税額控除の金額は、新築住宅と中古住宅で異なりません。このため、上で取り上げた新築一戸建て住宅の計算例と同様に、このケースでも土地の不動産取得税は0円となります。

不動産取得税の納税資金を確保しておく

不動産売買で利益が出たというならともかく、不動産を購入しただけでも税金がかかるということは意外と盲点ですので、意識して覚えておく必要があります。

不動産取得税は購入した後になって支払いが発生します。

このため、納税資金が不足することがないよう、不動産を購入するときは購入代金や仲介手数料だけでなく、税金がいくらかかるかも知っておくことが大切です。

この記事の監修

松浦 絢子
資格情報: 弁護士、宅地建物取引士

松浦綜合法律事務所代表。
京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。宅地建物取引士の資格も有している。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産・建築、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

この記事のポイント

不動産取得税を算出する計算式を教えてください

不動産取得税を算出する計算式は、「不動産取得税=不動産の価格(課税標準額)×税率」です。
ただし、「不動産の価格(課税標準額)」の算出方法や不動案取得税の税率には注意点があります。

詳しくは「不動産取得税の計算方法」をご確認ください。

不動産取得税を節税する方法はありますか?

不動産取得税は、一定の要件を満たすと、不動産の価格から一定額を控除する軽減措置の適用措置を受けることができます。
軽減措置の対象となる建物が建っている土地についても、同様に税額控除を受けることが可能です。

新築と中古で詳細は異なりますので、詳しくは「不動産取得税の軽減措置」をご確認ください。

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