ざっくり要約!
- 査定額のまま売り出す必要はないものの、査定は市況や評価、需要などに基づいて行われるため売却までに不可欠な工程
- 土地の査定額は、立地のみならず、形状や土壌の状態などにも左右される
土地の売却を検討されている方は自分の土地がいくらくらいで売却できるのか?あらかじめ把握しておく必要があります。査定額をもとに実際の売り出し価格を決定し、売却活動を開始するため、土地の査定は必要不可欠です。
では、土地の査定はどのようにして行えばよいでしょうか?
大きく分けると、自分で簡易的に査定をする方法と、不動産会社に依頼をして正確な査定額を算出する2つの方法があります。
今すぐに土地の売却を検討するのか、なんとなく自分の土地の価格を知りたいのかによっても査定方法や、検討すべき査定方法は異なるでしょう。そこで今回は、土地の査定方法や不動産会社が査定を行う際に確認するポイントをお伝えします。
不動産の売却を検討されている方や、土地の適切な価格を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
土地の査定は状況に応じて適切な方法で行う
土地の査定方法は大きく分けると、自分で行う方法と不動産会社に依頼をして査定してもらう方法の2種類あります。
自分で行う土地査定は、簡易的なものであるため「おおよその査定額を知りたい」と考えている方にはおすすめです。一方、不動産会社に査定を依頼する場合は、実際に取引できると想定される価格を提示してもらえます。
自分で査定をする方法と不動産会社に査定を依頼する大きな違いは、実際の取引額により近いかどうか、と考えてもらえればよいでしょう。
「査定価格=売出価格」とは限らない
不動産の価格は、売主が自由に決めることができます。たとえば、住宅ローン残債がある場合は、残債を上回る金額で売りたいといった事情もあることでしょう。
一方、買主にも希望があります。買主は、相場より高いと考えられる土地の購入には慎重になるでしょう。査定額のまま売り出す必要はないものの、自身の希望や事情だけでなく、市場のニーズや競合となる物件の動向なども踏まえたうえで売出価格を決めることが大切です。
自分でできる査定方法
自分でできる査定方法は下記の3つです。
- 公示地価、基準地価で査定
- 路線価で査定
- 固定資産税評価額で査定
まずは、自分で土地の査定額を算出する3つの方法についてお伝えします。おおよその査定額を知りたい方は、いずれかの査定方法を検討してください。
公示地価、基準地価で査定をする方法
公示地価、基準地価は、いずれも土地を売却する際の参考になる価格です。公示地価は国土交通省が発表し、基準地価は都道府県が発表するという点で違いがあります。
公示地価、基準地価は国土交通省が運営しているウェブサイト「国土交通省地価公示・都道府県地価調査 」で調べられます。
査定をしたい土地の所在地をクリックすることで、1㎡の価格を算出することができるため、「1㎡あたりの価格×土地の面積=査定額」で簡単に査定ができるでしょう。
路線価で査定する方法
路線価は土地が面している主要道路の評価額で算出をする方法です。「相続税路線価」と呼ばれることもあり、相続税や贈与税の算定基準として用いられる価格です。
一般的には公示価格の80%程度が目安になるため、あくまでも土地査定の参考程度としてとらえておくとよいでしょう。
路線価で土地を査定する場合は、国税庁が運営するウェブサイト「路線価図・評価倍率表 」で確認できます。
固定資産税評価額で査定をする方法
固定資産税評価額は、土地のある市区町村が相続税を計算するために評価した土地の価格です。
毎年送られてくる「固定資産税の納税通知書」に記載されているので、それを確認すれば、おおよその土地の査定額を知ることができます。
ただし、固定資産税評価額は公示価格の70%が目安です。より適切な査定額を把握するためには、「固定資産税評価額÷0.7」で計算するとよいでしょう。
公的価格を基に査定するときの注意点
公示地価や基準地価、路線価、固定資産税評価額額は、市場で取引・売買される「実勢価格」とは異なるものです。つまり「公的価格を元に算出した不動産の価値=市場で取引される価格」という訳ではありません。
ご売却時には、ご自身の売却対象の不動産の実勢価格を周辺の個別状況(近隣の取引事例、周辺の新築マンションや新築一戸建ての分譲価格、周辺の賃料相場、周辺の再開発や行政の制度変更情報など)をもとに正確に算出し、売却を完了したい時期を考えて、売り出し価格を設定することが重要です。
不動産仲介会社の担当者は、路線価は参考にするものの、売り出し価格査定を行う時には対象の不動産の持つ固有の特性や周辺の取引事例をもとに、今後の経済状況の変化や地域性などを考慮して売り出し価格査定(売却査定)額を算出します。
つまり、「公的価格が○○万円だから、○○万円で売れる!」というわけではないのです。
しかし、公的価格は地域の価値を表していると言える一面もあり、その地の持つ価値と可能性を表す指標ともなりますので、継続的にチェックしたい「不動産価格」の一つといえます。
路線価などの公的価格は物件を売却するときの査定の目安となりますが、最終的な査定額はその地域での不動産取引データや、周辺環境、築年数のような建物の状況など、様々な要因で形成されます。そのため、不動産の査定は実績が豊富で地域の状況に詳しい不動産会社に依頼することが重要です。
不動産会社の査定方法
不動産会社の査定方法には、簡易査定と訪問査定の2種類があります。簡易査定と訪問査定のおもな違いは正確性です。
一般的には、複数の不動産会社に簡易査定を依頼した後、ある程度絞ってから訪問査定を依頼し、最終的に不動産会社を決定します。
それぞれの査定方法の違いについても詳しく見ていきましょう。
簡易査定
簡易査定は自宅訪問をせずに、依頼者から受領した情報をもとにおおよその査定額を算出する方法です。
あくまでも簡易的な査定であるため、「土地を売却しようか迷っている」、「土地の価格を把握しておきたい」など軽い気持ちで依頼できるのがメリットです。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社の担当者が実際にその土地に訪問をして査定を行う方法です。周辺状況も実際に見なければわからない情報も多いため、より正確な査定額を把握したい方には訪問査定がおすすめです。
ただし、訪問査定を行う場合は立ち合いが前提であるため、多くの時間を割かなければいけないのはデメリットといえます。また、準備する書類も多くなるため、複数の不動産会社に依頼をすればするほど、煩わしさを感じてしまうこともあります。
土地査定の評価ポイント
不動産会社が土地の査定を行う際に見ている評価ポイントは、下記の3つです。
- 用途地域の種類
- 交通の利便性や地域環境
- 土地の形状や土壌の状態
ここでは、土地を査定するのは不動産会社ですが、実際に土地を購入するのは一般の方です。そのため、一般の方がほしいと思われる土地ほど、不動産会社が高額な査定をつけます。
そのことも踏まえて、不動産会社が土地査定の際に確認しているポイントを見ていきましょう。
用途地域の種類
その土地、地域の用途を混在させないように、各地区に用途を定めています。これを用途地域と呼び、住居系、商業系、工業系に分けられています。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
建物を建てられる用途だけで判断すれば、商業系が一番多いですが、需要と用途で判断すると第一種住居地域が好まれやすいでしょう 。
交通の利便性や地域環境
どのような用途の土地であっても、交通の利便性が高い場所にあるものは査定額が高くなる傾向です。とくに駅や商業施設など、生活に欠かせない環境が徒歩圏内であると人気も高くなるため、多少高額な査定額を出しても売却を目指せる可能性が高いでしょう。
ただし、もともと周辺に駅がなく、はじめから車を利用した移動を前提としている土地は、査定に大きな差は発生しにくいです 。
土地の形状や土壌の状態
土地の形状は正方形〜長方形(極端な長方形は除く)が好まれます。その土地に建物を建てようとしたとき、正方形や長方形だとさまざまな工夫をできるためです。
一方、旗竿地(はたざおち)や三角形など変わった形をしている土地は、建物を建てる際に工夫が必要になるため、査定が下がってしまうこともあります。
また、同じ理由(建物の制限、工夫が必要)から制限の多い土地も査定が下がってしまう恐れがあります。例えば、建ぺい率や容積率が低い土地は、査定が下がる可能性がある ほか 、買い手がなかなか見つからない原因にもなりえるでしょう。
なお、土壌の状態や地質の強度なども査定に影響することがあります。とくに土壌汚染されている土地は、あらかじめ浄化しておかなければ買い手を見つけることは困難です。売却にあたり、事前に浄化にかかわる費用も検討しておく必要があるでしょう。。
土地の査定前に準備すべきこと
土地の査定依頼をすることが決まった際には、あらかじめ前準備をしておきましょう。査定がスムーズに進んだり、査定額に多少の影響が出たりすることも考えられます。
前準備は自分でできることばかりなので、あらかじめ用意してスムーズな査定、売却を目指しましょう。
必要書類を用意する
土地の査定時に用意しておく書類は下記のとおりです。
必要書類 | 取得方法 |
登記簿謄本(※1) | 土地の測量図については法務局で取得可能 (インターネットからでも取得可) |
公図(※1) | 法務局の窓口で取得可能 (インターネットからでも取得可) |
土地の測量図 | インターネットから取得が可能 (紛失している場合は、法務局の窓口でも取得可能) |
境界確認書(※2) | 土地家屋調査士に依頼後、隣接所有者との同意を証明 |
身分証明書 | ご自身の運転免許証等を用意 |
印鑑登録証明書 | 各市区町村役場で取得可能 |
土地購入時の契約関連資料 (重要事項説明書や売買契約書等) | 土地契約時に取得 |
(※2)土地購入時に所有している場合あり
登記簿謄本、公図、土地の測量図は、いずれも法務局が運営するウェブサイト「登記情報提供サービス 」から申し込みや取得が可能です。なお、取得には所定の利用料金がかかります。
印鑑証明は市区町村役場の管轄ですが、マイナンバーカードがあれば全国のコンビニで取得が可能です。
境界線を明確にする
土地の境界は細かく定められていますが、曖昧なままだと隣近所の方々とトラブルの原因になります。そのため、遅かれ早かれかならず境界線を明確にする必要があります。
境界線を明確にしておくためには、確定(境界)測量を行う必要があります。費用が発生しますが、査定前に明確にすることで、スムーズな査定、売却ができるでしょう。
掃除をしてきれいにしておく
土地は、ある程度手入れしてきれいな状態を保っておくことで、良い印象をあたえることができます。買い主や不動産会社が「大事にされている」と感じれば、少なからず査定に影響することも考えられます。
また、草木が生い茂っている状態だと整備費用も発生するため、査定が下がってしまうおそれもあるでしょう。自分でできる範囲ならば、あらかじめ整備しておくことで費用を抑えられるうえに相手方に好印象を与えられます。
土地の査定から売却までの流れ
土地の査定結果を踏まえて、売却を検討されている方は下記のような流れで進んでいきます。
- 査定額、販売価格の決定
- 売却活動の開始
- 売買契約の成立
最後に土地の査定から売却までの流れを見ていきましょう。
1.査定を行い売却価格を決定
土地の売却を検討し始めたらまずは、複数の不動産会社へ簡易査定を依頼してください。
ここでのポイントは「かならず複数の不動産会社に依頼すること」です。一社だけの場合、その査定が適切なのかどうか判断ができません。
また、簡易査定は自分の時間を大きく割く必要もないため、できるだけ多い不動産会社に相談されることをおすすめします。そのうえで、査定額や担当者の対応などから1〜2社程度に絞って訪問査定を依頼します。
査定額が出揃った時点でその価格を参考に、売り出し価格の決定をしていきましょう。
2.不動産会社と媒介契約を締結し売却活動を開始
実際に土地を売り出す際には、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約は一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類です。
それぞれの違いは売却活動の自由度や不動産会社の義務です。一般媒介→専任媒介→専属専任媒介の順番で自由度が厳しくなり、不動産会社が負う義務も大きくなります。どの媒介契約で契約を締結するかは、不動産会社と相談をして決定してください。
媒介契約の締結後は不動産会社とともに売却活動を進めていきます。実際に購入希望者が来た際には、現地に立ち会うなどの対応が必要になることもあるので準備しておきましょう。
3.売買契約の成立
購入希望者が見つかったなら売買契約を締結して、売却金額を受け取り、土地を明け渡して終了です。
売買契約締結後は所有者移転登記など、いくつか行うこともありますが不動産会社に協力してもらいながら進めていけばスムーズに完了します。
土地の査定を適切にすることでスムーズに売却できる
今回は土地の査定方法についてお伝えしました。
査定はあくまでも土地の売り出し価格を決定するための参考金額です。とはいえ、査定を疎かにしてしまえば、スムーズな売却は難しくなるでしょう。
今回お伝えした土地の査定方法を参考にしていただき、スムーズな土地の売却を目指してください。
この記事のポイント
- 土地の査定方法とは?
土地の査定方法は自分で行える方法と不動産会社に査定を依頼する方法があります。
詳しくは「土地の査定は状況に応じて適切な方法で行う」をご覧ください。
- 不動産会社が査定で見ているポイントとは?
不動産会社が査定の際に見ているポイントは以下の通りです。
- 用途地域の種類
- 交通の利便性や地域環境
- 土地の形状や土壌の状態
詳しくは「土地査定の評価ポイント」をご覧ください。
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