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ダブルローンとは?デメリットはある?住み替え時の注意点を解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • ダブルローンとは自宅の住宅ローンを返済しつつ、新居を購入するために追加で住宅ローンを借りること
  • ダブルローンは2つの住宅ローンを返済しなければならず、返済比率が高くなる

ダブルローンとは、その名の通り「二重にローンを組むこと」をいいます。今借りている住宅ローンを完済せず、新しい家を購入するための資金も同時に借り入れする方法です。

ダブルローンは2軒分の借り入れになり、月々の返済額が増えるため、慎重に資金計画を立てる必要があります。また、年収に対する返済比率が高くなるので金融機関の審査が厳しくなり、誰でも借入れできるとは限りません。

この記事では、住み替えを検討している方のために、ダブルローンのメリット・デメリットや、ダブルローンを利用して住み替えを成功させるコツを紹介します。

ダブルローンとは

一般的にダブルローンとは、自宅の住宅ローンを返済しつつ、新居を購入するために新たに住宅ローンを借りることをいいます。

つまり旧自宅の住宅ローンを完済するまでは、2つのローンを並行して返済することになります。

住み替えする方法には「売り先行」と「買い先行」があり、基本的にはどちらかを選択することになりますが、ダブルローンになる可能性があるのは買い先行の場合です。

【売り先行】
今住んでいる自宅を売却し、売買代金で住宅ローンを完済してから、新居を購入する方法です。一度住宅ローンを完済してから、新たな住宅ローンを借りることになるので、
家計への負担が少ない住み替え方法といえます。デメリットは、仮住まいをする必要があり、仮住まいの費用がかかることです。

【買い先行】
自宅の住宅ローン残高がまだ残っているうちに、追加で住宅ローンを借りて新居を購入する方法です。新居へ引っ越ししてから旧自宅を売却することになり、売買代金で住宅ローンを完済するまで、ダブルローンになります。一時的とはいえ、返済額が大きくなることがデメリットです。

売り先行と買い先行の流れは、以下の通りです。
(赤:ダブルローンになる期間、青:単独の住宅ローンになる期間)

売り先行買い先行
自宅を住みながら売り出すダブルローンを利用して新居を購入 
自宅を売却して仮住まいをする新居へ引っ越しする
自宅の売買代金で住宅ローンを完済する旧自宅を空き家の状態で売り出す
新たに住宅ローンを借りて新居を購入する 旧自宅を売却
新居へ引っ越しする旧自宅の売買代金で住宅ローンを完済する

ダブルローンを利用するメリット

ダブルローンは買い先行することができるので、新居を見つけたタイミングで購入できます。気に入った物件を買い逃してしまうこともなく、仮住まいも必要ありません。

一方、売り先行の場合は、自宅が売れるまで新居を購入できません。また自宅を先に売却することになり、仮住まいが必要です。

また自宅を空き家にした状態で売り出すことができ、内覧に立ち会う必要がないこともダブルローンのメリットといえます。

ダブルローンを利用するデメリット

ダブルローンは、一時的だとしても2つの住宅ローンを返済しなければならず、返済比率が高くなります。

したがって年収や年齢によっては、ダブルローンの借り入れは難しいでしょう。

誰でもダブルローンを利用できるわけではないため、買い先行を検討する場合は、事前に金融機関に相談しておきましょう。

また住宅ローンを返済中は、住宅として使用しなければならず、賃貸することはできません。一時的であっても二重にローンを返済することになるため、無理のない資金計画を立てましょう。

ダブルローンが可能な銀行と審査のポイント

ダブルローンを希望する場合、どのように進めたらよいのでしょうか。この章では、ダブルローンを組む方法を紹介します。

対応している主な銀行とその特徴

中にはダブルローンを相談できる金融機関はありますが、「住宅ローン=自分が住む家を購入するためのローン」であるため、住宅ローンは本来1つしか借り入れできません。

また返済比率に対して収入が十分であっても、新居の売買契約が締結済みであることが条件になることもあります。

つまり「○○銀行ならダブルローンが可能」「返済比率が○%以下であれば可能」などど、一概にいうことはできません。

通常、金融機関も個別の案件ごとに審査することになるため、金融機関に直接相談するか、不動産会社の担当者に相談してみましょう。

審査の基準と注意点

収入に対する返済比率の目安は、年収や金融機関によって異なりますが、一般的に25~35%が目安だといわれています。しかしダブルローンは住宅2軒分の返済になるため、より審査は厳しくなります。

2軒分の返済比率が30%を上回る場合は、基本的に借入れは難しいでしょう。

また住宅ローンは本来1つしか借り入れできないため、ダブルローンを組む場合は、すでに借り入れしている金融機関に了承を得る必要があります。買い先行を検討する場合は、金融機関に早めに相談しておくことをおすすめします。

住宅ローンとダブルローンの違い

住宅ローンとダブルローンの違いを紹介しながら、選択基準について解説します。

住宅ローンとダブルローンの比較・選択基準

通常の住宅ローンとダブルローンには、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いを紹介します。

住宅ローンは基本的にどこの金融機関でも相談できますが、ダブルローンを扱っていない金融機関もあります。

住宅ローンは他のローン商品よりも金利が低いのが特徴ですが、ダブルローンは比較的高くなる可能性があります。またダブルローンは審査が厳しく、年収や返済比率によっては借入れが難しいでしょう。

住宅ローンダブルローン
扱っている金融機関基本的にすべての金融機関で借り入れ可能扱っている金融機関が限られる
金利比較的低い比較的高い
審査基準一定の審査基準厳しい審査基準
住宅ローンの借入れ基本的には1つのみの借り入れ条件付きで並行して2つ借り入れ可能
住宅ローン控除利用できる引っ越し後、旧自宅は適用外

住宅ローン利用中にダブルローンを組む際の注意点

ダブルローンを借り入れる際は、既存の住宅ローンを借りている金融機関に、もう1軒分借り入れることについて了承を得る必要があります。したがって収入面に問題がなくても、ダブルローンの借入れができない可能性があります。

またダブルローンは審査が厳しいため、住み替えローンの利用や売り先行も視野に入れて、住み替えの計画を立てるようにしましょう。

ダブルローンを利用した住み替え戦略

これまでダブルローンが難しいことを説明してきましたが、それでも住み替えを成功させるためには、どうしたらよいのでしょうか。この章では、住み替えを成功させるコツと注意点を紹介します。

自宅の売却をなるべく早く始める

新居を購入するためにダブルローンを利用する場合は、自宅の売却をなるべく早く始めるようにしましょう。ローン返済が家計の負担になることが多いため、ダブルローンになる期間が短くなるように心がけます。

また状況によっては、思い切った値下げや買取による売却も視野に入れておくことをおすすめします。

住み替えを成功させるコツ・注意点

住み替えを無理なく進める方法として、自宅を先に売却する「売り先行」をおすすめします。

売買代金で住宅ローンを完済できれば、家計に大きな負担がかかりません。また売買価格が確定してから新居を購入できるため、資金計画を立てやすいこともメリットといえます。

とはいえ、売り先行は仮住まいをする必要があり、引っ越しは2回になります。仮住まいの期間が長くなるとその分費用がかさむため、仮住まいの期間が長くなりすぎないように注意しましょう。

住み替えローンを活用する方法も

ダブルローンではなく、住み替えローンの利用を検討してみましょう。

住み替えローンとは、既存の住宅ローンの残債と新居の購入資金を合算して借り入れできるローンです。

住み替えローンは比較的金利が低く、借入れを1本化できるのが特徴です。また、住み替えローンは比較的対応している金融機関が多いため、利用しやすいこともメリットといえます。

夫婦や親子での住宅ローン利用法

1つの不動産に対して夫婦や親子など、家族で協力してローンを組むことを「ペアローン」といいます。1人で2つのローンを組む、ダブルローンとはメリットやデメリットが異なります。

この章では、ペアローンを組む際のポイントとアドバイスを紹介します。

夫婦や親子でのローン申し込みのポイント

ペアローンは夫婦や親子の総収入で審査するため、借入額を増やせるのがメリットです。また、各自が住宅ローンを組むことになり、住宅ローン控除もそれぞれ受けられます。

各自が希望する金利を選ぶことができ、節税効果も期待できます。たとえば共働きの夫婦でそれぞれ安定した収入が見込める場合は、ペアローンを組むことでより高額な物件も購入できるでしょう。

家族が安心して利用するためのアドバイス

ペアローンは2人でローンを借り入れるため、高額な物件も購入しやすくなります。
しかし、どちらか一方が退職などにより収入がなくなった場合、返済が難しくなるおそれがあります。

借り入れ金額を増やせるとしても、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。

なお、もしものときのために、団体信用生命保険にそれぞれ加入して備えることができます。

しかしどちらかが死亡しても、ローン残高に相当する保険金が支払われるのは、亡くなった人の債務のみです。生存している人が借り入れている住宅ローンは残るため、ローンの返済が続くことを心得ておきましょう。

ダブルローンに関してよくある疑問

最後に、ダブルローンやペアローンに関するよくある質問を紹介します。住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

車のローンがある場合、ダブルローンは組める?

すでに車のローンを組んでいる場合でも、住宅ローンを借り入れることはできますが、返済比率によっては審査が通らない可能性があります。ダブルローンはそもそも返済比率が高くなるため、より難しくなることが想像できます。

返済比率とは、年収に対する年間のローン返済額の比率です。
年収に応じて返済比率の基準がありますが、返済比率を計算する際に、他の返済も合算して計算することになります。

ちなみに金融機関や年収によっても異なり、一般的に25~35%が目安といわれています。

住宅ローン以外に借り入れがあることを故意に告げなかったとしても、結局は金融機関に知られることになります。ほかにローンがあることは隠さず審査を受けるようにし、住宅ローンの借り入れを予定している場合は、ほかのローンを増やさないようにしましょう。

ペアローン利用中に離婚した場合はどうなる?

ペアローンを返済中に離婚する場合でも、それぞれローンは返済し続けなければなりません。

また互いに相手の連帯保証人であることが多く、離婚してもその立場を変更できないケースがほとんどです。

もし相手の返済が滞った場合は連帯保証人である自分が返済しなければならず、離婚後も返済のリスクが生じます。

したがって離婚後は住宅を売却して、住宅ローンを完済することをおすすめしますが、相手側が売却に応じないときは売却できません。ペアローンを組む際は、離婚や退職によるリスクがあることを理解しておく必要があります。

この記事のポイント

ダブルローンを利用するメリットは?

ダブルローンは買い先行することができるので、新居を見つけたタイミングで購入できます。気に入った物件を買い逃してしまうこともなく、仮住まいも必要ありません。

一方、売り先行の場合は、自宅が売れるまで新居を購入できません。また自宅を先に売却することになり、仮住まいが必要です。

詳しくは「ダブルローンを利用するメリット」をご覧ください。

ダブルローンを利用するデメリットは?

ダブルローンは、一時的だとしても2つの住宅ローンを返済しなければならず、返済比率が高くなります。

したがって年収や年齢によっては、ダブルローンの借り入れは難しいでしょう。

誰でもダブルローンを利用できるわけではないため、買い先行を検討する場合は、事前に金融機関に相談しておきましょう。

詳しくは「ダブルローンを利用するデメリット」をご覧ください。

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