憧れのライフスタイルを送る話題の人に、暮らしと住まいのこだわりをお聞きする本企画。今回登場いただくのは、元TVアナウンサーで、現在はフローリストとして活躍する前田有紀さん。山と海に囲まれた鎌倉の町で、“植物のある暮らし”を叶えた前田さんに、ご自宅のこだわりと理想の住まいについて伺いました。
前田有紀さんプロフィール |
アナウンサーとしてTV局に約10年勤務したのち、2013年にイギリスへ留学。帰国後は、修行時代を経て、自身のフラワーブランド「gui」を主宰。2021年には、東京・神宮前にフラワーショップ「NUR」をオープン。株式会社スードリー代表取締役。7歳・4歳の男の子のママ。 |
鎌倉で叶えた「植物のある暮らし」
前田さんファミリーが暮らすのは、鎌倉にある築8年の一軒家。
TVアナウンサーとして約10年活躍したのち、フローリストへ転身した前田さんは、結婚・出産を機に、都内から鎌倉へ移住をし一軒家を建てました。
幼い頃から、自然の中で過ごすのが大好きだったという前田さんですが、アナウンサー時代は、都心で昼夜逆転の生活を送る日々。より一層、自然に関わる仕事や暮らしへの憧れが強くなっていったそうです。
移住を決めた鎌倉は、前田さんご夫婦にとって馴染みの深い土地。
「鎌倉は元々大好きな場所で、結婚前にもデートでよく遊びに行っていました」と前田さん。移住のきっかけとなったのは、ご夫婦での話し合いでした。
「子育てをするなら、自然と文化、歴史を感じられる町がいいよねって。都心へのアクセスも程よくスムーズな鎌倉は、家族で住むのにぴったりだと思ったんです」
そこで、これまで観光や遊びでしか訪れたことのなかった鎌倉へ、夫婦で「移住体験」をしてみたそう。
「民泊のサービスを利用して、1週間だけ鎌倉に住んでみたんです。今までは夕方になれば帰っていた鎌倉で、はじめて感じた夜の静寂や早朝の美しい景色。お花がいっぱい咲いている道をお坊さんが歩いているのをたまたま見かけたりもして、“やっぱり日中だけじゃなく、朝も夜も色々な時間をここで過ごしたい!”と、夫婦で思うようになって。実際に鎌倉から都内へ仕事へ出かけてみて、これなら通えそうと思えたのも大きな決め手になりました」
そこからご夫婦の心は決まり、鎌倉での土地探しが始まりました。少し離れた場所へ移住する場合、期間限定の「移住体験」をしてみるのは、移住後の生活を想像するための大きなヒントになりそうです。
住まいづくりのテーマは<緑の風が感じられる家>
住まいづくりをする上で決めたテーマは<緑の風が感じられる家>。設計時は、お子さんが生まれる前ということもあり、理想の家庭を思い描きながら、話し合いをしたそうです。
「鎌倉って、“谷戸(やと)”といって山と山の間が谷になった場所に住宅が広がっているんです。中心地以外は、谷戸にお家を建てることが多いんですけど、我が家がお家を建てると決めた場所もちょうど谷戸で。
谷戸は他のエリアに比べると湿気があって、湿度も高かったりするのですが、我が家の土地は、海からの風を感じられるくらい、すごく風通しのよい場所だったんですよね。その心地よい風を感じて、<緑の風が感じられる家>というテーマが生まれました」
前田さんが設計を依頼したのは、地元の工務店。木の温もりを感じられる木目の天井と、無垢材を使用した床、白い珪藻土の壁、テラスから抜けていく風。風向きなども考慮し、土地の持つ長所を最大限に活かした設計がされています。
「東京で仕事をしたり、学校へ行ったり、家族がそれぞれ社会活動をするなかで、家に帰ればしっかりとパワーチャージできる、そしてまた次の日元気に出ていける。そんな家にしたいねと話していました」
1から住まいづくりをするとなると、夫婦間で意見が対立することもありそうですが、前田さんご夫婦の場合は、希望がほとんど一致していたとのこと。そのなかで、それぞれの個人的なこだわりを反映していったそうです。
前田さんのこだわりは、やはり「植物の映える空間」であること。
「植物を飾る・育てる前提で家を建てたので、キッチンのシンクは、お花を買ってきて水揚げしやすいように、通常より広めの設計にしてもらいました。あとは、細かい部分ですが。ドライフラワーや植物を吊るすための金具を取り付けてもらったのも、こだわりのひとつです」
開放感のあるテラスで過ごす「家族のひととき」
キッチン、リビング、テラスが一直線に並び、庭まで続く開放的な間取りが特徴的な1階フロア。和室の小上がりを設けるなど、和のテイストもさりげなく取り入れた心地よい空間です。
なかでも「テラス」は、前田さんファミリーにとってお気に入りのスペース。
「気候がよい日には、外で朝ごはんを食べたり、家族でお庭の植物に水やりをしたり。ここで過ごす家族の時間が大好きなんです」
2年前に取り入れ始めた「コンポスト」での堆肥づくりも、お子さんたちとの日課に。海外の公園やお家ではよく見かけますが、日本ではまだまだ知名度の低いコンポスト。どのようなメリットがあるのでしょうか。
「生ゴミを入れると自然分解されて土になる仕組みなのですが、主にフルーツの皮や、お料理に使った野菜の皮などを入れています。子どもたちはスコップで土をかき回したりするのが楽しいみたいで(笑)。ゴミをなるべく減らすというのは、家族のテーマでもあるので、自分の家で処理できるのはとても良いこと。1日にどれだけのゴミが出ているのかを肌で感じられるし、太陽の光だけであっという間に分解されてなくなってしまうので、取り入れてよかったなと思っています。
ベランダなどで使えるコンパクトなサイズも販売されているので、マンション暮らしの方にもおすすめです」
「キッチン」も、前田さんのこだわりがたっぷり反映された空間。料理だけでなくお花の水揚げや作業をするのにも適した環境になっています。
「キッチンに立ってお皿を洗ったり、子どもたちがリビングで遊んでいるのを眺めながら家事をしている時間は、とっても幸せなひとときですね」
鎌倉の海と食べ物でリフレッシュ
前田さんの朝は早く、鳥の囀りと共に起床。取材当日も、早朝から市場へお花の買い付けに出かけていたそうで、日々忙しく過ごされている様子が伺えます。
「生花の仕入れは、朝5時から6時くらいに行くことが多いです。自宅から市場までは車で1〜1.5時間くらいかかるのですが、時期によってはもっと早く行かないとお花がなくなってしまうこともあったりして」
「自分で選んだ道で好きなことを軸にした働き方をしているので、日々がとても楽しく充実している」と話す前田さん。お花の仕事に就いてから、朝早く起きて夜寝る“規則正しい生活”を送ることの心地良さを知ったそうです。
とはいえ、ハードなお仕事の中で疲れてしまう日もきっとあるはず。そんなときは、どのようにリフレッシュしているのでしょうか。
「仕事が立て込んで、気持ちに余裕がなくなりそうなときは、鎌倉の海へ出かけています。海を眺めるとすごく心が落ち着くんですよね。つい頭がずっと回っている状態になりやすいので、意識的にぼーっとする時間を作ることは大事にしています」
鎌倉ならではのリフレッシュ方法は他にも。
「鎌倉で売られている鎌倉野菜を買って、何を作ろうか考えたり、ゆっくり料理をしたりする時間も大好き。しょっちゅうできる訳ではないですが、時間に余裕があるときは、鎌倉で1日をゆったり過ごしています」
植物の映える住まいづくりのコツ
植物のある暮らしに憧れる反面、枯らしてしまったり、うまく飾れないという方は多いはず。植物のプロである前田さんに、植物とうまく暮らしていくコツや、植物の映える空間づくりのコツについて尋ねてみました。
「花を仕事にしている私でも、家で育てている植物を枯らしてしまうことはよくあります。でも、めげずにチャレンジしていくと、だんだん付き合い方が分かってくるんですよね。あとは、自分の暮らしに合った植物を選ぶことも大事です。
たとえば、観葉植物の中でも『サンスベリア』は、ほとんど水やりが必要なく比較的強い品種なので、ズボラな人や忙しい人にもおすすめ。我が家でもたくさん育てています。それに対して、シダ系の植物は、小まめに水分を与える必要があるので、ほどよく湿度のある環境や、しっかりお世話をしたい人に向いていそうですね」
「空間づくりにおいては、お花を飾りたくなるお気に入りの花瓶を見つけることが大事。お花が入っていないときでも飾っていたくなるようなものを探すとよさそうです。
私自身もたくさん花瓶を持っていますが、最近のお気に入りは、春にオランダへ行ったときに購入した小ぶりな花瓶。いつも眺めていたいので、自分からもよく見えるキッチンまわりに飾っています」
「花瓶さえあれば、どんな場所でもお花を楽しめる」と語る前田さん。
「都会のマンションであっても、植物との暮らしは存分に楽しめると思います。お花だけでなく、ベランダで育てられるハーブや植物もおすすめ。花の仕事に就いている身としては、場所にとらわれず、たくさんの方に植物と暮らす楽しさを体験して欲しいなと思います」
豊かな自然の中で子育てを
現在のご自宅に住み始めて今年で8年目。お子さまたちの遊び方にも、鎌倉暮らしならではのエピソードが。
「すごくうらやましいなと思うのですが、子どもたちにとっては海がとても身近にあるんですよ。保育園のお散歩でも海や山に出かけるみたいで。私にとっては、海に行くこと=特別なことなので、『よし、海に行こう!』という感じなんですけど、息子たちにとっては当たり前のことなので、週末に海へ誘うと『えー、また海〜?』みたいなときもあって(笑)。それぐらい海が暮らしの一部になっているんですよね」
また、通学中にも色々な植物や動物と出会えるのが、鎌倉の魅力。
「冬場に道を歩いているとフキノトウが生えていたり、春先にはツバメが飛んでいたり。ときにはヘビに出会うこともあります。長男は爬虫類にも興味があるみたいで、図鑑を読んだりしていて。自然や生き物が身近にいる中で遊べるのは、自然のある暮らしならではですよね」
自分たちが自分たちらしくいられる家
最後に、前田さんにとって「理想の住まい」とは?
「生き方や暮らし方も全てそうだと思うんですけど、自分が自分らしくいられることが大事だと思っています。私の場合は家族で家に住んでいるので、“自分たちが自分たちらしくいられる場所”。それが理想の住まいですね。
これから先、子どもたちも成長して、ライフステージも変わっていくと思うので、それらに合わせた工夫をしながら、より住みやすく、ホッとできる住まいを作っていけたらいいなと思っています」
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