不動産売却 資金計画 ポイント
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不動産売却の資金計画のポイントは? 査定額・諸費用・税金を知って計画的な売却・住み替えを

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • 査定額がわかれば諸費用や税金、手残りの目安が算出できる
  • 住み替えの資金計画は「売却先行型」か「購入先行型」かによってポイントが異なる

「資金計画」というと、不動産を購入する方が立てるものと考えるかもしれません。しかし、売却金額や手数料、税金を想定し、手元にどの程度残るか計画的に考えなければ、住宅ローンが完済できなかったり、新居の予算が下がってしまったりするおそれがあることから、売却前に資金計画を立てる重要性は非常に高いといえるでしょう。

この記事では、不動産売却における資金計画のポイントを解説します。

不動産の売却前には資金計画を立てることが大切!

不動産の売却で資金計画を立てることで、売却や住み替えの可否に加え、適切な売り方や新居の予算も明確になります。まずは、資金計画の基盤となる売却見込み額から確認していきましょう。

いくらで売れそうか確認することからスタート

不動産がどれくらいの価格で売れるかがわからなければ、資金計画を立てることができません。まずは、相場を確認したり、不動産会社に査定依頼したりして、不動産の売却見込み額を確認しましょう。

相場を確認する方法はいくつかありますが、最も簡単なのは不動産ポータルサイトで類似する条件の物件の売り出し価格を参考にする方法です。

まず、エリアや物件種別、築年数や間取りタイプが類似している売り出し物件をピックアップし、平米単価を算出します。たとえば、60㎡の物件が3,000万円で売り出されていれば、その物件の平米単価は「3,000万円÷60㎡」で「50万円/㎡」です。すべての物件の平米単価が一致することはないでしょうが、この作業をいくつかの物件で繰り返すことで平米単価の目安がわかるはずです。

ただし、売り出し価格は、あくまでその不動産の「値札」にすぎません。買主との交渉で金額が下がることも少なくないため、売り出し価格と成約価格には5〜10%程度の差があると考えておくと良いでしょう。「不動産情報ライブラリ」や「レインズ・マーケット・インフォメーション」というWebサイトでは、類似する条件の物件の「売り出し価格」ではなく「成約価格」を確認できますが、詳細な所在やマンション名まで検索できないため、こちらも「目安」にとどまります。

1つとして同じ不動産は存在しないため、類似物件の売り出し価格や成約価格から売却見込み額を推察するのは限界があります。より精度の高い売却見込み額を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼しましょう。不動産会社も類似物件の成約価格や売り出し価格を参考にしますが、それ以外にも、土地の形状や日照・通風、建物の劣化状況、リフォーム歴などの個別要素を考慮したうえで査定額を算出します。

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売却には諸費用もかかる

不動産の売却には、諸費用がかかります。詳細については後述しますが、諸費用は売却金額の4%程度です。たとえば、3,000万円で不動産が売れた場合の手残りは「3,000万円−3,000万円×4%」で「2,880万円」程度となります。

不動産を売ってローンを完済しようと思っていたり、新居購入の予算にあてようと考えていたりする場合はとくに、諸費用の支払いがあることを忘れないようにしましょう。

資金計画を立ててこそ戦略が立てられる

ここまでお伝えした相場や査定額から売却見込み額を推察する方法は、基本的に「仲介」によって売却する場合の調べ方です。不動産の売り方には「仲介」の他に「買取」があります。

買取とは、不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法です。買取は、スムーズに売却でき、仲介手数料が不要というメリットがある一方で、買取価格は相場より低くなりやすいというデメリットがあります。

売り方次第で、諸費用や手残りが変わります。ローン残債や新居の予算を考慮しつつ、相場価格や売却査定額、買取査定額、諸費用額などを比較したうえで売却方法を検討しましょう。

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不動産売却にかかる諸費用は?

不動産売却には、次のような諸費用がかかります。

仲介手数料不動産会社に支払う成功報酬
印紙税不動産売買契約書に課される税金
抵当権抹消費用 (住宅ローンを完済する場合のみ)登録免許税と司法書士報酬
住宅ローン完済手数料 (住宅ローンを完済する場合のみ)金融機関に支払う手数料

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社の成功報酬として支払う費用です。上限額は「売却金額×3%+6万円(税別)」で、契約時と引き渡し時に半金ずつ支払うのが一般的です。(売買価格800万円以下の場合は仲介手数料33万円(税込み))

印紙税

不動産売買契約書は、印紙税が課される文書です。税額は、売買金額によって以下のように異なります。なお、電子契約の場合は印紙税が課されません。

契約金額本則税率軽減税率
10万円を超え50万円以下のもの400円200円
50万円を超え100万円以下のもの1,000円500円
100万円を超え500万円以下のもの2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの1万円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの2万円1万円
5,000万円を超え1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え5億円以下のもの10万円6万円
5億円を超え10億円以下のもの20万円16万円
10億円を超え50億円以下のもの40万円32万円
50億円を超えるのもの60万円48万円
出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

※2027年3月31日までに作成される契約書は軽減税率が適用となります。

住宅ローン完済にかかる費用

不動産売却時に住宅ローンを完済する場合は、完済に必要な抵当権抹消費用と手数料がかかります。抵当権抹消費用とは、不動産に設定する抵当権の抹消にかかる登録免許税と司法書士報酬です。登録免許税は不動産1つにつき1,000円、司法書士報酬は1.5〜1.8万円程度です。

手数料とは、金融機関に支払う完済手数料を指します。金融機関によって金額は異なりますが、1〜5万円程度が一般的です。

不動産売却で課される可能性のある税金

不動産売却 税金

不動産の売却で譲渡益が発生するケースでは「譲渡所得税」がかかる場合があるため、その点も注意しておきましょう。譲渡所得税とは、譲渡益に対し課される所得税・住民税・復興特別所得税の総称です。

譲渡所得の算出方法

譲渡所得は、次のように算出します。

譲渡所得=譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)

  • 譲渡収入金額:不動産の売却で得た金額
  • 取得費:不動産を取得するときにかかった金額
  • 譲渡費用:不動産の売却にかかった金額

たとえば、2,000万円で購入した土地を3,000万円で売却し、購入時に150万円、売却時に120万円の諸費用がかかった場合の譲渡所得は以下のようになります。

3,000万円−(2,000万円+150万円+120万円)=630万円

税率

譲渡所得に課される税率は、不動産を所有していた期間によって以下のように異なります。なお、所有期間は売却した年の1月1日時点のものです。

所有期間住民税所得税(復興特別所得税含む)
5年以下(短期譲渡所得)9%30.63%
5年超(長期譲渡所得)5%15.315%

控除特例

譲渡所得税は高額になり得る税金ですが、マイホームや相続した実家を売却した際には控除特例が適用になる可能性があります。

マイホームや相続した実家を売却したときに利用できる控除特例

状況 特例
住んでいた不動産を売却するときに利用できる税金控除特例 居住用財産の3000万円特別控除
長期所有における軽減税率の特例
不動産売却で譲渡損失が出たときに利用できる税金控除特例 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
相続した実家を売却するときに利用できる税金控除特例 相続空き家の3000万円特別控除
取得費加算の特例

・「控除特例」に関する記事はこちら
土地売却時に受けられる9つの税金控除特例

住み替えの資金計画の立て方

今の住まいを売却し、新居を購入する住み替えは、資金計画を立てる重要性が増します。いくらで売れるか、売却にいくらかかるかだけでなく、借入額・返済期間・月々の支払い額・住宅ローンのプランなどについて長期的な資金計画を検討することも必要です。

不動産の購入にかかる諸費用は?

不動産の購入には、購入金額の7〜10%程度の諸費用がかかります。仲介手数料や印紙税などがかかる点は不動産売却と同じですが、別途、不動産取得税や金融機関支払う手数料などが必要です。

仲介手数料不動産会社に支払う成功報酬
印紙税(売買契約書)不動産売買契約書に課される税金
融資関係費用
印紙税(金銭消費貸借契約書) ローン事務手数料 ローン保証料
各種精算金固定資産税や管理費・修繕積立金(マンションの場合のみ)を日割り計算した精算金
不動産取得税不動産の取得に課される税金
火災保険料火災や落雷、大雪、水害などに備えられる保険

売却先行型の資金計画のポイント

新居の購入ではなく今の住まいの売却を先行する「売却先行型」は、今の住まいがいくらで売れるかわかった後に新居を購入するため、資金計画が立てやすい住み替え方法です。とはいえ、新居の大体の予算がわからなければ住み替えの可否は判断できません。今の住まいの査定依頼をしたら、諸費用と手残りの目安を算出し、自己資金を加えて購入できそうな物件の目星をつけておきましょう。

また、売却先行型の住み替えでは、今の住まいの引き渡しから新居の引き渡しまでに期間が空く可能性があります。この場合、仮住まい先に転居しなければならないため、短期に入居できる物件とその物件を借りるための諸費用も考慮しておくことが大切です。

購入先行型の資金計画のポイント

新居の購入を先行させる「購入先行型」は、基本的に今の住まいがいくらで売れるかわからない中で新居を購入するため、資金計画が立てにくい住み替え方法です。また、今の住まいのローンと新居ローンの返済が重なる可能性もあるため、新居の予算は「買えるか買えないか」だけでなく「一定期間、ダブルローンでも返済していけるか」という点を考慮して決めることが大切です。

「ダブルローンの期間を短くしたい」「新居を購入する時点でいくらで売れるか確定しておきたい」という場合は「買取」や「売却保証」を検討してみましょう。売却保証とは、あらかじめ設定した期間内に売れなかった場合に限り、不動産会社に買い取ってもらうという売り方です。「買取」や「売却保証」なら「いつ・いくらで売れるか」が明確になるため、資金計画が立てやすくなります。

まとめ

不動産の売却にかかる諸費用や税金、手残り、そして住み替えの場合の新居の予算は、不動産がいくらで売れるかによって異なります。まずは、精度の高い売却見込み額を知るため、不動産会社に査定依頼することから始めましょう。

資金計画に悩む場合はFPや金融機関に相談することもできますが、不動産会社で無料のFP相談を開催していることもあります。不動産会社には提携ローンなどもあるため、住まいに関するお金のことも不動産会社に相談すれば問題ありません。

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この記事のポイント

不動産売却の資金計画は何から始めればいいの?

不動産売却にかかる諸費用も税金も、いくらで売れるかがわからなければ算出できません。そのため、まずは不動産会社に査定依頼することから始めましょう。

詳しくは「不動産の売却前には資金計画を立てることが大切!」をご覧ください。

不動産売却にはどのような諸費用がかかるの?

仲介手数料や印紙税などがかかります。住宅ローンを完済する場合は、別途、抵当権抹消費用や金融機関に支払う手数料が必要です。

詳しくは「不動産売却にかかる諸費用は?」をご覧ください。

住み替えの資金計画のポイントは?

今の住まいの売却を先行する場合は、仮住まいが必要になる可能性があります。新居に引っ越すまでに転居が2度必要になり、仮住まい先が賃貸住宅であれば賃料もかかるため考慮しておきましょう。一方、新居の購入を先行する場合は資金計画が立てにくいため、買取や売却保証も視野に入れて売り方を検討しましょう。

詳しくは「住み替えの資金計画の立て方」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

不動産の売却には諸費用がかかります。また、売り方によって金額や売却にかかる期間も変わってくるため、事前に資金計画および戦略を立ててから売却することが大切です。住み替えが伴う場合は、売り方や資金計画が新居の予算や住宅ローンの借入額にも影響してきます。お金の流れや販売スケジュールに疑問や不安がある場合は、不動産会社に相談しましょう。

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