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「小楽園」店主・矢島沙夜子さんが語る、愛に溢れた風通しのよい街・代々木上原。

憧れのライフスタイルを送る話題の人に、暮らしと住まいのこだわりをお聞きする本企画。今回登場いただくのは、代々木上原のお菓子屋さん「小楽園(しょうらくえん)」の店主・矢島沙夜子さん。“桃源郷の土産物屋”をコンセプトにした異空間で、代々木上原の魅力や、街との関わり方について伺いました。

小楽園プロフィール
桃源郷の土産物屋、をコンセプトとした和洋菓子店。2023年1月にオープン以来、様々なメディアで紹介されるなど、各方面から注目を集める。テイクアウトのほか、併設の小さなティーサロンでは、日本各地の実際の山々を象った、小楽園のシグネチャースイーツ「山菓子」や、台湾茶やあんみつなど、和洋折衷のお菓子やドリンクを楽しめる。一部の商品はオンラインでも販売中。
<SNS情報>
公式サイト「小楽園
Instagram「小楽園
矢島沙夜子さんプロフィール
小楽園 店主/アートディレクター/アーティスト
ファンタジックで物語性のある作風が特徴で、広告やファッション誌のディレクション、プロダクトデザイン、ショップのプロデュースなど幅広い分野で活躍している。

代々木上原の商店街に現れた「桃源郷」

こだわりを持った個人店が軒を連ねる街・代々木上原。おしゃれな街というイメージがある一方で、住宅街に囲まれたアットホームな雰囲気と居心地の良さも魅力です。

そんな代々木上原の商店街を歩いていると、突如現れるピンク色のお店が「小楽園」。おとぎ話の世界に迷い込んだかのような不思議な世界観が、オープン当初より注目を集めています。

アートディレクター 兼 小楽園の店主である矢島さんにとって代々木上原は、幼いころから足を運んでいた、馴染みのある街。

「世田谷区の三軒茶屋で生まれ育ったので、この辺りにも友人がいて、よく遊びに来ていました。当時はおしゃれな街というよりも“静かな住宅街”というイメージでしたね。

大人になった今は、街の印象も少し変わって、“目利きのできる方たちが住んでいる街”だと感じています」

矢島さんが店主を務める「小楽園」は、2023年1月にオープン。代々木上原駅から商店街を徒歩6分ほど歩いた場所にお店を構えました。

「路地を曲がったところに突然現れて、振り向いたら消えてしまうような……、ちょっと浮世離れしたお店にしたかったんです。なので、代々木上原・代々木八幡・代々木公園、どの駅からも少し離れていて、ちょうど中間に位置するこの場所は、私が思い描いていたイメージにぴったりでした」

店内はピンクやグリーンを基調とした異国情緒溢れる空間。細部までこだわりを感じる内装や装飾品は、矢島さんが所属するクリエイティブスタジオ・KLOKAが手がけており、お店の2Fに工房、3Fにはオフィスがあります。

オープン当初より看板メニューとして人気を集める「山菓子」は、日本各地の山々の形を忠実に再現した手のひらサイズのチョコレート菓子。それぞれの山がある地域の特産品を取り入れた、ガナッシュやスポンジケーキ、チョコレートなどが層になっており、その断面の美しさも魅力です。

風通しのよさが「代々木上原らしさ」

1日の大半を代々木上原で過ごしている矢島さんから見た、代々木上原の印象は「愛が溢れた風通しのよい街」。

「代々木上原は、この街を気に入ってお店を出している人や、この街が好きで住んでいる方がとても多いんです。そういう方たちが作っている街だからこそ、おしゃれなだけじゃなく、愛に溢れたあたたかい雰囲気を感じるんだと思います。

ただ、地元愛が強いからといって閉鎖的になるわけではなく、若い方や、私たちのように外から入ってきた人も同じように繋がってくれていて。新しいものを拒まない、風通しのよいコミュニティの在り方こそが“代々木上原らしさ”なんだと感じています」

年齢層も幅広く、おしゃれな雰囲気とアットホームな空気感が混在する、心地よいバランスの街・代々木上原。都心のような派手さはなくとも、知る人ぞ知るこだわりのお店が点在しているエリアだと話します。

地域で愛されるお店であるために

そんな代々木上原に「小楽園」がオープンして約1年半。「もっと、地域の方たちに愛されるお店にしていきたい」と話す矢島さん。

お店の小窓から気軽にテイクアウトできるワンハンドフード「金魚焼き」や「きつねアイス」は、地域の人たちとコミュニケーションを取るために生まれた、オープン当初からの試みです。

お店の窯で焼いた「金魚焼き」は、ざらめと溶かしバターを使用した洋風たい焼き。フレーバーは、シナモンシュガー、杏カマンベール、無花果(いちじく)チョコチーズの4種類。

ほかにも、オープン時やバレンタインシーズンなどには「ご近所の方向けのプレビューデー」を開催するなど、地域の人たちとの接点を作る取り組みを積極的に行っているそう。

「ご近所だからこそ、新しいお店や混んでいるお店を敬遠してしまうのって、すごく“あるある”だと思うんです。でも、そういうのってちょっと寂しいなと思っていて。だからこそ、こちらからお声がけして、私たちのことを知ってもらう機会を設けるようにしています」

店内ではお菓子のほか、オリジナルグッズの販売も。

実際に、プレビューデーにいらっしゃった方からは「気になってたけど、入れなかった」という声が多くあったそう。

「お写真をたくさん撮っていただけることはもちろんうれしいですが、お店に来たことのない方から、いわゆる“映え系”のお店だとカテゴライズされてしまうのはちょっと悔しい気持ち。実際にお店に来ていただいて、小楽園ならではのこだわりをもっとたくさんの方に知ってもらえたらうれしいですね」

左上から時計回りに「ユートピアンきつねアイス」「桃源郷あんみつ」。

さまざまな試みをするなかでも、矢島さんが最も大切にしているのは「世界観を維持すること」。

「お客様のご要望は聞きつつも、元々の世界観を大切に。ブレないものづくりを続けていくことが私の使命だと思っています。小楽園という世界観を突き詰めていくことが、結果的に長く愛されることに繋がると信じているので」

ホームパーティーや手土産に、とっておきのお菓子を

台湾茶をオーダーすると、スタッフさんが一煎目をいれてくれます。茶器や食器の一つひとつまで楽しめるのも、小楽園の魅力。

「小楽園」での過ごし方は、さまざま。ふらっとお茶をしに来る方もいれば、内装やデザートを写真に撮りながら食事を楽しんだり、特別な日のお祝いとして訪れる方も多いそう。

「最近は、海外からのお客様が半分くらいの割合を占めています。まわりに観光スポットがあったりするわけではないので、わざわざ足を運んでくださっているのだと思うと、うれしいですよね。この間は、海外のお客様から“どうしても夕食後に行きたい”という熱量高めなご連絡をいただいて、営業時間外でしたが急遽お店を開けました(笑)」

また、代々木上原ならではと感じる、こんなシチュエーションも。

「土地柄と言っていいのかは分からないですが、ご自宅にお客様を呼んだり、ホームパーティーをされている方が多い印象ですね。来客用に山菓子やお菓子をたくさん買って行ってくださる方が、よくいらっしゃいます。

テイクアウトはこちらのショーケースから。綺麗にディスプレイされた山菓子は、ずっと眺めていたくなる美しさ。パッケージデザインのかわいさも人気の秘訣です。

あとは、お仕事での手土産や差し入れとしての需要も高いです。メディア系やクリエイティブ系のお仕事をされている方だったり、楽屋への差し入れとして買っていただいたり。そういった感度の高い方にも選んでいただけることは、すごく光栄ですね」

とっておきの手土産や自分へのご褒美など特別なシーンにはもちろん、お散歩中にふらっと立ち寄りやすい気軽さも兼ね備えた「小楽園」。代々木上原の街が持つ心地よいバランスと、どこか共通点を感じます。

日常の少し先にある「小楽園」

さいごに、「小楽園」はこの代々木上原の街にとって、どういった存在でありたいかを矢島さんに伺いました。

「毎日訪れる場所ではなくても、ふとした時に思い出してもらえる存在でありたいです。たとえば、折々の贈り物として選んでいただいたり、晴れの日のお祝いに使っていただいたり。

“お腹が空いたから”、“喉が渇いたから”という欲求のもう一歩先にある、特別な体験を提供できるお店でありたいなと思っています」

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