賃料査定とは
更新日:  

賃料査定とは?賃料の設定方法や不動産会社の選び方や注意点なども詳しく解説

執筆者プロフィール

狭井八矢日

フリーランスライター&WEBディレクター。「初心者にもわかりやすい記事づくり」をモットーに、不動産投資・金融関係・ライフスタイル・IT関連・著名人インタビューなど、幅広いジャンルでライティングを行う。その他、企業メディア運用のライティング関連の編集・指揮・監修実績多数。

ざっくり要約!

  • 不動産の適正な賃料を専門的な知識を持つ評価者が査定することを賃料査定と呼びます。
  • オーナーが賃貸経営を無事に成功させ、物件の売却を有利に進めるためにも、賃料査定は非常に有効かつ重要な指標となります。
  • 賃料査定を行う場合、不動産会社の机上査定や訪問査定によって家賃設定の参考になるデータを得ることができますが、これらはあくまでも参照であるため、実際に家賃を設定する場合には複数の不動産会社に賃料査定を依頼するなど、多角的な視点で市場を分析し、家賃を設定することが重要です。

賃貸経営を始めたい方にとって「いくらの賃料を設定すれば良いのか?」という問いに最適な回答を出すことは、賃貸経営をするオーナーの方にとって、避けては通れない課題でしょう。今回は、賃料査定とは何か、賃料の設定方法や不動産会社の選び方や注意点に至るまで、詳しくお伝えしていきます。

賃料査定とは?なぜ重要なのか

賃料査定とは

賃料査定とは、不動産の適正な賃料を専門的な知識を持つ評価者が査定するプロセスのことを意味しています。簡単に言えば、不動産オーナーが持っている物件が、いくらくらいの賃料で貸し出しすることができるのかを不動産会社に査定してもらうことが賃料査定です。

この査定では、物件の立地、築年数、設備の状態、市場動向など、多くの要素を考慮に入れて行われます。査定結果は、不動産オーナーが賃貸物件の家賃の設定を行う際の重要な基準となり、また賃貸市場における競争力のある価格設定のサポートにもなります。

賃料査定はなぜ重要?

賃料査定は、不動産市場において非常に重要な役割を担います。

家賃は高すぎると入居者が見つからなくなる可能性があり、低すぎてもオーナーが損をしてしまいます。そのため、賃料査定で適切な賃貸物件の家賃の設定を行うことで、物件の空室率を低下させることができ、不動産オーナーの収益を最大化する手助けとなります。

また、賃料査定で賃貸市場の価格相場を知ることで、借主とオーナー間のトラブルを防ぐ効果もあります。適正な家賃の価格設定により、借主が過剰な賃料を支払うことなく、オーナーも適正な収益を得ることが可能となるため、賃料査定は賃貸市場の健全性を保つために不可欠です。

その他、将来的に賃貸物件を不動産オーナーが売却したい意向がある場合も、投資用物件は一般的に賃料収入をベースとした「収益還元法」と呼ばれる計算方法で売却査定が行われるため、賃料は重要なポイントとなります。

このように、オーナーが賃貸経営を無事に成功させ、物件の売却を有利に進めるためにも、賃料査定は非常に有効かつ重要な指標であることがおわかりいただけると思います。

いくらで貸せるの?無料賃料査定

「貸す」も「売る」も相談できる!
賃貸管理プランが充実の東急リバブルにご相談ください。

東急リバブルの賃料査定はこちら

賃料査定の種類

賃貸不動産の家賃を査定する際には、主に二つの査定方法(訪問査定・机上査定)が利用されています。これらの査定方法にはそれぞれ特徴があり、目的や状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。

訪問査定

訪問査定では、査定担当者が直接物件を訪れ、その設備や内装、周辺環境を含む多くの要素を直接確認します。この方法では、商業施設や公共施設などの周辺状況も評価に含められます。訪問による調査は通常、1~2時間で完了し、その結果は3日〜1週間以内に提供されることが一般的です。

訪問査定により、より正確で実際の市場価格に近い賃料査定が可能となります。この際、より詳細な査定のために、間取り図・リフォーム履歴がわかる書類などの追加情報が求められることもあります。

とはいえ、査定結果はあくまでも参考であり、実際に貸し出す際の価格設定に直接的な影響を与えるものではないことは念頭に置いておきましょう。また、訪問査定は立ち合いの日程調整を要するため、依頼する場合は事前にスケジュールを確認する必要があります。

机上査定(簡易査定)

机上査定は、訪問を伴わない評価方法で、主に不動産仲介会社の査定担当者が過去のデータや周辺の市場相場に基づいて行います。

この方法では、物件の詳細情報のみを用いて賃料を見積もります。時には物件の写真や登記簿謄本の提出が要求されることもあります。机上査定は簡易査定とも呼ばれており、不動産業者との連絡手段は電話やメールのみで完了することが多く、「とりあえず概算の賃料を把握したい」という場合に適しています。

また、現在では机上査定のような簡易査定に関して「AI査定」を導入している企業もあり、より効率的に査定を受けることができる仕組みもあります。

いくらで貸せるの?無料賃料査定

「貸す」も「売る」も相談できる!
賃貸管理プランが充実の東急リバブルにご相談ください。

東急リバブルの賃料査定はこちら

賃料査定の具体的な決まり方とは

賃料査定の決まり方

賃貸物件の賃料査定は、様々な要因を総合的に評価して行われます。ここでは、賃料を決定する具体的な手順を解説します。正確な査定には、市場の理解と専門知識が必要であり、これが賃貸物件の成功に直結すると考えておきましょう。

類似物件と比較検討する

賃料の設定に際して、不動産ポータルサイトや、不動産データベース「レインズ」を活用して、同じエリアにある類似の物件(間取り、築年数、立地条件などが似ている物件)の賃料を調べます。この調査により、市場での現在の賃料水準を把握し、適正な賃料設定の参考とします。

家賃の調査は、募集中の物件だけでなく、すでに入居中の物件の賃料も参照し、現実的な賃料の範囲を定めることが重要です。このプロセスは手間がかかるものの、入念に実施することで正確な市場価値の把握が可能になります。

一般の人も不動産ポータルサイトを通じて類似物件の賃料を確認できますが、実際に成約した賃料の情報は「レインズ」のような専門データベースにのみ掲載されており、一般にはアクセスが制限されています。そのため、より詳細な調査を望む場合は、不動産会社を通じて行うのがベストです。

物件の地域需要を分析する

賃料の設定において、物件が位置する地域の需要を理解することは非常に重要です。該当エリアに住む居住者の年齢層、家族構成(単身またはファミリー)、生活スタイルを調査し、物件がどのような条件を満たすべきかを判定します。

例えば、若い女性や一人暮らしの人が多い地域では、セキュリティ設備(オートロック、監視カメラ付インターホンなど)が整った物件が求められます。一方で、家族居住者が多い地域では、生活音が気にならない高い遮音性能を有する物件が好まれる傾向が見られます。

地域の実態に合わせて、類似物件の比較分析を行いながら、最適な賃料を設定することで、物件の魅力を最大限に引き出すことができます。このように、エリアの特性を踏まえた需要分析により、賃料査定は行われます。

坪単価や平均賃料を算出する

地域の市場データを収集し、坪単価や地域内の平均賃料を算出します。これには、同じ地域内で最近取引された賃貸物件の賃料を分析する作業が含まれます。これにより、物件が市場価格と比較して妥当な賃料で提供されているかを判断します。

レントロールを参照する

特にアパートやマンションのような集合住宅において、既存の入居者の履歴がある中古物件の賃料を査定する際、レントロールの活用が有効です。レントロールとは、物件に関する家賃の履歴、敷金、契約期間などの詳細情報がまとめられた一覧表のことです。

この表には、以前の入居者の氏名、年齢、職業といった個人情報が含まれる場合もあり、物件が過去にどのような層にどれくらいの家賃価格で貸し出されていたのかを把握することができます。この情報を基にして、現在の市場条件に合わせた適正な賃料を設定します。

契約期間の条件を加味して考える

賃料査定では、借主との契約期間も重要な考慮事項です。例えば、定期賃貸借契約で2〜3年程度の短い期間で貸し出しを行う場合、更新可能な普通賃貸借契約と比べると需要が少ないため、賃料を安めに設定しないと借り手が付きづらい傾向があります。

査定担当者の経験に応じた賃料調整

最終的に、不動産業者の査定担当者が持つ経験と判断が、賃料設定に大きく影響します。専門家の知識と経験に基づく調整は、物件を市場に適応させるために不可欠です。査定担当者は、市場の動向、物件の特性、貸出し時期を踏まえた上で、経験則を元に適切な賃料調整を行います。

ただし、賃料の調整の幅については査定担当者の主観によって決められるので、必ずしも一定ではないことは覚えておきましょう。

「どのように貸すのか」も賃料査定に影響する

賃貸物件の賃料査定は、単に物件の条件や市場状況だけでなく、どのように貸し出すかという契約形態にも大きく影響されます。一般的な賃貸契約の形式には主に3つの方法があり、それぞれが異なる特徴を持っています。以下に、主な賃貸契約形態と賃料査定への影響について詳しく説明していきます。

普通賃貸借契約

普通賃貸借契約は、賃料査定の算出の際に最も使われている一般的な契約方法です。

このタイプの契約では、一定期間(通常2年間)が設定されており、期間終了後も入居者が希望する場合、契約更新が行われます。貸主から契約を解除するには、正当な理由が必要となり、正当事由が認められることは相当難しいのでその点は注意が必要です。

普通賃貸借契約は、長期的な賃貸経営を望むオーナーに適しており、賃料設定も比較的高めに設定することができるのが特徴だと言えます。

定期賃貸借契約

定期賃貸借契約は、予め契約期間を定め、その期間終了時に物件を明け渡す必要があるのが特徴です。この契約形態は、オーナーが物件の再利用や売却を計画している場合に適しており、契約期間の終了後には自由に物件を利用できるため、柔軟な資産活用が可能です。

定期賃貸借契約の賃料査定においては、2〜3年程度の短い期間の貸し出しを行う場合、普通賃貸借契約に比べると借り手の需要が少ないため、賃料を安めに設定しないと借り手が付きづらい傾向があります。

サブリース

サブリースとは、オーナーが不動産会社などの業者に物件を貸し出し、その業者が入居者に物件を転貸する形式で、「借り上げ」と呼ばれることもあります。

この方法では、物件のオーナーは入居者との直接的な交渉や管理を行う必要はなく、不動産会社に全て任せることができます。滞納リスクなどは不動産会社が負い、空室保証によって空室時の賃料収入を保証されるメリットがあります。

しかし、物件がサブリース業者の管理下にあるため、物件の使用状況や保守についてオーナーの意向の介入が限られる可能性があります。また、管理費用として家賃の一部(10〜20%程度)を手数料として不動産会社に支払う必要があり、これが収益性を若干低下させる要因にもなります。

そのため、サブリースは、「高い収益を得たい」というよりも、「空室リスクをなるべく避けて安定した賃貸経営を行いたい」というニーズを持つ不動産オーナーにおすすめの方法です。

・東急リバブルの「サブリースプラン」はこちらから

賃料査定するなら不動産会社選びも大切

賃料査定を行う不動産業者の選び方

g賃貸物件の家賃の査定を行う際、適切な不動産会社を選ぶことは非常に重要です。ここでは、信頼できる不動産会社を選ぶためのポイントをまとめました。

賃貸に強い不動産会社を選ぶ

賃貸市場に特化した不動産会社を選ぶことが重要です。特定のエリアに精通している会社は、地域の市場動向や法規制を熟知しており、物件の賃料査定においてより正確な価格設定が期待できます。また、賃貸市場に強い会社はテナントのニーズもよく理解しているため、物件の魅力を最大化する提案が可能です。

過去の実績を事前にチェックする

不動産会社がこれまでに手がけた物件の実績や顧客の評価をチェックしましょう。成功事例や顧客の声は、その不動産会社の信頼性や実力の証明となります。実績が豊富で顧客満足度が高い会社は、安心して任せられる可能性が高いため、重要な指標だと言えるでしょう。

担当者の提案能力や対応も見る

賃料査定を担当する不動産会社のスタッフの提案能力や顧客への対応もチェックすべきポイントです。査定だけでなく、賃貸運営のアドバイスや、市場動向に基づいた的確な提案ができる担当者を持つ会社を選ぶことが望ましいです。担当者が親身に案件の対応を行う姿勢があるか、コミュニケーションがしっかりとれる人物か、なども確認しましょう。

賃貸管理会社としての専門性が高いか確認する

不動産会社が賃貸管理に関する高い専門性を持っているかどうかも確認が必要です。賃貸管理の専門家は、契約の締結から管理、トラブル対応に至るまで幅広いサポートを提供できます。専門的な知識や技術を持つ会社を選ぶことで、物件の価値を維持し、収益性の高い賃貸運営の実現が期待できます。

いくらで貸せるの?無料賃料査定

「貸す」も「売る」も相談できる!
賃貸管理プランが充実の東急リバブルにご相談ください。

東急リバブルの賃料査定はこちら

不動産会社を選ぶ際の注意点

不動産会社を選ぶ際にはいくつかの重要な注意点があります。以下に、賢明な選択を行うための重要なポイントを解説します。

高い賃料査定を出す会社が高い家賃で入居者を見つけられるとは限らない

不動産会社が提示する賃料査定が高いからといって、実際に高い家賃で入居者を確保できるとは限りません。市場の需要と供給に基づいた適正価格でなければ、長期間の空室リスクを高めることにもなりかねないからです。そのため、査定結果が現実の市場状況を反映しているかどうかを慎重に評価することが必要となります。

賃料査定は複数社に依頼する

一つの不動産会社の査定結果だけを鵜呑みにするのではなく、複数の会社に賃料査定を依頼することが推奨されます。これにより、各社の査定結果を比較し、より公正かつ正確な市場価値を把握することが可能になります。複数の見積もりは、適正な賃料設定やサービスの質を判断する基準となりますので、積極的に相見積もりを活用しましょう。

複数社に依頼する場合はやりとり実績をまとめておく

複数の不動産会社とやりとりする場合は、各社とのコミュニケーション内容や提案内容を詳細に記録しておくことが重要です。これにより、各社の提案や条件を明確に比較・評価でき、最終的な選定において有利な情報となります。

まとめ

ここまで見てきた通り、賃料査定は不動産賃貸において非常に重要なプロセスです。

適切な賃料設定を行うためには、物件の状態やエリアの市場価値を正確に評価する必要があります。不動産会社に机上査定や訪問査定を依頼して、物件の特性と市場動向を把握し、最も現実的な賃料を算出することが重要です。

不動産会社を選ぶ際には、そのエリアに精通した知見を持っているか、以前の実績が豊富で信頼できるかなどを確認することを忘れないでください。

賃料の設定や契約の種類についても、普通賃貸借契約・定期賃貸借契約・サブリースなど、それぞれのメリットとデメリットを理解し、賃貸経営の目的に合った契約方法を選択することが肝心となります。

この記事のポイント

賃料査定とは何ですか?

不動産オーナーが持っている物件が、いくらくらいの賃料で貸し出しすることができるのかを不動産会社に査定してもらうことが賃料査定です。

詳しくは「賃料査定とは?なぜ重要なのか」をご覧ください。

賃料査定の種類はどれくらいありますか?

賃料査定には、机上査定と呼ばれる簡易的な査定方法と、訪問査定と呼ばれる実際に物件へ足を運んで調査する査定方法の2種類があります。

詳しくは「賃料査定の種類」をご覧ください。

契約の仕方は、賃料査定に影響を及ぼしますか?

普通賃貸借契約・定期賃貸借契約・サブリースなど、契約の仕方によって、賃料の設定についても違いが出てきます。それぞれのメリット・デメリットを理解しておくことが重要です。

詳しくは「『どのように貸すのか』も賃料査定に影響する」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

高すぎる家賃設定は空室リスクを上げる要因にもなりかねます。賃料の設定は市場にニーズがあるかが何よりも大事なので、その点は留意しておきましょう。

いくらで貸せるの?無料賃料査定

「貸す」も「売る」も相談できる!
賃貸管理プランが充実の東急リバブルにご相談ください。

東急リバブルの賃料査定はこちら

物件探しや売却がもっと便利に。

無料登録で最新物件情報をお届けいたします。

Myリバブルのサービス詳細はこちら

KEYWORDS

キーワード

logo不動産のプロに
無料で相談してみませんか

初めての不動産購入から売却・賃貸まで、トータルサポート致します。法務・税務関係の難しい内容についてもお気軽にご相談ください。