マンション売却査定
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初めてのマンション売却査定をまるっと解説!流れと注意点も紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • マンションの価格をとりあえず知りたいという方はAI査定(匿名査定)がおすすめ
  • すでに売却の意思が固まっているならAI査定や机上査定ではなく訪問査定を依頼する

マンションを売るには、最初にいくらで売るかを決める必要があります。
売り出し価格を決める参考にするのが、不動産会社の無料査定による価格です。

売り出し価格が安過ぎれば損をしますし、高過ぎればなかなか売却できません。
損をせず確実に売却するには、適正価格で売り出すことが必要です。

売却の最初に行う査定は適正価格で売り出すために、必要なステップとなります。
この記事では、「マンション売却の査定」について解説します。

マンション売却査定の基本

マンション売却査定の基本

最初に、マンション売却査定の基本について解説します。

マンション売却の流れ

マンション売却の主な流れを示すと、以下の通りです。

【売却の流れ】

  1. 価格の査定を依頼
  2. 不動産会社と媒介契約を締結
  3. 販売活動の開始(買主が決まるまで一般的には3カ月程度)
  4. 買付証明書の受領
  5. 売買契約の締結(引渡までは一般的に1カ月~1カ月半程度)
  6. 引渡
  7. 必要があれば売却の翌年に確定申告

マンションの売却では、最初に査定を行うことからスタートします。
価格査定の後、売却を依頼したい不動産会社が決定したら、その会社と媒介契約を締結します。
媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。

媒介契約を締結したら、不動産会社は販売活動を開始します。
ここでポイントとなるのは、マンションは販売活動を開始してから買主が見つかり、売買契約を締結するまでに2~3カ月程度かかるという点です。

不動産を売却するには、ある程度の人数の購入希望者に物件が売りに出されていることを認識してもらう必要があります。

一定数の人に物件を認識してもらうためには、広告を掲出してからある程度の時間が必要です。

この一定数の人に認識してもらう期間のことを「市場公開期間」と呼びます。
不動産の売却では、市場公開期間は経験則上、3カ月程度あれば十分と考えられています。

逆にいうと、不動産会社は査定において3カ月程度の市場公開期間があれば売却できる価格を提示しています。

販売期間と査定価格は関連しており、例えば1カ月程度で売却できてしまう価格は安過ぎる可能性があります。
逆に、3カ月以上経っても全く売れる気配がない価格は、高過ぎる可能性があるということです。

2023年における首都圏における中古不動産の売却に要した平均日数は、下表のようになっています。

不動産売却に要する日数(日)
マンション80.1
戸建て83.3
土地79.0

出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)|公益財団法人東日本不動産流通機構

マンションは80.1日で売却できていますので、2.5カ月程度で売れれば売り出し価格は適正であるといえます。

また、売買契約から引渡までは、さらに1カ月~1カ月半程度を要します。
そのため、マンション売却では査定から引渡までのトータルの期間は、4~6カ月程度を見込んでおくことが望ましいです。

初めての方におすすめの査定方法

マンションの価格をとりあえず知りたいという方は、AI査定(匿名査定)がおすすめです。

AI査定とは、インターネット上に公開されている無料サービスであり、マンション名等の簡易な情報を入力するだけで瞬時に価格が出る査定システムのことです。

メールアドレスを入力する必要はありますが、電話番号等は入力不要とするシステムが多いため、AI査定は匿名査定とも呼ばれています。

AI査定は、瞬時に価格を知ることができ、かつ不動産会社から営業電話等もかかってこない点がメリットです。

一方で、実際に内部を見ずに機械的に査定していることから、精度が低い点がデメリットとなります。

価格は使用するAI査定によってもバラつきがあり、実態よりもかなり高めの金額で査定されるものも存在します。
AI査定はあまり過信せず、あくまでも参考程度に使用することが適切です。

マンション売却査定の種類

マンション売却査定の種類

この章では、マンション売却査定の種類について解説します。

机上査定(簡易査定)

机上査定とは、不動産会社の営業担当者が物件を見ずに行う査定のことを指します。
AI査定との違いは、AI査定は完全にコンピューターが行っているのに対し、机上査定は人が行っているという点です。
そのため、査定結果は瞬時には出ず、査定結果が出るまで1~3日程度かかります。

机上査定は、物件を見ずに簡易に行うことから、簡易査定とも呼ばれています。
直近の動向も踏まえて査定を行いますので、AI査定よりも価格精度が高い点が特徴です。

訪問査定

訪問査定とは、不動産会社の営業担当者が物件を実際に見て行う査定のことです。
訪問査定は内部を確認したうえで査定を行うため、最も精度の高い査定方法となります。

実際に売却をするにあたっては、訪問査定は必須です。
すでに売却の意思が固まっている方は、AI査定や机上査定は省いて、いきなり訪問査定を依頼して構いません。

訪問査定は、営業担当者と面談をするため、さまざまな相談をできる点もメリットです。
例えば、「急に転勤が決まったため急いで売りたい」「売却活動を近所に知られたくない」「できるだけ高く売りたい」といった相談をすることもできます。

相談をすれば、不動産会社は相談内容を踏まえた査定結果を提示してくれます。
そのため、訪問査定を受けるときは、相談したい内容を遠慮せずに伝えることが適切です。

マンション売却査定の流れ

マンション売却査定の流れ

この章では、マンション売却査定の流れについて解説します。

無料査定の依頼方法

ここでは訪問査定を前提に、無料査定の依頼方法の手順を紹介します。

【無料査定の依頼方法の手順】

  1. 不動産会社のホームページでサービス内容を確認する
  2. 気になる不動産会社が見つかったら査定を依頼する
  3. 営業担当者から連絡が来るため査定日時を決定する
  4. 訪問査定を受ける

査定は不動産会社の営業活動の一環で行われることから、売却を目的とした査定は無料です。
イメージとしては、査定は工事の見積と同じになります。

工事の見積が納得いかなければ断っても大丈夫なように、不動産の査定も納得いかなければ断っても大丈夫です。

また、工事の見積が複数社から取るように、不動産の査定も複数社に依頼して構いません。
むしろ、売主としては複数社に査定を依頼し、比較検証することで査定価格の適正さをチェックすべきといえます。

査定後の対応と活動

査定後の対応の手順は、以下の通りです。

【査定後の対応の手順】

  1. 査定結果の説明を受ける
  2. 媒介契約を締結する
  3. 販売活動を開始する

査定結果の説明を受け、納得のいく会社が見つかったら、その不動産会社と媒介契約を締結し、販売活動をスタートさせます。

査定価格の算出方法

マンションの査定価格は、取引事例比較法を用いて算出されることが一般的です。
取引事例比較法とは、市場性に着目した算出方法であり、不動産会社が規範性の高い取引事例を集めて、価格を推定していく方法になります。

マンション査定の注意点

マンション査定の注意点

マンション査定の注意点について、解説します。

高過ぎる査定価格は避ける

査定価格は売却を保証する価格ではないため、不動産会社によっては媒介契約を取るために意図的に高い価格を提示してくる会社も存在します。
価格が高すぎないかどうかを見極めるためにも、複数の不動産会社に査定を依頼することは適切です。

複数の査定結果を比較した結果、妙に高い査定価格の会社があれば、依頼は避けるべきといえます。

査定結果に納得感のある説明をしてくれる不動産会社の選ぶ

不動産会社は、査定結果に納得感のある説明をしてくれる会社を選ぶことが望ましいです。
例えば、「つい最近、同じマンション内の○○号室が○○万円で売れた」等の具体的な説明があると信ぴょう性が高いといえます。

マンション査定依頼時の準備と必要書類

マンション査定依頼時の準備と必要書類

マンション査定依頼時の準備と書類について、解説します。

必要書類を準備しておく

訪問査定時には、以下の書類が必要です。

【査定時に必要な書類】

  • 登記済証(権利証)または登記識別情報
  • 間取りがわかる資料(分譲時のパンフレット等)
  • 建設住宅性能評価書

登記済証(権利証)または登記識別情報は、所有者しか持っていない書類であるため、本人確認のために提示が求められます。
間取りがわかる資料は、不動産会社が広告を作成するために必要です。

住宅性能評価書とは、登録住宅性能評価機関が発行する住宅の性能を客観的に示す書面のことです。
住宅性能評価書は査定価格をアップさせる可能性のある資料となるため、保有していれば査定時に提示することをおすすめします。

また、最終的に引渡時には、下表の書類が必要です。

【引渡時に必要な書類】

必要とする場面書類名
買主へ引き渡す書類・分譲時のパンフレット
・管理規約・使用細則・最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し等
・管理費・修繕積立金の額の確認書等
・固定資産税・都市計画税納税通知書の写し
・設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書
登記に必要な書類・登記識別情報通知書または登記済証(権利証)
・印鑑証明書(引渡時の3カ月以内に発行のもの)
・固定資産税評価証明書
・住民票(住所の変遷が確認できない場合は戸籍の附票が必要)
・本人確認書類(免許証等)
・抵当権の抹消に必要な書類(銀行が保管している書類)

査定時に確認するべきポイント

査定時に確認するべきポイントは、不動産会社の行っている売主向けサービスです。
売主向けサービスとは、例えば売却後の建物保証や設備保証、ハウスクリーニング、プロカメラマンによる撮影、不用品処分等があります。

同じ売却でも、売主向けサービスがある会社に依頼した方がお得です。

提供される売主向けサービスは、不動産会社によって大きく異なりますので、自分が求めているサービスがあるかを確認してから査定を依頼することが望ましいといえます。

ライターからのワンポイントアドバイス

ライターからのワンポイントアドバイス マンション売却査定

近年は、大手不動産会社を中心にさまざまな売主向けのサービスが提供されています。売却を依頼するなら、売主向けのサービスが充実している会社を選んだ方がお得です。そのため、少し手間になりますが、査定を依頼する不動産会社は事前にホームページでサービス内容を調べた上で依頼することが望ましいです。探す手間を惜しまず、サービスが良さそうな不動産会社を2~3社ピックアップし、査定を依頼することが売却で成功する近道になります。

この記事のポイント

マンション売却査定の種類は?

マンション売却査定には、机上査定(簡易査定)と訪問査定があります。

机上査定とは、不動産会社の営業担当者が物件を見ずに行う査定のことを指します。一方の訪問査定とは、不動産会社の営業担当者が物件を実際に見て行う査定のことです。

詳しくは「マンション売却査定の種類」をご覧ください。

マンション査定の注意点は?

査定価格は売却を保証する価格ではないため、不動産会社によっては媒介契約を取るために意図的に高い価格を提示してくる会社も存在します。

価格が高すぎないかどうかを見極めるためにも、複数の不動産会社に査定を依頼することは適切です。

詳しくは「マンション査定の注意点」をご覧ください。

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