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家を売却する流れ7ステップ|かかる期間や税金・注意点も解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 家を売却する方法として一般的なのは仲介・買取・個人売買
  • 仲介の場合は基本的に売却準備を始めてから引き渡しまでに6カ月程度かかる

家の売却を検討しているのであれば、家を売却する流れを把握することから始めましょう。初めての売却でも、おおおまかな流れを理解しておくことで、安心かつスムーズに進めることができます。

今回は家の相場を把握するところから、翌年に確定申告するまでの流れを7つのステップで解説します。

また家を売却するまでにかかる期間や税金、注意すべきポイントも紹介します。家の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

家を売却する一般的な方法3つ

家を売却する一般的な方法3つ

家を売却する方法として一般的なのは、仲介・買取・個人売買の3パターンです。それぞれにメリット・デメリットがあるため、一概にどの方法が正解とはいえません。

まずそれぞれの方法について、詳しく解説します。家を売却する理由や状況、希望に合わせて選択しましょう。

仲介

仲介とは、不動産会社に依頼して買主を探してもらう方法です。家を売る方法として、もっとも一般的な方法といえます。

仲介は、不動産会社に家の査定を依頼することから始めます。査定額を参考にして売買価格を設定し、仲介を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。

その後、不動産会社が広告活動をし、売主は内覧に立ち会います。購入希望者と契約価格や引き渡し条件に折り合いがついたら、売買契約を締結します。

成功報酬として、不動産会社へ仲介手数料を支払うことになりますが、広告から契約業務、引き渡しまでをサポートしてくれるので、安心して取引したい方におすすめです。

不動産会社によっては、ルームクリーニングやリペア、カメラマンによる撮影など、家の魅力を高める独自のサポートを用意していることがあります。仲介を依頼する際は、サービスの有無を確認しましょう。

家の条件や売り出すタイミングによっては、成約までに時間がかかることがありますが、一般の市場で売買するため、希望に近い価格で売れる可能性が高いこともメリットです。

買取

買取とは、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。不動産会社に買取金額を提示してもらい、その金額で納得できれば取引は成立します。なお不動産会社と直接売買することになれば、仲介手数料は発生しません。

内覧に立ち会う必要はないため、忙しい人も安心です。早ければ1週間程度で契約でき、家を引き渡すことができれば、すぐに現金化できます。

仲介よりも短期間で売却できるので、急いで売りたい人や、住み替えなどで現金化したい時期が決まっている人に向いています。

買取のデメリットとしては一般仲介よりも売買価格が低くなる可能性があることです。

買取は広告が不要なため、近隣へ売却することを知られたくない人や、家が古く契約不適合責任を免除してもらいたい人に向いています。

契約不適合責任とは、引渡し後に売買契約で定めた状態や数量と異なることが判明したときに、売主が買主に対して負う責任のことです。

買取は不動産会社が買主になるため、契約不適合責任の免除を相談できるケースが多いこともメリットです。

個人売買

個人売買とは、自分で買主を探して売却する方法です。仲介手数料がかからないことが、一番のメリットです。

個人間で売買する場合は、売買契約書や関係書類を自ら用意しなければならず、不動産の知識が必要になります。

インターネットや書籍を参考にすれば、売買契約書は作成できるかもしれません。しかし不動産取引の知識不足により、トラブルに巻き込まれるリスクが生じます。

個人売買は、親族間や知人へ売却するケースが一般的です。見ず知らずの人との取引は、細心の注意が必要になるでしょう。

家を売却する流れ7ステップ:目安期間は6カ月

を売却する流れ7ステップ

家を売却するときは不動産会社へ仲介を依頼するのが一般的で、通常売却準備を始めてから引き渡しまでに6カ月程度かかります。

この章では、仲介で家を売却する流れを、以下の7つのステップで紹介します。

  1. 家の売却相場を調べる
  2. 不動産会社に査定を依頼する
  3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  4. 不動産会社が売却活動を始める
  5. 買主と売買契約を締結する
  6. 決済完了後に買主に物件を引き渡す
  7. 確定申告する

1.家の売却相場を調べる

まず不動産会社へ査定を依頼する前に、査定額や売買価格が妥当か判断できるように、家の相場を調べておきましょう。

不動産ポータルサイトで類似する家の価格を調べるか、不動産ライブラリやレインズマーケットインフォメーションで類似する家の取引価格を検索してみましょう。

おおまかな家の相場がつかめたら、次に進めましょう。

2.不動産会社に査定を依頼する

家の相場を把握し、売却の意思が固まったら、不動産会社へ家の査定を依頼します。

査定は、大きく分けると「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。

家の現地調査が不要で、比較的簡単に査定依頼できるのが机上査定です。手軽さは魅力ですが、現地調査をしてから査定額を算出する訪問査定に比べて精度が低くなります。

なるべく早く査定額を知りたいときは、机上査定を依頼しましょう。1週間程度で査定額を提示してもらえるケースが多いです。

すでに売却することが決まっているときは段階を踏むのではなく、より精度が高い訪問査定を依頼します。

3.不動産会社と媒介契約を結ぶ

仲介を依頼したい不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。
媒介契約は、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があります。

複数社へ依頼したい場合は一般媒介契約を選び、手厚いサポートを期待したいときや窓口を1つにしたい場合は専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約を選びます。

専属専任媒介契約と専任媒介契約の大きな違いは、自己発見取引ができるかどうかです。たとえば知人へ売却する可能性があるときは、専任媒介契約を選びましょう。

どの媒介契約を選んだらよいかは、状況によって異なります。それぞれの特徴を理解し、信頼できる不動産会社へ仲介を依頼することをおすすめします。

専属専任媒介契約専任媒介契約一般媒介契約
複数社との契約   ×   ×   ○
指定流通機構(レインズ)への登録義務
(媒介契約締結の日から5営業日以内)
義務
(媒介契約締結の日から7営業日以内)
任意
(依頼することは可能)
不動産会社の売主への業務報告  義務
1週間に1回以上
  義務
2週間に1回以上
  任意
自己発見取引
(売主が自ら発見した相手との契約)
   ×   〇   ○
有効期限3カ月以内3カ月以内法令上の制限は無し

4.不動産会社が売却活動を始める

媒介契約締結後、不動産会社は広告を出すなどして売却活動を始めます。売却活動で実施してもらいたいことや売却したい時期、最低売却価格などがあれば早めに伝えておきましょう。

週末は内覧の予定が入ることが多くなります。なるべくスケジュールを調整し、内覧に対応できるようにしてください。また購入希望者から質問が出たら、快く答えましょう。

5.買主と売買契約を締結する

買主と売買価格や引き渡しの時期に折り合いがついたら、売買契約を締結します。

売買契約書や重要事項説明書は不動産会社が準備しますが、設備の故障や気になる傷など瑕疵があれば、物件状況説明書や付帯設備表にその旨を記載し、買主へきちんと伝えるようにします。

6.決済完了後に買主に物件を引き渡す

売買契約後、決済日の前日までに引っ越しを終えておきましょう。決済日には司法書士が立ち会い、買主へ物件を引き渡した後に抵当権の抹消登記・所有権移転登記・買主の抵当権設定を残代金決済と同時に行います。

7.確定申告する

家を売却して売却益が発生したら、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告して譲渡所得税を納めます。

以下の計算式のとおり、譲渡所得は家の購入や売却にかかった費用を差し引くことができ、一定の条件を満たすことでマイホームについては3,000万円まで控除(居住用財産の3,000万円控除)できます。

譲渡所得=総収入額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

つまり居住用財産で一定の条件を満たせば、所有期間に関係なく特別控除が使えるため、売却益が3,000万円以上でなければ譲渡所得税は課税されません。

ただし、3,000万円控除の適用を受けるためには、一定の書類を添えて確定申告をする必要があります。自動的に適用されるわけではないため、翌年に申告することを忘れないように注意しましょう。

家を売却するときに必要なおもな費用

家を売却するときに必要なおもな費用

家の売却には仲介手数料や税金がかかり、住んでいる家を売るときは引っ越し費用もかかります。あらかじめどのくらいかかるのか試算し、資金計画に含めておきましょう。

この章では、家の売却時にかかる仲介手数料と税金について解説します。

仲介手数料

仲介手数料とは、仲介で不動産取引が成約した場合に不動産会社へ支払う手数料です。
不動産会社が直接買取するときや、個人売買ではかかりません。

仲介手数料は売買価格によって計算式が異なり、算出方法が少々複雑です。ここでは簡単に計算できる速算式を紹介します。

売買価格仲介手数料(上限額)を求める速算式
400万円超売買価格×3%+6万円+消費税
200万円超400万円以下売買価格×4%+2万円+消費税
200万円以下売買価格×5%+消費税

なお、2024年7月1日より仲介手数料率が改正され、物件売買価格800万円以下の場合、最大30万円受け取ることができるようになりました。

たとえば3,000万円の家を仲介で売却する場合は、以下のように計算します。

3,000万円×3%+6万円+消費税=105.6万円

税金

家の売却に際して、いくつかの税金がかかります。どのような税金がかかるのか、あらかじめ把握しておきましょう。

譲渡所得税   家を売却して売却益が発生したときは、譲渡所得税がかかります。翌年に確定申告をして納税します。
印紙税売買契約書は印紙税課税文書のため、売買契約時に収入印紙を貼って印紙税を納めます。
登録免許税抵当権抹消登記や住所変更登記をする際に、登録免許税がかかります。ちなみに所有権移転登記費用は、買主が負担するのが一般的です。
消費税個人が家を売却する際に消費税はかかりませんが、不動産会社へ仲介手数料を支払う際に、仲介手数料に対して消費税がかかります。

家を売却するときの注意点

家を売却するときの注意点

最後に、家を売却するときに注意すべきポイントを解説します。

住宅ローンが残っている場合は抵当権を外す

住宅ローンが残っている家を売却する場合は、住宅ローンを完済し、抵当権を抹消してから買主へ所有権移転登記をすることになります。

家を売却した価格で住宅ローンを完済できれば問題ありませんが、足りない場合は自己資金で補うか、住み替えローンの利用を検討しましょう。

売却代金でローン残債を支払う場合は、完済の手続きは時間がかかるため、余裕を持って準備するようにしてください。少なくとも2週間前までには金融機関に連絡し、完済手続きをしておきましょう。

複数の不動産会社で査定を受ける

不動産会社によって、査定額が大きく異なることがあります。適正額なのか判断するためにも、家の査定は複数の不動産会社へ依頼しましょう。

査定額だけでなく、査定額の根拠や市場の動向なども説明してもらい、依頼先としてどの不動産会社がふさわしいのか判断する材料にしましょう。

ライターからのワンポイントアドバイス

ライターからのワンポイントアドバイス 家売却,流れ

家の売却に不安を感じたら、不動産会社に相談する前に、一般的な流れを把握しておきましょう。全体像をつかむことで、家の売却を安心して進めやすくなります。

机上査定と訪問査定、専任媒介契約と一般媒介契約など、その都度選択しなければならないこともありますが、方向性を決めておくことで迷わずに依頼できるでしょう。

家の売却は、不動産会社選びが重要です。不動産会社の実績や信頼できる担当者なのか見極めて、家の売却を成功させましょう。

この記事のポイント

家を売却する方法にはどんなものがある?

家を売却する方法として一般的なのは、仲介・買取・個人売買の3パターンです。それぞれにメリット・デメリットがあるため、一概にどの方法が正解とはいえません。

家を売却する理由や状況、希望に合わせて選択しましょう。

詳しくは「家を売却する一般的な方法3つ」をご覧ください。

家を売却するときに必要なおもな費用は?

家の売却時には仲介手数料と税金がかかります。

仲介手数料とは、仲介で不動産取引が成約した場合に不動産会社へ支払う手数料です。

不動産会社が直接買取するときや、個人売買ではかかりません。

税金としては、譲渡所得税、印紙税、登録免許税、消費税が発生する可能性があります。

詳しくは「家を売却するときに必要なおもな費用」をご覧ください。

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