ざっくり要約!
- 土地売却価格の相場は仲介と買取で異なる
- 土地にはそれぞれ個性があり、価格は最終的に相場とは異なる価格で決まることが通常
土地価格は「一物四価」とも表現され、実勢価格と地価公示、相続税路線価、固定資産税評価額といった価格の種類があります。
参考となる公的な評価額が多いことから、土地相場はさまざまな調べ方が存在します。
土地を売却する場合に相場を知っていると、価格が高過ぎる、または安過ぎるといった判断をすることができます。
そのため相場は、不動産会社に査定を依頼する前に、ある程度自分で行っておくことが望ましいです。
土地価格の相場の調べ方には、どのような方法があるのでしょうか。
この記事では、「土地売却の相場の調べ方」について解説します。
記事サマリー
土地売却価格の相場は買取と仲介で異なる
土地売却価格の相場は仲介と買取で異なります。
仲介とは「不動産会社のあっせんを通じて最終消費者に市場価格で売却する方法」のことです。
買取とは「再販を目的とした不動産会社に下取価格で売却する方法」を指します。
仲介は市場価格で高く売れますが、売却までに時間がかかる点が特徴です。
それに対して、買取は早く売れますが、価格が下取価格となって安くなる点が特徴となります。
そもそも相場とは仲介で売却したときの価格のことです。
一般的に調査可能な相場も、仲介による売却を前提とした価格情報になります。
一方で、買取の下取り価格は仲介の価格の8割程度が目安です。
ただし、条件があまり良いとはいえない物件等であれば、仲介の価格の5~6割程度になることもあります。
次章からは、仲介の相場を前提に解説します。
土地売却価格の大まかな相場の調べ方5つ
土地売却価格の相場を調べる方法には、複数の手段が存在します。
いずれの方法も目安であるため、参考程度にとどめることが適切です。
この章では、土地価格を調べる主な方法について紹介します。
1.実勢価格を基準にする
実勢価格とは、時価または市場価格と呼ばれる価格のことです。
いわゆる仲介で売却したときの価格が実勢価格になります。
実勢価格の相場は、国土交通省が運営している「不動産情報ライブラリ」で、調べることができます。
不動産情報ライブラリとは、価格情報だけでなく地形情報や防災情報、周辺施設情報、都市計画情報、人口情報を調べることができるサイトです。
土地の価格は、価格情報の中で「不動産取引価格情報」をチェックすると、地図上の周辺で取引された事例(場所の特定はできません)を調べることができます。
2.地価公示・都道府県地価調査を基準にする
地価公示とは、毎年国が行う1月1日時点(公表は3月)の土地の評価額のことです。
都道府県地価調査とは、毎年都道府県が行う7月1日時点(公表は9月)の土地の評価額のことを指します。
地価公示と都道府県地価調査は、価格時点が半年ずれているだけであり、価格水準は同じです。
地価公示と都道府県地価調査は、収用等で公共団体が民間の土地を取得する際の参考にされる価格であることから、表向きは時価ということになっています。
ただし、地価公示は税金にも影響する土地価格であることから、時価よりも低くなっていることが一般的です。
特に地価上昇時に実際の時価と合わせて評価すると、固定資産税等の税金が急激に上昇してしまうことから、政策的な配慮によって時価よりも低めに評価される傾向があります。
例えば、都市部の土地であれば、時価が地価公示価格の1.5~2.0倍程度となっているケースも珍しくありません。
地価公示や都道府県地価調査の調べ方
地価公示や都道府県地価調査も、「不動産情報ライブラリ」の価格情報で調べることができます。
価格情報の中から「国土交通省地価公示」または「都道府県地価調査」をチェックすると、地図上に周辺の地価公示や都道府県地価調査の調査ポイントが表示されます。
地価公示や都道府県地価調査で表示される単価は、平米あたりの単価です。
周辺の地価公示等の単価に、自分の土地の面積を乗じれば、概ね自分の土地の価格を算出することができます。
地価公示等の価格は、実勢価格よりも低いことが一般的であるため、実際には地価公示等から算出した価格よりも高く売却できることが期待されます。
3.相続路線価を基準にする
相続税路線価とは、土地の相続税評価額を求めるために使用される土地単価のことです。
価格時点は毎年1月1日、公表時点は7月になります。
相続税路線価は、国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」または一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で調べることができます。
相続税路線価は地価公示や都道府県地価調査とは異なり、自分の土地の前の路線に評価額が割り振られている点が特徴です。
相続税路線価で示される土地単価は、「平米あたりの千円単価」になります。
例えば「185」と記載されていれば、「185,000円/平米」という意味です。
相続税路線価は、地価公示の8割を水準に評価されています。
そのため、前面道路の路線価に面積を乗じたものを0.8で割り戻すと地価公示水準の価格を算出できます。
仮に、実勢価格が地価公示価格の1.1倍と仮定した場合、実勢価格の算出方法は以下の通りです。
推定実勢価格 = 相続税路線価 × 面積 ÷ 0.8 × 1.1
4.固定資産税評価額を基準にする
固定資産税評価額とは、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税といった税金の算出根拠となる土地の評価額のことです。
土地の所有者であれば、固定資産税評価額は自治体から毎年送付される「固定資産税納税通知書」の中に記載されています。
所有者以外の方は、固定資産税路線価から固定資産税評価額を推測することができます。
固定資産税路線価は、一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で調べることが可能です。
固定資産税評価額は、地価公示の7割を水準に評価されています。
そのため、固定資産税評価額を0.7で割り戻すと地価公示水準の価格を算出できます。
仮に、実勢価格が地価公示価格の1.1倍と仮定した場合、実勢価格の算出方法は以下の通りです。
推定実勢価格 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1
なお、相続税路線価は毎年評価されますが、固定資産税評価額は3年に1度のペースで評価されます。
つまり、相続税路線価の方が最新のトレンドを反映しやすいといえます。
そのため相場を調査するのであれば、固定資産税評価額よりも相続税路線価を使用した方が適切です。
5.売却の意思が固まっている場合は不動産会社に査定を依頼する
売却の意思がすでに決まっている人であれば、不動産会社に査定を依頼するという方法もあります。
不動産会社の無料査定は相場調査のために利用するものではなく、あくまでも売却予定の方にサービスで行っている査定です。
そのため、売却意思がきちんと固まっている方であれば、価格を知るために不動産会社の査定を利用していただいても構いません。
不動産会社による査定は、売却を保証するものではなく、売却予想価格です。
そのため、会社によって見方は異なります。
1社だけの査定価格では、その価格が高いのか低いのか判断できませんので、査定は複数の不動産会社に依頼することが適切と考えられます。
・「土地相場を路線価や地価から調べる方法と注意点」に関する記事はこちら 土地相場を路線価や地価から調べる方法と注意点 「一物五価」についても解説 |
土地売却相場を調べる際の注意点3つ
この章では、土地売却相場を調べる際の注意点について解説します。
1.自分で調べた相場はあくまで目安と考える
土地にはそれぞれ個性があることから、土地の価格は最終的に相場とは異なる価格で決まることが通常です。
個性とは、形状や面積、接道条件等が該当します。
個性を反映して最終的な価格を出すには豊富な取引経験が必要であるため、一般の方が最終的な価格を算出することは難しいです。
そのため、自分で調べた相場はあくまで目安と考えることが適切といえます。
2.土地の価格は変動する
土地の価格は、年単位のペースで変動することが通常です。
変動の幅も、地域や土地の標準的な用途によって異なります。
そのため土地の相場を調べる際は、できるだけ最新の価格情報に基づいて調べることが適切です。
例えば、10月に相場を調べるのであれば、3月に公表された地価公示を用いるのではなく、9月に公表された都道府県地価調査を用いる方が最新の情報を反映できます。
3.土地売却はさまざまな費用が発生する
土地の売却には、以下のような費用が生じます。
項目 | 内容 |
---|---|
仲介手数料 | 仲介手数料とは、不動産会社に対して支払う報酬のことです。 |
印紙税 | 売買契約書には印紙を貼る必要があるため、印紙税が生じます。 |
抵当権抹消費用 | 抵当権とは、債権者(主に銀行のこと)が担保物件から優先的に弁済を受けることのできる権利のことです。登記簿謄本から抵当権の記載を抹消するには、抵当権抹消の登録免許税と司法書士手数料がかかります。 |
測量費 | 土地の境界が確定していない場合には、測量費が発生します。 |
解体費用 | 古家を取り壊して売る場合には、解体費用が生じます。 |
税金 | 売却益が発生した場合には、所得税と住民税、復興特別所得税が発生します。 |
土地売却価格に影響を与えるおもな要因とは?
土地の相場とは、いわゆるその地域における標準的な土地の価格のことです。
実際の土地には、不整形や角地等の個性があり、これらの個性が影響して相場とは異なる価格となります。
参考までに、相場から個別の土地の価格に影響を与える要因を挙げると以下の通りです。
【土地価格に影響を与える要因】
- 地勢、地質、地盤等
- 日照、通風および乾湿
- 間口、奥行、地積、形状等
- 高低、角地その他の接面街路との関係
- 接面街路の幅員、構造等の状態
- 接面街路の系統および連続性
- 交通施設との距離
- 商業施設との接近の程度
- 公共施設、公益的施設等との接近の程度
- 汚水処理場等の嫌悪施設等との接近の程度
- 隣接不動産等周囲の状態
- 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無およびその利用の難易
- 情報通信基盤の利用の難易
- 埋蔵文化財および地下埋設物の有無並びにその状態
- 土壌汚染の有無およびその状態
- 公法上および私法上の規制、制約等
ライターからのワンポイントアドバイス
近年は土地価格の上昇が続いています。相場はあくまでも過去の情報に基づいて形成されて価格であり、土地価格が上昇傾向にあるときは査定価格が調べた相場よりも高くなることも多いです。
特に土地価格の上昇率が拡大しているときは、調べた相場よりも査定価格の方が上振れしやすくなります。そのため、相場情報だけから適切な価格を知ることは難しいです。土地を売却することが決まっている方は、相場の調査は参考程度にとどめておき、早々に査定を依頼することをおすすめします。
この記事のポイント
- 土地売却価格の大まかな相場の調べ方は?
土地売却価格の相場を調べる方法には、複数の手段が存在します。
例えば、実勢価格を基準にする、地価公示・都道府県地価調査を基準にするといった方法がありますが、いずれも目安であるため、参考程度にとどめることが適切です。
詳しくは「土地売却価格の大まかな相場の調べ方5つ」をご覧ください。
- 土地売却相場を調べる際の注意点は?
土地売却相場を調べる際には、自分で調べた相場はあくまで目安と考えること、土地の価格は変動すること、土地売却はさまざまな費用が発生することを覚えておきましょう。
詳しくは「土地売却相場を調べる際の注意点3つ」をご覧ください。
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