不動産買取,トラブル
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不動産買取でよくあるトラブルとは?事例や回避策について解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 相場より安い価格での買取にならないために複数の買取会社に査定を依頼し、買取価格を比較検討できるようにする
  • 買取の査定を依頼する際は、その会社が行う買取が自社買取かどうかを確認する

買取とは、再販を目的とした買取会社(不動産会社のこと)に対して、下取価格で売却する方法のことです。
買取は早く売れるというメリットがありますが、売却価格が安くなるというデメリットがあります。

買取は、プロである買取会社との相対取引となり、価格も買取会社の言い値であることから、透明性を確保しにくい点が特徴です。
取引の透明性が低いことから、トラブルも発生しやすいといえます。

買取にはどのようなトラブルがあり、回避策には何があるのでしょうか。
この記事では「不動産買取のトラブル」について解説します。

不動産買取前に知っておくべき5つの注意点

不動産買取前に知っておくべき5つの注意点

最初に不動産買取前に知っておくべき注意点について解説します。

1.仲介の8割程度の価格になる

買取は仲介よりも早く売却できますが、価格が安くなることが特徴です。
仲介とは、買取会社のあっせんを通じて最終消費者に直接売却する方法を指します。

買取の相場は、仲介による売却価格を100%とした場合、80%程度になることが一般的です。

買取では、買取会社が買い取った後にリフォームや修繕を行います。
リフォームや修繕を行った後、転売したときに転売益を得ることが買取会社の収益になります。

買取会社は、転売時に転売益を得ることができるため、買取による売却では仲介手数料は生じないことが原則です。

買取の相場は、一般的には仲介の8割程度ですが、物件によってはもっと下がることも多いです。

例えば、建物の取壊しが必要な物件や事故物件等の条件が劣る物件では、価格が大きく下がることもあります。

自己資金で不足分の充当が必要になることがある

住宅ローンが残っている物件を売却するには、売却金額によって住宅ローンを一括返済します。

買取は売却価格が安いため、売却金額でローン残債を一括返済しきれないことも多いです。

売却金額でローン残債を一括返済できない場合には、自己資金を充当することになります。

自己資金を加えて返済できない場合には、任意売却を選択します。
任意売却とは、債権者(銀行のこと)の合意を得て行う借金返済のための売却方法のことです。

任意売却を利用するには債権者の合意を得るだけでなく、買取会社に関しても任意売却物件でも買取が可能な会社を選択する必要があります。

買取会社の中には、任意売却物件は対象外としている会社も多いです。
例えばフランチャイズの買取会社では、任意売却物件は対象外としている会社が多い傾向があります。

ローンが残っている場合には、まずは買取金額で完済できるかを確認し、完済できない場合には任意売却物件も取り扱っている買取会社を選んで買い取ってもらう必要があります。

4.物件によっては買取不可の場合もある

買取は、買取会社が再販を目的として購入するため、物件によっては買取不可の場合もあります。

例えば、築年数の古い物件で、取壊し費用が更地価格を上回ってしまうような物件が買取不可となることが多いです。

築年数の古い物件は、買取会社が買い取った後に建物を取り壊し、更地にした状態で転売します。

その際、更地の売却価格が低く、取り壊し費用を回収できないような物件だと、買取会社は買う意味がありません。

そのため、条件によっては買い取ってもらえない物件もあるのです。

5.即時買取と買取保証がある

買取には、即時買取と買取保証の2種類があります。

即時買取とは、買取会社がすぐに買い取ってくれる売却方法のことです。
買取保証とは、一定期間仲介による売却を試み、期限まで売れなかった場合には最後は買取会社が買い取るという売却方法のことです。

いわゆる買取とは、即時買取のことを指します。
買取保証とは、仲介と買取をミックスした売り方であり、買取会社によっては行っていない場合もあります。

買取保証は、売却まで一定の期間はあるけれども、期日までに売却したい人に向いた売却方法です。
例えば、相続税の納税のために不動産の売却をする人は買取保証が適しているといえます。

相続税には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内という期限があります。
相続後、すぐに売却活動を始めれば、10カ月以内に売れる可能性が高いため、できれば仲介で高く売りたいと考える人が多いです。
しかしながら、10カ月という納税期限があることから、期限までには確実に売らなければいけません。
そのため、最終的には買取でも売れる保証を付けておけば、安心して売却活動を進めることができます。

このように、買取保証はある程度の時間の余裕はあるものの、期限までには確実に売却したいというケースで用いられる売却方法となります。

不動産買取でよくあるトラブル事例と対策

不動産買取でよくあるトラブル事例と対策

この章では、不動産買取でよくあるトラブルを紹介します。

相場より安い価格での買取になった

買取は仲介の相場よりも安いですが、さらに買取の相場よりも安い価格となってしまうこともあります。

買取価格は買取会社の言い値であるため、価格が低い理由がブラックボックス化されやすいです。

買取価格をブラックボックス化させないためには、透明性を確保する必要があります。

具体的には、複数の買取会社に査定を依頼し、買取価格を比較検討できるようにすることが対策です。

複数の買取会社に査定を依頼すれば、買取会社同士に競争原理が働くことから、透明性を確保しやすくなります。

即金と謳っておきながら実は即金ではなかった

買取は、価格は多少安くなっても構わないが、とにかく急いで売却したい人が利用することが多いです。
そのため、買取を利用する人は、現金化できるまでの時間が重要なポイントとなります。

買取の現金化までの期間は、早くて1週間程度、長くて1カ月程度となることが一般的です。

しかしながら、不動産会社によっては「最短で査定の翌日に現金化可能」といったスピード買取を謳っている会社もあります。

このように現金化までの期間は「最短で」という言葉が付いていることが多いです。
あくまでも最短ですので、最短でない場合はもっと時間がかかるという意味になります。

また、「翌日に現金化」というようなケースは、例えば事故物件の買取等の「タダ同然の物件」に適用されることが多いです。

買取会社の中には、事故物件をタダもしくは数万円といった金額で買い取る会社もありますので、そのような場合は「翌日に現金化」ができるわけです。

そのため、即金と謳われていても物件によっては即金にはならないことが多く、1週間~1カ月程度の時間はかかることになります。

仲介手数料が発生した

買取は、原則として仲介手数料は発生しません。
しかしながら、一部の買取会社の中には「買取会社を紹介(仲介)するサービス」を買取と謳っている会社もあります。

買取会社を仲介する会社に買取を依頼してしまうと、その会社に対して仲介手数料が発生します。

しかも、仲介手数料が発生するにも関わらず、売却先は別の買取会社ですので売却価格は安いままです。

仲介手数料を発生させないためには、その買取会社が行う買取りが自社買取(その会社が買主となる買取のこと)であることが条件となります。

契約時に金額を下げられた

買取では、契約時に金額を下げられてしまうというトラブルも存在します。

例えば、ゴミや家財道具の処分費用を買取会社が負担する場合、査定価格から処分費用が差し引かれた金額が売却価格になることがあります。

買取会社の中には、ゴミ等の処分費用を負担するサービスを行う会社が多いです。
ゴミ等の処分も依頼する場合には、査定価格から処分費用が差し引かれるのかといった点をあらかじめ確認することが必要となります。

不動産買取のトラブル回避策5選

不動産買取のトラブル回避策5選

不動産買取のトラブルを避けるためにしておくことについて解説します。

1.自分で相場を調べておく

買取を依頼する場合は、できれば事前に自分で相場を調べておくことが望ましいです。
調べられる相場はあくまでも仲介の相場ですので、調べた仲介の相場の7~8割程度が買取価格になることが予想されます。

ただし、自分の物件の適正な価格を知ることは容易ではありません。
仲介で売ったときの価格を、そもそも正確に把握できないといえます。

そのため、買取会社に査定を依頼する際は「参考までに仲介で売ったときの価格も知りたい」と伝えておくのが一つの対策です。

同じ会社が出した仲介の価格よりも2割程度低いのであれば、適正な買取価格と推測できます。

2.複数の買取会社に査定を依頼する

買取は、複数の買取会社に査定を依頼することが適切な対策です。
複数の査定結果があると、比較検証ができるため、高過ぎるまたは安過ぎるといった判断をすることができます。

また、高い価格で買い取ってくれる会社が見つかれば、価格が安くなるという買取りのデメリットを防ぎやすいです。

3.自社買取かどうかを確認する

買取の査定を依頼する際は、その会社が行う買取が自社買取かどうかを確認することが重要です。

自社買取であれば、仲介手数料は生じません。

ホームページにきちんと書かれておらずよくわからない場合には、査定の依頼時に直接確認することが適切です。

4.希望の条件を満たせるかを直接確認する

買取を利用する場合には、希望の条件を満たせるかどうかを直接確認することもポイントです。

希望の条件とは、例えば現金化までの期間や引っ越し時期等が挙げられます。
すぐに現金は欲しいけれども、すぐに引っ越せない場合は、引渡後の引っ越しを認めてくれる会社を選ぶことが必要です。

5.業者とのやりとり内容はすべて書面で残す

トラブルを避けるためには「言った、言わない」を防ぐためにも打ち合わせの内容は全て議事録として記録に残しておくことが適切です。

できれば毎回の打ち合わせ時の冒頭に、前回の打合せ内容の議事録を読み合わせて確認するとより良い対策となります。

ライターからのワンポイントアドバイス

ライターからのワンポイントアドバイス 不動産買取,トラブル

不動産買取のトラブルを避けるには、契約のギリギリまで他の買取会社とも連絡を取れるようにしておくという点です。1社に囲い込まれ、逃げ場を失ってしまうとトラブルに巻き込まれやすくなります。

査定は複数の買取会社に依頼をしておき、話を進めている会社が怪しいと感じたら、いつでも他の会社に切り替えられるようにしておくといいでしょう。話を進めていくにあたり、疑問や不安があれば一つ一つ確認していくことも重要です。買取会社には、他社に切り替える選択肢があることを認識してもらうことも一つの交渉術です。

この記事のポイント

不動産買取でよくあるトラブル事例は?

不動産買取でよくあるトラブル事例の一つに「相場より安い価格での買取になった」というものがあります。

買取価格は買取会社の言い値であるため、価格が低い理由がブラックボックス化されやすいです。買取価格をブラックボックス化させないためには、透明性を確保する必要があります。

具体的には、複数の買取会社に査定を依頼し、買取価格を比較検討できるようにすることが対策です。

詳しくは「不動産買取でよくあるトラブル事例と対策」をご覧ください。

不動産買取のトラブル回避策はある?

不動産買取のトラブル回避策はいくつかありますが、たとえば買取を依頼する場合はできれば事前に自分で相場を調べておくことが望ましいです。

調べられる相場はあくまでも仲介の相場ですので、調べた仲介の相場の7~8割程度が買取価格になることが予想されます。

ただし、自分の物件の適正な価格を知ることは容易ではありません。

仲介で売ったときの価格を、そもそも正確に把握できないといえます。

そのため、買取会社に査定を依頼する際は「参考までに仲介で売ったときの価格も知りたい」と伝えておくのが一つの対策です。

詳しくは「不動産買取のトラブル回避策5選」をご覧ください。

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