ざっくり要約!
- マンション標準管理規約は、マンションの住人が安心して暮らせる環境を整えるために国土交通省が策定した管理基準
- マンション標準管理規約は1982年に初めて制定され、管理体制の時代適応を図るために幾度も改正が行われてきた。最新の改正は2024年6月
- 2024年6月の改正では、名簿の管理、修繕積立金の見える化、宅配ボックスや電気自動車用充電設備の設置推進など、住民の利便性と管理の透明性が強化された
マンションの建物や居住快適性を維持するには、ルールづくりが欠かせません。マンションのルールの基準となるのが、国土交通省が作成した「マンション標準管理規約」です。この規約は、マンションの管理や住民同士のルールをまとめたもので、管理組合が実際に使う規約を作る際の参考として広く利用されています。
2024年6月には、時代のニーズに合わせて標準管理規約が改正されました。この記事では、賃貸経営を考えている方や現在マンションを所有している方に向けて、マンション標準管理規約の概要や直近の改正で変わったポイントをわかりやすくお伝えします。
記事サマリー
マンション標準管理規約とは?
マンション標準管理規約は、分譲マンションの管理運営に関するルールや指針を示した規約です。マンション管理組合が適切に管理業務を行うための基準として、国土交通省が策定したもので、直近では2024年6月に改正されています。
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区分所有法との違い
区分所有法は、マンションなどの共同住宅の区分所有者間での権利や義務について定めた法律です。これに対し、マンション標準管理規約は、区分所有法に基づき、具体的な管理運営のルールを細かく規定するためのモデルとなるものです。
区分所有法は遵守すべき法律であるのに対し、マンションの管理規約は各マンションの実態に合わせた規程が可能であり、管理組合の判断・決議で内容をアレンジすることができます。
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標準管理規約の種類
マンション標準管理規約には「単棟型」「団地型」「複合型」の3つの種類が用意されています。マンションの規模や構造に応じて適用される規約が異なるため、適切な管理運営を行うためには、それぞれの特性について理解しておくことが重要です。
1.単棟型
単棟型は、単一の建物で構成されるマンションに適用される標準管理規約です。単棟型のマンションは一つの建物に複数の住戸が集まっているため、管理の運営は比較的シンプルであり、規約も単独の建物を前提にしています。共用部分の管理や費用負担のルールなどが明確に定められており、小規模から中規模のマンションで広く採用されています。
2.団地型
団地型は、複数の建物で構成される集合住宅地に対応した標準管理規約です。団地型のマンションでは、複数の棟が共用の敷地や施設を利用するため、管理が複雑化する傾向にあります。そのため、団地型の標準管理規約では、敷地や施設の共用ルール、維持管理の方法、各棟ごとの費用負担の方法などが細かく規定されています。特に大規模な団地において、効率的な運営を行うために活用されています。
3.複合型
複合型は、商業施設やオフィスなどが併設されたマンションに適用される標準管理規約です。居住部分だけでなく、商業エリアやオフィスエリアの管理も必要となるため、複合型の規約には多様な利用目的に応じた管理ルールが盛り込まれています。共用部分の区分や費用分担の方法などが明確に定められており、マンションの利用形態が多様な場合に適しています。
マンション標準管理規約の制定・改正の流れ
マンション標準管理規約は、マンションの適正な管理と居住環境の向上を図るため、時代の変化や社会的ニーズに応じて見直されてきました。1982年に「中高層共同住宅標準管理規約」として初めて制定され、そこから最新の改正に至るまで、各時期に応じた管理運営の指針が示されてきた歴史があります。
【1982年】「中高層共同住宅標準管理規約」の制定
1982年に初めて制定された「中高層共同住宅標準管理規約」はマンション標準管理規約の前身となるもので、増加するマンション需要に応じ、共同住宅における適正な管理運営の基準を示す目的で策定されました。
この規約の背景には、1983年に大幅改正された「区分所有法」があります。改正区分所有法では、区分所有者による管理組合の設立、専有部と敷地利用権の分離処分の禁止、建替え決議制度の導入、集会主義の徹底などが定められ、管理組合がマンション運営をより円滑に行うためのルールが必要とされました。
この改正された区分所有法に対応するために制定された「中高層共同住宅標準管理規約」は、共用部分の管理や管理組合の運営に関する基本的なルールを示し、管理規約の基礎として多くの管理組合に採用され、マンション管理の標準モデルとして広く普及しました。
【1997年】「中高層共同住宅標準管理規約」の大改正
1983年の制定後、マンションの普及が急激に進むとともに、建物の経年による様々な問題が多発するようになりました。こうした状況を受け、1997年に「中高層共同住宅標準管理規約」に大きな改正が加えられました。
主な改正点は次のとおりです。
- 大規模修繕を適切に進めるため長期修繕計画の作成と管理が管理組合の業務として明確に位置づけ
- 駐車場の使用ルールの整備
- 専有部分のリフォームに関する手続きの見直し
- 専有部分と共用部分が一体となった配管の枝管などの管理を管理組合が一体として管理する規定の制定
- 「単棟型」「団地型」「複合型」の区分
【2004年】「マンション標準管理規約」の制定
2004年には「中高層共同住宅標準管理規約」にさらに大きな改正が行われ、名称も「マンション標準管理規約」へと変更されました。この改正の背景には、2001年に施行された「マンション管理適正化法」と、2002年の「マンション建替円滑化法」の影響があり、これらの法改正に対応する必要がありました。
改正の主なポイントは、専門知識を持つ専門家による相談や助言などを活用するための規定が新設され、建替えに関する規定が整備された点にあります。また、決議要件の見直しや電子化の促進に関する規定が追加され、新しい管理組合の業務も追加されるなど、現代のマンション運営に必要な制度が充実しました。
【2016年】規約の見直し
2016年のマンション標準管理規約の見直しでは、現代社会の課題に対応するため、管理組合の透明性向上や高齢化対策が強化されました。
理事長を含む理事や監事に外部専門家を活用する規定が追加され、専門的な支援を受けやすくなったほか、暴力団の排除規定や災害時の緊急避難措置に関する規定も設けられました。
また、防災・防犯、美化・清掃といった住民同士のコミュニティ活動も管理組合の業務として明確に位置付けられ、安心・安全な住環境を支える具体的な指針が整備されています。
【2024年6月】標準管理規約改正のポイント
2024年6月に行われた標準管理規約の改正では、マンションを取り巻く「2つの老い」、つまり「建物の老朽化」と「住民の高齢化」が進行する中で、さまざまな課題に対応するための新たな基準が示されました。さらに、近年の社会情勢の変化にも対応し、管理組合の運営がより円滑に行えるように見直されています。
組合員名簿・居住者名簿の作成、更新の仕組み
2024年の改正により、組合員名簿および居住者名簿の作成と更新の仕組みが明確化されました。これは、高経年マンションなどに多く見られる非居住化や所在等不明区分所有者の発生に対応しやすくすることが目的です。
改正標準管理規約に新設された事項は、以下のとおりです。
【新設事項】
- 組合員の住所等に変更があった際に管理組合へ届け出ることを記載(第31条及び同条関係コメント)
- 専有部分を第三者に貸与する場合において、当該第三者に関する情報を管理 組合へ届け出ることを記載(第19条及び同条関係コメント)
- 組合員名簿を更新すること及び居住者名簿を作成・更新することを記載(第 64条の2及び同条関係コメント)
- 区分所有者の所在等が判明せず管理に支障を及ぼす場合において、管理組合 が所在等不明区分所有者の探索を行った場合に、その探索に要した費用を当該区分所有者に請求することができることを記載(第67条の2及び同条関係 コメント)
修繕積立金の変更予定等の見える化
本改正では、修繕積立金の将来的な変更予定や積立状況の「見える化」も推進されています。この背景には、積立金不足により将来の大規模修繕が難しくなる事態が多発している現状があります。国土交通省の調査では、2018年度に「積立金が不足している」マンションが34.8%に上り、5年前の2倍以上となっており、こうした情報開示の重要性が増しています。
【新設事項】
- 総会において、長期修繕計画上の積立予定額と現時点の積立額の差や、修繕積立金の変更予定等を明示することについて記載(第48条関係コメント)
- マンション売買時の購入予定者に対する管理情報提供項目例に長期修繕計画上の修繕積立金の変更予定額及び変更予定時期を記載(コメント別添4)
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総会・理事会資料等の管理に関する図書の保管
総会や理事会資料の保管方法もより明確化され、透明性が強化されました。
【新設事項】
- 総会及び理事会で使用した資料を保管することを記載(第49条の2及び同条関係コメント(総会)・第53条(理事会))
- 管理規約を変更した際に、変更内容を反映した冊子を作成することが望ましいことを記載(第72条関係コメント)
EV(電気自動車)用充電設備の設置の推進
電気自動車(EV)の普及に対応し、2024年の改正では、マンションにおける充電設備の設置が推進されることになりました。
【新設事項】
- EV用充電設備を設置する際のルール等をあらかじめ定めておくことを記載 (第15条関係コメント)
- EV用充電設備の設置工事を行う際の決議要件の考え方を記載(第47条関係コメント)
- マンション売買時の購入予定者に対する管理情報提供項目例にEV用充電設備 に関する情報を記載(コメント別添4)
宅配ボックスの設置に係る決議要件の明確化
ネットショッピングの普及で宅配ボックスの需要が増す中、居住者の利便性向上に欠かせない設備として、宅配ボックスの設置に関する決議要件が整理されました。
【新設事項】
- 宅配ボックスの設置工事を行う際の決議要件の考え方を記載(第47条関係コ メント)
別途、置き配に関する使用細則を定める際のポイントとして、以下の項目が公表されています。
- 置き配サービスを活用して宅配物を配達させることができる時間帯、宅配物及び宅配物を収納・保管するもの(以下「宅配物等」)を置くことが可能な場所等について具体的に定められていること
- 宅配物等を所定の場所に留め置くことができる期間等について具体的に定められていること
- 置き配サービスを利用できない宅配物が具体的に定められていること
- 使用細則に定めるルールに違反する場合の対応について具体的に定められていること
- 置き配サービスの依頼及び宅配物等の管理に関する責任の所在が定められていること
- なお、消防法に基づき、廊下、階段、避難口等に避難上の支障となるような状態での宅配物の放置を禁止していること
ルールを明確にすることで、トラブル防止や住民の利便性向上につながるため、使用細則を改定する際は意識すると良いでしょう。
引用:国土交通省「『マンション標準管理規約』の改正について」
引用:国土交通省「置き配に関する使用細則を定める際のポイント」
まとめ
マンション標準管理規約は、マンションの維持・管理をスムーズに進め、住民が安心して暮らせる環境を整えるために欠かせない基準です。2024年の改正では、資産価値の向上や管理の透明性に関する部分が強化され、修繕積立金の見える化やEV充電設備の設置など、住民のニーズに応える施策も追加されました。
マンション標準管理規約はあくまで「基準」や「ガイドライン」という位置づけですが、時代に合わせて改正されています。管理規約や使用細則を見て、お住まいのマンションや購入を検討しているマンションのルールが今の時代や自分たちに合っているか確認してみましょう。
この記事のポイント
- マンション標準管理規約とはなんですか?
マンション標準管理規約は、分譲マンションの管理運営に関するルールや指針を示した規約です。
詳しくは「マンション標準管理規約とは?」をご覧ください。
- マンション標準管理規約は改定されているのでしょうか?
マンション標準管理規約は、マンションの適正な管理と居住環境の向上を図るため、時代の変化や社会的ニーズに応じて見直されてきました。
改定の経緯・内容など詳しくは「マンション標準管理規約の制定・改正の流れ」をご覧ください。
- 2024年にも改正されたのでしょうか?
2024年6月に行われた標準管理規約の改正では、マンションを取り巻く「2つの老い」である「建物の老朽化」と「住民の高齢化」が進行する中で、さまざまな課題に対応するための新たな基準が示されました。
詳しくは「【2024年6月】標準管理規約改正のポイント」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
マンションの標準管理規約は、暮らし方の変化やそれによる住人のニーズに対応するため改正が重ねられています。マンションの居住快適性や資産性を維持するには、標準管理規約に加え、実際にマンションに居住する方の声にも耳を傾け、定期的に管理規約や使用細則を見直すことが求められます。マンションの購入を検討している方は、立地や金額、築年数などだけでなく、管理規約や使用細則からマンション管理の健全性を見極めることが大切です。
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