ざっくり要約!
- 不動産所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要
- 不動産所得とは、不動産収入から経費を差し引いたもの
- 経費には修繕費、固定資産税、管理費などが含まれる
- 確定申告には、収支内訳書や青色申告決算書などの書類が必要
- 減価償却費や損益通算を活用することで節税効果が得られる
- 年間20万円以下でも確定申告を行うことで、節税メリットが得られることがある
不動産所得を得ている方にとって、確定申告は避けて通れない手続きです。特に、初めて不動産収入を得た場合や、どのタイミングで申告が必要になるのか、何を準備すればいいのか分からず不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産所得の確定申告について、どれくらいの収入から申告が必要なのか、またその際に用意するべき書類や具体的な申告方法までを、不動産所得とは何かを踏まえてわかりやすく解説します。不動産投資や賃貸経営をスムーズに進めるために、確定申告のポイントをしっかり押さえておきましょう。
記事サマリー
不動産所得は?わかりやすく解説
不動産所得とは、不動産の賃貸などを通じて得た収入から、その収入を得るためにかかった必要経費を差し引いた金額のことを指します。具体的には、家賃収入や駐車場収入などの総収入から、管理費や修繕費、固定資産税といった経費を引いたものが「不動産所得」となります。
計算式としては、「不動産による総収入金額 - 必要経費」となり、この結果がプラスの数字になれば、所得税の確定申告が必要です。
税法上、所得は「どのように収入を得たか」によって10種類に分類されており、不動産所得はその一つです。この不動産所得は、「不動産の貸付け」から得た収益に該当し、賃貸物件のオーナーや土地の貸主などが該当します。不動産投資や賃貸経営を行っている場合、この不動産所得の正確な計算と確定申告が重要です。
不動産所得の3つの分類
不動産の貸付
この分類には、アパートやマンションなどの賃貸物件から得る賃料、土地や建物の賃貸収入が該当します。例えば、自分が所有するマンションを人に貸して家賃を受け取る場合や、空いている土地を企業に貸してその使用料を得る場合などがこれに含まれます。不動産所得の代表的な形態であり、多くの不動産投資家が対象となる部分です。
地上権など不動産の上に存在する権利の設定及び貸付
ここでは、土地の使用権に関わる権利の設定やその貸付が該当します。具体的には、借地権を設定して土地を貸し、その対価として権利金を受け取るケースがこれに当たります。この場合、不動産の所有権自体ではなく、使用権を提供することで収入を得ることになります。借地権などの不動産に付随する権利からの収益も、不動産所得に分類されます。
航空機や船舶の貸付
航空機や総トン数が20トン以上の船舶を貸し出して賃料を得る場合も、不動産所得として扱われます。この場合、大型の輸送手段を貸し出すことで発生する収入が対象です。ただし、20トン未満の船舶の貸付に関しては、不動産所得には含まれず、事業所得または雑所得として分類されるため、注意が必要です。
これら3つの分類は、それぞれ異なる種類の不動産所得を構成し、税法上の取り扱いも異なる場合があります。それぞれの収入形態に合わせて、正確に分類し申告することが重要です。
不動産所得で事業的規模とみなされる目安
事業規模とみなされる賃貸物件とは
不動産所得が「事業的規模」とみなされるかどうかは、賃貸物件の規模によって判断されます。具体的な目安として、物件の種類ごとに以下のような基準があります。
戸建ての場合
戸建て物件の場合、10室以上の賃貸物件を保有していると事業規模とみなされます。ここで「10室」というのは、複数の戸建てを合わせた部屋数での判断です。
アパート・マンションの場合
アパートやマンションの場合、5棟以上の物件が基準となります。一般的に、戸建て1棟をアパート2室分とみなすため、物件の規模によって柔軟に計算されます。
駐車場の場合
駐車場経営の場合は、50台以上の駐車スペースを所有していると事業的規模に該当します。おおよそ、5台分の駐車場スペースでアパート1室分として計算されます。
事業規模とみなされる賃貸物件の事例
たとえば、以下のようなケースでは事業的規模とみなされます。
- アパート5室
- 戸建て2棟
- 駐車場10台
この場合の計算式は、アパート5室 + 戸建て4室分(2棟×2室)+ 駐車場2室分(10台 ÷ 5)= 11室分 となり、合計で11室分の賃貸物件があることから、事業規模とみなされます。
青色申告特別控除の金額
不動産収入が事業的規模に該当する場合、青色申告を行う際に受けられる控除額が異なります。事業規模の場合、複式簿記による記帳などの要件を満たせば、最大で65万円の青色申告特別控除が適用されます。一方、事業規模に該当しない場合、控除額は最大10万円にとどまります。
事業従事者の適応可否
不動産収入が事業規模である場合のみ、家族従業員に支払った給与を経費に算入できる青色事業専従者給与や、白色申告の際に家族従業員への給与を一定額所得控除できる事業専従者控除を利用することができます。これにより、家族が従事している場合の経費計上が可能になります。
必要経費の範囲
賃貸用物件の取り壊しなどで資産損失が発生した場合、不動産収入が事業規模であれば、その損失を全額その年の必要経費として計上できます。これに対して、事業規模でない場合は、資産損失を不動産所得の金額を限度に必要経費として算入することになります。
不動産所得が年間20万円超えると確定申告が必要
不動産収入=不動産所得というわけではない
不動産から得た収入がそのまま課税対象になるわけではありません。不動産収入には、家賃や敷金などが含まれますが、これらの収入から、管理費や修繕費、固定資産税といった必要経費を差し引いた後の金額が「不動産所得」として計算されます。この不動産所得が課税対象となります。
確定申告が必要になるかどうかは、不動産所得が年間で20万円を超えるかどうかが基準です。仮に不動産収入自体が20万円を大幅に超えていても、必要経費を引いた結果、不動産所得が20万円以下であれば、確定申告の義務はありません。ポイントは、不動産収入そのものではなく、経費や控除を差し引いた「不動産所得」が課税の対象であるということです。
不動産所得が年間20万円以下の場合は確定申告不要
年間の不動産所得が20万円以下の場合、確定申告は不要です。ここでいう「20万円以下」とは、20万円ジャストも含まれることを意味します。例えば、家賃収入が合計で20万円を超えていても、必要経費や控除で差し引いた結果、最終的に不動産所得が20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。
このため、経費や控除をしっかり計算しておくことが大切です。不動産収入があっても、確定申告が不要なケースがあることを覚えておきましょう。
不動産所得が年間20万円を超えるかどうかが確定申告有無の目安
年間の不動産所得が20万円を超える場合、確定申告が必要です。ここでの基準はあくまでも「超える」かどうかであり、ジャスト20万円の場合は申告不要です。家賃収入や敷金返還などの収入を全て合計し、必要経費や各種控除を差し引いた後の金額が、年間20万円を超えているかどうかを確認しましょう。
もしその結果が20万円を超えていれば、確定申告を行う必要があります。不動産収入がある場合、この20万円という基準が、確定申告の有無を判断する重要なポイントとなります。
不動産収入に含まれるものの主な事例
不動産所得は、不動産から得た収入から経費を差し引いて計算されます。そのため、どのような収入が「不動産収入」として扱われるかを把握しておくことが重要です。
以下は、不動産収入に該当する主な例です。
建物や部屋の賃貸料
最も一般的な不動産収入として、建物や部屋の賃貸料が挙げられます。アパートやマンションの賃料、店舗やオフィスの賃貸収入などがこれに該当します。
名義書換料、承諾料、更新料、頭金など
物件の貸付に伴って、名義書換料や承諾料、更新料などが受け取れる場合も、不動産収入の一部となります。これには、賃貸契約を更新する際に受け取る更新料や、契約の際の頭金なども含まれます。
賃貸物件の礼金や権利金
賃貸物件を貸す際に受け取る礼金や権利金も、不動産収入に含まれます。礼金は、借主が貸主に対して感謝の意を込めて支払うもので、一般的に返還されないため、収入として計上されます。また、権利金は物件を借りる際の対価として支払われるもので、これも不動産収入として扱われます。
敷金や保証金のうち返還しないもの
賃貸契約において受け取る敷金や保証金も、不動産収入の一部です。ただし、これらは通常、契約が終了した際に返還されるものです。しかし、契約終了後に損傷補修費などの名目で返還しないことが決まった部分は、不動産収入として計上されます。
共益費や管理費
賃貸物件の所有者が共益費や管理費を受け取る場合も、それは不動産収入に含まれます。これらは物件の共用部分の維持や管理に充てられる費用であり、借主から徴収されるものです。
このように、不動産収入には賃貸料以外にもさまざまな収入が含まれます。それぞれが正確に把握され、適切に計算されることが、不動産所得の確定申告において重要なポイントとなります。
不動産収入の所得税計算方法
不動産収入にかかる所得税の計算は、次の基本式に基づいて行われます。
(不動産収入 – 経費・控除)× 税率 = 所得税額
この計算式により、まず不動産から得た収入から必要経費や各種控除を差し引いた後、その金額に対応する税率を掛けて所得税を算出します。所得税の税率は、所得の金額によって段階的に設定されており、所得額が高くなるほど税率も高くなります。
所得税の税率と控除額
所得税の税率は、課税対象となる所得額に応じて次のように設定されています。
課税対象の所得額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 〜 194万9,000円 | 5% | ー |
195万円 〜 329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円 〜 694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円 〜 899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円 〜 1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円 〜 3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円 以上 | 45% | 479万6,000円 |
不動産収入が600万円、経費が100万円の場合
たとえば、不動産収入が600万円で、その中から経費として100万円を差し引いた場合、不動産所得は500万円になります。この500万円に適用される税率は20%で、控除額は42万7,500円です。
計算式は次のようになります。
(600万円 – 100万円) × 20% – 42万7,500円 = 57万2,500円
したがって、不動産所得が500万円の場合、所得税額は57万2,500円となります。
不動産所得が200万円の場合
次に、年間の不動産所得が200万円の場合を計算してみましょう。この場合、適用される税率は10%、控除額は9万7,500円です。
計算式は次のとおりです。
200万円 × 10% – 9万7,500円 = 10万2,500円
この結果、不動産所得が200万円の場合の所得税額は10万2,500円となります。
このように、所得税の額は所得の大きさに応じて段階的に変わります。不動産収入から経費を正確に引き、対応する税率を掛けた上で控除額を差し引くことで、正確な税額を算出することが重要です。
不動産所得で経費として認められるもの一覧
不動産所得にかかる経費は、収入を得るために必要な支出として認められ、これらの費用を差し引くことで所得税の対象となる不動産所得を計算します。ここでは、不動産所得に関連して経費として認められる主な費用について解説します。
税金(住民税・所得税以外)
賃貸している不動産に関連する税金は、経費として計上できます。例えば、不動産取得税、登録免許税、固定資産税、印紙税、事業税などが該当します。ただし、所得税や住民税、相続税など、賃貸経営とは直接関係のない税金は経費として認められません。
修繕・メンテナンス費
賃貸物件の修繕やメンテナンスにかかる費用も経費として認められます。これは、建物や設備の修理、維持管理のためにかかる支出であり、賃貸物件を維持し、入居者が快適に暮らせる環境を整えるために必要な経費です。
消耗品購入費
賃貸物件で使用する消耗品の購入費も経費に含まれます。例えば、清掃用品や備品の交換費用など、運営に必要なものを購入した場合は経費として計上可能です。
通信費・交通費
賃貸物件の運営や管理に関する連絡や打ち合わせのための通信費や、物件の視察や管理業務のためにかかる交通費も経費に含まれます。
損害保険料
賃貸物件に対して加入している火災保険や地震保険などの損害保険料も、経費として認められます。これらの保険は、建物や施設の安全を守るための重要な費用です。
減価償却費
賃貸物件の建物や設備は、長期間にわたって使用されるものです。そのため、取得時の費用を減価償却という形で経費に分けて計上できます。建物の使用年数に応じて費用を分割して計上することが可能です。
地代家賃
賃貸物件が建てられている土地を借りている場合、その地代や家賃も経費に含まれます。
水道・光熱費
賃貸物件の共用部分にかかる水道代や電気代、ガス代なども経費として計上できます。入居者が直接負担する光熱費は経費に含まれませんが、共用部分や管理業務に関連する光熱費は対象となります。
借入金利子
物件の購入や修繕のために借り入れを行った場合、その借入金に対する利息も経費として計上できます。ローンの利息支払いが対象です。
管理会社への業務委託費
賃貸物件の管理を管理会社に委託している場合、その管理費用も経費に含まれます。物件の維持管理や入居者対応、賃料の回収などのサービスに対する費用です。
士業への報酬支払い
不動産経営に関する手続きや契約書の作成などで弁護士や税理士などの専門士業に依頼した場合、その報酬も経費として認められます。
広告宣伝費
賃貸物件の入居者募集などにかかる広告費や宣伝費用も経費に計上できます。これには、インターネット広告やチラシの配布などが含まれます。
自然災害による損害補填
自然災害などで賃貸物件が損害を受けた場合、その修理や補填にかかる費用も経費として計上することができます。損害を受けた際に支出した修理費用などが対象となります。
これらの経費を正確に把握し、必要なものをしっかりと計上することで、所得税の負担を軽減することができます
不動産所得で経費として認められないもの一覧
不動産所得に関わる経費として計上できるものもあれば、経費として認められないものもあります。ここでは、不動産所得において経費として認められない費用について詳しく説明します。
住民税や所得税
税金の中でも、住民税や所得税は経費として認められません。これらの税金は個人の所得に対して課されるもので、納税による出費があったとしても不動産経営に直接関係のない支出と見なされるため、経費に含めることはできません。賃貸経営に関連する税金(固定資産税や不動産取得税など)は経費に計上できるため、混同しないように注意が必要です。
ローン返済の元本
賃貸物件の購入時に組んだローンの元本部分の返済は経費として認められません。ローンの利息は借り入れの費用として経費に含めることができますが、元本の返済は、借りたお金を返すだけの行為であり、新たな支出とは見なされないためです。この点を理解し、ローン返済額の中でも利息と元本の区別をしっかりつけましょう。
不動産経営と無関係の費用
不動産経営に関係のない出費は、たとえ個人の支出であっても経費として認められません。例えば、オフィス用具、交通費、通信費などは、他の目的で使用されることもあり、不動産経営にどの程度関わるかが曖昧な場合があります。このような経費は、どの部分が事業に関連しているかを明確にし、自家用分と事業用分を按分することで、経費として計上できる範囲を正確に把握することが求められます。
白色申告だと認められない経費
青色申告では経費として認められるものでも、白色申告では経費に含めることができない項目があります。以下の2つの項目については、青色申告でのみ経費として認められるため、白色申告の方は注意が必要です。
家族を雇用して支払いを行なった給与
青色申告の場合、青色事業専従者給与として、家族を雇用して給与を支払った際、その給与を経費として計上できます。しかし、白色申告では、家族に対する給与は経費として認められません。家族従業員の給与を経費に含めたい場合は、青色申告を選択することが重要です。
滞納されて回収できなかった家賃
賃貸経営において、家賃の滞納が発生し、最終的に回収できなかった場合、青色申告ではその家賃を損失として経費に計上することができます。しかし、白色申告では、このような損失は経費として認められません。滞納家賃を経費に含めることで、税負担を軽減できるため、青色申告を活用する方が有利となることが多いです。
不動産所得の確定申告の方法と書類の書き方とは
不動産所得の確定申告には、正しい書類を準備し、必要な情報を記載することが大切です。ここでは、確定申告に必要な書類の種類や書き方、経費の計算方法について詳しく説明します。
確定申告で提出する書類
まず、確定申告に際して提出する書類は以下のとおりです。
- 確定申告書:全ての納税者が提出する基本書類。
- 青色申告決算書(不動産所得用):青色申告を選択している場合に使用します。
- 収支内訳書(不動産所得用):白色申告を選択している場合に使用します。
これらの書類を正しく記入するために、次のような資料を用意しましょう。
確定申告書を作成する際に必要となる主な資料
確定申告書を作成する際には、収入や経費に関する資料を揃える必要があります。主な資料は以下のとおりです。
- 収入金額が分かるもの:現金出納帳や銀行通帳などで、収入が確認できるもの。
- 賃貸契約に関する資料:賃借人の氏名や家賃、賃借期間、敷金、礼金などを確認できる契約書類。
- 必要経費に関するもの:固定資産税の領収書、借入金の支払明細、保険料の領収書、銀行振込書など。
これらの資料をもとに、収入と経費を正確に把握して申告を進めましょう。
不動産所得の算出
不動産所得は、「不動産による総収入金額 – 必要経費」で算出されます。青色申告を行っている場合は「青色申告決算書(不動産所得用)」、白色申告の場合は「収支内訳書(不動産所得用)」に基づいて、不動産所得を計算します。
特に青色申告では、事業規模と認められる場合には最大で65万円の青色申告特別控除が適用されます。ただし、事業規模と認められない場合は控除額は最大10万円となるため、事業規模かどうかの判断が重要です。
経費として認められるのは、「不動産収入を得るために支払った費用」だけです。個人的な使用と不動産収入のために使用した経費が混ざっている場合は、適切に按分して計上する必要があります。
不動産所得の経費の算出に家事按分が必要な場合
兼業の場合
例えば、本業として八百屋を営みながら、所有している物件を賃貸している場合は、事業用の車を不動産業にも使用しているなら、ガソリン代や車両維持費などを按分します。不動産業に関連する部分のみを経費として計上し、本業分は別に扱います。
賃貸物件の一部が大家の居住区である場合
たとえば、5階建てのビルで最上階が大家の居住区、1〜4階が賃貸物件の場合、ビルの修繕費を支払ったときには、居住部分と賃貸部分で按分し、賃貸部分の経費のみを計上します。
確定申告書類の作成
青色申告決算書または収支内訳書を作成したら、これを基に確定申告書を作成します。確定申告書には、収入や経費、所得税額などを正確に記入します。
不動産所得の決算書は専用のフォーマットを利用する
不動産所得の申告には、不動産所得専用の青色申告決算書や収支内訳書を使用する必要があります。これらの書類は「不動産所得用」と記載されているため、必ず確認してから使用しましょう。専用フォーマットを使用することで、申告内容が正確に反映され、スムーズな申告手続きが行えます。
不動産所得の確定申告は、正確な資料を基に収入と経費を正確に把握し、適切な書類に記載することが重要です。
不動産所得が20万円を超えない場合でも確定申告した方が得になる?
不動産所得が年間20万円を超えない場合は、確定申告が不要とされています。しかし、確定申告をすることで節税効果を得られるケースもあります。以下では、確定申告を行うことで得られるメリットについて詳しく解説します。
減価償却費の計上を行なって会計上の赤字が出ると節税効果が上がる
減価償却費は、キャッシュの流出を伴わない経費として非常に重要です。たとえば、建物の減価償却費を計上することで、実際のキャッシュフローが黒字であっても、帳簿上は「赤字」となるケースがあります。
この「会計上の赤字」を正しく計上することで、節税メリットが大きくなります。結果的に所得税や住民税の負担が軽減されるため、たとえ不動産所得が20万円を超えていなくても、減価償却費を計上するために確定申告を行うことが賢明です。
不動産経営が赤字の場合は損益通算で税金が少なくなるケースがある
副業として不動産投資をしている場合、物件経営が赤字になることもあります。このような場合、他の所得(たとえば給与所得)から不動産の赤字分を差し引くことができ、これを損益通算といいます。これにより、全体の所得が減少し、結果として所得税や住民税の支払額が減少します。
不動産所得が20万円を下回っていても、赤字を計上することで他の所得との損益通算が可能になります。そのため、赤字が出ている場合でも確定申告を行うことが重要です。
ただし経費計上のやりすぎには要注意!
不動産収入から差し引ける経費を増やすことで、節税を図ることは効果的ですが、過剰な経費計上は慎重に行う必要があります。過度な経費計上は不自然な会計となり、税務調査の対象となる可能性が高まります。
また、経費計上によって不動産経営が赤字続きだと、金融機関からの信頼が低下し、将来的な融資が難しくなるリスクもあります。これは、不動産経営が収益性に乏しいと判断されるからです。節税を意識する一方で、適切な経費計上を心がけ、過剰な赤字申告は避けましょう。
このように、たとえ不動産所得が20万円以下であっても、確定申告を行うことで節税や損益通算のメリットが得られるケースがあります。経費の適正な計上を意識し、賢く不動産経営を進めていくことが大切です。
まとめ
不動産所得の確定申告は、不動産収入を得ている方にとって重要な手続きです。特に初めて不動産収入を得た場合、どの時点で申告が必要になるのか、何を準備すべきか悩むことも多いでしょう。この記事では、不動産所得とは何かをはじめ、申告が必要になる収入の基準や、申告に必要な書類、具体的な手続き方法について解説しています。
不動産所得が年間20万円を超える場合には、必ず確定申告を行う必要があります。必要書類には、収入や経費の記録、賃貸契約に関する資料などが含まれ、申告書の作成にあたっては青色申告か白色申告かによって異なる書類が必要となります。また、減価償却費や損益通算を活用することで、節税効果を高める方法もあります。
確定申告を正しく行うことで、税務処理がスムーズになり、将来の不動産経営にも役立ちます。適切な知識を持って、確定申告の準備を進めましょう。
・「不動産売却時の確定申告」に関する記事はこちら
不動産売却時に確定申告が必要なケースと確定申告の方法について解説
この記事のポイント
- 不動産所得の確定申告は年間何万円を超えたらやる必要ある?
確定申告が必要になるかどうかは、不動産所得が年間で20万円を超えるかどうかが基準です。仮に不動産収入自体が20万円を大幅に超えていても、必要経費を引いた結果、不動産所得が20万円以下であれば、確定申告の義務はありません。
詳しくは「不動産所得が年間20万円超えると確定申告が必要」をご覧ください。
- 不動産所得が20万円を超えない場合は確定申告しなくて良い?
不動産所得が年間20万円を超えない場合は、確定申告が不要とされています。しかし、確定申告をすることで節税効果を得られるケースもあります。
詳しくは「不動産所得が20万円を超えない場合でも確定申告した方が得になる?」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
不動産所得の確定申告では、経費を適切に計上することが節税の鍵となります。特に、減価償却費や損益通算を上手に活用することで、所得税の負担を軽減することが可能です。また、収入が年間20万円を超えない場合でも、確定申告を行うことで節税メリットを得られるケースもあるため、こまめな経費管理と申告の準備を心がけましょう。初めての申告でも、ルールをしっかり押さえて手続きを進めることが大切です。
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