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住宅ローン利用中の退職は可能?起こり得るリスクとデメリットを解説

一般的に住宅ローンの申し込み中に退職や転職をするのは、避けたほうが良いと言われています。審査に落ちてしまったり、融資承認の取り消しにより住宅ローンを組めなかったり、違約金を請求される場合があります。

また、住宅ローン利用中の退職や転職に問題はありませんが、住宅ローンの返済が難しくなる場合は、注意が必要です。

今回は、住宅ローン利用中に退職・転職をした場合のリスクや注意点についてお伝えします。

住宅ローン融資を受け取る前の退職は原則NG

住宅ローンの融資を受ける前、あるいは、融資承認後の退職や転職は避けたほうが良いでしょう。

住宅ローンの融資は、申し込み時の勤務状況などを総合的に判断して行います。そのため、申し込み直後に退職・転職をした場合は、審査に落ちてしまうおそれがあります。

また、審査通過後で融資が行われる前の退職は、融資承認が取り消される可能性があります。

住宅ローン申し込み中の退職は融資承認取り消しになる可能性が高い

住宅ローンを貸し出す金融機関は、申込者が申告した情報をもとに審査を行い、融資可否を判断します。

なかでも「返済能力」は融資を判断する上でとても重要な部分です。そのため、融資契約を結んだあとでも、実際の融資が行われる前に収入源である勤務状況が変わると、融資承認の取り消しをされてしまう場合があります。

退職による融資承認の取り消しは違約金が発生することがある

住宅の売買契約後に自己都合退職し、融資承認が取り消された場合、売主に預けていた手付金を没収されてしまう可能性があります。

通常、住宅の購入契約時には住宅ローンが組めなかった場合に違約金等の負担をすることなく、無条件で契約の解除ができる「住宅ローン特約」を付けます。

しかし、自己都合退職による融資承認の取り消しは、住宅ローン特約を利用できません。

そのため、契約成立時支払った手付金が返してもらえなかったり、違約金を請求されたりするおそれがあるので、住宅ローン申し込み中の退職・転職は避けたほうが良いでしょう。

ただし、勤務先の倒産や会社都合での解雇の場合は、住宅ローン特約によって、違約金等を免れる可能性があります。

住宅ローン返済中の退職や転職は可能だが要注意

住宅ローンを返済している最中に退職したり転職したりするのは基本的には問題ありませんが、退職・転職によって住宅ローンの返済ができなくなる事態は避けなければいけません。

住宅ローンを返済中に退職・転職を検討されている方は、あらかじめ返済計画を明確にしておきましょう。

また、万が一、返済が厳しくなったときは、早めに金融機関への相談を心がけてください。

返済が厳しいときは繰上げ返済・支払い期間の延長で負担を軽減する

住宅ローンの返済が苦しくなることが明らかな場合、繰り上げ返済や支払い期間の延長を検討してください。

ある程度まとまったお金を繰り上げて返済した場合、住宅ローンの残り期間はそのままで毎月の支払い金額を軽減できる方法があります。これを繰上げ返済による「返済額軽減型」と言います。

繰り上げ返済をした金額に応じて毎月の返済額を軽減できるため、退職後も無理なく住宅ローンの返済が続けられる可能性が高くなります。

また、住宅ローンを組んでいる金融機関に相談をすると、返済期間を延長してもらえることがあります。返済期間が延長されると、毎月の返済額を減らせるため、住宅ローン返済負担が軽減されるでしょう。

ただし、返済期間が延長される分、利息負担も増加するため総支払金額が増える可能性があります。返済総額がいくらになるのか、あらかじめ確認しておきましょう。

退職・転職後の返済が厳しい場合は金融機関や専門家への相談を検討する

退職・転職後に住宅ローンの返済が厳しくなった場合は、金融機関、あるいは不動産会社などに相談をしてください。具体的な解決策の提案を受けられることがあります。

状況にもよりますが、仮に自己破産や任意売却など、自宅を手放す方向で検討する場合も、引越し費用や次の生活まで考慮したサポートを行ってくれます。そのため、退職・転職後に住宅ローンの返済が苦しいときは、滞納をする前に金融機関や不動産会社、あるいは必要に応じて弁護士などの専門家へ相談をしましょう。

定年退職後は退職金で一括返済、繰り上げ返済も検討を

退職理由が定年によるものであれば、退職金を利用して一括返済や繰り上げ返済を検討しても良いでしょう。

前述の通り、一括返済や繰り上げ返済をすることによって今後支払う利息が軽減されるため、総支払金額が大幅に減る可能性があります。そのため、無理のない範囲内で繰り上げ返済や一括返済も検討しましょう。

ただし、退職金は老後の生活資金として考えられている方は、退職金の用途配分を吟味する必要があります。

公的年金や貯蓄などを考慮した上で、定年退職後の住宅ローンの扱いについて検討されてみてはいかがでしょうか。

リバースモーゲージ、リースバックも選択肢のひとつ

定年退職後に老後資金が不足した場合や、住宅ローンの返済が厳しくなった場合は、リバースモーゲージあるいはリースバックという選択肢もあります。

リバースモーゲージとは、「逆住宅ローン」とも呼ばれる金融商品です。

自宅を担保にお金を借り、契約者が生きている間は利息の支払いのみで自宅を使用できます。契約者が亡くなった際に、自宅を売却して元金の返済をします。仮に、住宅の売値が借入金額を下回った場合であっても、不足分が負債として相続人に引き継がれることはありません。

リースバックは、現在住んでいる自宅を売却して、その自宅に賃貸として住み続ける方法です。

いずれの方法も「老後もその家に住み続けられる」という点が大きなメリットです。また、自宅を担保にしたり売却したりすることによって多額の資金を入手できる可能性があります。

住宅ローン利用中の退職はリスクを考慮して検討を

今回は、住宅ローン利用中の退職・転職について解説しました。

住宅ローンの申し込み中や利用中に退職・転職をしてしまうと、収支バランスが崩れ、返済ができなくなる可能性があります。そのため、住宅ローン申し込み中は退職や転職をしない、返済中の方は退職前に返済計画の見直しを行っておくなどの対策が必要になるでしょう。

住宅ローンは返済できなければ、住まいを失ってしまうおそれもあります。退職や転職をする前に必ず、今後の見通しを立てておきしましょう。

この記事の監修

林 裕二
資格情報: 2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP

2018年に2級FP技能士を取得後、FP Webライター として業務を開始。不動産や相続、ライフプランニング等「人生」に関わる分野を得意とする。現在は宅建士の資格取得を目指して勉強をしながら、不動産関連記事執筆をメインに活動している。

この記事のポイント

住宅ローン申し込み中に退職・転職するとどうなるの?

住宅ローン申し込み中に退職や転職をすると、審査に落ちたり融資承認を取り消されたりする場合があります。

詳しくは、「住宅ローン申し込み中の退職は原則NG」をご確認ください。

住宅ローン返済中に退職・転職した場合はどうなる?

住宅ローン返済中に退職や転職をした場合、無理なく返済を続けられるのであれば大きな問題はありません。返済が難しい場合は、専門家への相談を検討してください。

詳しくは、「住宅ローン返済中の退職は可能だが要注意」をご確認ください。

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