ざっくり要約!
- 内見とは、不動産を購入する前に物件内部を見学すること。「内覧」とほぼ同義。
- 内見では、室内だけでなく、周辺環境やマンションの共用部までチェックすべし。
不動産という高額な資産の購入の判断は、図面などを見ただけでできるものではありません。そのため、ほとんどの方が購入前に「内見」をします。内見は「内部を見ること」ではありますが、ただ家の中を見て回るだけではなく、せっかくの機会を活かし、できるだけたくさんの情報を得たいところです。本記事では、中古住宅の内見のポイントについて解説します。
記事サマリー
内見とは?
内見(ないけん)とは「内部見学」の略称です。不動産を購入する前に物件内部を見学することを「内見」と呼びます。
不動産を購入する人の多くは、不動産会社のホームページや店頭、不動産ポータルサイトや新聞折込チラシなどで物件情報を見ることから物件探しをスタートさせます。しかし、価格や広さ、間取り図など、机上でわかる情報だけでは購入の可否は判断できません。そのため、不動産購入の前には必ずといっていいほど内見の工程を要します。
内覧との違いは?
「内覧(ないらん)」は、内見とほぼ同義と捉えて問題ありません。ただし、「内覧」はどちらかといえば、新築住宅のモデルルームやモデルハウスの見学や「新築住宅を引き渡す前の事前確認などで用いられるケースが多いようです。
・「マイホーム選び」に関する記事はこちら マイホームは新築・中古?一戸建て・マンション?物件の選びのポイント |
内見の持ち物
不動産の内見は、購入の可否を判断するだけでなく、購入前の事前確認の役割も兼ねています。物件の状況を深く知り、内見後に振り返りやすくするためにも、次のようなものを持っていくと良いでしょう。
- 間取り図面
- 筆記具
- メジャー
- 方位磁石
- カメラ
- 周辺の地図
- 家具や家電のサイズ表
スマホやタブレットに必要な資料やアプリなどを入れておけば、身軽に内見に行くことができます。
内見の流れ
続いては、内見の流れを見ていきましょう。
1.内見の予約をする
内見は、不動産会社の担当者に同行してもらうものです。気になる物件を見つけたら、不動産会社に連絡して内見の予約を入れましょう。売主が居住中の場合は内見できる日時が限られていることもありますので、内見を希望する日時を2〜3個ほど伝えておくと良いでしょう。
1日に複数の物件を内見することも可能です。忙しい方はとくに、気になる物件をピックアップしておき、効率よく内見できるよう予約を入れましょう。ただし、1日に見る物件数はせいぜい4〜5件程度に留めるのが無難です。これ以上の数を1日で見るとなると、印象に残りにくく、比較検討もしにくくなってしまいます。
2.不動産会社の担当者と待ち合わせ
内見当日は、不動産会社で担当者と待ち合わせて内見に向かうのが一般的です。複数の物件を見る場合や物件がアクセスが良くない場所にある場合は、担当者が車を出してくれることもあります。
3.現地に行く
担当者と一緒に現地に向かいます。冒頭で述べたとおり、内見とは「内部を見学すること」を指しますが、物件に行く道中から内見はスタートしています。周辺の雰囲気や道幅、商業施設などは、暮らしの快適さや豊かさに直結するポイントです。集合住宅であれば、エントランスや自転車置き場などが綺麗に整備されているかについてもチェックしておきましょう。
4.物件の室内をチェック
いよいよ物件の内部を確認します。間取図ではわからない天井高や眺望、劣化状況などをくまなくチェックしましょう。基本的に写真や動画を撮っても問題ありませんが、売主が居住中の場合は一言、断りを入れておくと良いでしょう。
中古住宅を内見するときのポイント
中古住宅を内見する目的は、図面などではわからない部分を現地で確認することにあります。ただなんとなく見て回るのではなく、目的意識を持って臨むことが大切です。
室内で重点的に見るポイント
下記のような点は、現地で確認しなければわからない部分です。重点的にチェックするようにしましょう。
- 劣化状況
- 遮音性
- 清潔感
- 天井高
- コンセントの位置
劣化状況は、見た目だけでは判断できません。ドアや収納の扉などの開閉がスムーズか、床が軋む部分はないか、カビのような臭いはしないか……五感を研ぎ澄ましてみたり、実際に触れたりしながら確かめましょう。
靴箱やクローゼットなども見せてもらう
売主が居住中の場合はとくに、靴箱やクローゼットの中まで見ることに対し「申し訳ない」と思ってしまうものです。しかし、内見は「お邪魔させてもらう」のではなく、購入するかもしれない物件を深く知ることを目的としています。間取図でも収納の広さや奥行きはわかりますが、やはり実際に見てこそ収納量を把握できるものです。一言、「この収納を開けてもいいですか?」と声をかければ、売主も快く応じてくれるでしょう。
必要に応じて複数回、内見させてもらう
内見は、1度しかできないわけではありません。時間帯や曜日によって、家の中の明るさや人通りなどは異なるものです。気に入った物件こそ、日にちを変えて内見することをおすすめします。ただし、後述するように人気のある物件はスピード勝負でもあります。悩んでいる間に他の人に購入されてしまう可能性があることは、認識しておきましょう。
売主が立ち会っている場合は売主にしか聞けないことを聞く
売主が居住中で、内見に立ち会っていると、遠慮してしまうかもしれません。しかし、実際に住んでいる人に気になることを直接確認できるチャンスです。次のような点は、住んでいる人でないと分からないところでもあります。
- 日当たり
- 夜間・早朝の様子
- 近くのスーパー・公園・医療施設・教育施設などの情報
「聞きづらい」「話しかけにくい」というのであれば、営業担当に代わりに伝えてもらうのもひとつの手段です。事前に要望を伝えておくと、営業担当のアシストが受けやすくなります。売主も、思い入れのある家の良さを伝えたいと思っているものです。積極的にコミュニケーションをとってみましょう。
マンションは「共用部」までチェック
マンションは、多くの人が一つ屋根の下に暮らす集合住宅です。内見時には、購入を検討している住戸のみならず、次のような「共用部」もチェックしておきましょう。
- エントランス
- 駐車場・駐輪場
- ゴミ置き場
- エレベーター
- 共用廊下
- 共用設備
共用部に本来あるべきではない私物やゴミが散乱している場合は、管理状況がよくないと推測されます。また、高層マンションなどではとくに、エレベーターの機数や場所、待ち時間も見ておきたいポイントです。
内見の注意点
内見の最終目的は「不動産の購入」です。気に入った物件を安心かつ確実に購入できるように、次のような点を考慮しておくと良いでしょう。
人気の高い物件はスピード勝負
1つの不動産に複数の購入申し込みが入った場合は、基本的に申し込みを入れた順に売主との交渉に入ります。とくに、人気の高い物件はスピード勝負です。もちろん無理に申し込みを入れる必要はありませんが「他の人の選択肢にも入っているかもしれない」ということは、常に考慮しておかなければなりません。
内見をキャンセルするときは必ず不動産会社に連絡する
内見を予約すると、不動産会社だけでなく、売主も内見に向けた準備をします。内見を予約したにもかかわらず行けなくなってしまった場合は、できる限り早く不動産会社に連絡しましょう。不動産売買は、人と人との契約です。売主の印象が悪くなってしまうと、その後の取り引きがうまくいかないことにもなってしまいかねません。
必要に応じて「ホームインスペクション」を検討する
中古物件を購入するにあたって気になることの一つに「劣化状況」が挙げられるのではないでしょうか?しかし、見た目にわかる劣化はごく一部です。内見で把握するには、どうしても限界があります。
そこで検討すべきなのが「ホームインスペクション」です。ホームインスペクションとは、第三者の専門家による建物状況検査を指します。インスペクションの調査対象部位の例は、以下のとおりです。
- 構造耐力上の安全性に問題のある可能性が高いもの(腐食や傾斜、躯体のひび割れなど)
- 雨漏り、水漏れが発生している、または発生する可能性が高いもの(雨漏りや漏水など)
- 設備配管に日常生活上支障のある劣化などが生じているもの(給排水管の漏れや詰まりなど)
インスペクションも非破壊検査のため状況を知るには限界がありますが、プロの目で建物を調査してもらえることで状況を把握しやすくなります。
・「インスペクション」に関する記事はこちら インスペクションとは?メリットや費用、注意点、自治体の補助金を解説 |
まとめ
今は、インターネットやSNSなどで多くの情報を得ることができる時代です。物件情報も得やすくなりましたが、高額な資産である不動産を購入する前にはやはり内見が不可欠です。内見の目的や注意点をあらかじめ認識しておき、忙しい中でも効率良く内見を進めましょう。
・「内見チェックリスト」に関する記事はこちら 内見チェックリストで失敗しない物件選び!あると便利な持ち物も紹介 |
この記事のポイント
- 内見とは?
内見とは、不動産を購入する前に物件内部を見学することを指します。
詳しくは「内見とは?」をご覧ください。- 内見には何を持っていけばいいの?
物件の状況を深く知り、内見後に振り返りやすくするために、間取図やメジャー、筆記具などを持っていくと良いでしょう。
詳しくは「内見の持ち物」をご覧ください。- 内見のポイントは?
売主が居住中の場合はとくに、内見時に遠慮される方も少なくありませんが、売主に声をかけながら収納や靴箱の中までくまなくチェックするようにしましょう。
詳しくは「中古住宅を内見するときのポイント」をご覧ください。
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