マンションの購入を検討する際、いざ不動産の物件情報を検索してみたら、分譲マンションや中古マンションなど種類があり、「実際どう違うのだろう?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
情報が多すぎて自分にはどのような住まいが合っているのか分からず、迷ってしまうという方も少なくありません。ここでは分譲マンションのメリット&デメリット、戸建て住宅との違いなどを解説します。
また分譲マンションの賢い選び方や購入までの流れについてもご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。
記事サマリー
分譲マンションとは?
分譲マンションとは、マンションを1戸ごとに区分して分譲(販売)しているマンションのことを指します。「分割譲渡」を略して「分譲」と呼ぶようになりましたが、国の資料でも分譲マンションと表記されていて、今では浸透している呼び名です。自分が住むために購入するマンションは、通常は分譲マンションということになります。
建物完成後1年以内で誰も入居したことがないマンションは「新築分譲マンション」となり、誰かが住んだことにより新築でなくなると「中古マンション」となります。中古分譲マンションとは呼びません。
また、「未入居マンション」と呼ばれる物件は、誰も住んだことがなくても建物完成後1年以上経っていて新築と呼べないマンションを意味しています。内装は新築と比べほぼ見劣りしませんが、設備等を使っていない期間が長いため注意が必要です。状況に応じて点検等することをおすすめします。
中には賃貸マンションなのに「分譲賃貸マンション」と呼ばれる物件があります。これは分譲マンションを購入した個人や法人が貸し出している場合で、一般の賃貸物件と差別化するためにそう呼ぶことが多いです。一般的な賃貸マンションに比べ、分譲賃貸マンションは設備や仕様のグレードが高いため人気がありますが、比較的家賃も高くなります。
分譲マンションのメリット
分譲マンションにはどのようなメリットがあるのでしょうか。分譲マンションとよく比較されるのは「賃貸マンション」や「戸建て住宅」でしょう。ここでは分譲マンションのメリットについて、代表的なポイントについて解説します。
- 充実した設備・施設
- セキュリティが高い
- 資産価値がある
①充実した設備・施設
分譲マンションは長く住むことを想定しており、設備や仕様において居住性を重視しています。そのため、賃貸マンションと比べ、分譲マンションには便利な設備を設けているケースが多いです。
例えば以下の設備です。
※賃貸でも、物件によっては備わっているケースがあります
ディスポーザー
生ごみを粉砕して下水に流すことができる、キッチンのシンク下に取り付ける設備です。三角コーナーなどに生ごみを溜めておく必要がないので、気になるニオイの発生を抑えることができます。衛生的な上、頻繁に生ごみを捨てに行く必要がなくなります。
仕組みとしては各戸からの下水を、マンションの共用部分に設置した排水処理槽で分解処理をしてから公共下水道に流す構造になっています。したがってディスポーザーを個別に設置したいと思っても、この仕組みがない物件には原則後付けすることはできません。
デメリットとしては、この設備の点検やメンテナンス費用がかかること、各戸に関してはディスポーザーを使うたびに水道代と電気代が必要になることが挙げられます。頻度にもよりますが、電気代・水道代ともに月々120円前後といわれています。
出典:ディスポーザージャパン
宅配ボックス
不在時でも宅配物を受け取ることができる設備で、賃貸物件でも最近設置されている物件が増えました。実はボックスの数が重要です。ボックスが埋まってしまうと利用できず、宅配物を預けられない状態になります。
最近では個人の戸建てでも設置している住宅があります。外出していることが多い人にとって、大変便利な設備です。
共用部分のキッズルームやゲストルーム
共用部分に子どもが遊べるキッズルームや、両親や友人が泊まるスペースがない場合などに便利なゲストルームがあるマンションがあります。賃貸物件にはほぼない施設です。
中にはジムや大浴場、カフェテリアなど特色をもった施設を設けている分譲マンションもあります。
②セキュリティが高い
分譲マンションは賃貸マンションに比べ、セキュリティ体制も充実しています。例えば以下の通りです。
オートロック付きのエントランス
オートロック付きのエントランスでは、鍵を持っていない人は共用部に入ることができません。また鍵自体がピッキングされにくいディンプルキーを採用しているケースが多いです。
管理人が常駐する管理人室
管理人が常駐もしくは巡回するマンションはセキュリティが高いといえます。勤務時間だけとはいえ、犯罪の抑止力になるでしょう。
警備会社のホームセキュリティ導入
マンションで一括して警備会社と契約し、部屋ごとの警備を依頼しています。もしもの時に駆けつけてくれるサービスがあり、詳細は警備会社やプランによって異なりますが、24時間警備・監視してくれます。また、室内の操作パネルと鍵で防犯の設定や解除ができます。
防犯カメラ
賃貸物件でも防犯カメラが設置されているケースはありますが、分譲マンションでは設置個所が多く、比較的性能が高いカメラが設置されています。カメラの性能によって録画される画像の鮮明度が異なります。もしもの時に証拠となるような画像が欲しい場合は、ある程度性能のよい防犯カメラを設置するよう管理組合に検討してもらいましょう。
③資産価値がある
分譲マンションにあって、賃貸マンションにないものといえば資産価値です。賃貸マンションに住んでいる場合毎月支払うのは家賃ですが、分譲マンションに住みながら毎月ローン返済する場合、将来的には自分の資産になるものへの投資と考えることもできます。
賃貸マンションに家賃を払っても手元には何も残りませんが、分譲マンションはいずれ自分の資産になるものです。また現金で相続するよりも、不動産として相続すると不動産の評価額は低くなるので相続税対策にもなります。
分譲マンションのデメリット
分譲マンションにもデメリットがあります。もし分譲マンションの購入を検討されている場合はぜひご参考にしてください。
代表的なデメリットは以下の通りです。
- 初期費用が高い
- 維持費用がかかる
- 転居しにくくなる
①初期費用が高い
賃貸マンションと比べて、分譲マンションは初期費用が高くなります。
ここでは月額25万円の賃貸マンションの初期費用と5,000万円の分譲マンションの初期費用を比較します。
月額25万円の賃貸マンションの諸費用の概算
◇礼金:通常賃料の1カ月程度
◇敷金:通常賃料の2カ月分程度。退去の際に原状回復費を差し引き残額は戻ります。
◇仲介手数料:不動産会社へ支払う手数料。賃料1カ月分に消費税を足した金額。
◇前家賃:通常家賃は前家賃となるため、入居前に1カ月分程度必要になります。
礼金・敷金の条件や保証料が必要になるケースなどがあり、物件によって異なりますが、賃料の5~6カ月分が必要になります。月額25万円の場合概算で125万円~150万円です。
5,000万円の分譲マンション購入の場合の諸費用概算
◇頭金:自己資金によって異なります。ローンで借り入れる金額以外は自己資金で準備
◇仲介手数料:不動産会社へ支払う費用。基本的には取引物件価格×3%+6万円×消費税
◇印紙代(印紙税):売買契約書やローン契約書に貼付する印紙代。5,000万円以下の場合は2万円ですが、2024年3月31日まで軽減措置により1万円となります。
◇登録免許税:分譲マンションの場合建物表題登記と所有権保存登記が必要になりますが、その際にかかる税金です。固定資産税評価額×0.4%
◇司法書士費用:登記手続きを依頼する場合の依頼料は10万円前後。
◇不動産取得税:不動産を取得した年に1度課税されます。目安は固定資産税評価額×4%。ただし2024年3月31日までは軽減措置により土地・建物については3%。
◇住宅ローン事務手数料:ローン借入額の2%程度もしくは3万円~5万円。
◇ローン保証料:借入額の2%程度。ただし金利に上乗せや、保証料が不要の商品もあります。
◇火災保険料:住宅ローンを組む場合火災保険に加入することが条件になります。(金融機関によって異なります)
◇固定資産税・都市計画税:引渡し時に売主と買主で日割り清算します。
◇管理費・修繕積立金:入居前に翌月分の管理費・修繕積立金を支払います。また修繕積立金は引き渡し時に一時金としてまとまった金額が必要になるケースがあります。
分譲マンションを購入する際には色々な諸費用がかかります。物件や条件によって異なりますが、分譲マンションの場合一般的に物件価格の3~6%程度必要となります。5,000万円の場合は150万円~300万円を想定しましょう。
こうして比較してみると、賃貸マンションよりも分譲マンションは諸費用がより多く必要になることが分かります。自己資金や年収などによって資金計画も異なりますので、詳細については不動産会社やマンション販売会社にご相談ください。
②維持費用がかかる
維持費用については、賃貸マンションの場合でも管理費や共益費がかかるため大差が無いように思いますが、分譲マンションの場合月々かかる管理費の他に修繕積立金が必要になります。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、管理費の総額の平均は 15,956 円、修繕積立金の総額の平均は 12,268 円です。
規模や築年数によっても異なりますが、月額3万円前後は想定する必要があるということです。修繕積立金は築年数によって上昇する傾向にありますので、余裕を持った資金計画をおすすめします。
また分譲マンションは固定資産になりますので、固定資産税が毎年かかります。土地・建物の所在である市町村に収める税金で、東京23区は東京都に都税として納めます。税額は固定資産税評価額×1.4%です。土地の評価はその時期によって変動しますが、建物は築年数と共に評価が下がるため、納税額も下がる傾向にあります。
ちなみに新築住宅にかかる固定資産税には軽減措置があります。(適用期限2024年3月31日)、新築マンションの場合は5年間(新築の戸建の場合は3年間)固定資産税が2分の1に減額されます。そして、軽減措置の適用期間が終わった翌年には、元に戻ることを想定しておきましょう。
税金について補足すると、住宅ローンを組んで住宅を取得した場合、年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除することができます。住宅の性能によって借入の限度額が異なるなど条件があります。詳しくは国税庁のホームページをご参照ください。
出典:
国土交通省|平成30年度マンション総合調査結果
国税庁|No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
③転居しにくくなる
一般的に賃貸マンションに比べて分譲マンションは転居しにくいといわれます。賃貸マンションの場合、退去の際に原状回復費用がかかりますが、契約時に預けた敷金でまかなえる金額であれば追加費用は発生しません。かかるのは転居先の初期費用です。
分譲マンションから転居する場合、まず住宅ローンを組んでいるのであればマンションを売却して完済する必要があります。またマンションを売却するのであれば、通常不動産会社へ支払う仲介手数料が必要です。
またマンションを売却することによって利益が出る場合は、譲渡所得税がかかります。買換えローンなどを利用すれば、ローンの残債があっても新しくローンを組むことができますが、「買い」と「売り」のタイミングが難しいのでよく検討する必要があります。
ただし、譲渡所得税に関しては、居住用の財産の場合最高で3,000万円まで譲渡所得から控除できる特例があります。この特例を受けるためには確定申告が必要になりますので、忘れずに確定申告するようにしましょう。
その他にも売却する年の1月1日に所有期間が10年を超える場合には上記の控除に加えて軽減税率が適用になるなど特例があります。詳しくは国税庁のホームページをご参照ください。
出典:
国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例
国税庁|No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
分譲マンションの購入金額の相場
地域や条件によって異なりますが、分譲マンションを購入している人は、いくらぐらいのマンションを購入しているのでしょうか。ここでは国土交通省の「令和3年度住宅市場動向調査報告書」を参考に相場について見ていきます。
上記報告書によると、分譲マンションの購入金額の相場は平均4,929万円、中古マンションの場合は平均2,990万円でした。また中古マンションの平均的なリフォーム資金は平均201万円です。
分譲マンションの購入を検討する場合は5,000万円前後、中古マンションの場合は3,000万円前後+リフォーム代200万円が相場と言えそうです。
出典:国土交通省|令和3年度住宅市場動向調査報告書
戸建て住宅と分譲マンションの特徴を比較
戸建住宅と分譲マンションどちらがよいのかという論争はよくありますが、どちらが優れているということではなく、どちらが自分のライフスタイルに合っているのかという視点で選びましょう。それぞれにメリット・デメリットがあります。
戸建て住宅 | 分譲マンション | |
---|---|---|
建物の耐久性 | 法定耐用年数 木造の場合22年 | 法定耐用年数 鉄筋コンクリートの場合47年 |
立地 | 比較的駅から離れた立地に多い | 駅から徒歩圏でも物件が多数ある |
維持費 | 月々支払う必要はないが、10~15年で建物(外装・内装・設備など)を改修する費用は発生する。貯蓄は必要 | 月々管理費・修繕積立金がかかる。10年~15年で内装や設備を改修する費用が発生する。ある程度の貯蓄が必要 |
駐車場代・駐輪場代 | 敷地内に駐車・駐輪できれば、費用はかからない | 使用する場合は月々支払う必要がある |
騒音について | マンションほど騒音は気にならない | 戸建に比べて隣戸や上階の音が気になる。また配慮が必要 |
敷地内の清掃や庭木の手入れ | 必要 | 基本的には不要。専用庭がある場合は必要 |
新築分譲マンションと中古マンションの特徴を比較
新築分譲住宅と中古マンションの違いは築年数だけではありません。以下のような違いがあります。
新築分譲マンション | 中古マンション | |
---|---|---|
仲介手数料 | 基本仲介手数料は不要 | 仲介手数料が必要 |
リフォーム・修繕費用 | 仕様や間取り変更などしなければ費用はかからない | 状況に応じてリフォームや修繕費用がかかる |
保証の有無 | 売主や建設会社の10年保証付き(瑕疵担保) | 売主は個人または法人のため、基本保証はつかない |
室内を内見できるか | 建設前、もしくは建築中契約する場合は内見できない | 売主が居住中であっても内見可能 |
ローンの組みやすさ | 組みやすい | 担保評価や条件によって希望額が組めない場合がある |
ご近所付き合いのしやすさ | ほぼ同じ時期に入居するため、ご近所付き合いがしやすい。同じ年代が集まりやすい | すでにコミュニティが出来上がっている可能性がある |
価格 | 中古マンションに比べて高額 | 新築マンションに比べて安価 |
分譲マンションの賢い選び方
さて実際に分譲マンションを購入する場合、どんなマンションを選んだらよいのでしょうか。もちろん気に入った物件を購入するのが一番ですが、この先何があるか分かりません。
ライフスタイルが変わり、住み替えをする可能性もあります。ぜひ「資産価値が落ちないマンション」という視点でマンションを選ぶことをおすすめします。
ではどのようなマンションは資産価値が落ちにくいのか、下記で見ていきましょう。
①最寄り駅から徒歩5分以内
戸建てであれば静かな環境やゆとりを優先するかもしれませんが、マンションを購入する人は利便性を重視する傾向にあります。最寄りの駅から5分以内を1つの基準としてみましょう。若い時は気にならなくても、年齢と共にバスを利用することが負担になることもあります。
②人気の街・エリア
よく「住みたい街」ランキングが発表されますが、いつも上位になるような街は人口も増加傾向になります。人気がある街であれば、必然的に物件を探す人も多くなりますので、資産価値も下がりにくいでしょう。
③陽当たりや眺望
人気の街&駅から徒歩5分以内でも、陽当たりや眺望が悪いと売却時に苦労する可能性があります。ご自身が住んで心地よいと思えるマンションを選びましょう。
④管理会社・管理状況
マンションは「管理を買う」ともいわれます。マンションは管理が大事だという意味です。同じ築年数のマンションでも管理状況やメンテナンスによって、見栄えや住み心地が異なります。管理戸数や実績が多い管理会社は、管理のノウハウもあり安心できますので、管理会社を確認するようにしましょう。
分譲マンション購入までの流れ
最後に分譲マンションを購入する場合の流れについて簡単にご説明します。
一般的な流れは下記の通りです。
- 分譲マンションの情報収集をする
- 実際に分譲マンションを内見する
- 購入したい分譲マンションを決定し、申し込みする
- 売買契約を締結する
- マンションの引渡しを受ける
①分譲マンションの情報収集をする
不動産会社のサイトや不動産物件の情報誌、近所でもらったチラシなど色々な手段で情報収集することができます。この時点で希望のエリアを絞っていきます。
②実際に分譲マンションを内見する
気になる分譲マンションがあったら、不動産会社へ連絡して内見しましょう。新築分譲マンションであれば、モデルルームを見学できます。ここで資金計画等も相談します。最近では実際に現地へ行かなくても、オンライン内見ができる物件もありますので、上手に活用しましょう。
③購入したい分譲マンションを決定し、申し込みする
購入したい分譲マンションが決まったら、不動産会社へ購入の申し込みをします。価格や条件などもこの時に希望を伝えます。ローンについても同時進行で借入の申し込みをします。
④売買契約を締結する
希望や条件の折り合いがつき、ローンの仮審査が下りたら売買契約です。重要事項説明書により物件の説明を受けます。質問があれば契約前にしましょう。問題がなければ売買契約を締結し、手付金を支払います。
⑤マンションの引渡しを受ける
あらかじめ決済日(引渡し日)として決めた日に、手付金以外の残代金を売主へ支払います。通常、ローンを実行する日です。支払いが完了したことを確認した司法書士が、その日のうちに法務局へ行き、所有権移転登記を申請します。鍵を受け取るのもこの日になります。
この記事のポイント
- 分譲マンションなど呼び名による違いはなに?
マンションを1戸ごとに区分して分譲(販売)しているマンションを「分譲マンション」と呼びます。建物完成後1年以内で誰も入居したことがないマンションは「新築分譲マンション」、誰かが住んだものは「中古マンション」となります。
また、誰も住んだことがなくても、建物完成後1年以上経っているものは「未入居マンション」、分譲マンションを購入した個人や法人が貸し出している賃貸マンションを「分譲賃貸マンション」と呼びます。
- 分譲マンションのメリットは?
分譲マンションは、賃貸マンションと比較して設備が充実しているケースが多く、資産価値もあります。また、オートロックや管理人室の有無など、戸建てと比較してもセキュリティがしっかりしています。
詳しくは「分譲マンションのメリット」をご確認ください。
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