「高齢者向け施設は種類が多くて違いがわからない」「どうやって選べば良いのか知りたい」などの悩みをありませんか?超高齢社会を迎えた日本では、多様な高齢者向けの住居・施設が展開されています。しかし、住居・施設ごとの違いがわからず、選べないと悩む方が非常に多いです。今回は、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)と老人ホームの違いについて紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
記事サマリー
サ高住と老人ホームの特徴
高齢者を対象とした住宅にはさまざまな施設や住宅があり、バリアフリーなど高齢者が生活しやすい環境が整えられています。
快適な老後を過ごすためには、どのような施設や住宅があるかを知り、入居予定者の心身状態に合っているか比較・検討が必要です。
老人ホームは、自治体などが運営する「公的施設」と民間企業などが運営する「民間施設」の2種類に分けられます。
公的施設 | 民間施設 | |
---|---|---|
運営 | 国・自治体 | 民間企業など |
住居の種類 | ・特別養護老人ホーム ・介護老人保健施設 ・介護療養型施設 ・介護医療院 ・軽費老人ホーム ・ケアハウス | ・サービス付き高齢者向け住宅 ・介護付き有料老人ホーム ・住宅型有料老人ホーム ・健康型有料老人ホーム ・シニア向け分譲マンション ・グループホーム |
公的施設は重介護度の方や低所得者を支援する施設のため、費用を抑えた利用が可能です。一方で、入居条件が厳しめに設定されています。
民間施設は高齢者のニーズや要望を幅広くカバーしており、施設によってさまざまな活動やイベントが開催されます。
ここからは、民間施設で比較されることの多い、サ高住と老人ホームの違いについてみていきましょう。
サ高住の特徴
サ高住は介護不要な元気なシニアから、介護度の低い方が主な対象の住宅です。バリアフリー構造で、安全に暮らしやすい環境が提供されています。
施設によってIoT技術(さまざまな機器をインターネットと連携)が導入されており、見守りカメラなど離れた場所から確認が可能です。
60歳以上であれば契約でき、介護認定がなくても入居できます。一般の賃貸住宅と同じ扱いのため、制限が少なく自由な生活を送れます。
サ高住で受けられる主なサービス内容は、日常の困りごとの相談や見守り・安否確認です。介護サービスは提供されないため、身体の状態や必要に応じて訪問介護などの外部サービスを適宜利用します。入居者は自身に合った外部の介護サービスを組み合わせて利用します。
老人ホームの特徴
老人ホームは、さまざまな高齢者施設を指す総称の言葉です。現在では、有料老人ホームのことを呼ぶことが多く、「老人ホーム=有料老人ホーム」と認識されています。
サービス内容や入居基準は施設によって異なるため、身体の状態や要望に合わせた施設選びが重要です。
費用に関する違い
サ高住は、一人でも生活できる元気な高齢者向けであるため、介護面での出費をおさえられます。周辺の一般的な住居の家賃よりは比較的高くなりますが、老人ホームよりは少額になる傾向です。
介護が必要な場合は、ホームヘルプなど自身の希望のものを外部サービスから選択します。利用サービスが多くなると料金も高額になるため注意しましょう。
サ高住では初期費用として家賃や敷金など、一部支払いが必要になる場合がある一方で入居一時金はかかりません。そのため他施設より入居時のコストを安く抑えられます。
老人ホームはサ高住よりも介護サービスが充実している分、費用が高くなる傾向です。施設を選ぶ際は、自身の状態や必要なものをしっかり検討すると良いでしょう。
契約方式に関する違い
契約方式の違いとしては「賃貸借契約」と「利用権方式」であることです。
サ高住に入居する際は賃貸借契約を結ぶため、一般の住宅を契約するときと同様の形式です。賃貸借契約にはさらに、契約期間がある「建物賃貸借契約」と契約期間がない「終身建物賃貸借契約」の2種類があります。
老人ホームでは、入居一時金の支払いが必要な場合があります。入居一時金の支払いによってサービス・居室・施設内設備などを利用する権利が得られる契約方式(利用権方式)です。
利用権契約には「前払い方式」「月払い方式」「一部前払い(月払い併用)方式」の3つがあり、費用や選べる契約方式は施設によって異なります。
サ高住と介護付き有料老人ホームの違い
介護付き有料老人ホームは、手厚い人員配置で最大24時間の介護サービスが提供されている施設です。
要介護1以上の認定を受けた方が対象の施設で、介護度が高くなっても長く入居が継続できる特徴があります。施設によっては看取りケアも提供しています。
介護付き有料老人ホームは、厚生労働省の定める基準を満たし、認可を受けた「特定施設」です。
介護付き有料老人ホームはすでに介護度の高い方や、状態の重度化に不安を抱える方でも安心して暮らせる環境ですが、一方でサ高住に比べて費用が高くなる傾向があります。
その他、サ高住では自由な日常生活が送れるのに対し、介護付き有料老人ホームでは決まったスケジュールがあるため自由度は低めと言えるでしょう。
サ高住と住宅型有料老人ホームの違い
住宅型有料老人ホームは介護度の低い方や、ある程度自立した生活ができる方を対象とした施設です。主に、見守りや調理、掃除などの生活支援が受けられます。
介護度の低い方を対象としているため、行事やイベントに力を入れている施設が多いことが特徴です。
サ高住と同様に身体的な介護が受けられないため、必要に応じて訪問介護などの外部サービスを利用します。ただ、訪問介護などの事業所を併設している在宅型有料老人ホームも多く、すぐに介護サービスの利用ができる場合もあります。
両タイプでは、介護が必要な場合は外部サービスの利用が必要なことや、施設の選択肢が多いことなどの共通点があります。一方で、住宅型有料老人ホームには行事やイベントが豊富だったり、生活支援が受けられたりするという違いがあります。
サ高住と健康型有料老人ホームの違い
健康型有料老人ホームは、介護を必要としない自立した元気なシニアを対象にした施設です。高齢者がなるべく元気な状態を維持できるように、食事提供や家事のお手伝いなど日常生活に必要な最低限のサポートをおこないます。
サ高住に比べてサークルやクラブなどの活動が充実しているのが特徴です。その他、カフェやカラオケ、シアタールームなどを完備する施設もあり、日常を明るく楽しく過ごしたい方に向いています。
サ高住と健康型有料老人ホームはともに、健康で元気な方を対象としており、要介護状態になった場合は転居や退去が必要になる場合があります。健康型有料老人ホームは有料老人ホームの中でもかなり高額の費用が発生します。
また、健康型有料老人ホームは、全国に20施設程度と数が少ないため選択肢が限られるでしょう。
サ高住と各有料老人ホームのメリット・デメリットを一覧にまとめました。
介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | 健康型有料老人ホーム | サ高住 | |
---|---|---|---|---|
メリット | ・手厚い介護や介助を受けられる ・介護度が高くても利用できる ・活動やイベントなどの交流がある ・介護費用は介護度に合わせて定額 | ・行事やイベントなどが豊富 ・施設の選択肢が多い ・生活支援が受けられる ・介護事業所併設の施設では介護サポートも受けられる | ・行事や日常のイベントが活発 ・元気な方が多いため趣味仲間を作りやすい ・アクティビティに富んでいて明るい環境 | ・日常の制限がなく自由な暮らしができる ・住宅の選択肢が多い ・費用が比較的少額 |
デメリット | ・介護付きのため費用が高額になる傾向 ・1日のスケジュールがあり、自由が少ない | ・介護を受ける場合は外部サービスの利用が必要(ただし、介護事業所併設の施設では介護サポートもスムーズに受けられる) | ・介護状態になった場合は退去が必要になる可能性がある ・費用が比較的高額 ・施設数が少ない | ・介護を受ける場合は外部サービスの利用が必要 ・介護状態になった場合は退去が必要になる可能性がある ・連帯保証人が必要 |
費用面 | ・入居一時金が必要な場合がある(数十万円~数千万円) | ・入居一時金が必要な場合がある(数十万円~数百万円) ・利用する外部サービスが多い場合は高額に、少ない場合は少額に抑えられる | ・他施設よりも費用が高額 ・入居一時金が必要な場合がある(数千万円~1億円ほど) | ・入居一時金がない ・他施設より費用を安く抑えられる |
契約方式 | 利用権方式 | 賃貸借契約 |
サ高住と老人ホームそれぞれおすすめの方
下記でどんな方にどのタイプの施設がおすすめかそれぞれ紹介します。
施設のタイプ | こんな方におすすめ |
---|---|
サ高住 | ・費用を抑えたい方 ・日常に不安を抱えている方 ・ある程度自立していて自由に暮らしたい方 |
介護付き有料老人ホーム | ・手厚い介護サービスを受けたい方 ・今後の介護状態の変化が心配な方 ・イベントなどによる交流が欲しい方 |
住宅型有料老人ホーム | ・充実した行事や交流会を希望する方 ・+αで介護にも対応している環境を選びたい方 ・幅広い選択肢から希望の環境を選びたい方 |
健康型有料老人ホーム | ・第二の人生を楽しみたい方 ・アクティブな毎日を過ごしたい方 ・趣味などを楽しみたい方 |
サ高住は有料老人ホームに比べて安い費用での利用が可能なため、少しでも費用を抑えたい方におすすめです。また、一般住宅に近い環境で生活できるため、サ高住であれば比較的自由な生活を送りやすいでしょう。
充実した手厚い介護を受けたい方は介護付き有料老人ホームをおすすめします。現在の身体の状態や今後の介護状態の変化に不安がある方は介護付きを選んでおくと安心でしょう。
住宅型有料老人ホームは、幅広い選択肢から希望の環境を選びたい方におすすめです。施設数が多く選択肢が豊富なため、施設ごとに異なる運営方針やサービス内容から自分の理想とする環境が選べます。
健康型有料老人ホームは、元気なシニアやアクティブな毎日を過ごしたい方におすすめです。
今回紹介した内容を参考に、ご希望のサービスを探してみてください。施設を選ぶときは、いくつか選択肢を用意し、問い合わせや見学などで比較してみると良いでしょう。
この記事のポイント
- サ高住と老人ホームの違いは?
サ高住で受けられる主なサービス内容、日常の困りごとの相談や見守り・安否確認です。介護サービスは提供されないため、外部サービスを適宜利用します。老人ホームは、サービス内容や入居基準は施設によって異なるため、身体の状態やニーズに合わせた施設選びが重要です。
詳しくは、サ高住と老人ホームの特徴をご覧ください。
- サ高住がおすすめの人は?
サ高住は費用を抑えて比較的自由な生活を送りたい方におすすめです。
詳しくは、「サ高住と老人ホームそれぞれおすすめの方」をご覧ください。
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