「風除室」とは、玄関前に設置する風を除けるための小屋のことです。風除室を設けることで、家のなかに風が入り込みにくくなるだけでなく、収納スペースとして活用できるようになります。
この記事では、風除室のメリットや注意点、設置にかかる費用の目安について紹介します。設置する前に確認するポイントについても説明するので、風除室を作るかどうか迷っている方もご覧ください。
記事サマリー
風除室とは玄関前に設置する小部屋のこと
風除室とは、玄関の前に設置されるガラス張りの小部屋のことです。風や雨、雪が建物内に入り込むことを防げるので、公共の建物などには設置されていることが多いです。
また、雪が多い地域や風の強い地域では、一般の住宅にも設置されることがあります。
風除室の種類と価格
風除室には、I型、外付けI型、L型、C型/U型の種類があります。それぞれの価格の目安は以下のとおりです。
風除室の種類 | 価格目安 |
---|---|
I型 | 約15万円~ |
外付けI型 | 約20万円~ |
L型 | 約20万円~ |
C型/U型 | 約40万円~ |
I型
風除室と外壁がフラットになるように設置するときは、I型と呼ばれます。玄関が外壁よりも奥まっている場合にしか選択できないので、住宅を新築するときに合わせて作られることも多いです。
I型の風除室では1面だけガラスを張れば良いので、費用は安価なことが多く、約15万円~となります。価格を抑えて風除室を設置したい場合には、I型がおすすめです。
ただし、外壁からの奥行きが玄関扉の幅よりも短い場合には、I型の風除室を設置できません。次に紹介する外付けI型を検討しましょう。
外付けI型
外壁と玄関がフラットな場合は、外側に風除室を取り付けます。このタイプを外付けI型と呼び、外壁より玄関が奥まっている場合でも、玄関扉の幅によっては採用されることがあります。
外付けI型では、正面のガラスだけでなく天井や左右の壁も取り付けることが必要です。そのため費用はI型よりも高めで、約20万円~となります。
L型
玄関が住宅の角部分にあるときには、角部分をL字型に覆う風除室が設置できます。
玄関が外壁よりも奥まっている場合にはガラスを2面、玄関が奥まっていない場合にはガラスを2面と壁を2面取り付けることが必要です。そのため、費用はI型よりも高めのことが多く、約20万円~となります。
C型/U型
玄関を3方向から取り囲むように設置する風除室をC型もしくはU型と呼びます。玄関が奥まっているかどうかに関係なく設置できるので、自由に面積を調整できます。
風除室の面積が広くなると、工事範囲も広くなるため高額になります。そのため、一般的にC型/U型の風除室は約40万円~となります。
風除室を設置するメリット
玄関や窓などの設備とは異なり、風除室は、必ず設置しなければならないわけではありません。しかし、設置することで多くのメリットを享受できます。
主なメリットとしては、以下のとおりです。
- 冷気の侵入や熱が逃げることを防げる
- 雨風対策になる
- 収納スペースになる
それぞれのメリットについて解説します。
冷気の侵入や熱が逃げることを防げる
風除室がない場合、玄関を開けるとダイレクトに外気が侵入します。室内外の寒暖差が激しい場合には、屋内が一気に寒くなることもあるでしょう。
しかし、風除室の設置で、玄関を開けても外気が侵入しにくくなります。また、外気だけでなく熱も逃げにくくなるので、気密性を保ちやすくなり、空調の効率も低下しにくいでしょう。
また、豪雪地帯では、雪が降り積もると玄関が開かないという事態も生じます。風除室を設置しておけば、玄関周りには直接雪が積もらないので、スムーズに玄関を開けられます。
雨風対策になる
風除室を設置すると、雪だけでなく雨風も屋内に入りにくくなります。強風が吹いていても玄関扉をスムーズに開閉でき、また、雨で玄関内が濡れることも防げます。
収納スペースになる
風除室は、傘や子どもの外遊びグッズ、自転車などを置く場所としても活用できます。風除室を収納スペースにすることで屋内に土や汚れが入りにくくなり、玄関を綺麗に保てるというメリットもあります。
風除室を設置するデメリット
メリットの多い風除室ですが、設置前に検討したいデメリットもあります。特に、以下のデメリットに関しては、対策を講じておきましょう。
- 設置に費用がかかる
- 夏は熱がこもりやすい
- 開閉に手間がかかる
それぞれのデメリットと検討できる対策について紹介します。
設置に費用がかかる
風除室を設置するときには、設置費用がかかります。また、ほかの設備と同様、経年劣化などで不具合が生じることもあるため、リフォーム代がかかるでしょう。
玄関が奥まった構造で、なおかつ玄関前の奥行きよりもドアの幅が狭い場合であれば、比較的安価に設置できるI型を選べますが、玄関構造や仕様によっては高額の費用がかかる場合があります。
夏は熱がこもりやすい
風除室は、基本的にはガラス張りで設置します。そのため、夏場は日差しにより、熱がこもって蒸し暑くなることがあります。また、玄関に直接風が入らないため、玄関も熱がこもりやすくなります。
暑さや湿気への対策として、風除室に窓を設置することがおすすめです。また、風除室の開口部分を広げることで、通気性を確保し、温度や湿度が上がり過ぎないように調整しましょう。
遮光・遮熱効果のあるガラスを使用することでも、風除室や玄関が高温になるのを回避できます。特に玄関が南向きで光が差し込みやすい住宅は、風除室の暑さ対策を念入りに行いましょう。
開閉に手間がかかる
風除室を設置すると、出かけるときには玄関と風除室、門のすべてを開閉する必要があります。急いでいるときには不便に感じることもあるでしょう。
風除室のドアを少ない力で開閉できるタイプにすることで、開閉の負担を軽減できます。また、玄関から風除室のドア、門の動線が一直線になるように配置すれば、家の出入りが比較的楽になるでしょう。
風除室を設置する際のポイント
満足度の高い風除室を設置するために注意するポイントを紹介します。状況によって正解は異なるので、地域や自身のライフスタイルと重ね合わせて考えてください。
風除室のドアの形状ごとに特徴を知っておく
風除室のドアは、ドアを吊り下げるタイプの「ハンガー式」とレールを取り付ける「レール式」があります。
ハンガー式は段差がないので、ベビーカーや車いすで入りやすいというメリットがあります。その反面、下部に空間が空いて完全には密閉できなくなるため、風が入り込む可能性があります。
一方、レール式は空間を密閉できるので、風除効果を高めることが可能です。しかし、レールによる段差ができるため、ベビーカーなどが通りにくいだけでなく、つまずきやすいというデメリットがあります。
結露や湿気対策を行う
外気との温度差から風除室内外に結露が生じることもあります。カビなどが発生する場合もあるので、こまめな掃除と結露対策、湿気対策を行うことが必要です。
風除室に開閉できる窓などを設置して、通気性を高めることでも、結露や湿気が生じにくくなります。また、天気が良く乾燥している日は風除室を開け、空気を入れ替えましょう。
後付けする場合は複数の業者から見積もりを取る
リフォーム業者によって工事内容やデザイン、費用が異なります。後付けする場合は、複数の業者から見積もりを取り、比較してから依頼業者を決めましょう。
見積もりを比較するときは、値段だけに注目すると満足できる仕上がりにならない可能性があります。工事の内容や利用している材料、実績なども比較して、業者を選ぶことが大切です。
DIYはおすすめできない
玄関の形状にもよりますが、風除室を設置するときには天井や壁も作る必要があるため、DIYは難しいといえるでしょう。DIYが完璧でないときは、隙間から風が入ったり、耐久性に問題が生じたりする場合があり、風除室本来の役割を果たせません。
風除室の設置は、業者への依頼をおすすめします。玄関周りを彩る風除室は、住宅の顔にも当たります。信頼できる業者を選び、見た目も機能性も満足できるものに仕上げてもらいましょう。
風除室で冬でも暖かい家づくりを実現しよう
寒さや雪の多さに悩まされている場合は、風除室の設置がおすすめです。風除室を設置すると外気が直接入りにくくなり、住宅の熱効率を高められます。また、雨や泥がついたものを一時的に置くこともできるので、屋内に湿気や汚れが入りにくくなるというメリットもあります。
湿気対策と暑さ対策をしっかりと行い、適切なドアの形状を選ぶことで、より満足度の高い風除室を設置できます。
ぜひ風除室の設置を検討してはいかがでしょうか。
この記事のポイント
- 風除室にはどんなメリットがある?
風除室を設置することで、雨風が屋内に直接入り込むことを避けられます。また、冷気や熱気も入りにくくなり、室内の熱効率を高めることができます。
詳しくは、「風除室を設置するメリット」をご覧ください。
- 風除室の設置にはどの程度の費用がかかる?
玄関が外壁よりも奥まっている場合は、15万円程度で設置できることがあります。しかし、ガラスを2面以上設置する場合や、壁や天井部分を作る必要がある場合には、20万円以上かかることもあります。
詳しくは、「風除室の種類と価格」をご覧ください。
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