老人ホームなどの高齢者向け施設を検討の際、種類が多くて悩む方もいるでしょう。希望に合う施設を選ぶためには、どのような施設があるのか把握しておくことが重要です。
この記事では、高齢者向け施設の中から軽費老人ホームを紹介します。種類や特徴、それぞれの入居条件を解説するので、施設選びの参考にしてみてください。
記事サマリー
軽費老人ホーム(ケアハウス)とは?
軽費老人ホームは、単身生活に不安を抱える高齢者向けの施設です。
主に60歳以上の自立生活に不安がある方で、さまざまな事情から家族によるサポートを受けられない方を対象としています。
軽費老人ホームは老人福祉法のもと、社会福祉法人や地方自治体によって運営される施設なので、有料老人ホームなどの施設よりも安い料金で利用できます。
軽費老人ホームには以下のようにさまざまなタイプがあり、運営方針・提供内容・入居条件が異なります。
【軽費老人ホームのタイプ】
- A型
- B型
- C型(自立型)
- C型(介護型)
- 都市型
A・B型は1990年以降、新設がストップしており、今後はC型(ケアハウス)に一本化されていく予定です。近年では、都市部を中心とした「都市型軽費老人ホーム」も少しずつ広がり始めています。
支援を必要とする高齢者が安価な費用で入所できる施設
軽費老人ホームは、一人暮らしを不安に感じる方が日常のサポートや支援を受けながら過ごせる施設です。有料老人ホームやその他の施設よりも安い費用で利用できます。
施設タイプごとの平均的な利用料金は、それぞれ以下のとおりです。
A型 | B型 | C型 | |
---|---|---|---|
一般的な初期費用 | 通常不要 | 通常不要 | 施設によって異なる |
一般的な月額料金 | 6~17万円 | 3~4万円 | 7~20万円 (所得に応じて変動する場合あり) |
A型・B型・C型(自立型)では要介護状態になった場合、退去になることがあるため注意が必要です。介護的なサポートが必要であれば訪問介護や通所サービスなどの外部サービスが利用できます。
C型(介護型)では、施設スタッフによって介護サービスが提供されるため、食事や入浴、排せつなどの介助が必要な方でも入居可能です。今後の介護状態に不安がある方でも安心して入居できます。
サービス内容によって5種類に分かれる
軽費老人ホームには5種類のタイプがあり、それぞれの施設で受けられるサービス内容は下記のとおりです。
A型 | B型 | C型(自立) | C型(介護) | 都市型 | |
---|---|---|---|---|---|
食事提供 | ○ | × | ○ | ○ | ○ |
生活支援 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
介護サービス | × | × | × | ○ | × |
A型では、無料または低額料金で食事が提供されます。介護サービスは付帯していないため、必要に応じて訪問介護やデイサービスなどの外部サービスを利用しましょう。
B型では、食事提供がないため自炊が必要です。施設によっては別料金で食事を届けてくれる場合もあります。介護が必要な場合は外部の介護サービスを利用しましょう。
C型(自立型ケアハウス)では、食事や洗濯・掃除などの生活支援サービスが受けられます。介護サービスは付帯しないため、適宜デイサービスや訪問介護などの外部サービス利用が必要です。
C型(介護型ケアハウス)では介護ケアが提供されるため、生活支援のほか、食事や入浴・排せつ介助などのサポートが受けられます。施設によって重介護度や認知症の方の対応も可能です。
都市型タイプは、地価が高い都市部に住む高齢者が利用できる低料金の軽費老人ホームです。介護サービスは付帯していないため、必要に応じて外部の介護サービスを利用しましょう。その他のタイプと同様に日常で必要となる支援を受けながらの生活が可能です。
軽費老人ホームの入居条件
軽費老人ホームにはタイプごとに異なる入居条件があります。それぞれの入居条件は以下のとおりです。
タイプ | 入居条件 |
---|---|
A型 | ● 60歳以上 ● 所得が月収34~35万円以下の方 |
B型 | |
C型(自立型ケアハウス) | ● 60歳以上の方 |
C型(介護型ケアハウス) | ● 65歳以上 ● 要介護の方 |
都市型 | ● 60歳以上 ● 規定の都市部に在住の方 |
いずれの施設でも共同生活ができる方が対象です。A型・B型の軽費老人ホームでは60歳以上を条件とするほか、所得制限があります。
C型の自立型ケアハウスにはとくに所得制限はなく、60歳以上の方を対象としています。
C型の介護型ケアハウスは、65歳以上で要介護認定を受けた方が対象です。要介護状態の方は介護型ケアハウス以外の施設を利用できないため注意しましょう。
都市型軽費老人ホームは、60歳以上で首都圏や近畿圏など特定の都市部に住む方が対象です。施設数が少ないため、緊急度の高い方が優先的に入居できます。
また、生活保護受給者でも入居条件を満たしている方であれば利用申請が可能です。施設利用を希望の場合はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。
基本的に介護不要で60歳以上の方が対象
ほとんどの軽費老人ホームでは、介護を必要としない60歳以上の高齢者を対象としています。その他、さまざまな事情によって家族からのサポートを受けられない方で、単身生活に不安を抱える方が対象となっています。
施設によっては夫婦での入居が可能で、基本的にはどちらかが60歳以上で自立していることが条件です。
介護型ケアハウスを除き、基本的に認知症の方や介護が必要な方は入居対象外となります。介護が必要になった場合は、転居や退去になる可能性があるため事前に確認しておきましょう。
所得制限がある場合も
現在主流になりつつあるケアハウスや都市型タイプでは所得制限がありません。一方で、A型・B型タイプでは所得制限があり、一般的に月の所得が34~35万円以上の方は入居不可能です。
所得制限は自治体によって異なるため、所得制限に当てはまりそうな場合は自治体や施設へ事前に確認をしてみると良いでしょう。
軽費老人ホームのメリット・デメリット
軽費老人ホームにはさまざまなメリットがあります。
主な利点として、日常生活が不安な方が住民や施設スタッフとの生活によって安心して過ごせる点があります。生活上の困りごとや悩みごとのサポートも受けられます。
その他にも、施設ごとにお楽しみ会やレクリエーションを開催しているため、日々の充実につながるでしょう。同じような年齢層の方が集まりやすいため、コミュニケーションが取りやすいことも利点です。
一方、デメリットとして、入居した施設の環境や雰囲気が合わなかった場合、ストレスや精神的な負担につながりやすいことが挙げられます。施設によっては建物が古い場合や、部屋が狭い場合もあるでしょう。
その他のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
● 生活の自由度 ● 安価な費用で利用可能 | ● 順番待ちによる待機期間が長い ● 医療ケアが充実していない |
メリットは生活の自由度と安価な費用
軽費老人ホームが人気の理由は、安価な費用で利用できることです。
現在主流になっているC型(ケアハウス)では、自立型・介護型のいずれも月額利用料の相場が7~20万円と、他の高齢者向け施設と比較しても安い傾向にあります。
施設によって所得が低い方は減額される場合があるため、経済的な負担を軽減できるでしょう。
軽費老人ホームでは、原則としてそれぞれに個室が割り当てられます。プライバシーを保護しながら、食事や入浴の時間を気にせずに自由な生活ができるのも網力です。
デメリットは待機期間と医療ケアの少なさ
さまざまなメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。
軽費老人ホームは人気施設のため、入居申請をしてもすぐには利用できず順番待ちになるケースが多いのが実状です。
待機期間は早い場合でも1ヶ月、長いと1年以上になる場合もあります。とくにA型・B型は新設がストップされており、新規入居者を募集している施設も少ないため、入居ハードルは高いと言えるでしょう。
また、C型(介護)以外のケアハウスには看護師の配置がないため、医療ケアが必要な方は自分で病院受診や訪問看護などを利用しなければなりません。
軽費老人ホームの入居手続き
ここからは軽費老人ホームの入居申請に必要な書類を確認してみましょう。
申請時に必要な書類例は以下のとおりです。
【必要な書類】
- 住民票
- 年金証書
- 入居申込書
- 身元保証書
- 課税証明書
- 健康診断書
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- 健康保険証 など
施設によって上記以外の書類が必要な場合があるため、事前に確認をとりましょう。
申込書や身元保証書は希望先の施設で発行してもらえます。確定申告書は税務署、年金関連は年金事務所、その他の書類は役所などで、それぞれ取得可能です。
提出された書類をもとに、身体状態や生活状況を考慮したうえで入居の必要性が判断されます。
軽費老人ホームやケアハウスは入居条件が厳しい場合が多く、入居に至らないケースもあるでしょう。いざという時のために、並行して民間施設なども選択肢に入れておくと安心です。
必要な手続きは主に4つ
入居手続きには大きく分けて4つの工程があります。流れに沿って確認してみましょう。
入居までの流れは下記のとおりです。
【手続きの流れ】
- 申込書の提出
- 施設スタッフと面談
- 必要書類の提出
- 入居認定が出たら契約
事前に検索サイトや役所のサイトなどで、希望に合う施設をリサーチしておきましょう。施設紹介サービスなどを利用すると希望の条件に合う施設をピックアップしてもらえます。探し方がわからない場合は、地域包括支援センターや役所の担当窓口に問い合わせてみましょう。
希望の施設が見つかったら申込書を提出します。申込書は各施設に問い合わせて発行してもらいましょう。
その後、施設スタッフによる面談がおこなわれます。提出された書類をもとに本人の身体状態や生活環境などから入居可否の判断がされ、入居が決定された場合は契約後から利用できます。
この記事のポイント
- 軽費老人ホーム(ケアハウス)とはどんな施設?
主に60歳以上の自立生活に不安がある方で、さまざまな事情から家族によるサポートを受けられない方を対象としている施設です。
有料老人ホームなどの施設よりも安い料金で利用でき、施設によって運営方針・提供内容・入居条件に違いがあります。
詳しくは「軽費老人ホーム(ケアハウス)とは?」をご確認ください。
- 軽費老人ホームの入居条件は?
いずれの施設でも共同生活ができる方が対象ですが、タイプによって条件の詳細が異なります。
施設によっては夫婦での入居が可能で、どちらかが60歳以上で自立していれば対象となります。
詳しくは「軽費老人ホームの入居条件」をご確認ください。
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