ざっくり要約!
- 巾木が使用は壁と床の角部分で壁の最下部に線状で連続的に設置されるもの
- 巾木は壁材や床材の隙間対策、壁紙の剥がれ防止として使われる
住宅設計において、ゾーニング(部屋配置)や設備機器が重要視され、仕上げにおいては外壁や木造建具、クロスまでが選定対象になる中で、「巾木(はばき)」に対してこだわりを持つ施主は多くはなく、設計者任せにしてしまうケースもあるようです。
しかし、実際住んでみるとクロス、木造建具、カーテン、家具の調和の中で「巾木」の存在を感じ、もっとこだわりを持っておけばと後悔した方も多いのではないでしょうか。
この記事では、これから新築住宅をお考えの方やリフォーム/リノベーションで内装仕上げをお考え方向けに巾木について解説していきます。
記事サマリー
巾木とは?
幅木(はばき)と表記されるケースもありますが、ここでは省略文字の「巾木」で解説いたします。
巾木という部材が使用される場所は壁と床の角部分で壁の最下部です。そこに線状で連続的に設置されるものを示します。
居室・廊下・玄関などに使用されますが、唯一和室には使用されず、畳と壁の間に「畳寄せ」(たたみよせ)という部材を入れるのが一般的です。
一方で、壁と天井の角部分で壁の最上部に線状で連続的に設置されるものを「廻り縁」または「回り縁」(まわりぶち)と呼び、巾木とデザインを揃えるケースも多いです。
押入れ内部の壁と床の角部分は、巾木ではなく四角い棒状の木材(雑巾ずり)を設置することが一般的です。
巾木の種類とは?
巾木の種類として
- 木
- 軟らかい塩化ビニル樹脂(以下 ソフト巾木)
- プラスチック
- 金属(アルミ類)
- 石・タイル
などがあり、ここでは代表的な「木巾木」と「ソフト巾木」について解説します。
また、巾木の貼り方として
- 出巾木
- 入巾木
- 同面巾木
の3種類があります。
入巾木は壁面よりへこました施工法で、同面巾木は壁面と巾木面を揃えた施工法になりますが、手間とコストがかかる割にはデザイン性が薄いことから出巾木(巾木を壁面にそのまま設置する)の工法が主流になっています。
木巾木
木巾木は、木造建具や内装材のメーカーから販売されているケースが多いです。
施工は大工工事として取り扱うのが一般的です。
一般的寸法
高さ 3センチメートルから6センチメートル
厚み 4ミリメートルから9ミリメートル
一般価格
1本4メートルの定尺でセット売りされ、目安として1本あたり2,600円から4,500円程度です。
(メリット)
- 木質なのでフローリングと相性が良く高級感が増す
- デザインや色がフローリングや木製建具・木枠と合わせられ一体感が出る
- 衝撃に強く、壁の石膏ボードを守る役割を持つ
- 天井の廻り縁とデザインを合わせることで部屋のイメージが引き締まる
(デメリット)
- ソフト巾木に比べ価格が高く施工性が悪い
- 一部破損すると交換が大変である
- 出隅(角)のコーナー部分は専用部材が必要になる
- 厚みのある木巾木は上部にホコリが溜まりやすい
ソフト巾木
ソフト巾木は、クロスのメーカーから販売されているケースが多いです。
施工はクロス工事(内装工事)として取り扱うのが一般的です。
一般的寸法
高さ 4センチメートルから20センチメートル
厚み 1.5ミリメートルから3ミリメートル
一般価格
1枚3尺(約91センチメートル)の寸法で、25枚セットで販売され、目安として1枚あたり270円から340円程度です。
商品によっては長さ10メートルから50メートルほどの長尺巻物で販売しているケースもあります。
(メリット)
- 切り貼りがしやすく施工性が良い
- 部分補修も可能
- 壁紙の色に合わせた商品があり、巾木を目立ちにくくできる
- 出隅(角)のコーナーも曲げて貼ることも可能
- 単色だけでなく木目・石目調などのデザインもある
- 部屋のクロス色の違いに合わせてそれぞれ選択できる
(デメリット)
- 製品が薄いので強い衝撃で下地の石膏ボードに影響が出ることがある
- 経年変化で色が変色するケースがある
- 色が薄いソフト巾木は擦り傷など汚れが残りやすい
巾木の役割とは?
では、巾木は装飾材として実際必要なものでしょうか。
いくつか例にとってみましょう。
床材・壁材との隙間対策
木造住宅において、壁の施工と床の施工の順序は大工さんによって違います。
1. 壁先行
構造用合板の床下地上に壁の石膏ボードを乗せるように貼り、最後にフローリングを貼る
⇒フローリング先端に隙間が生じる
2. 床先行
壁は柱や筋交いの状態で、先に床のフローリングを仕上げ、壁の石膏ボードをフローリングに乗せるように貼る
⇒壁(石膏ボード)下部に隙間が生じる
どちらの工法においても微妙な隙間が生じるので巾木は隙間対策として有効です。
壁紙(クロス)が剥がれるのを防止
巾木は壁紙がはがれることを防止する役割もあります。
まず、施工手順として、壁紙は大工さんの内装工事の完了後 最終仕上げとして施工するやり方が一般的です。また、施工を担当するのはクロス職人さんが一般的です。
つまり、木巾木や廻り縁は大工工事として壁紙より先行施工され、クロスは木巾木と廻り縁の先端まで貼られます。
一方でソフト巾木の場合はクロス職人さんが施工することが多く、クロス貼りした後にソフト巾木を貼るので剥がれ防止としてお考えでしたら「ソフト巾木」をおすすめします。
ソフト巾木には「R付き」と「R無し」の形状があります。
出典:東リ 総合カタログ
R無しタイプはソフト巾木を先に施工し、後からフローリングを貼る場合に使用されますが、隙間隠しやクロス剥がれ防止のために使用されるのはR付きタイプとなります。
ここで、巾木がなくても良いケースもご紹介します。
1. 鉄筋コンクリート造で、壁が打ち放しコンクリート状態(クロスなし)の場合
割れやすい石膏ボードとは違い強固なコンクリートなので衝撃の心配をする必要がありません
2. 漆喰壁の場合
和室の壁に使用されることが多いので、巾木のイメージが合いません
巾木をおしゃれに活用するには?
巾木を無機質な仕上げではなくお洒落に活用するにはどのような手法があるか解説いたします。
壁紙(クロス)の色と合わせる
クロスの色と巾木の色を合わせるなら、ホワイトやアイボリーなどの選択肢があるソフト巾木を選ぶことをおすすめします。
色付きのクロスだとしても豊富な色のバリエーションがあるので、アクセントとして対比的な色を選択するのもありです。
薄い厚みで高さを最小のものを選ぶことで、存在感をなくす手法もお洒落な使い方の1つです。同色とすることでスッキリとしたイメージになるでしょう。
ただし、色が薄いほど掃除機のヘッドや移動する際の家具などがこすれた場合、線傷が入り目立つケースもあるので注意が必要です。
フローリングの色と合わせる
一住戸に使用されるフローリングの種類は基本的に1つですが、ロット(梱包)数に合わせて部屋ごとや廊下・階段だけ別の種類を選ばれるケースがあります。
フローリングの色とあわせることで、床の一体感が生まれます。
この場合は、木巾木を選びフローリングとの質感や色を合わせるとおしゃれになるでしょう。
また、天井と壁の角部分に設置する「廻り縁」も同じ材質・色を選ぶと、より高級感が生まれます。
だだしトイレなど面積の狭い空間では、木巾木と木廻り縁が強調されることで圧迫感を感じてしまうこともあります。
個性的なデザインの巾木を選ぶ
「その1」
巾木の高さには限界があるので、上に延長したようなデザインである「腰壁」と一体化することで壁のアクセントにすることが出来ます。
特に病院や福祉施設などでは、車いすのキャスター(前輪)やフットステップ(足を乗せる板)、ハンドリム(タイヤの外側の握る部分)などが壁に擦れたり、ぶつかった際の保護的役割になったりするので、戸建て住宅においても廊下の壁面をこのような仕上げにすると安心です。
「その2」
特に廊下において、夜間のトイレで移動する際 天井の照明を点けるのは明る過ぎて目が順応しないケースもあるので、巾木とled間接照明を組み合わせた手法 もおすすめです。
出典
屋内用間接照明器具|パナソニック
ディザインコマース |ツカサ
この記事のポイント
- 巾木とはなに?
巾木という部材が使用される場所は壁と床の角部分で壁の最下部です。そこに線状で連続的に設置され、居室・廊下・玄関などに使用されます。
詳しくは「巾木とは?」をご覧ください。
- 巾木はなんのために使われる?
・壁材や床材の隙間防止
壁先行・床先行どちらの工法においても微妙な隙間が生じるので巾木は隙間対策として有効です。・壁紙(クロス)の剥がれ止
施工手順として壁紙を貼るのはクロス職人さんが一般的で、大工さんの内装工事の完了後 に最終仕上げとして壁紙を施工するやり方が一般的です。
木巾木や廻り縁は大工工事として先行施工され、壁紙は木巾木と廻り縁の先端まで貼られます。詳しくは「巾木の役割とは?」をご覧ください。
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