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土地購入にかかる諸費用をまるっと理解!税金や手数料の疑問も解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 不動産の購入時には基本的に印紙税・登録免許税・不動産取得税といった税金がかかる
  • 不動産購入時には仲介手数料や登記費用、購入後はインフラ整備・解体費用などの諸費用がかかる

公益財団法人東日本不動産流通機構によると、首都圏における住宅用の土地(100~200平米)の購入費の平均額は下表の通りです。

都道府県平米単価(万円/平米)価格(万円)面積(平米)
東京都35.594,992140.26
埼玉県13.641,905139.67
千葉県11.401,742152.72
神奈川県18.202,633146.30
首都圏平均20.412,948144.44

出典:首都圏不動産流通市場の動向(2021年)|公益財団法人東日本不動産流通機構

土地の購入には土地代だけでなく諸費用も発生します。では、土地購入の諸費用には、具体的にどのようなものが発生するのでしょうか。
この記事では「土地購入の諸費用」について解説します。

土地購入時にかかる諸費用とは?

土地購入時にかかる各諸費用について解説します。

仲介手数料

不動産会社を通じて土地を購入する場合、仲介手数料が生じます。
仲介手数料は不動産会社が受領できる上限額が決まっていますが、上限額がそのまま相場となっていることが多いです。
仲介手数料の上限額は取引額に応じて決まっており、計算式は下表のようになっています。

取引額仲介手数料(別途消費税)
800万円以下一律30万円
800万円超取引額×3%+6万円

冒頭で紹介したように、首都圏における住宅の土地の平均価格は「2,948万円」です。
取引額が800万円超となるため、仲介手数料は約94万円(=2,948万円×3%+6万円※別途消費税)程度かかることになります。

登記のための司法書士手数料

土地を購入したときは、「所有権移転登記」を行います。また、住宅ローンを借りて抵当権を設定する場合には、「抵当権設定登記」も必要です。
抵当権とは、債権者(銀行のこと)がその担保物件から優先的に弁済を受けられる権利を指します。

登記手続きを司法書士に依頼する場合は、司法書士手数料が必要です。
司法書士手数料は、所有権移転登記が3~8万円程度、抵当権設定登記が3~6万円程度となります。

住宅ローン手数料や保証料など

土地購入時に住宅ローンを組んで購入する際は、住宅ローンの事務手数料や保証料も発生します。

事務手数料は、銀行によって金額の設定方法が異なります。
固定額で徴収する銀行は、「5~10万円」程度が相場です。
一方で、借入金額に一定料率を乗じて徴収する銀行では、「借入額の2.2%」が相場となっています。

保証料も、銀行によって金額の設定方法が異なります。
固定額で徴収する銀行は、融資金額にもよりますが土地だけなら30~60万円程度が相場です。
一方で、金利に上乗せして徴収する銀行では、「金利+0.2%」が相場となっています。

また、一部の銀行のフラット35では、土地購入時に住宅ローンを組めない銀行もあります。住宅ローンが組めない銀行の場合、つなぎ融資を利用することが一般的です。

つなぎ融資とは、住宅ローンが実行されるまでの間の「つなぎの融資」です。
土地購入時に住宅ローンが組めないタイプのものは、建物竣工時に住宅ローンが実行されます。
建物竣工時まで「つなぐ」という意味で、つなぎ融資と呼ばれています。

つなぎ融資は特殊なローンであり、住宅ローンが実行されるまでの間に元本返済は生じません。
元本は住宅ローンの実行時に一括返済することになりますが、住宅ローンが実行されるまでの期間の金利は生じます。

つなぎ融資は住宅ローンが確実に実行されることを前提に融資されることから、つなぎ融資の抵当権設定は行われないことが通常です。
その代りとして抵当権設定が行われないことから、つなぎ融資の金利は高く設定されています。
つなぎ融資の金利相場は2~4%程度とされています。

土地購入時にかかる税金とは?

土地購入時にかかる税金について解説します。

印紙税

土地の売買契約書とローンを借りる際の金銭消費貸借契約書は印紙を貼らなければいけない課税文書です。
そのため、売買契約書と金銭消費貸借契約書には印紙税が生じます。

印紙税は契約書に記載される金額によって、税金が規定されています。
契約書に記載する金額と税金の関係は下表の通りです。

契約書に記載する金額本則軽減税率※
1万円未満200円非課税
1万円以上10万円以下200円200円
10万円超50万円以下400円200円
50万円超100万円以下1,000円500円
100万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円超5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超1億円以下60,000円30,000円
1億円超5億円以下100,000円60,000円
5億円超10億円以下200,000円160,000円
10億円超50億円以下400,000円320,000円
50億円超600,000円480,000円
金額の記載のないもの200円200円

※2014年4月1日~2024年3月31日まで
出典:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

不動産の売買契約書の印紙に関しては、2024年3月31日までの契約であれば軽減税率が適用されます。
首都圏における住宅の土地の平均価格は「2,948万円」でしたので、土地の売買契約書の印紙は1万円となることが多いと思われます。

一方で、金銭消費貸借契約書の印紙は軽減税率が適用されず、本則の税金が課税されます。
例えば、土地の平均価格である「2,948万円」のうち8割をローンで組むとしたらローンの金額は約2,358万円です。
2,358万円の金銭消費貸借契約書の印紙は、本則が適用されて2万円となります。

登録免許税

登録免許税は、所有権移転登記と抵当権設定登記を行う際に生じる税金です。
登録免許税の計算式は以下の通りです。

所有権移転登記)
登録免許税 = 土地の固定資産税評価額 × 1.5%※

(抵当権の設定登記)
登録免許税 = 債権額 × 0.4%

※2023年3月31日まで

不動産取得税

不動産取得税とは、土地のような不動産を取得する際に課税される都道府県税です。
不動産取得税の基本的な計算式は、下記のとおりです。

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 3%※
※2024年3月31日まで

ただし、土地を取得した日から3年以内に、その土地の上に一定の要件を満たす新築住宅が建築された場合には軽減措置が適用されます。
一定の要件を満たす新築住宅とは、床面積が「50平米以上の240平米以下」となる住宅のことです。
一般的な戸建て住宅であれば、ほとんどこの面積要件に該当します。

軽減措置が適用された場合、以下のいずれか大きい方の金額が税金から控除されます。
控除額と軽減措置を適用した場合の土地の不動産取得税の求め方は以下の通りです。

(控除額)いずれか大きい方
・4.5万円
・土地1平米の評価額 × (1/2) × 住宅の床面積の2倍(200平米まで) × 3%

(土地の不動産取得税)
住宅の土地の不動産取得税 = 固定資産税評価額 × (1/2) × 3% - 上記の控除額

軽減措置が適用されると、土地の不動産取得税は課税されなくなるケースがほとんどとなっています。

固定資産税等の精算金

税金ではありませんが、土地の売買では売主との間で固定資産税と都市計画税(以下、固定資産税等)を精算することが一般的です。
固定資産税等の精算金とは、土地の引き渡し日以降の固定資産税等の負担を実質的に買主に移転するための調整金となります。

固定資産税等の納税義務者は1月1日時点の所有者です。
1月1日時点の所有者が売主であれば、売買が行われてもその年の固定資産税等の納税義務者は売主となります。

しかし引き渡し日以降の固定資産税等は買主が負担することが合理的です。
そのため、引き渡し日以降の固定資産税等を日割り計算したものを売主に支払うことで、固定資産税等の実質的な負担を買主へ移転するのです。

例えば、土地の固定資産税等が12万円の場合、引渡日が7月1日だとしたら、残り半年分の固定資産税等の6万円を買主が売主に支払うことになります。

一部資金贈与を受けた場合の特例手続き

2023年12月31日までに20歳以上の者がその直系尊属(父母やお祖父母のこと)である者からマイホームの取得に充てるための贈与を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税となる特例があります。

贈与年および非課税限度額は下表の通りです。

贈与年質の高い住宅一般の住宅
2022年1月1日~2023年12月31日1,000万円500万円

出典:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

特例を利用するには、手続きとして贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に税務署に申告手続きをすることが必要です。

建物を新築するために土地を取得した場合には、贈与を受けた年の翌年の3月15日の時点で建物が完成していることが原則となります。
ただし、例外として建築中の場合、建物が屋根を有し土地に定着した建造物と認められるときは特例の適用が認められるとされています。

消費税

土地の売買では消費税が生じません。ただし、仲介手数料や司法書士手数料といったサービス料には消費税が適用されます。

土地購入後にかかる諸費用とは?

土地購入後にかかる各費用について解説します。

水道・ガスなどのインフラ設備費用

水道の引き込み工事を行う場合は、「30~60万円」程度、ガスの引き込み工事が必要な場合には「15~25万円」程度が相場となります。
これらの費用は新築工事費に含まれていることが多いです。

古家の解体に必要な費用

購入した土地の上に古家がある場合、解体費用が必要となります。
一般的な規模の木造住宅の解体費用の相場は「150~180万円」程度です。
延床面積に対する坪単価の相場は、木造であれば「坪4~6万円」程度となっています。

なお、建物にアスベストが含まれていると、解体費が高騰します。
特に1975年以前に建てられた建物はアスベストを多く含んでいる可能性があり、解体費が高くなってしまうことがあります。

地盤改良に必要な費用

地盤改良費用とは、軟弱地盤の場合に支持力を得るための改良費のことです。
軟弱地盤の度合いにもよるため、地盤調査の結果によって金額も異なります。

硬い地盤で地盤改良の必要性がなければ、地盤改良費は発生しないです。
軟弱な地盤の深さが2m程度の場合には、表層改良が行われます。
軟弱な地盤の深さが2~8m程度となると、柱状改良が必要です。
軟弱な地盤の深さが5~10m程度となると、鋼管杭が適用されることもあります。

それぞれの金額の目安は下表の通りです。

工事の種類総額
地盤改良なしゼロ円
表層改良工法30~50万円程度
柱状改良工法50~80万円程度
鋼管杭工法100~180万円程度

測量費用

土地購入後に注文住宅を建てる場合、設計のために真北や高低差を測る現況測量費が発生することがあります。
現況測量費の相場は、「20~40万円」程度です。
また、境界が確定していない土地を購入した場合は、買主側で境界を確定するための測量費が生じるケースもあります。
境界確定の測量費の相場は、「40~80万円」程度です。
ただし、土地は境界が確定していることを条件として購入することが多いため、境界確定の測量は売主が負担することが一般的となっています。

土地購入の諸費用は整理しておくのがおすすめ

注文住宅を建てる場合、土地を購入したらすぐに建物を建てることが費用を抑える最大のポイントです。
不動産取得税の軽減やマイホーム取得のための贈与の特例等は、一定の期限内に建物を建てることで適用ができるためです。
また、つなぎ融資や住宅ローンの金利も竣工までの期間を短くすることで抑えることができます。

土地を先行して購入する場合には、どのような諸経費が掛かるかをあらかじめ整理し、購入後にすぐさま建物を建てるスケジュールにすることがポイントです。

この記事のポイント

土地購入時にかかる費用にはどんなものがある?

・仲介手数料
不動産会社を通じて土地を購入する場合、仲介手数料が生じます。

・登記のための司法書士手数料
土地を購入したら「所有権移転登記」を行い、住宅ローンを借りて抵当権を設定する場合には「抵当権設定登記」も必要です。
これらの登記手続きを司法書士に依頼する場合は、司法書士手数料が必要です。

・住宅ローン手数料や保証料など
土地購入時に住宅ローンを組んで購入する際は、住宅ローンの事務手数料や保証料も発生します。

詳しくは「土地購入時にかかる諸費用とは?」をご覧ください。

土地購入時にかかる税金はなに?

・印紙税
土地の売買契約書とローンを借りる際の金銭消費貸借契約書は印紙を貼らなければいけない課税文書です。そのため、売買契約書と金銭消費貸借契約書には印紙税が生じます。

・登録免許税
登録免許税は、所有権移転登記と抵当権設定登記を行う際に生じる税金です。

・不動産取得税
不動産取得税とは、土地のような不動産を取得する際に課税される都道府県税です。

・消費税
土地の売買では消費税が生じませんが、仲介手数料や司法書士手数料といったサービス料には消費税が適用されます。

詳しくは「土地購入時にかかる税金とは?」をご覧ください。

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