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住宅ローン控除の初年度はなにが必要?確定申告や申告方法について解説

執筆者プロフィール

海老原政子
ファイナンシャル・プランナー/住宅ローンアドバイザー

国内の生命保険会社にて生命保険募集人業務に携わるなかでライフプランの重要性に目覚め、生活者視点を活かしたFP業務を開始。千葉で、家計相談や執筆業務、個人・企業向けマネープランセミナーをおこなう。生命保険見直しや住宅ローンの借り換え、貯蓄ができない家計の体質改善アドバイスなど、わかりやすい情報提供が好評。

家を買った年は住宅の費用以外にも、引越しやカーテン・家具の購入などにもお金がかかります。少しでも手元にお金を取り戻すべく、住宅ローン控除の手続きは速やかに、かつ、滞りなく済ませたいもの。とはいえ家を買うのが初めての方にとっては手続きのハードルも高いと感じるでしょう。

今回記事では、住宅ローン控除の最新情報、初年度に行うべき手続きや必要な書類などをまとめています。家を買われた方はぜひ最後までご確認ください。

住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは

住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは、住宅ローンを組んで一定要件を満たす家を新築、購入または増改築した方を対象に、年末の住宅ローン残高×0.7%の金額を初年度から最長13年間税控除を受けられる(税金が還付される)制度です。

はじめに、控除期間で間違えやすい点に触れておきます。
そもそもの制度は控除期間が10年でしたが、消費税率が10%になる際の改正として13年に延長された経緯があります。そのため売主が個人でそもそも消費税がかからない取引においては、従前どおりの期間、10年のままであることにご注意ください。

あまり馴染みのない言葉ですので当記事では以後住宅ローン控除に統一しますが、正確には「住宅借入金等特別控除」と呼びます。

現行の住宅ローン控除は、家の性能「区分」と「居住年」によって、借入限度額および控除期間が定められており、2023年居住の場合、借入限度額は最大5,000万円、控除期間は13年間となります(新築増改築の場合)。

なお、住宅性能による区分が設けられたことにより、「一般の新築住宅」の場合、居住年が2024年になってしまうと建築確認のタイミングによっては住宅ローン控除の適用外となるケースがあり注意が必要です。

※以下の表は住宅を新築等した場合の借入限度額、控除期間等となります。

図表引用:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」

※以下の表は中古住宅を取得した場合の借入限度額、控除期間等となります。

図表引用:国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

初年度の住宅ローン控除に必要な手続き

住宅ローン控除は家を建てた住宅会社や仲介した不動産会社が手続きを取ってくれるものではありません。家を新築、購入、リフォームした年の翌年に本人が手続きをとる必要があります。
また、普段は年末調整だけ行っている会社員の方などは、初年度だけ確定申告をすれば、その翌年からは年末調整が可能です。

住宅ローン控除で避けられない確定申告

会社員の方が控除ときくと「控除証明書とともに年末調整をして手続きするもの」というイメージがあると思いますが、住宅ローン控除の初年度の手続きを年末調整で行うことはできません。確定申告が必要なのです。

確定申告とは

確定申告とは、分離課税分を除くさまざまな種類の所得から控除を差し引いて課税金額を計算し、課税金額に所定の税率(5%~45%)をかけて申告者本人のその年の所得税額を確定する手続きです(住民税申告も兼ねています)。

一般的に、確定申告は医療費控除のように納め過ぎた税金を取り戻すための手続きというイメージがあるかと思いますが、フリーランス(個人事業主)が確定申告をして所得税を税務署に納付する場合ももちろんあります。

多くの会社員は給与収入だけですので、勤め先で手続きする年末調整で所得税が確定されます。そのため確定申告は不要ですが、先に挙げた医療費控除などのように年末調整で手続きできないものもあります。住宅ローン控除の初年度手続きもやはり確定申告が必要です。

確定申告の時期と還付金

所得税には納付期限があるため申告期間も限られます。今年家を新築や購入した方、つまり2022年1月から12月分の確定申告(令和4年分)であれば、2023年2月16日(木)から3月15日(水)までですが、確定申告の時期が早ければ、それだけ還付金が早く受け取れます。早めの手続きがおすすめです。

マイホームは人生でもっとも高い買い物と言われますので、住宅ローン控除金額もそれなりの金額になります。
還付申告は、住宅ローンを借り入れた翌年の1月1日から5年間の申告期限内に手続きをすれば、還付が遅くはなりますが住宅ローン控除を受けることが可能です。遅くなってもしっかり手続きを行いましょう。

【例】控除金額の計算

住宅ローン控除の計算式は次の通りです。
住宅ローン控除金額=年末の住宅ローン残高×0.7%

仮に、認定長期優良住宅区分に該当する家を新築し年末の住宅ローン残高が4,500万円であったケースでは下記のような計算になります。

4,500万円×0.7%=31.5万円

つまり、額面年収が700万円台であれば、納めた所得税の大部分が還ってくる、そんなイメージでよいと思います(所得控除やふるさと納税の有無など考慮せず)。

徐々にローン残高は減っていきますが住宅ローン控除は13年続くため、住宅取得後の家計にとって大きな助けになります。初年度の手続きのハードルは高いかもしれませんがぜひ行ってみましょう。

確定申告の流れ

住宅ローン控除の確定申告には、たくさんの書類が必要です。
持ち家に関する資料は1カ所にまとめて保管するなど準備をしておきましょう。

確定申告で必要となる書類

住宅を新築、取得した場合の確定申告には次の書類が必要です。

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
連帯債務がある場合は「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要です。

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
借り入れた金融機関から送られてくるので大切に保管しておきます。

・家屋の登記事項証明書
床面積が50平方メートル以上(特例居住用家屋または特例認定住宅等の場合は、40平方メートル以上50平方メートル未満)であることを明らかにするため必要です。

・住宅の工事請負契約書の写しまたは売買契約書の写し
家屋の取得額を明らかにするため必要です。

・(土地の購入に係る住宅ローンについて控除を受ける場合)土地の売買契約書の写し及び土地の登記事項証明書
敷地の取得年月日や取得額を明らかにするために必要です。

・補助金等の交付を受けた方)市区町村からの補助金決定通知書
補助金額を明らかにするために必要です。

・(住宅取得等資金の贈与の特例を受けた方)贈与税の申告書
住宅取得等資金額を明らかにするため必要です。

(注)「登記事項証明書」については、計算明細書への「不動産番号」の記載または「登記事項証明書」の写しの添付に代えることができます。

上記に加え、認定住宅(認定長期優良住宅、低炭素建築物及び低炭素建築物とみなされる特定建築物)を新築、取得した方は次の書類も必要です。

【認定長期優良住宅/低炭素建築物の場合】

  • 都道府県・市区町村等の長期優良住宅建築等計画(または低炭素建築物新築等計画)の認定通知書の写し
  • 市区町村の住宅用家屋証明書(写し)、または建築士等の認定長期優良(または認定低炭素)住宅建築証明書

【低炭素建築物とみなされる特定建築物の場合】

  • 市区町村の住宅用家屋証明書

【ZEH水準省エネ住宅/省エネ基準適合住宅の場合】

  • 建築士等の住宅省エネルギー性能証明書又は登録住宅性能評価機関の建設住宅性能評価書の写し

住宅ローン控除で気をつけるべきポイント

2年目からは勤め先で年末調整ができるようになるため、手続き的にはかなりラクになりますが、引き続き必要な書類があります。

1つは税務署から届く「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」。
もう1つは、金融機関からと届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」です。
上記2つの書類を失くさぬよう十分ご注意ください。

また、「ふるさと納税」を多くおこなっているという方は要注意です。
住宅ローン控除もふるさと納税(寄附金控除)も、納めた所得税(住民税)以上の還付はあり得ません。ふるさと納税をしすぎることのないよう、家を新築、購入する年の寄付額を調整することを忘れないよう気を付けましょう。

この記事のポイント

住宅ローン控除をするときに必要な手続きは?

それぞれ住宅ローンを利用して家を新築、購入、リフォームした年の翌年に本人が手続きをして確定申告を行います。普段は年末調整しか行っていない会社員も確定申告の対象です。

詳しくは「初年度の住宅ローン控除に必要な手続き」をご覧ください。

住宅ローン控除で気をつけるべきことは?

会社員で年末調整をしている方は2年目以降、年末調整だけで問題ありませんが、引き続き下記2点の書類が必要です。

  • 「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」
  • 「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

詳しくは「住宅ローン控除で気をつけるべきポイント」をご覧ください。

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