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保護猫6匹と暮らす杉本彩さんと考える、動物たちと過ごす「理想の住まい」

憧れのライフスタイルを送る話題の人に、暮らしと住まいのこだわりをお聞きする本企画。今回は、女優、作家、ダンサーとして幅広く活躍する杉本彩さんにインタビュー。公益財団法人動物環境・福祉協会「Eva」の代表理事を務める杉本さんに、愛猫と暮らす京都のご自宅と、動物と過ごす「理想の住まい」について伺いました。

杉本彩さんプロフィール
1987年、東レ水着キャンペーンガールでデビュー。TV「ウリナリ」(NTV 系)に出演し、芸能人社交ダンス部メンバーとして多くの大会に出場、入賞を果たす。2004 年に公開された主演映画「花と蛇」の演技で邦画界に衝撃を与えた。そして狂気の愛を新たなるテーマとし、2005年「花と蛇 2 パリ/静子」では極限の愛の表現者として君臨。女優、作家、ダンサーとして幅広く活躍中。2010年「株式会社リベラルクリエーション」を設立、実業家としての顔も持つ。
<SNS情報>
Instagram Twitter Youtube「Aya sugimoto TV」
<information>
2023年11月~12月開催のミュージカル「クリスマス・キャロル」に3人の女役で出演中。
ミュージカル「クリスマス・キャロル」公式ホームページ

保護猫6匹と暮らす京都のマンション

女優、作家、ダンサーとして活躍する傍ら、公益財団法人動物環境・福祉協会「Eva」の代表理事として動物愛護・啓発活動などでも注目を集める杉本彩さん。

そんな杉本さんのご自宅には、現在保護猫が6匹。動物を最優先に考えた暮らしは、TVやメディアなどでもたびたび話題を呼んでいます。

大きな窓が開放的なリビング(杉本さん提供)

杉本さんのご自宅は、京都市内にあるマンションの最上階。京都市内を一望できる見晴らしの良い大きな窓と、広々とした明るいリビングが印象的です。

「現在の自宅には2011年ごろから住み始めました。間取りは3LDK+ウォークインクローゼット。130平米くらいの広さですね」

杉本さんは、京都市の祇園育ち。地元での家探しには、どんなこだわりがあったのでしょうか。

「実は、特に強いこだわりがなくて、“京都市内でいいところがあればいいな”というアバウトな感じでした(笑)。なので、本当に数軒しか内見をせず、入った瞬間の直感で決めたのがこの家だったんです」

運命的な出会いを果たした現在のご自宅に住み始めて、今年で12年。現在は6匹の猫と暮らしていますが、引越し当初は、さらにたくさんの動物たち(猫9匹、犬3匹)と暮らしていたそうです。

「一般的に考えると猫6匹って多い方だと思いますが、元々12匹の犬猫と暮らしていた私からすると、少なくて寂しいくらいなんですよ(笑)」と杉本さん。

リビングでリラックスして過ごす猫たち(杉本さん提供)

洗練された印象のご自宅の中には、猫の吐き戻しや粗相対策に、汚しても良いカーペットや洗いやすいマットを敷くなど、ところどころに動物と暮らすための細やかな工夫が見られ、杉本さんの動物愛を感じます。

見晴らしの良い窓と大きな収納がお気に入り

イタリア調の落ち着いたインテリアの中にビビットなビタミンカラーを取り入れた杉本さんのご自宅。明るくハッピーな空気感を纏う空間が広がります。

ご自宅からの景色(杉本さん提供)

なかでも、リビングの大きな窓は、杉本さんのお気に入り。

「京都は高い建物がないので、見晴らしのよい景色が魅力。京都市内を一望できるのが気に入っています」

シューズインクローゼット(杉本さん提供)

大きなシューズインクローゼットには、杉本さんのシューズコレクションがずらりと並び、まるで美術品のような美しいピンヒールも。

「若い頃からピンヒールの靴が好きで、コレクションのように集めていたんです。中には1年に数回しか履かないようなものもあるんですけどね」

しかし、最近では靴に対する想いも少し変わってきたようで。

「実はここ数年で、少しずつ靴の処分をはじめているんです。ドレスアップするシーンは、今もピンヒールを履くんですけど、普段はスニーカーやフラットシューズを合わせることが増えてきて。歳とともに好むものが変わったというか。より快適に生きていきたいなと思うようになりましたね(笑)」

その変化は、靴だけではなく、洋服やインテリアにも。

ウォークインクローゼット(杉本さん提供)

1部屋を丸々使った大きなウォークインクローゼットには、元々ドレスやダンス衣装、カバンなどたくさんの洋服がぎっしりと詰まっていましたが、最近はこちらも断捨離中。
「だんだん、物を持っていることに疲れてきちゃって(笑)」と杉本さん。本当に必要なものだけを近くに置く、ミニマムな暮らしが“今の気分”なのだと話します。

動物と暮らす上でのマイルール

長年、保護猫や保護犬との暮らしを続ける杉本さん。一緒に暮らしていく上では苦労も多いと思いますが、そのなかで幸せを感じるのはどんなときなのでしょうか。

「保護猫や保護犬は、迎えたばかりの頃はトラウマを抱えている子も多いので、最初はすごく大変ですし、忍耐力が必要です。

ただ、心を開いてくれたときには、過去の不幸や傷を微塵も感じさせないほど、本来の明るくてかわいい姿を取り戻してくれるんです。その徐々に変わっていくさまを近くで見守っていけるのは、この上ない幸せですね」

そんな杉本さんには、動物と暮らす上で決めている、大切なルールがあります。

彼らのペースを乱さないこと。そこは私が常に配慮している部分です。特に私のような仕事をしていると、生活リズムが不規則だったり、突然のロケで家を空けなくてはいけなくなってしまったりしますが、それでも私のスケジュールが彼らの生活に影響を及ぼさないように、万全の体制を整えています。

たとえば、私がいない間も動物たちがいつも通りの暮らしをできるように、家で動物たちを見てくれる、信頼できるシッターさんを確保したり。動物と暮らす上では、周りの体制をしっかり整えておくことが大切ですね」

「猫専用ルーム」を完備

動物中心の暮らしを送る杉本さんは、朝のルーティンも“動物最優先”。

「起きたらまずは猫のトイレ掃除からスタートします。そのあとは猫の食事の準備。それぞれに合ったごはんを与えています。

そのあとは、ブラッシングや点眼などそれぞれに必要なケアが続くので、自分のことは本当に後回し。気がついたら起きてから2時間くらいお水すら飲んでいない!なんていうこともよくありますよ(笑)」

杉本さん宅には、動物との暮らしを優先するからこその「こだわり」がたくさん。
なかでも驚かされるのが「猫専用ルーム」です。お部屋にはトイレやキャットタワー、出入り自由なケージなどが設置されており、猫たちはこのお部屋とリビングを行き来して過ごしているそう。

猫専用ルーム(杉本さん提供)

TVやメディアでは「人間よりも贅沢な暮らし!」と話題ですが、杉本さんは「動物にとって快適なのが、私にとっていちばん大切」とのこと。

ほかにも、爪研ぎをする猫に合わせて、ソファなどは猫の爪に強いタイプのカバーに張り替えをするなど、細かな工夫がちらほら。

清潔な環境でゆっくりくつろぐ猫たち(杉本さん提供)

また、「細やかな掃除」も、動物との暮らす上でのこだわりです(2018年には著書「ペットと暮らす掃除術 まいにち彩スタイル」(Town Mook)を出版)。

「動物と暮らす上で、お掃除は基本中の基本ですよね。動物がいるからニオイがあるとか、汚れるというのは、単なる言い訳。きちんと掃除をしていれば、全くニオイもしないしいつも綺麗に過ごせるんです。動物は私たちよりも低い位置で暮らしているので、床を綺麗にしておくのは必須。小さなお子さんがいる家庭とも近い感覚かもしれないですね」

動物たちの幸せと社会の健全化を目指して

代表理事として全国で講演、YouTubeやSNSでの発信など啓発活動を中心に活動し、国や自治体に政策提言も行う杉本さん。

保護活動を始めたのは20代半ばのころ、撮影の空き時間に出会った猫の存在だったといいます。

「子どもの頃から猫とずっと暮らし、東京に移ってからも2匹の猫と住んでいました。そんななか、病気で死にかけている猫と偶然出会って保護したんです」

その出来事をきっかけに、個人で保護活動を開始した杉本さん。当初は保護と譲渡を中心に活動していたものの、とある事件を機に啓発活動も行うようになったそう。

愛猫クロちゃんと(杉本さん提供)

「あるとき、広島県にあった犬の動物園のような施設が経営破綻し、多くの犬がクレートに閉じ込められたまま餓死や病気で死んでしまったという虐待事件がありました。それを報道で観て、いてもたってもいられず現地に向かったのです。それがきっかけで、ペットビジネスや法律の不備について問題視するようになり、“ただ救っているだけではダメなんだ”と思ったんです。そこから啓発活動の大切さを痛感し、積極的な発信や署名運動を行うようになりました。

動物虐待を許さない、動物の命を守れる社会を実現するためには、多くの声を集めもっと大きなムーブメントを起こすことが必要だと思い、2014年にEvaを立ち上げました」

Eva設立から9年。動物愛護についての報道や情報が増えてきた昨今ですが、うれしさもある反面、不安や怒りを感じる場面も多いと、杉本さんは話します。

「里親になりたい方や、寄付をしたいと言ってくださる方が増えたことはとても嬉しいことですが、みなさんに注意して欲しいこともあります。

動物愛護団体や愛護関連の法人が増えた今、お金儲けが目的の悪質な団体も増えていて。保護団体のネグレクトや暴力による虐待も当協会によく通報がきます。なかには、悪徳なペット事業者が自分たちの商売をうまく回していくために作った偽の愛護団体も存在します。動物たちを取り巻く色々な組織がとにかく複雑化していて、パッと見ではどこが良くてどこが悪いのかは判断できないんです。なので、ボランティアや寄付をする前には、その団体の活動内容や本質をしっかりと見極めてから行動することが大事です」
せっかくの善意が、悪いことに使われてしまっては本末転倒。正しく使われてこそ価値があるので、悪徳なビジネスに搾取されないよう、冷静で慎重な判断が大切なのだといいます。

愛猫月子(ツキコ)ちゃんと(杉本さん提供)

「社会の中で一番弱い存在は動物たちです。動物たちが幸せな社会は、人も幸せな社会ということ。動物の命や幸せを軽視しない、おもいやりある健全な社会を目指して活動していきたいですね」

学びと喜びを与えてくれる「動物との暮らし」

日々の保護活動や、動物たちとの暮らしで、さまざまな学びや喜びがあると話す杉本さん。動物との暮らしを豊かにする上での秘訣を教えていただきました。

「とにかく、寛容な気持ちでいることですね。たとえば、猫って身体能力がすごいじゃないですか。洋服を破られるとか穴があくとか、ソファがボロボロになるとか、そんなことは日常茶飯事。そういったことを、まぁ仕方ないかと思える寛容さが大事ですね。

動物との暮らしがなかったら、私はもっと神経質で傲慢な人間だったはず(笑)。日々、動物たちから教わることだらけですね」

さいごに、杉本さんにとって「理想の住まい」とは?

「“ここにいるのが一番幸せ”と思える、心地よい空間ですね。1日の終わりに食事をしながらお酒を飲むのが至福の時間なんです。

食卓にいると、いつも猫たちが集まってきて、晩酌に付き合ってくれるんですよ。お刺身などは、すぐ猫たちに食べられちゃうので、多めに買ってきて一緒に食べるのが定番です(笑)」

(写真:嶺倉崇/取材・文:辻 みを)

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