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日本家屋をリノベーション。自然に囲まれた葉山に桐島かれんさんが暮らす理由

憧れのライフスタイルを送る話題の人に、暮らしと住まいのこだわりをお聞きする本企画。今回登場いただくのは、モデルの桐島かれんさん。現在住んでいる葉山のご自宅は、元々別荘として使用していた古い日本家屋です。葉山の自然とたくさんの観葉植物に囲まれた暮らし、そしてかれんさんにとっての「理想の住まい」についてお聞きしました。

桐島かれんさんプロフィール
1964年生まれ。1986年に大手化粧品会社のイメージキャラクターに起用され、脚光を浴びる。以降モデルとして活動する傍ら、ファッションブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターも務める。夫は写真家の上田義彦氏。四児の母でもある。
<SNS情報>
Instagram Youtube「桐島かれん at Home “Karen Kirishima at Home”」

自然が多く、暮らしやすい葉山へ移住

かれんさんの現在のお住まいは、元々別荘として使用していた日本家屋。長いこと都会暮らしだったというかれんさんが、なぜ葉山を選んだのでしょうか。

「葉山は自然が多く、“ほどよい田舎”で子育てもしやすい環境です。電車で東京まで1時間程度なのも便利ですよね。一方、東京に比べて夏は涼しく、冬は暖かい。アスファルトに囲まれておらず、海風があるので過ごしやすい場所です。

引越しが大好きなので、これまで何度も住まいを変えているのですが、写真家である夫の仕事の都合上、基本的に生活の拠点は東京でした。なので、最初は別荘として使用していたのです」

しかし、お子様の成長とともに、家族で別荘に行く機会も減り、「一度この家にしっかりと住んであげたい」と思い、生活の拠点にすることを決意したそうです。

「海沿いの立地なので、住んでいないと家がどんどん傷むんです。コロナ禍をきっかけに様々なことがオンラインでできると気付いたのと、子育ても終わったので『子どもたちの学校の近くに住む』などの制限もなくなりました。今は利便性を追求しなくても、心地よさを優先して暮らしても良いかなと感じて、葉山に引っ越しました」

築100年越えの日本家屋をリノベーション

実は、ご自宅の母屋は築100年以上の日本家屋。これまで新築にも住んできたからこそ「古い家が好き」だといいます。

母屋からお庭を眺めた景色。敷地が広く、プライバシーを気にしなくていいのも東京暮らしとは異なるそう。

「母屋に関しては、私たちよりも前に住んでいた方が京都から移築した家なので、いつの時代のものか正確なところはわかっていません。一階部分は太い梁が印象的な田舎造りですが、二階部分は繊細な数寄屋造りとなっています。
今の時代なら、約3ヵ月ほどで新築住宅が建てられますが、当時はこういった一軒家を建てるために5年もかかることも。その分、随所に職人さんの腕が光る贅沢な作りをしているのです。そんな元々の『良さ』を失わないよう、京都から宮大工さんに来ていただいてリノベーションをしました。

家づくりって、建てることがゴールだと思いがちですが、そこがスタートなんです。自分らしくどうアレンジしていくかという発想で、メンテナンスをしていくことが大切だと思っています」

お気に入りが詰まった、和洋折衷空間

そんなこだわりのご自宅の中でも、特にお気に入りなのが、キッチンとダイ二ングです。

キッチン側から見たダイニング空間。

「キッチンとダイニングは光が良く入り、家族が集まる場所です。私の好みに合わせてリノベーションをしました。元々3つあった小部屋の天井を抜いて繋げ、床を大好きな市松模様の大理石に。梁を使ったり、暖炉を作ったり、母屋に合わせて古き良き雰囲気にしています」

「実はシステムキッチンなので、使い勝手は抜群。家の雰囲気に合わせ、アンティーク風に見せる工夫をしています。例えば、吊り戸棚にはバリ島の手彫り細工が施された木のパネルを組み込み、あえて段差を作りました」

システムキッチンの上から木の扉を付け、アンティーク風に。

家自体は和風なのにどこか洋風な雰囲気も漂うキッチン。家具選びのコツも伺いました。

「家具に関しては日本家屋ということをあまり気にせず、ライフスタイルにあったものを選ぶようにしています。特に、夫が好きな北欧ヴィンテージを中心に世界中から集めています」

ミャンマーのキオスクで使われていた店舗用陳列棚を食器棚として活用。アンティークのカップなど、よく使う食器類が“見せる収納”で飾られています。

また、キッチンからつづくお風呂場にもこだわりが。

「洗面所とお風呂場も和洋折衷な造りにしています。猫足のバスタブにタイル張りの空間ですが、窓はあえてヴィンテージな雰囲気に。元は畳部屋だったんですよ」

お手入れも楽しみながら、緑と暮らす

そして、キッチンから望む広いお庭もお気に入りの場所。

キッチンから一望できる葉山の海。
「昼間は海水浴をしている子どもたちの声が聞こえて、夜になると手持ち花火をしている音が聞こえます。風情を感じるロケーションです」

「基本的には日本庭園で、管理がしやすいように丈夫な植物を中心に育てています。元々あった藤棚に加え、私たち家族が好きな椿や紫陽花を足しました。

庭師さんに来ていただくのは、年4回ほど。木の剪定から花壇のお手入れまで、自分で行っています。作業着を着ているので、近所の方にお会いしても、誰も私だと気づかないくらいです(笑)」

さらに、お部屋の随所にはこだわりの観葉植物も。

生後4ヵ月の愛犬が葉を噛まないよう、キッチンには背が高い観葉植物が並びます。

「観葉植物は、コロナ禍で始めた趣味です。生きているものがお部屋にあるだけで、雰囲気が大きく変わりますよね? インテリアのポイントとして定番からマニアックなものまで集めました」

「ただ、選ぶ時は見た目だけでなく、お部屋の環境にあった育てやすいものを選ぶことが大切です。もし初めて観葉植物を育てるのなら、ある程度丈夫なモンステラやサンスベリアなどから始めると良いと思います」

観葉植物を日本家屋で育てるからこその気遣いもあるといいます。

「観葉植物はトロピカルプランツなので、和のテイストとはマッチしないものもありますし、隙間風があり日当たりも控えめな日本家屋は、ベストな生育環境とは言えないかもしれません。なので、基本的に光が当たる縁側に置いて、丁寧に面倒を見ています。

植物にはそれぞれ個性があるので、その性質をきちんと見極めることと、日々の変化に気付くことが大切です。私も、家にある観葉植物の状態は毎日チェックしてお手入れしています」

住まいは、便利さよりも「美しさ」を優先

日本家屋ならではの美しい四季の楽しみ方も教えていただきました。

「夏には襖を簾がはめ込まれた、簾戸(すど)に変えて、風が通るようにしたり、お座敷も畳ではなく網代にしたり。光と風を上手く取り込み、自然とうまく共生しています。クーラーをつけなくても酷暑を乗り越えられていますし、冬の寒さは襖をうまく利用することで温かさと光をコントロールしています。日本の古い家屋には、日本の風土にあった知恵が散りばめられているんです」

古き良きものを活かしながら、自分の暮らしやすさを追求する生活。誰しもが憧れる、まさに理想の住まいだと感じます。

「とは言え、暮らしやすさでいうと、正直新築には劣ります(笑)。例えば、流行りのソーラーパネルなどを取り入れた方が経済的だし便利だとは思います。でも、合理性や利便性とその美観は比例しないこともあり。そんな時は少し我慢をしたとしても、私は美しさを優先したいですね」

「理想」を追い求め、柔軟に住まいを変えていきたい

こだわり抜かれたご自宅ですが、意外にも「ずっと住むとは限らない」と考えているそうです。

「年齢やライフスタイルによって『理想の住まい』も変わるので、常に『今の理想』を追い求め、これまで何度も引越しをしてきました。

実際、かつての私だったら東京以外で暮らすことは考えられなかったですが、コロナを経て植物に興味を持ち、都会にこだわらなくなったから今の暮らしがあります。もしかしたらまた私の中の『理想』が変わって、来年引っ越しているかもしれません。人生の節目によって家に求める役割も変わるので、住む場所は柔軟であっていいと考えています」

だからこそ、物件情報を見ることが大好きだというかれんさん。

「今でも新築から中古まで、よくチェックしては間取りからどんな暮らしができるか想像を膨らませています。諦めずにその都度一番いい状態を求め続け、実現することこそが、理想の暮らしだと思います」

(写真:湯本浩貴/取材・文:菱山恵巳子)

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