マンションの資産価値を高く保つためには、メンテナンスを適切に実施していくことが大切です。一戸建てと異なり、マンションは管理組合が主体となってメンテナンスを実施していくことになります。
一方で、入居者が自分でメンテナンスしていかなければならない点もある点に注意が必要です。
本記事では、費用面や寿命、建て替えなど、マンションのメンテナンスに関して解説していきます。
記事サマリー
マンションの寿命はどのくらい?
構造が鉄筋コンクリートで構成されるマンションは長く住めるイメージを持っていらっしゃる方も多いでしょう。実際のところ、マンションの寿命はどのくらいなのでしょうか?
メンテナンスを継続すれば100年以上維持できる
マンションの寿命について、まず鉄筋コンクリート造(以下RC造)の建物は法定耐用年数が70年(居住用)とされています。とはいえ、税金の算出などに用いるため、法定耐用年数はあくまでも法律で定められたものです。
なお、法定耐用年数以外に、経済的にどのくらいの価値があるかを示すものを経済的耐用年数といい、ローンの審査などに用いられます。
例えば、不動産投資などでローンを組む際には、築年数が法定耐用年数を過ぎていても、金融機関の担当者が経済的耐用年数を算出して融資してくれるケースもあるのです。
物理的耐用年数とは、物理的にどのくらい住み続けられるかを示すものだと考えるとよいでしょう。
コンクリートは良好な条件であれば100年以上持つとされており、そのほかの部分、例えば配管や各種設備などを適切にメンテナンスしていけば、マンションに100年以上住むことも可能と考えることができます。
マンション設備は20~30年で交換が必要
上記通り、居住用でRC造マンションの法定耐用年数は70年ですが、マンション内の各種設備はおおよそ20~30年ごとに交換していかなければなりません。
計画を立てて定期的に交換を実施していくことで、快適に生活していけるだけでなく、マンションそのもの寿命を延ばすことにもつながるでしょう。
最終的にマンションの建て替えはなされないことが多い
マンションは築年数が古くなると設備が古くなり、修繕に必要な費用が大きくなってしまうことから、建て替えを検討することもできます。
しかし、国土交通省のデータによると、2019年4月時点で約19,200戸のマンションの内、マンション建て替えが行われたのはわずか244件とかなり少なくなっています。
これは、マンションの建て替えには多額の費用が必要であり、建て替えを実施するのに必要な、管理組合による議決権の5分の4以上の賛成を得ることが難しいといったことが理由として考えられるでしょう。
なお、2019年時点で築年数40年超のマンションは約81.4万戸あり、10年後には197.8万に増えることが予想されています。
こうした状況から、上記建て替えに必要な決議要件の緩和を検討する議論も始まっています。
マンションのメンテナンス費用
マンションに長く住み続けるには定期的にメンテナンスしていくことが大切です。
しかし、メンテナンスするのにもお金がかかります。ここでは、マンションのメンテナンス費用が具体的にどのくらいかかるのか見ていきましょう。
共用部分は管理組合が行う
マンションのメンテナンス費用の内、共用部分、例えば廊下やエントランス、ロビーなどは管理組合がメンテナンスすることになります。
修繕積立金は築年数によって異なる
共用部分のメンテナンス費用については、管理組合が負担しますが、そのための費用は入居者全員で構成される管理組合に修繕積立金を支払って積み立てていくことになります。
修繕積立金は、毎月支払わなければなりません。具体的には管理組合により話し合いで決定されますが、その額については、築年数の浅いうちは安く、築年数が古くなるほど高くなっていくのが一般的です。
大規模修繕は20~30年で実施される
修繕積立金では、もちろん小さな修繕も実施していきますが、大規模修繕で多額の費用が使われる点に注意が必要です。
大規模修繕は20~30年に1回実施されるもので、実施する際には管理組合により、議決権の4分の3以上の票数が必要になります。なお、管理組合における議決権は原則として各区分所有者の専有面積の割合で決められます。
ちなみに、修繕積立金がどの程度積み立てられているか、また大規模修繕でどのくらいの費用が必要になるかは、管理組合の管理状況やメンテナンスの程度などにより変動します。
場合によっては、費用が不足するケースもある点に注意しなければなりません。その場合、通常の修繕積立金とは別に臨時で徴収されるのです。
長期修繕計画を確認する
修繕積立金をどのように積み立てていくかについては、管理組合による長期修繕計画で定められます。この長期修繕計画は新築時に定められ、管理組合により途中で変更することも可能です。
特に、マンション新築時は、マンション価格が高くなりやすく、毎月返済額が高くなりすぎないよう、修繕積立金が比較的安くなるよう調整されることが少なくありません。
入居者としては修繕積立金が少ないことはありがたいことですが、必要な修繕費用に対して修繕積立金の額が少ないと感じる場合には、変更を検討していくことも大事なことでしょう。自分一人で変えることはできないため、管理組合で話し合っていくことになります。
専有部分のメンテナンス費用は必要に応じて自己負担で行う
共用部分のメンテナンスは管理組合により行われますが、一方で居室内など専有部分のメンテナンス費用はどうなるのでしょうか。
この点、専有部分のメンテナンス費用が入居者の負担になるか、管理組合の負担になるかについては、メンテナンス箇所やマンションの管理規約によって異なります。
専有部分と共用部分の区分けは?
専有部分と共用部分の区分けがどうなっているかご存じでしょうか。廊下やエントランス、ロビーが共用部分なのは何となく理解できると思いますが、実は以下のような部分も共用部分なのです。
- インターホン
- バルコニー
- 窓ガラス
- 給水配管
ただし、マンションの管理規約により異なる場合もあります。
特にバルコニーなど入居者が自由に使っていい場所と思ってしまいがちですが、共用部分のため、容易に動かせない物置など設置できない決まりになっています。
また、窓ガラスについても勝手に断熱性の高い窓ガラスにリフォームするといったことはできません。
お住まいのマンションや、これから購入を検討されているマンションがある場合には、どこまでが専有部分で、どこからが共用部分になっているのか確認しておくことが大切です。
自己負担が多い箇所
さて、自己負担が多い箇所についてですが、もちろん、専有部分である自分の居室をリフォームするようなケースでは、自己負担になります。
一方、先ほどお伝えしたバルコニーのように、共用部分でありながら専有部分のように使える箇所を専用使用部分と呼びますが、こうした場所のメンテナンスが自己負担になるか、管理組合負担になるかについては、管理規約次第です。
管理規約でよく見られるのは「通常の使用に伴う」メンテナンスの場合は区分所有者が負担するというもの。
この場合、もちろん自分の不注意や過失で補修が必要になった分については自分で負担する必要がありますが、それ以外でも通常使用して劣化した分についても自己負担となります。
管理組合負担が多い箇所
管理組合負担となるのは、共用部分の瑕疵や災害を原因とする劣化、破損したケースです。この辺りの判断は難しいものがありますが、都度管理組合に相談しながら進めていくのがよいでしょう。
そのほか、配管については、部屋から一定程度の距離までが専有配管、その先が共用配管となっています。マンション内で漏水が起こった場合、その漏水の原因が専有配管だった場合は専有部分の所有者に賠償責任があり、共用部分だった場合には管理組合に賠償責任があります。
ただし、調査の結果どちらが原因かは分からない場合には共用部分が原因とみなし、管理組合の負担とすることが、区分所有法により定められている点を覚えておきましょう。
マンションのメンテナンスで入居者が担当する箇所など事前にしっかり確認しておこう
マンションのメンテナンスについてお伝えしました。マンションのメンテナンスは管理組合による部分が多いため、管理組合でどのような修繕計画が立てられているかを確認することが大切です。
また、メンテナンス箇所によっては、規約により入居者負担となるものと管理組合負担となるものが異なることもあるため、管理規約を事前にしっかり調べておくようにしましょう。
この記事のポイント
- マンションの寿命はどのくらい?
鉄筋コンクリート造の場合、法定耐用年数は70年(居住用)となっています。これは、税金の算出などに用いる法律で定められた年数です。
物理的にどのくらい住み続けられるかを示す物理的耐用年数の視点で見てみると、中には100年以上持つマンションもあります。詳しくは「マンションの寿命はどのくらい?」をご確認ください。
- 寿命が長いマンションの見極め方は?
コンクリートは良好な条件で、配管や各種設備などを適切にメンテナンスしているマンションであれば、100年以上持ち、住み続けられるとされています。
詳しくは「マンションの寿命はどのくらい?」をご確認ください。
自宅や職場にいながらオンラインでご相談
電話やビデオ通話を使ってご自宅にいながら相談できます。
東急リバブルのオンライン相談