「老人ホームの利用を考えているけれど、種類が多くてどこを利用すれば良いかわからない」という悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
たしかに老人ホームと一口にいっても、特徴や費用、入居条件などはさまざまです。
今回の記事では、老人ホームを選ぶポイントを施設ごとに解説します。あわせて、入居するまでの流れも紹介しますので、老人ホームの利用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
老人ホームは高齢者向けの住まいと医療介護サービスを提供する施設
老人ホームは簡単に説明すると、高齢者向けの住まいとサービスを提供する施設です。ただし、施設ごとに目的が異なり、対象者などによって複数の種類に分けられています。
例えば、有料老人ホームの一つである「介護老人福祉施設」は、原則65歳以上で常時介護を必要とする方の養護が目的です。
一方で、「認知症高齢者グループホーム」は、認知症高齢者のために機能訓練や生活の世話を行う、共同生活空間の提供を目的としています。
このように、老人ホームはそれぞれの特徴や目的、サービス内容が異なるため、利用者に最適な老人ホームを選ぶ必要があります。
老人ホームを選ぶポイント
老人ホームは、どの施設も無条件に入居できるわけではありません。大前提として、老人ホームごとに入居するための条件があることを知っておきましょう。
入居条件には、要介護度や入居者の年齢、必要なサービスなどがあります。老人ホームを選ぶ際には、入居者が老人ホームに入居できる条件を満たしているかを確認してください。
老人ホームを選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
- 受け入れ可能な要介護度
- 費用
- 提供されるサービス
- 入居エリア
- 設備
同じ形態の老人ホームでも、施設によって受けられるサービスや設備が異なります。老人ホームは入居者の生活の場となるため、入居前にしっかりと確認しておきましょう。
また、老人ホームは、運営主体によって大きく2つに分類できます。それが、国や地方自治体、社会・医療法人が運営する「公的施設」と民間企業が運営する「民間施設」です。
以下の章で、それぞれに該当する施設の種類を説明していきます。
国や地方自治体、社会・医療法人が運営する「公的施設」
公的施設は、地方公共団体や社会福祉法人、都道府県知事などの許可を得た団体が運営しています。公的施設に分類される老人ホームは、以下の5つの施設です。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
これらの施設の特徴を解説していきます。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
介護老人福祉施設は「特別養護老人ホーム」とも呼ばれ、介護保険制度における要介護認定で、要介護と認定された高齢者のための生活施設です。
食事、入浴、排泄などの日常生活における介護サービスや、身体機能の維持・改善を目的に行う機能訓練が提供されています。
また、入居者の健康管理や療養上の世話も提供するサービスの一つです。
介護老人福祉施設を利用できるのは65歳以上の要介護度3~5の方に限られ、原則、この条件に当てはまらない方は入居できません。
しかし、一部特例として、要介護1~2の方も入居できます。この特例とは、認知症や単身世帯などやむを得ない事情があり、介護老人福祉施設以外での生活が困難であると認められた場合です。
要介護度の高い方を対象としていることから、提供されるサービスも身の回りのお世話が中心となります。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、要介護高齢者の方を対象にリハビリテーションや医療・介護サービスを提供し、自宅への復帰を目指す施設です。長期間、介護老人保健施設で生活を送ることを目的とはしていないため、介護老人保健施設の入所期間は原則3ヵ月とされています。
しかしながら、3ヵ月で在宅へ復帰できず、入居期間が延長される方もいることから、2019年の厚生労働省の調査では平均在所日数が309.7日となっています。
在宅復帰に向けてリハビリテーションが提供されるため、施設には理学療法士や作業療法士などのリハビリ職が配置されています。
介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、医療が必要な要介護高齢者の長期療養を目的とした施設です。病院や診療所などで提供される医療ケアに加えて、介護や機能訓練などが提供されます。
現行の介護療養型医療施設は2023年度末までに完全に廃止される予定にあり、介護療養型医療施設の役割は、2018年に新設された「介護医療院」が担います。
介護医療院のおもな機能は、要介護者に対して日常生活上の世話と長期療養のための医療を提供することです。
養護老人ホーム
養護老人ホームは、環境上または経済的に苦しんでいる65歳以上の高齢者を対象とした施設です。
入所者を養護して、自立した生活や社会的活動への参加を実現するために必要な指導・訓練、そのほかの援助を行います。
なお、養護老人ホームへ入所するためには、市区町村長の決定を受けなければなりません。
軽費老人ホーム
軽費老人ホームは、自立した日常生活を送ることが困難な低所得高齢者のための住居です。無料または低額な料金で、食事や入浴の準備、日常生活上必要なサービスなどの提供を受けられます。
軽費老人ホームには以下、複数の種類があります。
- 軽費老人ホームA型
- 軽費老人ホームB型
- ケアハウス(軽費老人ホーム)
- ケアハウス(特定施設入居者生活介護)
- 都市型軽費老人ホーム
それぞれサービス内容や対象となる方が異なるため、軽費老人ホームを選ぶ際には各施設の特徴を確認しましょう。
民間企業が運営する「民間施設」
民間施設は、営利法人といった民間企業が運営する老人ホームです。民間施設に分類される老人ホームには、以下の施設があります。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、福祉サービスを提供する高齢者向けの住宅で、おもに安否確認サービスと生活相談サービスが受けられます。これらのサービス以外には、施設によって清掃・洗濯などの家事援助や食事の提供を受けることが可能です。
入居対象者は、60歳以上または要介護・要支援認定を受けている60歳未満のいずれかに該当する、単身・夫婦世帯です。排泄や入浴介助などの介護サービス提供の有無は各住宅によって異なるため、必要に応じて自身で外部のサービスを利用しなければなりません。
国土交通省が2020年に公表した「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」によると、入居者の年齢割合は全体の約9割が75歳以上となり、要介護度別で見ると要介護1~2が全体の約4割を占めています。
有料老人ホーム
有料老人ホームは、以下のいずれかのサービスを提供する高齢者向け施設です。
- 食事、入浴、排泄の介護
- 食事の提供
- 洗濯や掃除などの家事
- 健康管理
有料老人ホームは施設の目的や提供されるサービスによって、さらに以下の3つに分類されます。
有料老人ホームの種類 | 特徴 |
---|---|
介護付き有料老人ホーム | ・介護などのサービスが提供され、介護が必要な方が居住する |
住宅型有料老人ホーム | ・生活支援などのサービスが提供され、家事の介助や社会参加支援などで生活できる方が居住する ・介護が必要になったら、外部サービスを契約しなければならない |
健康型有料老人ホーム | ・食事や家事サポートなどのサービスが提供され、身の回りのことは自分でできる方が居住する ・介護が必要となったら、退去しなければならない |
有料老人ホームは基本となるサービスに加え、目的やサービス内容でさらに分類されています。入居者の状態に合った施設を選びましょう。
認知症高齢者グループホーム
認知症高齢者グループホームは、認知症高齢者のための共同生活住居です。認知症の方が共同で生活して、家庭的な環境と地域住民との関わりのなかで日常生活を送ります。
入浴や排泄、食事などの生活上の介護を行いますが、入居者の能力に応じて自立を促していくことが特徴です。
認知症の方は、不特定多数の人がいる環境が得意ではないため、入居人数は1ユニット5~9人程度となっています。
老人ホームに入居するまでの流れ
老人ホームへの入居を考えたら、まずは入居を希望する老人ホームの情報を集めましょう。資料請求や見学などを申し込んで、実際の老人ホームの雰囲気や施設の内装など、生活している様子を確認しておくことが重要です。
入居したい老人ホームが決まったら、申し込みを行います。多くの場合、申し込みの際には、健康診断書や診療情報提供書、介護保険被保険者証などの書類を求められます。書類が手元に届くまでに時間がかかることもあるため、早めに準備しておきましょう。
また、申し込みから入居までは1~2ヵ月程度かかることが多く、人気の老人ホームであれば空きが出るまで待たなければなりません。そのため、老人ホームは期間に余裕を持って探すのがおすすめです。
申し込みが完了したら、施設職員の方との面談や入居審査が行われます。利用者の健康状態や経済状況などについて確認し、問題がなければ本契約です。
以上が老人ホームに入居するまでの一般的な流れです。
希望する老人ホームを探すことはもちろん、申し込みや必要書類の準備など求められることが多く、利用者やご家族だけで行うのはなかなか大変なことです。
利用者やご家族だけで施設を選ぶのが難しい場合には、ケアマネジャーや役所の担当者、地域包括支援センターなどに相談してみると良いでしょう。
老人ホームの種類を理解して最適な施設を選びましょう
今回は老人ホームの種類やそれぞれの特徴、選ぶポイントなどを紹介しました。
老人ホームは大きく「公的施設」と「民間施設」の2種類に分かれ、さらに目的や提供するサービス内容によっても分けられます。
老人ホームは入居者の生活の場となるため、入居者に適した老人ホームを選ぶことが大切です。今回の記事を参考に、それぞれの老人ホームの特徴を理解して、最適な施設を選びましょう。
この記事のポイント
- 老人ホームを選ぶポイントとは?
老人ホームを選ぶポイントは以下の通りです。
- 受け入れ可能な要介護度
- 費用
- 提供されるサービス
- 入居エリア
- 設備
詳しくは「老人ホームを選ぶポイント」をご確認ください。
- 入居するまでの流れとは?
まずは入居を希望する老人ホームの情報を集めましょう。実際の雰囲気や施設の内装など、生活している様子を確認しておくことが重要です。
詳しくは「老人ホームに入居するまでの流れ」をご確認ください。
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