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内水氾濫とは?外水氾濫との違いや事前にできる対策、避難時の持ち物も解説

毎年のように起こる大雨による災害。河川が近くにないから問題ないというわけではありません。河川がない地域や都心でも、排水が原因となる内水氾濫が起こるケースも増えています。

内水氾濫がどのような地域で起こりやすいのかを理解しておくと、慌てずに対応できます。さらに、避難経路や持ち物を事前に確認しておけば、いざという時も安心です。

本記事では内水氾濫の特徴や外水氾濫との違いから、事前の対策などをわかりやすく解説していきます。

内水氾濫(内水)と外水氾濫(洪水)の違い

梅雨期の大雨や台風などにより、様々な水害が発生します。その水害の一つに、河川の氾濫などが挙げられますが、実は氾濫は、「内水氾濫」と「外水氾濫」の大きく2つに分類されます。

内水氾濫(内水)とは

内水氾濫とは、大量の雨に対して排水機能が追い付かずに、処理しきれない雨水で土地や建物が水に浸かってしまう現象のことです。浸水害とも呼ばれ、特に市街地などで発生する傾向にあります。

内水氾濫は、大きく次の2つに分かれます。

  • 氾濫型の内水氾濫
  • 湛水(たんすい)型の内水氾濫

氾濫型の内水氾濫とは、側溝や排水路などの排水機能が河川の増水や大量の雨水に耐え切れず、少しずつ浸水していくことをいいます。

氾濫型の内水氾濫は、河川の有無にかかわらず発生するため、河川がない地域でも注意が必要です。

それに対し、河川の水が排水路などを逆流して起きるのが湛水型の内水氾濫です。

湛水型の内水氾濫では、河川の水位が高くなる場合に発生しやすく、近年では2019年の多摩川の氾濫がこれに該当します。

外水氾濫(洪水)とは

一般的に「氾濫」といってイメージするのが、外水氾濫でしょう。外水氾濫とは、大量の雨による河川の氾濫や堤防の決壊で、市街地に水が流れ込む現象のことをいいます。

短時間で勢いよく大量の水が市街地に流れ込むため、内水氾濫よりも被害が大きくなる傾向にあります。住宅の倒壊や自動車が流される、人が巻き込まれるなどの被害が起こる可能性が高くなるのです。

特に、河川に近いエリアでは被害が深刻化し、また復旧にも多くの時間が掛かります。

一方、内水氾濫はあふれ出した水にゆっくりと浸かっていくのが一般的です。建物の浸水被害はありますが、建物の倒壊や人的被害の危険性は外水氾濫に比べると小さいといえるでしょう。

河川の増水が原因となって起こる外水氾濫に対し、内水氾濫は排水機能の不全が原因という違いがあります。そのため、外水氾濫は河川地域に住む場合に警戒が必要ですが、内水氾濫は河川の有無にかかわらずに大雨の際には警戒しなければならないのです。

内水氾濫が起こりやすい地域の特徴

内水氾濫の起こりやすい地域には、次のような特徴があります。

  • 地下室や地下街
  • 標高が低く、体積の小さいエリア
  • 谷のようにくぼんでいる地域
  • アスファルトで舗装されている都市部

内水氾濫は、標高が低い地域ほど起こりやすいという特徴があります。なぜなら、雨水が流れ込みやすく排水処理が追い付かない可能性が高くなるためです。そのため、谷のようにくぼんでいる地域や地下室や地下街・地下道などは内水氾濫が起こりやすいといえます。

また、アスファルトで塗装されている地面は、土の地面よりも水が浸透しにくいものです。特に都市部では、ほとんどの道路がコンクリートやアスファルトで覆われているため、内水氾濫の危険性が高くなります。

過去に内水氾濫が起こった地域は排水処理能力に注意が必要なのはもちろんですが、過去に大雨や水害のなかった地域でも注意は必要です。

過去に大雨の経験がない地域では、実は排水機能が不十分という可能性があり、今後の急激な大雨で処理能力を超えてしまう危険性があります。

事前にできる対策

内水氾濫は、大雨が原因で起こるものです。近年では毎年のように大雨による被害が起きており、いつ自分の身の上に降りかかってきてもおかしくありません。しかし、大雨による災害がいつどこで起こるのかを予測することは難しいでしょう。

ただし、事前にある程度対策しておくことで、いざ内水氾濫という場面でも適切に対処できるようになります。ここでは、内水氾濫に対して事前にできる対策を紹介していきます。

事前にできる対策には次のようなことがあげられます。

  • 居住エリアのハザードマップを確認する
  • 避難するときのシミュレーションをする
  • 避難時の持ち物を準備する

居住エリアのハザードマップを確認する

ハザードマップとは、自然災害の想定地域や避難場所・避難経路・防災関係施設などが記された地図のことです。

国や地方自治体が作成しており、水害だけでなく地震・津波・土砂災害など災害の種類ごとに作成されているのが一般的です。ハザードマップを見ることで、どの地域にどのようなリスクがあるかわかるようになっています。

内水氾濫などの洪水被害についても、どのエリアが浸水するかが記載されているため、浸水被害の目安にできるでしょう。また、避難場所や避難経路も表示されているので、一緒に確認しておくことが大事です。

ハザードマップは、自治体の窓口やホームページなどで確認できます。また、それぞれの自治体で防災マニュアルなども配布しているので、配布されたら確認して大事に保管しましょう。

避難するときのシミュレーションをする

内水氾濫が起きたら、どう避難するのかをシミュレーションしておくことも重要です。

  • どの避難場所に向かうのか
  • 避難経路はどこを使うのか
  • 誰と避難するのか
  • 連絡はどうするのか
  • 何をもっていくのか

避難を想定してできるだけ具体的にシミュレーションし、家族と共有しましょう。また、実際に自分の足で経路を歩いて避難場所に向かうことも重要です。

万が一、災害に見舞われた場合、パニックになり普段できていることもできなくなる可能性があります。シミュレーションをして実際に歩いてみることで、有事の際も落ち着いて行動できるようになるでしょう。

避難時の持ち物を準備する

避難しなければならないという場面では、準備も間に合わない可能性があります。慌てて準備すると必要なものを用意できないこともあるでしょう。避難時の持ち物は事前にある程度準備しておくことが大事です。

  • 貴重品
  • 雨具、軍手、懐中電灯、ヘルメット、ラジオ
  • 洗面用具、衛生用品
  • 非常食
  • 子供用品・介護用品

上記のようなものを両手が使えるようにリュックサック内に準備して、分かりやすい場所に備えておくと良いでしょう。また、内水氾濫は復旧に時間が掛かる場合もあります。3日~数週間過ごせるだけの水や食料品の準備も必要です。

内水氾濫が起こりそうなときにするべき対応

内水氾濫が起こりそうな時にするべき対応としては、次の2つがあります。

  • 大雨に関する情報を収集する
  • いつでも避難できるように準備する

大雨に関する情報を収集する

一見大雨が降っていない地域でも、内水氾濫が起こる可能性がないとは言い切れません。山間部の天候が悪い場合は特に注意が必要です。

災害が起こりそうな場面では、大雨警報などをテレビやラジオ・ネットなどで常に確認するようにしましょう。

いつでも避難できるように準備する

避難が必要な場面で、慌てて準備していては間に合わない可能性もあります。先述したように、いつでも避難できるように事前に持ち物や避難経路・場所の確認を日ごろからしっかりとすることが大事です。

避難が必要になった際は、事前に準備した持ち物の確認や、家族との連絡を迅速に済ませ、速やかに移動できるようにしましょう。

ただし内水氾濫では、市街地が浸水している場合は避難場所に向かうほうが危険な場合もあります。すでに浸水している場合は、建物から出ずに2階以上の高層部への移動を検討することも大事です。

事前に内水氾濫対策を実施しておこう

内水氾濫は、排水機能の処理能力を超えて起こる浸水被害であり、河川の有無に関わらず起きる可能性があります。

堤防の決壊といった外水氾濫に比べるとイメージしにくいものですが、特に都市部では注意が必要です。ハザードマップでリスクの確認や避難のシミュレーションなど事前の対策をしっかりと行い、内水氾濫が起きても迅速に避難できるように準備しておきましょう。

また、これから土地を購入することを検討している方は、事前にハザードマップで土地のリスクを確認することが大切です。本記事を参考に、内水氾濫への備えを万全にしておくことをおすすめします。

この記事の監修

逆瀬川 勇造
資格情報: 宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事。
2018年より独立し、不動産に特化したライターとして活動している。

この記事のポイント

内水氾濫が起きやすい地域とは?

内水氾濫の起こりやすい地域の特徴は、地下室や地下街、標高が低く体積の小さいエリア、谷のようにくぼんでいる地域、アスファルトで舗装されている都市部などが挙げられます。

詳しくは「内水氾濫が起こりやすい地域の特徴」をご確認ください。

内水氾濫が起こりそうなときにするべき対策について教えてください

事前にできる対策として、居住エリアのハザードマップを確認する、避難するときのシミュレーションをする、避難時の持ち物を準備する、などがあります。

詳しくは「事前にできる対策」をご確認ください。

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