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老後資金はいくら必要?不足額やお金の貯め方を知って老後に備えよう!

日本人の平均寿命が年々延びている昨今、豊かな生活を送るためには十分な老後資金が必要です。

しかし、老後資金2,000万円問題が騒がれたように、年金のみに頼ると老後の資産不足が懸念されます。老後資金を補う退職金も今後は減少が予想されることから、早い時期から資金作りを計画しておくことが重要です。

今回の記事では、老後資金の必要目安額や資産形成の方法などを解説します。老後に向けて準備を始めたいと考えている方は、ぜひご一読ください。

老後資金の必要目安額

厚生労働省による「令和2年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は年々延びており、2020年現在で男性が81.6歳、女性が87.7歳です。

さらに、95歳まで生存する割合は、男性で11.1%、女性が28.3%で、こちらも年々割合が増加しています。

金融審議会市場ワーキング・グループが2019年6月に発表した「高齢社会における資産形成・管理」では、95歳まで生きた場合、年金以外に必要な金額は約2,000万円とされています。

なお、この金額には、介護費用や住宅のリフォーム費用といった特別な支出は含まれていません。

また、厚生労働省による「令和2年版 厚生労働白書」によると、2016年の日本人の健康寿命は、男性が72.1歳、女性が74.8歳です。健康寿命と平均寿命との間には、およそ8~12年の開きが見られます。

この8~12年間は就労が困難になり年金以外の収入が期待できないばかりか、介護費用などの特別な支出が増えるでしょう。

企業の退職金も減少傾向にあることから、不足分を補う計画をあらかじめ立てておくことが大切です。

老後に必要な具体的な資金はいくら?

先述のとおり、95歳まで生きた場合には年金以外の老後資金が約2,000万円必要といわれています。

しかし、家族の人数やライフスタイルによって、必要額は大きく変わります。大事なのは、必要額に応じた「生活費と年金との差額」を、想定余命年数分用意しておくことです。

ここでは、夫婦2名(会社員を定年退職した夫と専業主婦)の世帯と、単身世帯(会社員を定年退職)のケースについて、それぞれ老後資金がいくら必要なのか解説していきます。

2人世帯の場合

総務省統計局による令和元年の「家計調査報告」によると、2人世帯の月額消費支出は約24.3万円でした。一方で、会社員の夫と専業主婦の妻が受け取れる年金額は毎月約21.8万円です。

これらを差し引くと毎月約2.5万円、年金以外の資金が必要です。

単身世帯の場合

前出「家計調査報告」によると、単身世帯の月額消費支出は約16.4万円でした。受け取れる年金額は、前出「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると毎月約14.6万円です。

差し引くと毎月約1.8万円、年金以外の資金が必要です。

老後資金の必要額は生活レベルでも異なってくる

統計の平均値から計算すると、2人世帯・単身世帯のいずれでも、年金のみでは生活費が不足することがわかりました。しかし、「豊かな生活」の基準は人それぞれです。

「毎年旅行に行く」、「食費をより多くかける」など、人によっては不足する金額がさらに大きくなる可能性もあります。

また、持病があれば医療費が多く必要ですし、両親や配偶者を介護する必要があればその費用もかかります。さらに、子供に財産を残したいと考えていれば、生活費とは別の資金が必要となるでしょう。

自営業者のように国民年金しかない場合は、年金支給額が満額でも毎月約6.5万円と、老後資金は明らかに不足します。自営業者の場合は、国民年金基金に入るといった対策も必要です。

国民年金基金の掛け金は全額所得控除されるため、年金受給額に不安がある方は加入を検討してみてください。

今から始めよう! 老後資金の貯め方

ここまで説明したように、自営業者の場合や、より豊かな生活を送りたい場合は老後資金が不足する可能性が高いでしょう。

一方で、老後の資金形成に役立つ制度も多く存在します。

自宅を活用した老後の資金作り

マイホームがある方は、自宅を活用した資金作りが可能です。ここでは4つの方法を紹介します。

賃貸

まず、自宅を賃貸に出す方法があります。賃貸にすれば毎月安定した家賃収入が得られるため、資金計画も立てやすくなります。

しかし、自宅の所在地が駅の近くや人が集まる施設の近くなど、利便性が高い場所でないと賃貸に出しても借り手がつかない可能性があります。

売却

賃貸の需要が見込めない物件で一定の資金が必要なときには、売却することも選択肢の一つです。将来的に老人ホームへ入る予定がある場合や、住み替えを考えている場合も、売却を検討しましょう。

リースバック

リースバックとは、自宅を不動産会社に売却して、その不動産会社と賃貸借契約を結ぶ方法です。自宅を売却して一定の資金を得られるだけでなく、自宅にそのまま住み続けられるメリットがあります。

また、売却に比べて早く買い手がつきやすいのも特徴で、契約内容によっては買い戻しも可能です。

一方で、家賃が高い傾向にあり、通常の売却と比べて売却価格が安くなりやすい点がデメリットとして挙げられます。

リバースモーゲージ

自宅と土地を担保にして、融資を受ける方法です。自宅を担保にする点は住宅ローンと似ていますが、リバースモーゲージの場合、毎月の返済は利息のみである点が大きな違いです。

元金は、契約者の死亡時に自宅を売却して一括返済します。毎月の返済が利息のみのため、負担が軽い点が大きなメリットです。

ただし、融資額が担保価値の70%未満程度であることや、金利が住宅ローンよりも高いこと、将来の金利変動リスクがあることなどがデメリットです。

金融商品を活用した老後の資金作り

次に、金融商品による資金作りの方法を2つ紹介します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、任意加入の私的年金制度です。自分で掛け金の額を決めて、定期預金・保険商品・投資信託のなかから運用商品を選び、運用します。掛け金と運用による利益を老後の給付金として受け取る仕組みです。

掛け金や運用益、給付金に税制上の優遇措置があるほか、転職しても継続して掛け金を拠出できるのがメリットです。

一方で、資産の引き出しは原則として60歳までできないことや運用成績によっては元本割れの可能性もあることがデメリットといえるでしょう。

NISA・つみたてNISA

NISAは、個人投資家向けの税制優遇制度です。毎年120万円まで株式や投資信託に投資可能で、運用益が非課税になります。

税制優遇期間は5年間ですが、ロールオーバーという制度を使えば最大10年まで延長可能です。

つみたてNISAも、個人投資家のための税制優遇制度の一つです。投資対象商品が限定され、非課税投資枠の上限が毎年40万円である一方、税制優遇期間が最長20年と長い点がNISAとの違いです。

老後資金を補うために、制度を賢く利用しよう

今回は、老後資金について解説しました。日本人の平均寿命はさらに延びていくことが予想されますが、退職金や年金などは減少が懸念されます。

このような状況のなか、今後は年金のみに頼るのではなく早い時期から資金作りをしておくことが大切です。マイホームがある方は、金融商品以外に自宅を活用して資金を作る方法もあります。

自分にとって豊かな生活を送るために、老後資金がいくら必要なのかを把握して、将来困らないためのプランを今から立てておきましょう。

この記事のポイント

夫婦二人、老後に必要なお金はどのくらい?

金融審議会市場ワーキング・グループが2019年6月に発表した「高齢社会における資産形成・管理」では、95歳まで生きた場合、年金以外に必要な金額は約2,000万円とされています。なおこの金額には、介護費用や住宅のリフォーム費用といった支出は含まれていません。

詳しくは「老後資金の必要目安額」をご確認ください。

マイホームがあると、老後の資金調達の幅は広がりますか?

マイホームがある方は、自宅を活用した下記のような資金作りが可能です。

  • 自宅を賃貸に出して家賃収入を得る
  • 売却して現金を得る
  • リースバックで一度売却して現金を得て、そのまま自宅に賃借人として住み続ける
  • 自宅と土地を担保にして、融資を受けるリバースモーゲージ

詳しくは「今から始めよう! 老後資金の貯め方」をご確認ください。

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