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要介護や要支援はどんな状態?認定を受ける流れや受けられるサービスを解説

両親が年を重ねていくに従って、介護の必要性を感じ始めている方もいらっしゃると思います。

介護を受けるにあたって重要なのは、要介護者が「要介護」および「要支援」のどちらに当てはまるのか、およびどの程度の段階に当てはまるのか認識することです。

要介護と要支援のどちらに当てはまるのかで利用できるサービスが異なり、段階によって介護のたいへんさも大きく変わります。

本記事では、要介護と要支援の違いおよびそれぞれの具体的な状態、要介護・要支援認定で受けられるサービスを説明します。

要介護、要支援の違い

要介護は「自分一人で日常生活を行うことが難しく、誰かの介護が必要な状態」を指し、要支援は「日常生活は自分で行うことができるが、多少の支援が必要な状態」を指します。

要介護認定は、「介護の手間」を表す「ものさし」としての時間である「要介護認定等基準時間」を元に判断されます。「要介護認定等基準時間」の5つの分類は、以下のとおりです。

  • 直接生活介助:入浴、排泄、食事などの介護
  • 間接生活介助:洗濯、掃除などの家事援助
  • 問題行動関連行為:徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末など
  • 機能訓練関連行為:歩行訓練、日常生活訓練などの機能訓練
  • 医療関連行為:輸液の管理、褥瘡の処置などの診療の補助

これらを元に算出される要介護認定等基準時間によって、要介護度がどのように分類されるのか、以下で解説します。

要介護認定の具体的な状態

要介護認定には、1~5の5段階があります。各段階の具体的な状態は、下記のとおりです。

要介護1
  • 部分的な介護が必要となる状態
  • 身の回りの世話、複雑な動作、移動の動作に何らかの支えを必要とする
  • 問題行動や理解の低下がみられる
  • 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満または、これに相当する状態
要介護2
  • 軽度の介護を要する状態
  • 立ち上がりや歩行が自分でできないことが多く、日常生活全般に部分的な介助が必要になる
  • 身の回りの世話、複雑な動作、移動の動作に加えて、排泄や食事にも何らかの支えを必要とすることがある
  • 問題行動や理解の低下がみられることもあり、要介護認定等基準時間が50分以上70分未満または、これに相当する状態
要介護3
  • 中等度の介護を要する状態
  • 立ち上がりや歩行が自分では困難で、日常生活全般に介助が必要
  • 身の回りの世話、複雑な動作、排泄が自分一人で行えず、移動の動作が自分でできないことがある
  • 問題行動や理解の低下がみられることがある
  • 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満または、これに相当する状態
要介護4
  • 重度の介護を要する状態
  • 立ち上がりや歩行が自力ではほとんどできず、食事などの日常生活も介護がないと行えない
  • 身の回りの世話、複雑な動作、排泄がほとんどできず、移動の動作が自分一人ではできない
  • 多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある
  • 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満または、これに相当する状態
要介護5
  • 最重度の介護を要する状態
  • 基本的には寝たきりであり、日常生活全般ですべて介助が必要
  • 身の回りの世話、複雑な動作、移動の動作、排泄や食事がほとんどできない
  • 多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある
  • 要介護認定等基準時間が110分以上または、これに相当する状態

要支援認定の具体的な状態

要支援認定には、1と2の2段階があります。各段階の具体的な状態は、以下のとおりです。

要支援1
  • 日常生活動作を行う能力がわずかに低下し、何らかの支援が必要となる状態
  • 食事やトイレなどはほとんど一人で行うことが可能
  • 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満または、これに相当する状態
要支援2
  • 日常生活動作を行う能力が一部低下し、部分的な介護が必要となる状態
  • 立ち上がりや歩行などに支えを必要とするが、食事やトイレなどはほとんど一人で行うことが可能
  • 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満または、これに相当する状態
  • 要介護認定等基準時間に関しては要介護1と同じだが、理解力や身体機能の低下を踏まえて、要支援2か要介護1かの振り分けが行われる

要介護認定を受ける流れ

要介護認定を受ける際には、以下の流れに則って手続きを行う必要があります。

  • 申請
  • 認定調査
  • 主治医による意見書の作成
  • 一次判定
  • 二次判定、結果通知

申請

介護者が住んでいる各市区町村の窓口にて、申請を行います。申請の際に必要なものは、以下のとおりです。

  • 申請書
  • 介護保険の被保険証
  • 医療保険被保険者証のコピー
  • 窓口申請者の本人確認書類
  • マイナンバー通知書

申請を行うこと自体には、とくに費用は発生しません。

認定調査

市区町村から委託を受けたケアマネジャーが、自宅や入院先を訪問して認定調査を行います。調査は動作確認や本人や家族からの聞き取りによって行われるため、介護者の実態を正確に伝えることが重要です。

主治医による意見書の作成

市区町村が主治医に依頼して、意見書の作成が行われます。かかりつけの主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師による診察が必要になります。日ごろから要介護者の状態を理解してもらうという観点も踏まえて、かかりつけ医がいることが望ましいです。

一次判定

認定調査の結果と主治医による意見書の内容をもとにして、一次判定が行われます。一次判定はコンピュータで行われ、約3,500人に対して行った「1分間タイムスタディデータ」から、要介護認定等基準時間が推計されます。

二次判定、結果通知

一次判定の結果をもとに保健、医療、福祉の専門家が会議を行い、判定が決定されます。その後、二次判定の結果をもとにして、市区町村が要介護状態区分を認定します。認定結果は、申請日からおおむね1ヶ月~2ヶ月で通知されます。

要介護・要支援認定で受けられるサービス

要介護者がいる場合はさまざまなサービスを利用できますが、要介護認定と要支援認定で受けられるサービスは、それぞれ異なります。以下で詳しく説明します。

介護予防サービス

介護予防サービスは、要支援認定で受けられるサービスです。高齢者ができる限り要介護状態に陥らないよう悪化を防ぐために、生活機能の維持向上や改善を目的としており、サービスの内容は以下のとおりです。

  • 介護予防訪問入浴介護
  • 介護予防訪問看護
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 介護予防通所リハビリテーション
  • 介護予防福祉用具貸与
  • 介護予防短期入所生活介護
  • 介護予防短期入所療養介護
  • 介護予防居宅療養管理指導
  • 介護予防特定施設入居者生活介護

サービスを受けるにあたっての自己負担割合は1~3割で、収入に応じて負担割合が変化します。

介護予防サービスを利用するためには、介護予防サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要です。地域包括支援センターに相談してケアプランを作成して申請すると、サービスが利用できるようになります。

介護保険サービス

介護保険サービスは、基本的には要介護認定で受けられるサービスです。在宅で受けられるサービスや老人ホームに入所している場合に受けられるサービス、地域密着型サービスがあります。

在宅で受けられるサービスは、訪問サービス、通所サービス、短期入所サービスに分けられます。自宅に訪問するか、通いの形で施設に行くか、一定期間施設に滞在するかの違いはありますが、いずれの場合でも買い物や掃除などの生活支援、食事や排泄などの介護サービスが受けられます。

老人ホームに入所している場合に受けられるサービスには、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションの提供、医療的ケアなどが挙げられます。

地域密着型サービスは、訪問・通所型サービス、認知症対応型サービス、施設・特定施設型サービスに分けられます。高齢者がもともと住んでいた地域で生活し続けられることを目的としており、事業所のある市町村の要介護者や要支援者に対して、サービスが提供されます。

いずれのサービスでも自己負担割合は1~3割で、収入に応じて負担割合が変化します。

介護保険サービスを利用するためには、介護サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要です。介護支援専門員(ケアマネジャー)のいる、県知事の指定を受けた居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)へ依頼してケアプランを作成したうえで、申請しましょう。

要介護・要支援認定で利用できるサービスを有効活用しよう

要支援・要介護状態の身内の面倒を自分たちだけで見るのは、心身ともにたいへんなケースが多いです。

適切なサービスを活用すれば、介護をされる側、する側の双方にメリットがあります。サービス内容や申請手続きをきちんと把握し、いざという場合に備えましょう。

この記事のポイント

要介護と要支援の違いは?

要介護は「自分一人で日常生活を行うことが難しく、誰かの介護が必要な状態」で、5段階に分かれます。一方で要支援は「日常生活は自分で行うことができるが、多少の支援が必要な状態」で、2段階に分かれます。

詳しくは「要介護、要支援の違い」をご確認ください。

要介護認定を受ける流れは?

要介護認定を受ける際には、一次判定、二次判定の前に、認定調査や主治医に寄る意見書の作成などが必要です。

詳しくは「要介護認定を受ける流れ」をご確認ください。

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