ZEHとはネットゼロエネルギーハウス(Net Zero Energy House)のことで、一次エネルギーの年間収支がゼロになることを目指した住宅を指します。なお、ZEHと記載して「ゼッチ」と呼ぶことが一般的です。
ZEHを建てることにどのようなメリットやデメリットがあるのか、また種類について解説します。エコフレンドリーな住宅に興味がある方や光熱費を抑えたい方は、ぜひご覧ください。
記事サマリー
ZEHとは
ZEHとはNet Zero Energy Houseを省略した言葉で、住宅の外皮部分に相当する断熱性能などを大幅に向上させることに加え、高効率な設備システムと再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅を指します。
つまり、創エネ、省エネ、断熱の3つの要素を重視し、エネルギー収支ゼロを目指す住宅がZEHです。冬は暖かく夏は涼しく過ごせるため、一年中快適に生活しやすいというメリットもあります。
ZEHはエネルギーを効率良く消費するため、二酸化炭素の排出を抑える効果もあります。環境省では地球環境、国際環境協力の観点からZEHの建設を推進しており、基準を満たしている住宅は補助金の対象となります。
ZEHの種類
ZEHには次の5つの種類があります。
- ZEH
- ZEH+
- Nearly ZEH
- Nearly ZEH+
- ZEH Oriented
なお、ZEHの種類によって適用できる補助金制度や補助金額が異なります。それぞれどのような住宅なのか、詳しく見ていきましょう。
ZEH
ZEHとは、広義には創エネ、省エネ、断熱の3つの要素を重視し、エネルギー収支ゼロを目指す住宅を指します。しかし、補助金制度の適用基準としてのZEHは、以下の基準を満たす狭義のZEHを指します。
- 地域区分に応じたZEH強化外皮基準を満たす
- 再生可能エネルギーなどを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減できる
- 再生可能エネルギーを導入している
- 再生可能エネルギーなどを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量を削減できる
ZEH+
ZEH+とは、狭義のZEHの基準よりもさらに高い基準を満たしている住宅のことです。
- 地域区分に応じたZEH強化外皮基準を満たす
- 再生可能エネルギーなどを除き、基準一次エネルギー消費量から25%以上の一次エネルギー消費量を削減できる
- 再生可能エネルギーを導入している
- 再生可能エネルギーなどを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量を削減できる
- 外皮性能の更なる強化、高度エネルギーマネジメント、電気自動車を活用した自家消費の拡大措置のうち2要素以上を採用している
Nearly ZEH
Nearly ZEHとは、狭義のZEHの基準は満たさないものの、それに近い性能を持ち、なおかつ寒冷地、低日射地域、多雪地域のいずれかの場所に建てられた住宅のことです。具体的には次のすべての基準を満たす住宅を指します。
- 地域区分に応じたZEH強化外皮基準を満たす
- 再生可能エネルギーなどを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減できる
- 再生可能エネルギーを導入している
- 再生可能エネルギーなどを加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量を削減できる
Nearly ZEH+
Nearly ZEH+とは、Nearly ZEHの条件を満たし、なおかつ寒冷地、低日射地域、多雪地域のいずれかの場所に建てられた住宅のことです。次のすべての基準を満たす住宅を指します。
- 地域区分に応じたZEH強化外皮基準を満たす
- 再生可能エネルギーなどを除き、基準一次エネルギー消費量から25%以上の一次エネルギー消費量を削減できる
- 再生可能エネルギーを導入している
- 再生可能エネルギーなどを加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量を削減できる
- 外皮性能の更なる強化、高度エネルギーマネジメント、電気自動車を活用した自家消費の拡大措置のうち2要素以上を採用している
ZEH Oriented
ZEH Orientedの基準を満たすためには、以下の土地や地域に建設されていることが必要です。
- 都市部狭小地など(北側斜線制限の対象となる用途地域などにあり、なおかつ敷地面積が85㎡未満である土地。ただし、住宅が平屋建ての場合は除く)
- 多雪地帯(建築基準法で規定する垂直積雪量が 100cm 以上に該当する地域)また、上記の条件を満たしたうえで、以下の基準も満たしていることが求められます。
- 地域区分に応じたZEH強化外皮基準を満たす
- 再生可能エネルギーなどを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減できる
ZEH Orientedでは、再生可能エネルギーに関しての基準はありません。そのため、再生可能エネルギー関連の設備は未導入でも、ほかの条件を満たしていればZEH Orientedと認定されます。
ZEH住宅を建てるメリット
ZEH住宅を建てることには、次のようなメリットがあります。
- 補助金の対象となる
- 光熱費を削減できる
- 非常時でもエネルギーを確保できる
- 売却額が高くなる可能性がある
補助金の対象となる
国が実施しているZEH補助金制度の対象となり、条件に合致すれば補助金を受給できます。また、お住まいの自治体によっては、独自に実施しているエコ関連の補助金制度も利用できることがあります。国の補助金制度と併用できるものもあり、よりお得にエコ住宅を建てられるでしょう。
光熱費を削減できる
ZEH Orientedを除き、ZEHは創エネできる住宅を指します。創エネに必要な太陽光発電システムを導入するため、電力会社から買い取る電力を減らせ、光熱費を削減できます。
創エネしない場合でも、光熱費の削減が可能です。そもそもZEHは断熱性能の優れた壁材や床材を使って建てるため、冬は暖かく夏は涼しく過ごせ、暖房や冷房をあまり必要としません。また、気密性も高いので、暖房・冷房の効きが良く、少ないエネルギーで効率的に快適な環境を構築できます。
非常時でもエネルギーを確保できる
発電システムや蓄電システムを導入している場合であれば、停電になったときでも必要な電力を確保できます。災害に備えておきたい方も、ZEHを検討できるでしょう。
売却額が高くなる可能性がある
ZEHは光熱費が安いだけでなく、非常時にも備えられる高機能な住宅です。また、冬は暖かく夏は涼しいので快適性が高く、住みやすい住宅である点もメリットです。
そのため、一般的な住宅よりは高く売却できる可能性があります。将来的に住宅を手放すことも考えている方にも、ZEHは良い選択肢となるでしょう。
ZEH住宅を建てるデメリット
メリットの多いZEHですが、デメリットもあります。主なデメリットとしては、次の3点が挙げられます。
- 初期費用がかかる
- 住宅の間取りやデザインに影響する場合がある
- 発電量が天候に左右される
それぞれのデメリットについて解説します。また、どのような対策を検討できるのかについても紹介します。
初期費用がかかる
創エネのシステム、省エネを実現する資材や設備などを導入するため、通常の住宅よりも初期費用がかさむ可能性があります。補助金制度を調べて適切に申し込み、初期費用の自己負担額を抑えるようにしましょう。
住宅の間取りやデザインに影響する場合がある
エネルギー消費量を抑えるために、リビングが狭くなったり、窓が小さくなったりすることがあります。希望するデザイン・間取りにならない可能性もあるので、事前にハウスメーカーや工務店の担当者とよく話し合っておきましょう。
また、好みに合うデザインを実現できる業者を選ぶことも重要です。カタログや住宅展示場、ホームページなどで情報を収集してから業者に依頼しましょう。
発電量が天候に左右される
ZEH Orientedを除き、ZEHは基本的には太陽光発電システムで創エネする仕組みの住宅です。晴れの日が少ないと発電量が減り、電力会社から購入する電力量が増える可能性があります。
環境にやさしいZEH住宅に注目してみよう
ZEHは環境にやさしいだけでなく、暮らしやすさ、光熱費の低さなども特徴の住宅です。太陽光発電システムや蓄電システムの導入、断熱性能の高い資材の利用により建築費用が高くなる傾向にありますが、国や自治体の補助金制度を利用することで負担を軽減できる点もメリットです。デメリットにも留意し、長く快適に暮らせる住宅を実現しましょう。
この記事のポイント
- ZEH住宅を建てることにはどのようなメリットがありますか?
ZEHを建てることで、光熱費を削減したり、災害などの非常時に備えたりすることが可能です。
詳しくは、「ZEH住宅を建てるメリット」をご覧ください。
- ZEHにはどのような種類がありますか?
ZEHには、基本のZEH(狭義のZEH)よりも高い省エネ基準と設備拡充を満たしたZEH+や、寒冷地、低日射地域、多雪地域のいずれかの場所に建てられ、ZEHに準ずる基準を満たすNearly ZEH、都市部狭小地や多雪地帯に建てられたZEH Orientedなどの種類があります。
詳しくは「ZEHの種類」をご覧ください。
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