屋根の上にバルコニーが設置されているタイプのカーポートのことを、カーポートバルコニーと呼ぶことがあります。屋根で車を覆うので、野ざらしに駐車するよりも自動車を雨風から守れます。また、バルコニーとしても使用できるので、洗濯物を干すスペースやアウトドに活用できます。
本記事では、カーポートバルコニーのメリットやデメリット、また活用方法を具体的に紹介します。住宅の間取りやリフォームの参考にしてください。
記事サマリー
カーポートバルコニーのメリット
カーポートバルコニーとは、カーポートとバルコニーを一体化した設備です。カーポートとバルコニーを1つにまとめることには、以下のようなメリットがあります。
- 空間を有効活用できる
- 車を雨風から守れる
- プライバシーを確保できる
- 固定資産税がかからない
それぞれのポイントについて、見ていきましょう。
空間を有効活用できる
一般的なカーポートの屋根上には何もありませんが、カーポートバルコニーでは、屋上をバルコニーとして利用できるので、空間を無駄なく活用できます。
また、カーポートバルコニーは、駐車場などの空間に設置できます。つまり、車1台ほどの空きスペースがあれば、カーポートバルコニーを設置することで、新たなスペースをあとから確保できます。
車を雨風から守れる
車は雨風や紫外線で劣化が進みます。そのため、カーポートやガレージなどを作らないと、短期間で車の外観や機能が衰えることもあります。
カーポートバルコニーがあれば、屋根や壁により車を雨風から守れます。また、カーポート部分の屋根はコンクリートや木材で作るため、屋根部分がクリアなカーポートに比べて紫外線を透過しにくく、車の劣化を防ぎやすくなります。
プライバシーを確保できる
カーポートの屋根材として使用される、ポリカーボネートなどの透明な資材では、視界を遮らないことにより、プライバシーを確保しにくいと感じる方もいるでしょう。
例えば、カーポートの奥に隣接して庭や住宅がある場合、車がある場合でもカーポートの周辺が丸見えになります。
一方、カーポートバルコニーであれば、カーポートの天井部分にバルコニーを作るので、周辺や奥側が見えにくくなります。また、バルコニー部分に高い柵を設ければ、2階部分のプライバシーも確保しやすくなります。
固定資産税がかからない
固定資産税の課税対象となるのは、住宅や建物だけではありません。「定着性」「外気遮風性」「用途性」の3つすべてを満たすときには、固定資産として課税対象になります。
カーポートバルコニーは「定着性」と「用途性」は満たしますが、3方向が壁や屋根で遮断されている建造物ではないため「外気遮風性」の条件は満たしません。そのため、固定資産税の対象外となります。
ただし、カーポートの3方向に壁を設置すると「外気遮風性」の条件を満たし、固定資産税の対象になることがあるため、注意が必要です。
カーポートバルコニーのデメリット
カーポートバルコニーには、次のデメリットがあります。
- セキュリティ面で不安がある
- 後付けする場合などは設置費用が高額になる
- 建ぺい率により建てられない場合がある
それぞれについて具体的に見ていきましょう。また、対処策がある場合は、併せて紹介します。
セキュリティ面で不安がある
カーポートバルコニーを設置すると庭や家の内部などが外から見えにくくなり、プライバシーを確保しやすくなります。
しかし、外部から見えにくいということは、死角が増えることを意味します。不審者がカーポート付近に潜みやすくなるので、セキュリティ面で不安が生じるかもしれません。
また、バルコニー部分に外付けの階段を取り付ける場合は、不審者が住宅に入り込む経路を増やすことにもなります。敷地内の死角や侵入経路をなるべく減らしたい方は、通常のカーポートのほうが良いでしょう。
後付けする場合などは設置費用が高額になる
カーポートバルコニーを後付けする際は、屋内からバルコニーにつながるドアやバルコニーにあがる階段なども設置する必要があります。工事が大掛かりになり、新築時に設置する場合と比べて費用が高くなる傾向にあります。
また、1台用のカーポートのみであれば、通常は1日で工事は終わります。しかし、カーポートバルコニーは施工に1週間以上かかることも珍しくありません。すでに暮らしている住宅に後付けする際は、工事音や関係車両の出入りが負担に感じることもあるでしょう。
建ぺい率により建てられない場合がある
建ぺい率とは建築面積の敷地面積に対する割合のことで、地域ごとに建ぺい率が定められています。例えば、敷地面積が200㎡で建ぺい率が50%の場合なら、最大100㎡までの建築面積の建物を建てられます。
すでに建ぺい率の上限に近い場合は、カーポートバルコニーを設置することで建築面積が増え、既定の建ぺい率を超える可能性があります。既定の建ぺい率を超えると違法建築となるので注意が必要です。
カーポートバルコニーの活用例
カーポートバルコニーのバルコニー部分は、以下のように活用できます。
- 洗濯物干し場
- バーベキュースペース
- ガーデニング
- 子どもの遊び場
- 収納スペース
また、カーポート部分も、車がないときは洗濯物干し場や子どもの遊び場、収納スペースとして活用できます。
カーポートバルコニーの施工費用や工事日数
車1台分のカーポートバルコニーの施工費用は、100万~200万円程度です。車が2台分の場合は150万~300万円程度に増加します。車の台数だけでなく、階段の有無や資材の種類、グレード、施工業者などによっても費用は変わります。
カーポートバルコニーの工事日数は1~4週間ほどです。ただし、後付けする場合はさらに費用が増えたり、工期が延びたりする可能性があります。
カーポートバルコニーの選び方
どのようなカーポートバルコニーを建てようか迷った際は、次のポイントに注目しましょう。
- カーポートバルコニーの型で選ぶ
- 安全性で選ぶ
各ポイントに注目した選び方を紹介します。
カーポートバルコニーの型で選ぶ
カーポートバルコニーには、壁付け型と独立型があります。壁付け型は、住居とカーポートバルコニーが接しているタイプです。住居から直接出入りが可能なため、洗濯物干し場やバーベキュースペースとして使いやすいです。
一方、独立型は、住居とは接していないので、住居から直接バルコニー部分には行けません。そのため、バルコニー部分には専用の階段を使うことになります。
カーポートとして活用できる敷地の広さや重視するポイントに合わせて、適した型を選びましょう。
安全性で選ぶ
セキュリティに注目するなら、死角が少なくなるような工夫が必要です。また、外付けの階段を設置するときは、二階のドアを施錠できるようにしておかなければ不審者が侵入する恐れがあります。
バルコニー部分の柵も安全面において重要なポイントです。柵が低ければ転落の危険性もあり、子どもの遊び場として利用できません。リフォーム業者やハウスメーカーとも話し合い、安全面やセキュリティ面を意識しましょう。
カーポートバルコニーの施工時の注意点
カーポートバルコニーを建てるときには、次のポイントに注意が必要です。
- バルコニーの排水口を掃除する
- 日差しを意識する
- 建築確認申請が必要な場合もある
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
バルコニーの排水溝を掃除する
バルコニーに雨水が溜まると、壁付け型の場合は住居が水浸しになる可能性があります。バルコニーにビニールプールを設置したりプランターなどを置いたりすることもあるので、排水機能が必要です。
また、排水できる構造でも、排水溝が詰まってしまうとスムーズに水が流れません。こまめにバルコニーの排水溝を掃除し、快適に利用できるようにしましょう。
日差しを意識する
カーポートバルコニーを設置することで、1階の日当たりが悪くなる場合があります。また、カーポートバルコニーと隣家との距離が近い場合は、隣家の日差しを遮ることもあるので注意が必要です。
リフォーム業者に建築後の日当たりをシミュレーションしてもらい、自宅や隣宅に影響を及ぼさないか確認しましょう。
建築確認申請が必要な場合もある
建物を建てるとき、あるいは設備を設置するときには、建築確認申請が必要になることがあります。建築確認申請とは、建築物が建築基準関係の規定に適合しているかを調べる審査に申し込むことです。審査に通過しなかった場合は、建築プランを変更しなくてはいけません。
原則として、カーポートの面積が10㎡以上のときは建築確認申請が必要です。ただし、10㎡未満の場合でも防火地域と準防火地域は建築確認申請が必要になります。
自治体に、建築確認申請が必要か、敷地が防火地域や準防火地域に該当するかといった確認をしましょう。
メリットや注意点を把握した上でカーポートバルコニーのプランを立てよう
カーポートバルコニーは空間を有効活用できるなどのメリットがありますが、日当たりが悪化したり、セキュリティ面に問題が生じたりするといったデメリットもあります。また、施工前に建築確認申請が必要になる可能性もあります。
施工後のトラブルを防ぐためにも、カーポートバルコニーのデメリットや注意点を正確に理解することが必要です。リフォーム業者やハウスメーカーとも話し合い、丁寧に施工プランを立てていきましょう。
この記事のポイント
- カーポートバルコニーの設置にはどのくらいの費用がかかる?
車1台分のカーポートバルコニーであれば、100万~200万円ほどが相場になります。車2台分の施工費用は150万~300万円ほどが一般的です。
詳しくは、「カーポートバルコニーの施工費用や工事日数」をご覧ください。
- 建築確認申請は必要?
カーポートの面積が10㎡以上のときは、建築確認申請が必要になります。また、10㎡未満であっても、防火地域と準防火地域に建てる場合は建築確認申請が必要です。各自治体に、建築確認申請が必要か確認しましょう。
詳しくは、「建築確認申請が必要な場合もある」をご覧ください。
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