ざっくり要約!
- 樹脂サッシは塩化ビニル樹脂から作られた窓サッシ
- 断熱性や気密性が高く、快適な住環境を確保できる
- 樹脂サッシとアルミサッシの利点をかけ合わせた、アルミ樹脂複合サッシもある
住宅の新築やリフォームで、窓を樹脂サッシにすることを検討している方も多いのではないでしょうか。
樹脂サッシは断熱性や気密性に優れているため、快適な住環境を確保できます。しかし、樹脂サッシにも注意すべきデメリットがあります。
この記事では、樹脂サッシのメリット、デメリットやかかる費用について解説します。樹脂サッシの特徴を知り、快適な住環境を整えてみてはいかがでしょうか。
住宅の窓で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
樹脂サッシは断熱性、気密性に優れた窓サッシ
樹脂サッシとは、フライパンの取っ手にも使われる「塩化ビニル樹脂」でできている窓サッシです。
樹脂サッシは、断熱性や気密性に優れているため、日本では北海道や東北などの寒い地域で普及しています。
住宅の窓サッシはアルミニウムで作られていることが一般的ですが、今後は樹脂サッシが普及すると考えられます。なぜなら、昨今の地球温暖化対策で建物の省エネ化が促進されており、窓の断熱性が重要視されているためです。
実際に2025(令和7)年4月からは、すべての新築住宅、非住宅に省エネ基準適合が義務付けられています。家のなかで最も熱の出入りが大きいのは窓であるため、今後さらに樹脂サッシの需要は高まるでしょう。
アルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシとの違い
窓のサッシには樹脂サッシとアルミサッシが合わさったものがあります。それが、アルミ樹脂複合サッシです。
アルミサッシはサッシすべてがアルミニウムで作られていますが、アルミ樹脂複合サッシは窓の外側がアルミ、内側が樹脂で作られています。
アルミサッシの高い耐久性と、樹脂サッシの高い断熱性を兼ね備えたサッシとなっています。
アルミサッシと樹脂サッシの特徴は、以下の表を参考にしてください。
比較項目 | アルミサッシ | 樹脂サッシ |
---|---|---|
素材 | アルミニウム | 塩化ビニル樹脂 |
断熱性 | 低い | 高い |
耐久性 | 強い | アルミに劣る |
厚さ | 薄い | 厚い |
結露の発生しやすさ | 発生しやすい | 発生しにくい |
コスト | 安い | 高い |
デザイン | 普通(着色可能) | 豊富 |
樹脂サッシのメリット
樹脂サッシのメリットは以下のとおりです。
- 断熱性に優れている
- 結露が生じにくい
- 防音性が高くなる
- さまざまなタイプから選べる
それぞれについて解説します。
断熱性に優れている
樹脂サッシは断熱性に優れているため、室内の温度を一定に保ちやすくなります。
家のなかで最も熱の出入りが大きい窓の断熱性を高めることで、夏の暑さや冬の寒さが和ぎ、快適な室内環境で生活できるでしょう。
冷暖房の効きも良くなるので、省エネ効果があり、電気代などのランニングコストを抑えられます。
また、浴室の窓サッシを樹脂サッシに変更すると、寒暖差が小さくなり、ヒートショックを防ぐ効果も期待できます。
結露が生じにくい
樹脂サッシにすることで、結露が生じにくくなります。
結露は家の内側と外側の温度差が原因です。そのため、熱を伝えにくい樹脂サッシにすれば、内側と外側の温度差が小さくなり結露が生じにくくなります。
結露は放置しておくとカビやダニの発生につながりますが、樹脂サッシにするとそれらも抑える効果が期待できます。結果として木部の腐食を抑えられるため、建物の老朽化を抑え長く使用できるでしょう。
もしも、サッシではなく窓ガラス自体が結露する場合は、複層ガラスにするのがおすすめです。
防音性が高くなる
樹脂サッシは気密性に優れているため、サッシの隙間からの音漏れが減り、防音効果が高まります。
家同士の距離が近く、子どもの声や楽器の演奏音が近所迷惑にならないか不安な方は、樹脂サッシへの変更を検討してみましょう。
また、室内からの音が漏れにくくなるのと同様に、室外からの音も入りにくくなります。大通り沿いに住んでいる方などは、樹脂サッシにすることで音に関するストレスが軽減するでしょう。
さまざまなタイプから選べる
樹脂サッシは加工、着色がしやすいので、デザインの種類が豊富にあります。
洋風の住宅だけでなく、和風の住宅にも取り入れやすいため、住宅のデザインに合ったものを選べるでしょう。
また、一般的な窓(引き違い戸)だけでなく、外開き窓や上げ下げ窓、すべり出し窓にも対応しています。そのため、リビングやキッチン、浴室など、さまざまな箇所で樹脂サッシを使用できます。
樹脂サッシのデメリット
樹脂サッシにはメリットがある一方で、デメリットもあります。
樹脂サッシのデメリットは、以下のとおりです。
- 価格が高い
- 耐久性が低い
- 窓が重くなる
それぞれについて解説します。
価格が高い
樹脂サッシはアルミサッシと比べると、価格が高い傾向にあります。
アルミ樹脂複合サッシはアルミサッシの1.5倍、すべて樹脂サッシで作る場合は、アルミサッシの2倍程度の費用がかかると考えましょう。
これは樹脂サッシ自体が高価であることに加え、施工できる会社が少ないことが理由です。
住宅の窓すべてを樹脂サッシにする場合、多くの費用がかかると予想されるため、予算を踏まえて判断しましょう。
耐久性が低い
樹脂サッシはアルミサッシと比べて、紫外線に弱く劣化しやすいというデメリットがあります。時間の経過によって変形、変色する可能性があると覚えておきましょう。
とはいえ、一般的な樹脂サッシの耐久年数は30〜50年程度です。頻繁にメンテナンスや取替の必要が生じる訳ではないので、それほど心配しなくてもいいでしょう。
樹脂サッシの寿命を延ばしたい方は、専用の塗料で塗装して日射対策をするのがおすすめです。しかし、塗装には専門技術が必要なため、プロに依頼する必要があります。塗料の耐用年数は5〜10年なので、定期的にメンテナンスを依頼しましょう。
日当たりの良い南側だけでも塗装しておくと、劣化を抑制できます。
また、断熱性は少し落ちるものの、アルミ樹脂複合サッシにするのも対策のひとつです。
窓が重くなる
樹脂サッシはアルミサッシと比べて重くなります。
なぜならアルミサッシと比べて強度が低く、その分厚みを持たせて強度を確保しているためです。
掃き出し窓であれば重さはあまり気になりませんが、高い場所にある引き戸などは開けにくい場合もあるでしょう。
アルミサッシよりも重くなることを踏まえて、設置箇所を決める必要があります。
樹脂サッシの設置、交換費用
一般的に窓枠ごとの交換には、20〜30万円ほどの費用がかかります。
窓のサイズにもよるため、リビングなど開口部が大きい場合はさらに費用がかかると考えましょう。
例えば、掃き出し窓の場合は50万円ほどの費用がかかることもあります。
なるべく費用を抑えてリフォームしたい方は、窓枠ごとの交換ではなく、既存の窓の内側に内窓を設置する方法を検討しましょう。
内窓の設置であれば、窓枠の交換ほど費用はかかりません。内窓設置にかかる費用の目安は5〜10万円ほどです。
窓のリフォームでは補助金制度を利用できる場合がある
窓のリフォーム費用について解説しましたが、なるべく費用を抑えてリフォームしたい方も多いでしょう。
そのような方は、窓のリフォームで適用される補助金制度を探してみましょう。
日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる「カーボンニュートラル」を目指しているため、住宅の省エネ性能を高めるためのリフォームには補助金を用意しています。
具体的には以下のような制度です。
- 先進的窓リノベ事業
- 住宅エコリフォーム推進事業
- 次世代省エネ建材の実証支援事業
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
各補助金は申請期日などが決められているため、窓をリフォームする際には事前に調べておきましょう。
また、自治体でも補助金を用意している場合があります。例えば、神奈川県と埼玉県の令和4年度の事例は以下のとおりです。
制度の名称 | 補助額 | 要件 | |
---|---|---|---|
神奈川県 | 神奈川県既存住宅省エネ改修費補助金 | 補助対象費用の3分の1または7.5万円のいずれか低い額 | • 住宅が神奈川県内にあること • 申請者が常時居住していること • 耐震性能を確保した住宅であること • 補助対象となる製品を使用していること |
埼玉県 | 住宅における省エネ・再エネ設備導入支援事業補助制度 | 補助対象経費の5分の1または10万円のいずれか低い額 | • 自己が居住する既存住宅であること • 少なくとも1つの居室において、外気に接するすべての窓の改修工事を行うこと • 補助対象となる製品を使用していること |
このような制度を活用すれば、お得にリフォームができます。
なお、制度によってはサッシだけでなくガラスも交換しなければならない場合もあるため、要件をしっかりと確認しましょう。
快適な住環境のために樹脂サッシを検討してみましょう
この記事では、樹脂サッシのメリット、デメリットやかかる費用について解説しました。
樹脂サッシとは、フライパンの取っ手にも使われる「塩化ビニル樹脂」で作られた窓サッシです。
樹脂サッシは断熱性や気密性が高く、室内環境が一定に保たれるため、快適な空間で生活できます。また、防音性も高いため音に関するストレスも緩和されるでしょう。
しかし、アルミサッシと比べて価格が高い傾向にあります。樹脂サッシにする箇所を限定する、アルミ樹脂複合サッシにするなど、予算を踏まえて検討しましょう。
なお、リフォームの場合は補助金を受けられる可能性もあるため、国や自治体の補助金を調べてみるのがおすすめです。
この記事のポイント
- 樹脂サッシってなに?
樹脂サッシとは、フライパンの取っ手にも使われる「塩化ビニル樹脂」でできている窓サッシです。断熱性や気密性に優れているため、快適な住環境を確保できます。
詳しくは「樹脂サッシは断熱性、気密性に優れた窓サッシ」をご覧ください
- 樹脂サッシのメリットは?
樹脂サッシのメリットは以下のとおりです。
- 断熱性に優れている
- 結露が生じにくい
- 防音性が高くなる
- さまざまなタイプから選べる
詳しくは「樹脂サッシのメリット」をご覧ください。
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