低価格で開業・運営できると言われているクラウドキッチンですが、具体的にはどのくらいの費用が必要になるのかをご紹介します。
記事サマリー
ゴーストレストランの運営に必要なお金
都内で飲食店を開業する場合、物件取得の初期費用だけでも300~400万円かかります。さらに、内装で300~500万円以上。冷蔵庫などの什器の用意に100~200万円かかるため、トータルで1000~1500万円かかります。しかし、ゴーストレストランであれば、提供メニューなどにもよりますが、50~300万円程度で開業が可能です。
ゴーストレストランを開業するには下記の3パターンあります。
①ゼロからスタートする場合
②元々飲食店を経営していて、ゴーストレストラン機能(デリバリー)を兼ね備える場合
③クラウドキッチンの運営会社と契約をして開業する場合
※クラウドキッチンとは、ゴーストレストラン専用に設計された厨房設備や場所を貸出しているキッチン施設になります。
それぞれ、どのくらいの費用を要するのかを詳しく紹介します。
初期費用の目安
●物件取得や内装費
①ゼロからスタートする場合・・・数百万円〜一千万円ほど
物件取得に際し、まずその店舗が商業地区に入っているかを確認します。開業可能であれば電気やガスを引いたり、重機や備品を揃えるところから始まります。キッチン設備や導線なども含め、全てが自分好みにできるという点ではメリットですが、この工数は飲食店開業と同様であり数百万円から一千万円ほどかかることもございます。
②元々飲食店を経営していて、ゴーストレストラン機能(デリバリー)を兼ね備える場合・・・0円
実店舗でまかなうことができれば追加で家賃はかかりません。
デリバリープラットフォームとの契約や注文を受けるタブレットの準備は必要です。
③クラウドキッチンの運営会社と契約をして開業する場合・・・約40~100万円
クラウドキッチンの運営会社と契約する費用は、場所や広さにより違いはありますが、前家賃と保証金を合わせて約40~100万円です。厨房設備が揃っている場合が多く、資金を抑えて開業が可能です。
●資格取得・申請
開業に必要な許認可には、「⾷品衛⽣責任者」、「防⽕管理者」、「営業許可書」などがあります。
クラウドキッチンの運営会社が取得している場合もありますが、自社でも取得されるとデリバリープラットフォームとの契約がスムーズに運ぶメリットがあります。
・⾷品衛⽣責任者 受講費用 教材費込み10,000円前後
・防火管理者 受講費用 7,000~8,000円程度
・営業許可 申請費用 15,000~20,000円程度
関連記事:ゴーストレストランの開業に必要な資格と許可申請について
●デリバリープラットフォームと契約
デリバリープラットフォームとの契約は、登録完了するまでに2週間から1ヶ月程度の時間を要します。費用は、加盟金として約20,000~50,000円程度必要です。
運転資金の目安
クラウドキッチンの賃料と人件費を合計した費用が、半年分ほどあるといいでしょう。物件の賃料にもよりますが、合計でおおよそ200万円程度です。
クラウドキッチンは基本的にワンオペもしくはツーオペで運営できる仕組みを整えますが、ここを自分自身で行うとさらに低価格におさえることはできます。想定した運転資金で半年間経営し、万が一見合わないようであれば、いち早い業態変更をおすすめします。簡単に業態変更ができることもゴーストレストランのメリットですので、臨機応変に対応しましょう。
自己資金0でも開業できるって本当?
自己資金がゼロでも開業可能です。その場合、資金調達のために日本政策金融公庫の創業融資を申し込むことになります。これは飲食業の実務経験が必須となりますので、私の実体験をもとに説明いたします。
私が日本政策金融公庫の創業融資を申し込んだ際には、「同じ組織(会社)で6年以上の勤務、店長、料理長などの役職についていた」という経歴をもとに審査がありましたが、これは有利となった印象がありました(※あくまで個人的な見解です)。「店長や料理長経験がある=経営に関わっていた」と見なされ、経費計算や原価、人件費などコントロールしていた経験があると判断されたのではないでしょうか。
事業主と審査担当者の面談では、事業計画に関して厳しい質問がいくつもされます。自己資金0では借入のハードルは高いと思うかもしれませんが、下手に他者から借りて自己資金があるように見せると言うやり方は、審査担当者に厳しくお金の出所を指摘されるので、正直に正々堂々審査に臨みましょう。政府直系の融資なので当然のことではありますが、何を聞かれても慌てずに丁寧に返答することが大事です。
実店舗とクラウドキッチンの比較 開業に必要なお金、どのくらい違う?
都内で実店舗を開店する場合と、クラウドキッチンの運営会社の契約をする場合を比較します。
実店舗(イートインあり15坪) | クラウドキッチン | |
①物件取得 | 300~400万 | 40~100万円 |
②内装費(※スケルトンの場合) | 300~500万円 | 基本的に無し |
③什器 | 100~200万円 | 基本的に無し |
④家具やレジ台、食器などの備品 | 50万円 | 30万円 |
⑤通信機器などの整備 | 10万円前後 | 10万円前後 |
⑥申請関連 | 5~8万円 | 5~8万円※無い場合もあります。 |
合計 | 1300万円程度 | 計150万円程度 |
クラウドキッチンは、約10分の1の資金で開業が可能なことが分かります。
資金計画とは
飲食店を開業する上で重要な資金計画ですが、デリバリーの規模であれば経理処理する金額が少ないため、経営経験がない場合でも、自分で資金計画を作成できるでしょう。
金融機関に借入の予定をしている場合は、綿密に作成する必要があります。
ゴーストレストランの場合は創業融資を申し込むことができませんが、設備資金であれば申し込みが可能です。無理なく返済ができる範囲で借入をするようにしましょう。
ゴーストレストランと併用して飲食店を開業する場合は、オープンのための創業融資を受け、資金的に余裕を持ったほうがベストです。創業融資は比較的通りやすく、金利が低いために活用するのがおすすめです。
資金計画を立てる時のポイント
資金計画を立てる時のポイントを紹介します。
①三か年の損益計算書と資金繰り計画を作成する
資金繰り計画で重要なのは、翌日繰越金と実際の口座の残高が合っているかということ。差額が生じてしまうことは仕方がないことですが、ずれ幅が少ないほど健全な経営だといえます。
②全体の数字の整合性をとる
最大収容人数以上の予測計上をしていたり、リースや借入があれば資金繰り表に反映させましょう。極端な例ではありますが、ゴーストレストランの場合、ワンオペでまわしているのに10分で100食の提供などはあり得ない話です。高い理想をもっていても、現実味に落とし込んで整合性をとりましょう。
③売上や客単価の根拠を明確にする
数字の根拠を示せるようにしておきましょう。特に、デリバリーのプラットフォームの手数料は高額のため忘れずに組み込みましょう。
④人件費や食材原価を的確に算出すること
双方とも経費の比率が大きいため予測と把握をしましょう。
クラウドキッチンは、比較的コストがかからず開店できるデリバリー事業ですが、それにとらわれ過ぎず、しっかりとした事業計画をまずは立てることから始めてみましょう。
始めてみると意外と売上が立たなかったり、注文が入らなかったりすることもあります。そうならないために、余裕のある資金を手元に置いておくことが重要です。さまざまな広告戦略やメニューを打ち出すこともできますが、そのためにも資金が必要になってきます。
運営するにあたり余裕の持てる資金繰り計画を立て、仮に資金が足りていない場合は、積極的に国や都の融資制度を利用して、資金調達をすることがおすすめです。
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