結露
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結露ができるのはなぜ?結露が及ぼす影響と結露を防ぐ対策とは

執筆者プロフィール

橋本岳子
住まいと地域の評論家/福祉住環境コーディネーター

約20年間、不動産情報サービスの会社に在籍。独立後は、売買・賃貸・管理・投資など、不動産のさまざまな分野での執筆を行っている。また、2018年より東京都内の商店街を毎月取材し、地域の抱える問題点などについてもリサーチを続けている。

ざっくり要約!

  • 結露とは、暖かい空気に含まれる水蒸気が、外気で冷えた窓などに触れることで水滴になる現象のこと。
  • 水蒸気が高いところ、温度差があるところで起こりやすい。
  • 結露が発生すると、建物や人体へ影響がでることがある。
  • 室内で温度差がでないようにしたり、換気をしたりすることがすぐにできる防止策となる。

冬の朝、カーテンを開けると窓にびっしりと水滴が付いていることがあります。カーテンがびしょびしょに濡れているなんて光景を目にすることもあるでしょう。この水滴が結露と呼ばれているものです。今回は、結露の概要、結露が発生する原因と仕組み、結露ができやすい場所、影響、防止する方法などについて解説していきます。

結露とは

そもそも結露とは、暖かい空気に含まれる水蒸気が、外気で冷えた窓などに触れることで水滴になる現象のことを言います。冷蔵庫から冷たいジュースをコップに注いだ時、しばらくするとコップの表面に付く水滴や、温かい味噌汁を食べた時にメガネが曇るといった状態も結露によるものです。

結露ができる原因と仕組み

結露が冬に起こりやすい原因は、室内の湿度が高くて窓の温度が低いからです。その発生の仕組みを知るためには、温度と飽和水蒸気がポイントになります。詳しく解説しましょう。

「温度」と「飽和水蒸気量」に注目

空気中には目には見えない水分が水蒸気として含まれています。空気の温度が高いほど水蒸気の量は多くなり、温度が低いほど少なくなります。この空気中に含むことができる最大の水蒸気量のことを「飽和水蒸気量」と言います。この暖かい水蒸気をたくさん含んだ空気が冷やされ、「飽和水蒸気量」を超えると、空気中にいられなくなった水蒸気が目に見える液体の水になって現れます。これが結露の発生する仕組みです。

また「飽和水蒸気量」に対して実際の水蒸気量の割合を表したものを「相対湿度」と言います。

結露ができやすい場所

室内で結露ができやすい場所は、湿度が高いところ、温度差があるところです。具体的にあげると次のような場所になります。

  • 窓ガラス
  • 暖房を使っている部屋
  • 浴室の天井
  • キッチンの天井
  • 植物を置いている部屋
  • 水道の蛇口
  • 家具の裏
  • 玄関ドア
  • クローゼットや押入れなど。

夏にできる「内部結露」にも注意!

湿度が高い場所や、気温差が大きい場所であれば、季節に関係なく結露が発生します。夏は特に目の届かない、壁内や床下に結露が見られます。

このような壁内などに発生する結露を「内部結露」と言います。内部結露は、冬にもできることがありますが、夏に発生しやすいため、「夏型結露」とも呼ばれています。内部結露は、夏の蒸し暑さとエアコンの冷房によって引き起こされます。つまり、蒸し暑い外気と涼しい室内の温度差によって、結露が発生してしまいます。

冬の結露は主に壁などに起きる「表面結露」という目に見えやすいものなのに対して、夏に起こりやすい「内部結露」は、目に見えない部分で起こるため、カビやダニが発生してから気づくということが少なくありません。

そのまま放置しておくと、断熱材が劣化してしまうなどの恐れもあるため、冬の結露と同様に、夏でも注意が必要です。

結露ができたらどうなる?

窓にびっしりついた結露を自然に乾くまでそのまま放置しているお宅もあるでしょう。しかしこの放置した結露によって、さまざまな悪影響を及ぼすことが分かっています。

人への影響:カビやダニの発生によってシックハウス症候群になることも

結露を放置した部屋はカビやダニが発生しやすく、それによりアトピー性皮膚炎やシックハウス症候群、喘息などを引き起こす原因になります。

住宅への影響:家の性能や耐久性に影響する

放置した結露によって、室内の壁紙や住宅建材、床材などが湿ってしまい、シミや腐食といった住宅への影響が起こります。さらに床下の土台や木材が腐食してしまうと、住宅の耐震性や耐久性にも影響を及ぼします。また湿った木材はシロアリ被害の発生原因にもなります。

結露ができたらすぐに拭き取る

結露を発見したらすぐに拭き取るだけで、健康や住宅への被害を軽減することができます。ガラス窓の場合は結露取りワイパーのほか、新聞紙やスポンジ、ダスターなどを使って下から上に向かって拭くようにすると、サッシ部分に水分がたまりません。拭いても拭いても結露は発生するので、こまめに拭き取ることが肝心です。

今すぐできる結露を防止する対策方法とは

結露 防止 除湿機

結露を発見したらすぐに拭き取ることが肝心ですが、何も結露の対策をしなければ、また結露は発生してしまいます。できる限り結露を防止するためにはどうしたらよいのか、今すぐできる防止策をご紹介します。

室内で温度差ができないようにする

結露は温度差が大きくなると発生します。室内で最も温度差があるのは窓付近のため、雨戸を閉じる、ガラス窓に断熱シートや結露防止シートなどを貼ることで結露を防ぐ効果が期待できます。また断熱効果のある結露防止スプレーを使うのもおすすめです。
暖房を使用する際は、サーキュレーターなどを使って室内に温かい空気をまんべんなく行き渡るようにします。押入れや家具の周囲も空気が移動できるように隙間をあけておくといいでしょう。

こまめに換気して空気を入れ替える

水分量が多い暖かい空気を外に排出し、室外の乾いた空気と入れ替えることで結露の発生を防げます。特にキッチンや浴室などは湿気が多くなる場所なので、換気扇を回したり、窓をあけたりとこまめに換気して、空気の入れ替えをしましょう。

室内干しは控える

洗濯物を室内に干すことで、室内の湿度がぐんと高くなり結露が発生する原因となります。冬は雨が降っていても室内よりも室外の湿度が低いので、雨があたらなければ室外に干す方がいいでしょう。また浴室に干す場合は、窓を開けて換気扇を回したままにすることで乾きも早くなります。

ストーブやファンヒーターよりエアコンを活用する

石油を使うストーブやファンヒーター、ガスストーブは、燃料を燃やす際に水蒸気を発生させるため室内の湿度が上がる原因になります。そのため電気式のエアコンを使った方が結露対策には効果的です。

加湿器を過度に使用しない

冬の乾燥対策として加湿器は欠かせません。しかし加湿器のつけっぱなしは水蒸気が大量に発生し、窓もカーテンも結露でびしょびしょになってしまう原因となります。加湿器を使用する際は、室内の中央に置くのがおすすめです。

観葉植物や水槽は換気扇やドアの近くに配置する

常に水蒸気を発している観葉植物、水を張っている花瓶や水槽は湿度を高くするため、窓際や壁際に置くと結露の原因になります。配置する場合は換気扇の近く、もしくは外気が入り込みやすいドア付近であれば湿気がこもりません。

除湿器を使う

室内の余分な水蒸気を取り除く除湿機を使って、結露対策を行いましょう。押入れなど狭い場所には除湿剤を設置しておくと安心です。

窓の結露を防止する方法

窓ガラスは外と接しているため、室内で最も気温差が生じる場所です。窓の結露を防ぐ方法を紹介していきましょう。

窓ガラスフィルムをつける

窓ガラスに貼り付けるだけで結露を防止する窓ガラスフィルムや窓ガラスシートがあります。透明のものからおしゃれなデザインのものまで揃っていて、ニトリやセリア、ダイソーなどの100均でも手軽に購入できます。

結露を防ぐカーテンをつける

外気と室内の暖かい空気の出入りを防ぐ、断熱カーテンや遮光カーテンを使うのも効果的です。暖かい空気が窓に触れないので結露防止になります。

リフォームによる結露対策

窓ガラスをペアガラス(二重窓)にリフォームすることで、外気温の影響を受けにくくなり結露も発生しにくくなります。

しかし、マンションの場合、景観の統一などの理由から基本的には窓が共有部分になっており、勝手に修理をすることはできません。
結露がひどすぎて通常の生活が送れない、健康被害が発生してしまったなどの重大な理由がない場合、リフォームを実施することを申し出るのは難しい可能性が高いです。また、実施するにしても管理組合を通してからというのが一般的です。
ただし、マンションごとに定められている管理規約によって判断は変わってくるため、まずは管理規約を確認したり管理会社へヒアリングしたりしてみましょう。

また、工法によっては、マンションでも設置可能なものがあったりするため、そちらを検討することも方法の一つです。

壁の結露を防止する方法

結露は目に見えない部分にも発生します。壁の内部や家具の裏など、気づいたらカビが大量に発生していることも。家族の健康被害にもつながるので日頃から結露対策が必要です。ここでは、壁の結露を防ぐ方法を見ていきましょう。

タンス裏の壁にできる結露対策

タンス裏に湿気が入り込まないように、シーリングなどを使ってタンスと壁の隙間を埋めましょう。この際、しっかりと隙間を埋めるのがポイントです。少しでも隙間があると、余計にカビが発生しやすくなります。シーリングはホームセンターなどで購入できます。

カーテン裏の壁にできる結露対策

カーテンを窓の大きさぴったりのサイズに裁断しましょう。こうすることでカーテンが壁に掛からないため結露を防ぐことができます。

湿気を壁の中に入れない・溜めない

自分でできる対策としては、ビニールシートや、湿気を通さない専用シートを壁に貼ることで壁の中に湿気が入りにくくなります。
また湿気を壁の中に溜めない方法は、壁全体に湿気が通る材料を使い常に空気の流れを作ることです。しかしこの方法は工事が必要になってきます。

エアコン内の結露を防ぐ方法

エアコン内の結露は、エアコン内部の空気と室温の温度差によって発生します。そのほか、エアコン内部が汚れていたり故障したりしていると、さらに結露がひどくなります。こまめに掃除をするほか、次のような方法で結露の発生を防ぎましょう。

エアコンを止めない

エアコンの結露を防止することはほぼ不可能です。しかし結露により発生するエアコン内部のカビを防ぐ方法があります。それはエアコンを止めないことです。冷房や暖房運転ではなく、送風モードで常に稼働させておくことでカビの発生を防ぐことが可能です。

結露の原因は温度と湿度!結露対策で家も健康も守りましょう

寒い時期に多く発生する結露の原因は、室内の温度と湿度の調整がポイントです。日頃から換気をしたり、室内で温度差が出ないような環境づくりを行ったりすることが大切です。
結露はカビやダニの大量発生にもつながり、シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎、喘息などを引き起こす原因になります。
これまで結露を発見しても自然に乾くまでほったらかしにしていた方もいるでしょう。結露による被害を抑えるには、今日からはこまめに拭き取ることを心掛けましょう。

この記事のポイント

結露が発生する原因は何ですか?

室内の湿度が高く、窓の温度が低いためです。

暖かい水蒸気をたくさん含んだ部屋の空気が、冷たい窓で冷やされます。そうすると、空気の「飽和水蒸気量」を超えてしまうため、空気中にいられなくなった水蒸気が目に見える液体の水になって現れることで、結露が発生します。

詳しくは「結露ができる原因と仕組み」をご覧ください。

結露が及ぼす影響とは?

結露を放置しておくと、カビやダニなどの発生原因となることがあります。

抵抗力の低い小さなお子さまなどは、シックハウス症候群になってしまうこともあるので注意が必要です。また、家の性能や耐久性に影響を及ぼすこともあります。

詳しくは「結露ができたらどうなる?」をご覧ください。

結露の防止策を教えてください

簡単にできるのは、日頃から換気をしたり、室内で温度差が出ないような環境づくりを行ったりすることです。

リフォームが可能な場合は、窓をペアガラス(二重窓)に変更すると効果的です。

詳しくは「窓の結露を防止する方法」をご覧ください。

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