和モダンな家
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「和モダン」な家の魅力とは?インテリアの選び方も紹介

執筆者プロフィール

高山みさと
インテリアコーディネーター

CADオペレーター・大手住宅設備メーカー勤務を経て、住宅ライターとして開業。インテリアコーディネーター資格保有。元キッチンスペシャリスト。家づくりやリフォームにおける難しい知識を分かりやすく伝えている。プライベートでは築20年の戸建て住まい。リフォームやDIYで家づくりを楽しんでいる。

ざっくり要約!

  • 和モダンな家とは、和風の空間に洋風のデザインを融合させた住まい
  • デザイン性が向上するだけでなく、和室が使いやすい空間になり活用度も広がる

日本人なら誰しもが落ち着くであろう「和」の空間。そこへ現代的な要素を加え、デザイン性や機能性を高めたスタイルを「和モダン」と呼びます。

この記事では、インテリアコーディネーターの筆者が和モダンな家について解説。洗練されて見えるインテリアの選びのコツから、リフォームした物件を選ぶ際の注意点まで紹介します。

和モダンの歴史とは?

和モダンの礎となる日本建築は、中国の影響を受けながらも書院造りや数寄屋造りなど、日本独自の建築様式として発展してきました。

日本の建築が西洋の影響を徐々に受け始めたのが、明治時代頃から。洋風の要素を取り入れた、明治・大正時代の「和洋折衷のインテリア」には独特な味わいがあり、畳敷きに椅子を取り入れるなど、和モダンにも通じるものがあります。

その後、昭和の高度経済成長期には、鉄筋コンクリートの集合住宅(団地)がステータスとなった時代もありました。

昨今では、生活の利便性や住まいの快適性が重視されますが、再び「木造建築」に注目が集まっています。そのような流れの中で、趣を感じられる「和」の空間の良さが再認識されているのではないでしょうか。

和モダンな家の特徴

伝統的な日本の住まいに、モダンインテリアの要素を取り入れた「和モダン」な家。現代的でスタイリッシュな空間は、老若男女問わずに好まれるデザインです。

和風と洋風が融合したデザイン

和モダンのベースとなるのが、和室や日本家屋といった日本の伝統的な建物や空間です。

和モダンに明確な定義はなく、洋室に「和」の要素を加えていくこともありますが、どちらかといえば、「和」の建具や内装をベースに、洋風の要素を融合したデザインになります。

また、住まいの洋式化が進み、和室が使いづらく感じることも少なくありません。和室の機能性を上げ、和室を活かす方法としても、和モダンは注目のインテリアです。

現代的なスタイリッシュさを兼ね揃える

モダンインテリアといえば、現代的でスタイリッシュな印象。モノトーンカラーを中心に構成され、金属やガラスといった近代的な素材を取り入れます。

一方、私たちにとって馴染み深い和室は落ち着きますが、インテリアとしての目新しさはなく、無難な空間になってしまいがちです。モダンインテリアの要素を取り入れることで、洗練された新しいスタイルの和室に変えることができます。

天然素材がふんだんに使われている

高温多湿な日本では、和室は理にかなった空間です。畳を始め、和紙や障子、漆喰など、使われている素材は、湿度を調節する機能「調湿性」を有します。

また、これらの素材は「天然素材」でもあり、化学物質をほとんど含みません。シックハウス症候群を引き起こす心配もなく、安心して使える素材です。

和モダンな家が好まれる理由

和モダンな家が人気の理由は、日本の気候や生活様式にフィットしていること、シンプルで飽きのこないデザインであることなどが挙げられます。

デザインがシンプル

和室を構成する建具は直線的なデザインが多く、シンプルに見える空間です。無駄をそぎ落としたミニマムな空間は、モダンインテリアにも通じるものがあり、欧米からも注目されています。

また、和モダンな家は流行に左右されにくいことも魅力。和の要素が整っていれば、小物やファブリックでアレンジしやすいスタイルです。

日本の風土や気候に合っている

日本家屋は、日本の気候風土に合わせたさまざまな工夫が施された住まいです。
たとえば、縁側にある深い庇は直射日光を遮り、自然素材をふんだんに使った住まいは調湿性に優れています。

和モダンな家は、このような先人の知恵を引き継ぎながら、現代の機能性やデザイン性をバランス良く取り入れた合理的な住まいともいえます。

広さを感じられる

畳の部屋では、座布団を敷いて座ったり寝転んだり、自由なスタイルでくつろぎます。
和モダンな部屋においても、椅子座ではあるものの、ローソファやローチェアを用いて「低座」の環境をつくることが特徴です。

低座は自然と視線の位置が下がるので、一般的な椅子に座るよりも天井が高く感じられ、部屋も広く感じられるというメリットがあります。

和モダンな家のインテリア選びのコツ

和モダンな家 インテリア

和モダンな家のインテリアは、高さの低い家具を中心に選び、空間全体の重心が下がるように意識すると、居心地が良く広さも感じられる空間になります。

低座の椅子や高さの低い家具を選ぶ

先にも述べたように、和モダンインテリアは「低座」を意識して、椅子やソファを選びます。小上がりをつくることもおすすめです。

家具も高さの低い物を選び、空間全体の重心が下がるようにします。同様に、照明も天井付けにはせず、床置きの照明を使ったり、ペンダント照明の吊り下げ位置を下げたりして、余白のある空間を意識すると良いでしょう。

優れた建具「障子」を取り入れる

和モダンな家に積極的に取り入れたいのが「障子」です。洋室であっても、建具が障子に変わるだけで「和」の印象が強くなります。建具がインテリアに与える影響はとても大きなものです。

障子は、和紙を通して光をやわらかく取り入れられるのが魅力。障子で部屋を仕切ると、採光が取りにくい部屋にも光が届きやすくなります。

和モダンインテリアの色選びのコツ

和室を構成する色は、畳や障子、漆喰などの自然素材の色が主体となります。これらの色は「アースカラー」と呼ばれ、大地・植物・海など自然を彷彿とさせる優しい色です。

癒し効果の高いアースカラーの配色に取り入れたいのが、アクセントカラーです。和モダンな家には、藍色・朱色・えんじ色など、落ち着きのある日本の伝統色がよく合います。

より洗練された空間に見せたい場合は、濃藍・焦茶・漆黒といったダークカラーを使うと、空間が引き締まり、一気にモダンな印象が強くなります。

和モダンな家を選ぶときのポイント

年月を重ねた味わい深い中古住宅は、和モダンインテリアと相性が良い一方で、注意点もあります。また、中古住宅を適切に維持するためには、メンテナンスも欠かせません。

メンテナンスコストも考える

和モダンな家を構成する建材は、調湿性を有し、日本の気候にあったものばかりです。
しかし、畳や障子は定期的な張り替えが必要になり、漆喰は塗り替えをしなくてはなりません。
昔ながらの建材を適切に維持するためには、手間と費用がかかるのが現実です。

メンテナンスの負担を軽減するには、自然素材を扱いやすくした建材を使うのも一案です。漆喰を模した壁紙や樹脂素材の畳などを適度に活用すると良いでしょう。

住宅性能にも着目する

和モダンな家の中には、築古の日本家屋を和モダンにリフォームした物件も見られます。
時間を重ねた味わい深い魅力もありますが、住宅性能が劣っている可能性も否定できません。

中古住宅に長く住むためには、外壁や屋根、基礎の状態など、確認すべきことは多くあります。このような住宅の診断を受けられるのが「インスペクション」です。

インスペクションは、住宅診断士が第三者の立場から住宅の劣化や欠陥の有無を診断し、改修や費用についてのアドバイスを行います。

間取りの使い勝手もチェック

リフォームで和モダンに改装した物件の場合、間取りに手を加えられていないこともあります。リビングとダイニングキッチンが分かれていたり、トイレが家の奥にあったり、生活動線や使い勝手が悪いことも少なくありません。

暮らしてみないと分からないこともありますが、できるだけ間取り図や内見で実際の生活をイメージし、不便がないかをシミュレーションしてみましょう。

和モダンな家は「和」の良さを再認識できる住まい

住まいの洋式化に伴い、残念ながら「和」の空間は失われつつあります。
和モダンな家に住むことは、洋式の生活に慣れた日本人が「和」の良さを再認識する機会になるかもしれません。

ただし、和モダンと相性の良い中古住宅は維持費がかかり、間取りや住宅性能において難点があることも事実です。気になることや不安がある場合は、インスペクション(住宅診断)を受けると良いでしょう。

この記事のポイント

和モダンな家とは?

和風と洋風のデザインが融合し、落ち着きがある中にも現代的な要素のある住まいです。

詳しくは「和モダンな家の特徴」をご覧ください。

和モダンインテリアのポイントは?

和モダンインテリアは、高さの低い椅子を使う「低座」や、日本の伝統色を取り入れることなどがポイントです。

詳しくは「和モダンな家のインテリア選びのコツ」をご覧ください。

リフォームされた和モダンな家は購入しても大丈夫?

中古住宅は間取りが使いづらかったり、住宅性能が劣っていたりする可能性も否定できません。インスペクションを利用するなど十分な検討が必要です。

詳しくは「和モダンな家を選ぶときのポイント」をご覧ください。

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