床の間
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床の間とは?用途やタブー、使用しない場合のリフォーム術を解説

執筆者プロフィール

高山みさと
インテリアコーディネーター

CADオペレーター・大手住宅設備メーカー勤務を経て、住宅ライターとして開業。インテリアコーディネーター資格保有。元キッチンスペシャリスト。家づくりやリフォームにおける難しい知識を分かりやすく伝えている。プライベートでは築20年の戸建て住まい。リフォームやDIYで家づくりを楽しんでいる。

ざっくり要約!

  • 床の間とは、床の一部を一段高く造り付け、掛け軸や置物を飾る「装飾」を目的とした空間のこと
  • 床の間のある和室の用途は客間であるが、リフォームによって他の用途に変えることもできる

和室のある住まいの減少とともに、見かけることが少なくなった「床の間」。床の間は、洋室が普及するまでは、一般的な家庭にもよく見られる空間でした。

近年では、床の間の用途をよく知らない世代が増え、マナー違反とされる行為をしてしまうことも。この記事では、床の間の用途やタブーを解説。さらに、床の間を有効活用できるリフォーム方法まで紹介します。

床の間とは?どのような用途で使う場所?

床の間とは、床の一部を一段高く造り付け、掛け軸や置物を飾る「装飾」を目的とした空間を指します。床の間のある座敷(和室)は、家の中で最も格式が高く、神聖な部屋とされていました。

床の間の由来には諸説あります。仏具である三具足(みつぐそく)の花瓶・香炉・燭台を飾ることから、仏壇を起源とする説。
また、仏壇そのものが起源ではなく、押板(おしいた)と呼ばれる低い台に三具足を飾ったものが後に造り付けとなり床の間になったとされる、押板を起源とする説などがあります。

床の間を有する座敷は、客間が主な用途です。
床の間に一番近い場所は上座(かみざ)と言われ、客人が座る場所になります。床の間は骨董品や掛け軸を飾り、客人をもてなす空間であるとともに、家人の教養の高さや財力を象徴する場所でもありました。

参考文献:床ノ間の源流と成立(太田靜六)

床の間のタブー

床の間は、客人をもてなす空間であるとともに、仏様に由来する神聖な場所です。よって、床の間にはタブーとされる行為があります。

床の間に上がる

床の間は神聖な空間であり、床の間に人が上がることはNG行為とされます。また、人が上がることを前提としていないため、強度不足の可能性もあります。

重たいものを置く

床の間に大きな荷重がかかると、床板や床畳の仕上げが傷んだり、歪んだりする可能性があります。重い物を置くことは避けましょう。

荷物を置く

近年では、床の間の用途を知らない世代も少なくありません。悪気なく荷物置き場とされてしまうこともありますが、それもタブーとなるため注意が必要です。

客人を下座に座らせる

客人や目上の人をもてなす際には、床の間に近い「上座」に座って頂くことがマナーです。床の間から離れた「下座(しもざ)」に案内することは避けましょう。

床の間に置くと良いものは?

床の間 置くもの

床の間は、和室の中で視線が向きやすい「フォーカルポイント」となる場所です。床の間を美しく装飾することで、客人へおもてなしの心を伝えることができます。

掛け軸

掛け軸とは、書画が書かれた紙を布などで表装し、軸木を付けて飾れるようにしたものです。

床の間は、僧侶が仏画を鑑賞する空間であったとも言われ、掛け軸にも仏様が描かれたものがあります。掛け軸は、季節掛や慶事掛などさまざまな種類があり、おもてなしの場面に応じて掛け変えるものです。

現代においては堅苦しく考えず、好きな絵を飾って楽しむ方もいます。大切なのは、客人をもてなす心遣いです。

生け花

生け花とは、花や草木を器に生けることを指します。花や草木は、季節感を演出することのできる装飾品です。

生け花は、ただ花瓶に花や草木を飾るだけではありません。空間美を意識して飾る生け花は、生けた人の感性が現れるものです。生け花があることによって、客人へのおもてなしの心がより伝わることでしょう。

節句の置物

節句とは、季節の節目となる日のことです。桃の節句や端午の節句が代表的ですが、他にも七草や七夕も節句に当たります。

床の間には、節句にちなんだ鏡餅や五月人形などの置物を飾ることも良いとされています。縁起物である干支の置物を飾るのも良いでしょう。

床の間を有効活用!リフォーム案と予算の目安

床の間のタブーが気になる、床の間がデッドスペースになっている場合は、リフォームで別空間に変えることがおすすめです。費用は床の間の状態にもよりますが、リフォーム案と予算の目安を紹介します。

収納スペースに

床の間は、部屋の奥まった場所にあり、壁の一部が凹んだような空間になっています。扉を付ければ、造り付けのように見せることができるので、収納として使い勝手の良い空間です。

床の間の撤去、棚板やハンガーパイプの設置、扉の設置などにかかる費用の目安は、5~20万円程が目安となります。扉を付けずに、ロールスクリーンやカーテンで隠すと、費用を抑えることができます。

ワークスペースに

床の間の広さは、ワークスペースにもちょうど良い空間です。壁に囲まれた程よい「こもり感」があり、集中力も高まるでしょう。

費用の目安としては、デスクの造り付けで5~10万円程かかります。必要に応じて内装工事も行うと快適な空間になります。

また、ワークスペースとして使う上で増やしておきたいのが「コンセント」です。特にパソコンを使う場合は、コンセントの増設も検討しましょう。

和室から洋室に

畳は物を置くと傷みやすく、物をたくさん置く空間としては向きません。畳からフローリングにリフォームしたほうが、活用の機会が増えます。
床の間のある和室全体を洋室にリフォームすれば、ベッドを置いて寝室としても使いやすくなります。

畳を撤去してフローリングに変えるためには、下地調整や修復も必要です。畳をフローリングに変えるための費用は、20~30万円が目安となります。

また、畳をフローリングに変えるだけなら費用は抑えられますが、内装が和風のままでは違和感を覚えることも少なくありません。

天井や壁紙の交換、襖を洋風建具に交換、床の間や押し入れをクローゼットにリフォームするなど、和室から洋室へのフルリフォームの場合は、50~90万円が目安となります。

床の間の利用価値はリフォームで向上する!

ライフスタイルの変化に伴い、来客をもてなす場は客間からリビングへと変わりつつあります。その結果、床の間の使い道が分からず、デッドスペースになっているケースも少なくありません。

床の間のタブーが気になる、縁起が悪い……と利用を控えているのなら、思い切ってリフォームするのも一案です。床の間の空間特性を活かしてリフォームをすれば、意外と便利な空間に変わるかもしれません。

この記事のポイント

床の間とは?

床の間とは、床の一部を一段高く造り付け、掛け軸や置物を飾る「装飾」を目的とした空間を指します。

詳しくは「床の間とは?どのような用途で使う場所?」をご覧ください。

床の間でやってはいけないことはある?

床の間は、仏様に由来する神聖な場所であり、その家の中で最も格式の高い場所とされています。そのため、タブーとされる行為があります。

詳しくは「床の間のタブー」をご覧ください。

床の間に置くと良いものはある?

床の間には客人をおもてなしするために、掛け軸や生け花を飾ります。また、節句にちなんだ置物を飾ることも良いとされています。

詳しくは「床の間に置くと良いものは?」をご覧ください。

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