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シバンムシはどこから来る?人体への影響や効果的な駆除方法・対策を解説

ざっくり要約!

  • シバンムシは日本全国に広く分布する害虫の一種であり、高温多湿の時期に繁殖する性質を持つ。
  • シバンムシは人体に健康被害を及ぼすことはないものの、放置すると畳や柱を内側から食い破られてしまい、家の劣化が早まる。
  • シバンムシを駆除するには畳の高温処理やヒバ油による防虫が有効であり、予防には室内の清掃や空気の入れ換え、除湿が効果的である。

シバンムシは温かい季節に発生しやすい体長が2~3mm程度の大きさの害虫です。屋内に発生しやすく、畳やタバコ、穀物類などの乾燥した植物質を好みます。

プラスチックやビニールに穴を開けてしまうほどかじる力が強いため、放置しておくといつの間にか食料品を食い散らかされることも。気がつかないうちに被害は広がっていきますので、見つけたときには急いで駆除しましょう。

今回はシバンムシの特徴と見つけたときの駆除方法、被害を広げないための対処法についてご紹介します。

シバンムシとは?

シバンムシとは、主に4~10月頃にかけて屋内に発生する害虫の一種です。海外ではシバンムシが鳴らすコチコチという音が”死神が持つ時計の秒針の音”を連想させることから「death-watch beetle」という英名がついており、日本に入ってくる際に和訳され、漢字で「死番虫」という和名がつけられています。

種類

シバンムシは体表が硬い革質で覆われる甲虫の一種であり、シバンムシ科に属する虫の総称です。全世界では2,000種類以上、日本国内では130種類以上が確認されるほど、さまざまな種類が存在しています。

日本では特に「タバコシバンムシ」と「ジンサンシバンムシ」が多く、シバンムシによる食品被害の大半はこの2種類が引き起こしているといわれています。また「ケブカシバンムシ」「マツザイシバンムシ」「オオナガシバンムシ」の3種は木材を主食としており、建物や家具に使われる木材を内部から食い荒らす建材被害を引き起こします。

生態

シバンムシは高温多湿を好む性質があり、温かい季節の中でも特に夏場にもっとも多く発生します。発生するエリアは北海道から九州まで偏りがなく、日本全国に広く分布しています。

成虫の寿命は10~25日程度と短命ですが、一度の産卵で100個にもおよぶ数の卵を産み付けるほど強い繁殖力をもっています。羽化から2~3日後には交尾を始めるため、一匹見つけたらすでに数十匹、数百匹が発生している可能性があるでしょう。

シバンムシはどこから来るの?発生源になる場所

日本全国どこにでも発生するといわれるシバンムシは、具体的にどこから沸いてくるのでしょうか。

シバンムシの餌となるものは家の中にたくさん!

シバンムシは多くの種類が雑食性であるため、家の中にあるあらゆるものが食料となり、また発生源となります。シバンムシの餌になる代表的なものは以下の通りです。

  • 乾麺や菓子などの乾燥した食料
  • 香辛料
  • 小麦粉などの粉類
  • タバコ
  • 畳床の藁
  • ドライフラワー
  • 紙類
  • 革製品
  • 木材 など

シバンムシの種類によって好みの餌は異なりますが、どの家にもある食材や建材が狙われるため、シバンムシと無関係の家は存在しないともいえます。

とくに乾燥しているものが好物

シバンムシは乾燥していて水分が少ないものを好む習性があります。同じ木材でも、乾燥している古めの柱や梁を好み、若く水分量が多い部材は避けられがちです。

食品も同様の傾向により狙われやすさが異なります。シバンムシが好む餌のひとつにドッグフードがありますが、水分量が多い半生タイプはあまり好まれず、カリカリとしたドライタイプが狙われる傾向があります。

食品などのパッケージも食い破る強靭な顎が厄介

シバンムシに狙われやすい食品の多くはビニールや紙袋などで包装されていますが、シバンムシは非常に顎の力が強く、パッケージを食い破って中に侵入します。そのため前述のドッグフードをはじめ、パスタ乾麺、フリーズドライ食材などの乾燥食材はシバンムシの標的になりやすい傾向があります。

また、シバンムシがパッケージに開ける穴は非常に小さいため、ひと目で発見するのは難しいでしょう。そのため発見までに時間がかかるケースは多く、気がつかないうちにシバンムシの被害が拡大してしまうかもしれません。

シバンムシの人体への影響は?

シバンムシは人が食べる食品を餌にする害虫ですが、人体への影響はないのでしょうか。

直接的な影響はないといわれている

シバンムシは害虫といわれる虫ですが、人体には無害であるとされています。人の肌を噛んだり刺したりといった被害により健康被害を受けることはありません。

また、成虫は人体に有害な病原菌を媒介することもないため、万が一食品と一緒に飲み込んでしまったとしても、食中毒を起こすこともないでしょう。

二次被害には注意

シバンムシが人体に対して悪影響を及ぼすことはありませんが、二次被害には注意が必要です。シバンムシの幼虫は、ハチの一種であるアリガタバチに寄生されることがあります。アリガタバチの針には毒性があり、刺されると傷みやかゆみが発生します。症状がひどい場合には赤い腫れや水ぶくれ、化膿を引き起こす場合もあるため要注意です。

アリガタバチは単独での発生は非常にまれであり、多くはシバンムシに寄生する形で数を増やします。アリガタバチが増えている環境では、ほぼ例外なくシバンムシも増えていると考えてよいでしょう。

シバンムシの駆除方法

シバンムシは非常に強い繁殖力を持っているため、放っておくと大量増殖を引き起こす場合があります。もし自宅でシバンムシを見つけたなら、被害が広がる前に早めの駆除を行いましょう。

シバンムシが付いた食品を捨てる

シバンムシは食べても人体に影響はありませんが、一度シバンムシがついた食品が不衛生なのは間違いありません。

また、シバンムシは繁殖のために食品へ大量の卵を産み付けます。シバンムシの餌にされていた食品はすでに産卵が済んでいる可能性がありますので、あまり手を着けずに残っていたとしても、迷わずに捨ててしまうとよいでしょう。特に小麦粉などの粉物は産み付けられた卵が見えにくいため、シバンムシの発生が疑わしい時には即刻処分するのが望ましいでしょう。

畳が発生源の場合は高熱処理が有効

シバンムシが畳に発生した場合には、高熱処理でシバンムシを駆除するのがおすすめです。シバンムシは高熱に弱いため加熱が有効な駆除手段になりますが、畳を加熱するのは一般家庭では難しいので、畳店に処理を依頼するとよいでしょう。

なお、シバンムシは畳の内側を食い荒らすため、大量発生した後の畳は内部が傷んでいる場合があります。畳店に相談する際には畳のチェックも同時に依頼し、状態に応じて張り替えに切り替えてもよいでしょう。

殺虫剤を使いたくないときはヒバ油が効果的

シバンムシの駆除を家庭で行う場合、殺虫剤を使うのが比較的簡単です。しかし殺虫剤により畳や家財が傷むおそれがあるうえ、人が吸い込んでしまうと健康被害を引き起こすリスクもあります。

殺虫剤の使用を避けた駆除を行いたいなら、ヒバ油のスプレーを使うのがおすすめです。ヒバはヒノキ科の針葉樹のひとつであり、ヒバから取れる油は古くから抗菌や防虫に有効な薬剤として活用されてきました。

シバンムシはヒバの香りを苦手としているため、ヒバ油を水で薄めたものをスプレーしておけば、シバンムシが寄りつくのを防ぐ効果が期待できます。

効果的なシバンムシ対策

発生したシバンムシは効果的に駆除したいものですが、できれば発生を未然に防げるのが望ましいでしょう。シバンムシが発生せず増えにくい環境を作るため、日頃から次に紹介するような対策を行いましょう。

食材は密閉容器に保管する

食材をシバンムシの餌や産卵場所にしないためには、密閉容器で保管しシバンムシの侵入を防ぐことが大切です。輪ゴムや留め具で封をしたとしても、シバンムシはわずかな隙間から侵入できてしまうため、長期保管の際には必ず密封できる容器を使用しましょう。

もし密閉容器での保管が難しいようなら、寒さが苦手なシバンムシが侵入できない冷蔵庫で保管するようにしましょう。

定期的に掃除する

シバンムシはまとまった食料がなくても、わずかな食べ残しや食べカスを餌にして繁殖します。特に夏場にはわずかな時間で大量繁殖するおそれがありますので、室内を定期的に掃除して餌になるようなゴミを残さないようにしましょう。

特にシンク下収納に食材や調味料を保管している場合、気がつかないうちに細かい食べカスや調味料の粉末などが溜まってしまう場合があります。当然これらのゴミもシバンムシの餌になってしまいますので、定期的に見えにくい場所の掃除も行うのがおすすめです。

夏場は特に湿度に気をつける

シバンムシは高温多湿の環境を好むため、湿気が多く気温が高い夏場はシバンムシにとって絶好の繁殖チャンスとなります。具体的には気温25℃湿度60%の環境が最も繁殖しやすい環境になりますので、夏場の室内はできるだけこの条件を満たさないような環境作りを心がけましょう。

気温や湿度を下げるためには、定期的な室内の空気の入れ替えが効果的です。もし窓を開けて空気を入れ換えるのが難しいようなら、扇風機で室内の空気を循環させるだけでも湿度の高い空気の滞留を防ぎやすくなります。

まとめ

シバンムシは高温多湿の環境で発生する害虫の一種です。穀物類や粉物、畳といった乾燥した植物質を好み、一度に100個近くの卵を産み落とすほどの強い繁殖力を持ちます。

畳や柱を内側から食い荒らす性質があるため、放置しておくと家の傷みが進行しやすくなります。毒性がなく人体に悪影響を与えることはありませんが、幼虫に寄生するアリガタバチに刺されると腫れや水ぶくれ、化膿といった症状を引き起こす場合があるため、特に小さな子どもがいる家庭は要注意です。

もしシバンムシを見つけたなら高温処理やヒバ油を利用した駆除を行いつつ、小まめな清掃や温度・湿度管理を行い、シバンムシが発生しにくい環境を作りましょう。

この記事のポイント

シバンムシはどこに発生しますか?

食料や畳などをエサに繁殖します。特に乾いた植物質が好みです。

詳しくは「シバンムシはどこから来るの?発生源になる場所」をご覧ください。

シバンムシは人体に悪影響がありますか?

毒性がないため人体への影響はありません。ただし幼虫に寄生するアリガタバチに刺されると腫れや水ぶくれを引き起こす場合があります。

詳しくは「シバンムシの人体への影響は?」をご覧ください。

シバンムシの駆除はどうすればいいですか?

畳の高温処理やヒバ油による防虫が効果的です。また、小まめな掃除や室内の除湿によりシバンムシが住みにくい環境を作ることができます。

詳しくは「シバンムシの駆除方法」をご覧ください。

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