ざっくり要約!
- ホルムアルデヒドとは、建材や家具を始め、さまざまな生活用品からも発散される揮発性有機化合物のこと
- ホルムアルデヒドを除去するには「常時換気」が最も効果的
排気ガス、花粉、PM2.5……大気中の汚染物質が問題視されることは多くありますが、実は室内においても汚染物質は存在します。それが「ホルムアルデヒド」です。
ホルムアルデヒドは、換気を行わない限り滞留し続けるので、適切な換気とできるだけホルムアルデヒドを含まない建材や家具を使うことが大切です。
この記事では、建築基準法の改正によるホルムアルデヒドの使用制限や除去する方法について解説します。
記事サマリー
ホルムアルデヒドとは?
ホルムアルデヒドとは、建材や家具で使われる合板やパーティクルボード、壁紙の接着剤や塗料等に含まれる揮発性有機化合物のことを指します。
ホルムアルデヒドは、目には見えない気体です。長期間にわたって室内に発散され、空気環境を汚染します。その濃度によっては人体に悪影響を及ぼす可能性があり、建築基準法によって使用を制限されています。
人体に害があるとされる化学物質
厚生労働省では、ホルムアルデヒド・ブタジエン・硫酸ジエチルの3つにおいて、発がん性を始めとする有害性があるとしています。そのため、これらの化学物質を取り扱う業務に従事する人の健康障害防止対策を講じています。
この3つの中で、私たちにとって身近で、身の回りにある化学物質が「ホルムアルデヒド」です。
出典:ホルムアルデヒド、1,3-ブタジエン及び硫酸ジエチルに係る健康障害防止対策について(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
シックハウス症候群を誘発する要因となる
シックハウス症候群とは、目・鼻・喉等の痛み、めまいや吐き気、頭痛が症状として現れるもので、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物が原因と言われています。
住まいで使用される揮発性有機化合物には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン等、多くの種類があります。揮発性有機化合物は、気温の高い夏に発散量が増える傾向にあり、換気に配慮が必要です。
出典:快適で健康的な住宅で暮らすために(一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会)
主な発生源は合板
ホルムアルデヒドは、建材や家具に欠かせない合板やパーティクルボード(小片の木材を接着剤で板状に成型したもの)が主な発生源です。他に、塗料や壁紙用の接着剤、合成樹脂等にも含まれています。
また、タバコの喫煙や暖房器具燃焼からの発生、カーテンやカーペット、防虫剤等、身近な生活用品にも含まれるため、注意が必要です。
建築基準法改正によりホルムアルデヒドの使用は制限されている
2003年の建築基準法改正ではシックハウス対策として、ホルムアルデヒドの使用制限と換気設備の義務付け、さらにシロアリ駆除剤として使われていたクロルピリホスの使用が禁止されました。
ホルムアルデヒドに対しては、以下3つの制限に従う必要があります。
内装の仕上げ材の制限
ホルムアルデヒドを含む建材は、日本農林規格(JAS)、日本産業規格(JIS)または国土交通大臣が発散量に応じて等級付けをしています。
等級を分かりやすく表示記号にしたものが「F☆☆☆☆」です。
最高ランクは「エフ・フォースター」と読み、星の数が多いほどホルムアルデヒドの発散量が少ないことを示しています。反対に、星の数が少ないほど発散量が増えるため、使用面積の制限・使用禁止の措置があります。
建築材料の区分 | ホルムアルデヒドの発散 | JIS・JAS等の表示記号 | 内装仕上げの制限 |
---|---|---|---|
建築基準法の 規制対象外 | 少ない ↓ 多い |
F☆☆☆☆ | 制限なしに使える |
第3種ホルムアルデヒド発散建築材料 | F☆☆☆ | 使用面積が制限される | |
第2種ホルムアルデヒド発散建築材料 | F☆☆ | 使用面積が制限される | |
第1種ホルムアルデヒド発散建築材料 | 表示なし | 使用禁止 |
換気設備の義務付け
2003年の建築基準法改正によって、原則として居室を有する全ての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられました。
F☆☆☆☆が表示された建材や家具でも発散量はゼロではなく、その他の生活用品からもホルムアルデヒドは発散されるからです。
住宅等の居室においては、1時間当たり0.5回以上の換気を行える機械換気設備が必要になります。これは、1時間で部屋の空気の半分が入れ替わる換気量です。
天井裏等の制限
天井裏や床下、収納内部等、居室以外からのホルムアルデヒド流入を防ぐため、以下のいずれかの措置が必要です。
- 天井裏等に第1種、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない
- 気密層や通気止めを設け、天井裏等と居室を区画する
- 機械換気設備を天井裏等にも設ける
参考資料 シックハウス対策について知っておこう(国土交通省)
家具や住まいからホルムアルデヒドを除去する方法
ホルムアルデヒドは、気体であるため水拭きや清掃では除去できません。最も効果的な方法は、機械換気設備による常時換気です。
2003年以降に建築された住まいを選ぶ
シックハウス症候群は、建材や家具に含まれる化学物質が増えたことや住まいの気密性向上、換気不足が主な要因です。
2003年の建築基準法改正では、シックハウス対策として内装仕上げの制限や機械換気設備の設置を義務付けました。
2003年以降に建てられた住まいを選ぶことで、ホルムアルデヒドから受ける影響を最小限にすることができるでしょう。
24時間換気システムはメンテナンスを
空気中に漂うホルムアルデヒドを除去するためには、常時換気が可能な「24時間換気システム」を稼働させることが最も効果的です。
24時間換気システムは、シックハウス対策という重要な役割があるため、常時稼働が原則です。電源を切ると、室内の化学物質の濃度が高まる恐れがあります。
また、必要な換気量を維持するためには、給気口や排気口の定期的な清掃が必要です。フィルター交換や清掃方法は取り扱い説明書で確認しましょう。
・「24時間換気システム」に関する記事はこちら 24時間換気システムとは?気になる電気代や種類による違いを解説 |
発生源の除去
ホルムアルデヒドは新築住宅に限らず、家具の購入やリフォームに際しても、注意が必要です。
建築材料と同様に、家具や住設機器(システムキッチンや洗面化粧台)選びにおいても、ホルムアルデヒド発散量の少ない「F☆☆☆☆」が表示された製品を選ぶと安心です。
できるだけ、ホルムアルデヒドの発生源を住まいに取り入れないようにしましょう。
専門業者に依頼すれば室内濃度の測定ができる
厚生労働省では、特定の化学物質に対して室内濃度指針値を示しています。ただし、指針値は目安であり、シックハウス症候群が発症しないことを保証するものではありません。
指針値は、現状において入手可能な科学的知見に基づき、人がその化学物質の示された濃度以下の曝露を一生涯受けたとしても、健康への有害な影響を受けないであろうとの判断により設定された値である。これらは、今後集積される新たな知見や、それらに基づく国際的な評価作業の進捗に伴い、将来必要があれば変更され得るものである。
引用:室内空気中化学物質の室内濃度指針値について(厚生労働省)
室内濃度指針値をクリアできているかは、専門業者に依頼すれば測定することができます。ホルムアルデヒド以外にも、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等、他の化学物質の測定も可能です。
ホルムアルデヒドの除去は、常時換気で効率良く
気密性の高い家は冷暖房効率が良く快適ですが、気密性向上による換気不足、建材に含まれる化学物質によって、室内の空気環境は汚染されやすくなります。
住まいからホルムアルデヒドを除去するためには、24時間換気システムの稼働が効果的です。さらに、ホルムアルデヒド発散量の少ない建材や家具選びを心掛けることもポイントになります。
・「24時間換気システム」に関する記事はこちら 24時間換気システムとは?気になる電気代や種類による違いを解説 ・「換気システム」を含む物件一覧はこちらから |
この記事のポイント
- ホルムアルデヒドとは?
ホルムアルデヒドとは、建材や家具で使われる合板やパーティクルボード、壁紙の接着剤や塗料等に含まれる揮発性有機化合物のことを指します。
詳しくは「ホルムアルデヒドとは?」をご覧ください。
- ホルムアルデヒドは何に含まれる?
主な発生源は、合板やパーティクルボード等の建材です。ただし、家具や生活用品等、身近な物から発散されることもあります。
詳しくは「主な発生源は合板」をご覧ください。
- ホルムアルデヒドを除去する方法は?
ホルムアルデヒドは、気体であるため水拭きや清掃では除去できません。最も効果的なのは、24時間換気システムによる「常時換気」です。
詳しくは「家具や住まいからホルムアルデヒドを除去する方法」をご覧ください。
物件探しや売却がもっと便利に。
無料登録で最新物件情報をお届けいたします。
Myリバブルのサービス詳細はこちら