システムキッチン サイズ
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システムキッチンのサイズの標準は?使いやすい間口や奥行きはどれくらい?

執筆者プロフィール

高山みさと
インテリアコーディネーター

CADオペレーター・大手住宅設備メーカー勤務を経て、住宅ライターとして開業。インテリアコーディネーター資格保有。元キッチンスペシャリスト。家づくりやリフォームにおける難しい知識を分かりやすく伝えている。プライベートでは築20年の戸建て住まい。リフォームやDIYで家づくりを楽しんでいる。

ざっくり要約!

  • システムキッチンのサイズは、間口2550mm・高さ85cm・奥行き65cmが標準
  • 他にもシンクや調理スペース、吊戸棚の高さなど、サイズを検討すべき箇所は多くある

キッチンの種類は、ミニキッチンやコンパクトキッチンと呼ばれる小間口のタイプ、デザイン・サイズ・レイアウトを自由に選べるシステムキッチンに大別されます。
システムキッチンは自由度が高い一方で、サイズバリエーションが多く、選び方に迷うことも多いのではないでしょうか。

この記事では、キッチンメーカーで設計をしていた筆者が、システムキッチンのサイズについて徹底解説します。システムキッチンのサイズでお悩みの方は、ぜひご覧ください。

キッチンの間口(横幅)別の特徴とメリット・デメリット

システムキッチンの間口は、I型の場合で1800~3000mmが一般的です。検討されることの多いキッチンの間口を6つ挙げて解説します。

1800mmのメリット・デメリット

キッチン サイズ 1800

キッチン間口1800mmは、賃貸マンションやアパートでよく見られ、一人暮らしには十分なサイズのキッチンです。短い動線で調理でき、小回りがきくことがメリットと言えます。

デメリットは、間口が小さく食器洗い乾燥機の搭載ができないことです(一部には、ガスコンロを2口にして、対応可能としているキッチンもあります)。

2100mmのメリット・デメリット

キッチン間口2100mmも賃貸マンションやアパートによく見られます。二人暮らしでも使用できるサイズですが、やや狭く感じるかもしれません。

間口2100mmは、食器洗い乾燥機の搭載も可能になりますが、シンクが小さくなったり、収納が不足したりする場合もあるので注意が必要です。

2400mmのメリット・デメリット

キッチン間口が2400mmあると、ファミリー世帯でも比較的使いやすいサイズになります。間口2400mmは、建売住宅にもよく採用される間口です。

2400mmで狭いということはありませんが、感じ方には個人差もあります。可能であれば、ワンサイズ上の2550mmを検討することをおすすめします。

2550mmのメリット・デメリット

キッチン サイズ 2550

キッチンメーカーのカタログには、2550mmを基本プランとして記載しているケースが多く、キッチン間口の標準サイズは2550mmと言って良いでしょう。

筆者宅のキッチンもI型2550mmですが、間口としての狭さを感じたことはありません。シンク・コンロ・食器洗い乾燥機をバランス良く配置できる間口です。

2700mmのメリット・デメリット

キッチン間口が2700mmあると、大きめのシンクを選んでも、調理スペースや収納量に余裕があります。

2550mm同様に使いやすい間口と言えますが、人によっては調理中の動線が長いと感じることも。冷蔵庫の配置を含めた、ワークトライアングル(※)に注意してレイアウトを検討しましょう。

※ワークトライアングルとは、シンク・コンロ・冷蔵庫の3点を結んだ距離のことで、その距離の合計は、3600~6600mm以内が理想的と言われています。

3000mmのメリット・デメリット

間口が3000mmのキッチンのメリットは、十分な収納量を確保できること、複数人での作業がしやすいことが挙げられます。ただし、動線が長くなる分、作業効率がダウンすることがデメリットです。

3000mmの間口は、シンクとコンロが離れすぎないように配置すると、使いやすいキッチンになります。間口の大きなキッチンは、ワークトライアングルに配慮することが大切です。

要チェック!システムキッチンで検討すべき7つのサイズ

システムキッチンのサイズは、間口以外にも奥行きや高さ、通路幅など、さまざまなサイズを検討する必要があります。

1.キッチンの間口

キッチンの間口は、メーカーや商品によって対応できる範囲が異なります。小間口や大間口のキッチンを検討する場合には、まず希望の間口に対応できるか否かをカタログで確認しましょう。

また、システムキッチンの間口は150mm単位で製作が可能ですが、壁内に納めるキッチンの場合、寸法が規格と合わないことも少なくありません。

その場合には、「フィラー」という調整部材を用いて、ピッタリサイズのキッチンをつくることが可能です。また、一部のメーカーでは、フィラーを用いずにキャビネットでピッタリサイズのキッチンをつくれる商品もあります。

2.キッチンの奥行き

システムキッチンの奥行きは、I型の場合で65cmが基本ですが、60cmを選べる場合もあります。

アイランド型キッチンやペニンシュラ型キッチンの奥行き寸法は、メーカーによって異なりますが、75~97cm程度が一般的です。

アイランド・ペニンシュラ型で奥行きが97cm程度あると、対面側を収納にしたり、カウンタートップをテーブルにしたりすることが可能になります。

3.キッチンの高さ

システムキッチンの高さは、80cm・85cm・90cmの3種類があり、85cmが標準の高さです。また、「台輪」という部材を用いて、2.5cm単位で高さ調整が可能となっており、82.5cm・87.5cmの高さにすることもできます。

自分に合うキッチンの高さは、以下の2種類の計算式を参考に導き出してみましょう。

  • 身長÷2+5cm
  • 肘の高さ-10cm

身長160cmの人の場合は、160÷2+5で85cmが高さの目安となります。また、手足の長さには個人差があると考えられ、調理作業の起点となる肘を基準に計算する方法もあります。

加えて、キッチンマットを敷いたり、スリッパを履いたりと、キッチンで作業する環境は人それぞれです。このような使用環境もキッチンの高さに影響を与えます。

最適な高さを選ぶには、ショールームで実際の高さを体感することが大切です。可能であれば、使用するマットやスリッパを持参できると尚良いでしょう。

4.キッチンの調理スペース

キッチンの調理スペースは、狭いと作業しづらく、広すぎると動線が長くなり不便です。60~90cm程度の範囲に納まると良いでしょう。

間口を変えずに調理スペースを広げたい場合は、コンパクトなシンクを選ぶ、ガスコンロを3口から2口に変更するといった方法があります。

5.シンクの幅・奥行き

シンクの幅は70~80cmが主流ですが、小間口キッチン向けの55~65cm、大きなサイズでは90cmと幅広いバリエーションがあります。奥行きは、キャビネットに納める制約上、40~50cm程度が一般的です。

シンクが大きくなるほど、調理スペースが狭くなるため、キッチン全体のバランスを考慮して選びましょう。

6.吊戸棚の高さ・奥行き

吊戸棚の標準的な高さは70cmです。他に90cm・60cm・50cmといった高さがあります。奥行き寸法は30〜40cmが多く、一般的なサイズは35cmです。

また、吊戸棚の高さとレンジフードの高さを揃えると洗練されて見えます。
ただし、ガスコンロ天面からレンジフードまでは、80cm以上を確保することが優先され、天井高が低い場合は、高さを統一できない場合もあります。

出典:キッチンまわりの豆知識(東京消防庁)

7.通路の幅

キッチンの通路幅は見落としがちですが、狭すぎても広すぎても使いづらいため、しっかりと検討したいポイントです。

1人で作業することがほとんどの場合、通路幅は90cm前後が目安になります。キッチン背面に食器棚やカウンターがある場合はすぐに手が届き、小回りのきく距離感です。

一方で、複数人で作業する場合や、キッチンの奥に冷蔵庫があるレイアウトの場合は、人がすれ違うスペースを考慮する必要があります。100〜130cmの範囲で通路幅を検討しましょう。

筆者宅のキッチンは通路幅が95cmですが、すれ違うにはやや狭いと感じます。一例として参考にしてください。

「動線」も大事!キッチンの4つのタイプと標準的なサイズ

キッチン タイプ サイズ

キッチンのレイアウトはさまざまですが、代表的な4つのタイプと標準的なサイズ、動線について解説します。

I型キッチン

I型キッチンは、レイアウト次第で壁付け型にも対面型にもできる、応用力の高いキッチンです。サイズの対応範囲が広く、1800〜3000mm程度まで製作できます。

壁付け型の場合は、対面側に回り込む必要がなく、スムーズに配膳できる動線が魅力です。

対面型キッチンにする場合は、キッチンを腰高の壁で囲い、カウンターを造作します。アイランド・ペニンシュラ型よりコストを抑えて、対面型キッチンを実現することができます。

L型キッチン

上から見た時に、Lの字型にレイアウトされるのが、L型キッチンです。I型キッチンの動線は横に長くなりますが、L型キッチンの動線は比較的短く、作業効率が良いのが特徴です。

L型キッチンは、サイズバリエーションがあまり多くありません。シンク側の間口は1800〜2700mm程度、コンロ側の間口は1650〜1800mm程度が一般的です。

ペニンシュラ型キッチン

ペニンシュラ型キッチンは、コンロ側が壁に接している以外は、オープンスタイルのキッチンです。キッチンを回遊することはできませんが、3方向からキッチンを囲むことができ、対面側に収納を設置することもできます。

間口は2400〜2700mmが一般的ですが、メーカーによっては2400mm以下の間口を選べる場合もあります。

アイランド型キッチン

アイランド型キッチンは、壁と接する面がなく、周囲を回遊できる動線が魅力のキッチンです。アイランド型キッチンにダイニングテーブルを横付けにしたレイアウトは、配膳しやすく人気があります。

間口は2400〜2700mmが一般的で、ペニンシュラ型と同様ですが、4方向に通路が必要なため、ペニンシュラ型よりも広い面積を要することに注意しましょう。

まとめ

システムキッチンは、間口2550mm・高さ85cm・奥行き65cmが一般的なサイズです。
他にも、調理スペースやシンクのサイズ、吊戸棚の高さなど、検討すべきサイズは多岐に渡ります。

特に、キッチンの高さは個人差が大きく、使用環境によっても適切な高さが変わります。キッチンの高さは作業性にも大きく関わるため、慎重に検討しましょう。

この記事のポイント

キッチンの間口はどれくらい取れば良いの?

キッチンの間口は1800〜3000mmが一般的で、検討される間口のサイズは6パターンに分けられます。

詳しくは「キッチンの間口別の特徴とメリット・デメリット」をご覧ください。

システムキッチンのサイズは、どこのサイズを検討すれば良いの?

システムキッチンのサイズは、間口以外にも奥行きや高さ、通路幅など、さまざまなサイズを検討する必要があります。

詳しくは「要チェック!システムキッチンで検討すべき7つのサイズ」をご覧ください。

キッチンのレイアウトはどんなタイプがあるの?

キッチンのレイアウトはさまざまですが、代表的な4つのタイプと標準的なサイズ、動線について解説します。

詳しくは「「動線も大事!」キッチン4つのタイプと標準的なサイズ」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

キッチンのサイズには標準的なサイズがあるものの、人によって使い勝手は異なります。また、キッチン間口や通路幅は、広ければ使いやすいとは限りません。自分に合ったキッチンサイズや動線、レイアウトを見極めるためには、ショールームで多くのキッチンに触れて、体感することが大切です。
また、現在使用しているキッチンを採寸してみると、改善すべきポイントが明確になることもあります。比較検討がしやすくなるので、ショールームに行く前に採寸することもおすすめです。

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