ざっくり要約!
- 罹災証明書とは、災害で被災した住宅などの被害の程度を証明する書類です。
- 罹災証明書を提出することで、税金・保険料などの減免、優遇金利の適用、支援金の給付、住宅応急修理制度の適用などを受けられる可能性があります。
地震などの自然災害に遭った場合に、その後の手続きで「罹災証明書」が必要だと聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、「被災」との違いや具体的な手続き方法が分からず困惑しているケースも見受けられます。
この記事では、罹災証明書と被災証明書の違いや、罹災証明書発行の流れを解説します。罹災証明書の発行で受けられる可能性のある支援も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
罹災(りさい)とは?
罹災(りさい)とは、自然災害によって住宅などが損害を受けたことを指します。災害の種類は、暴風、豪雨、洪水、地震、津波、噴火など、異常な自然現象によるものが対象となります。
被災との違い
罹災と被災は、対象となる範囲が異なります。「罹災」は特定の物件が被害を受けたことを指すのに対し、「被災」は住宅以外の建物や動産の被害にも使われます。
また、被災は地域全体の被害を指すこともあります。例えば、地震で住宅が倒壊した場合、その住宅は「罹災」したと表現され、被害を受けた地域は「被災」したと表現されます。
罹災証明書とは?
罹災証明書(りさいしょうめいしょ)とは、災害で被災した住宅などの被害の程度を証明する書類です。災害対策基本法第90条の2にもとづき、市町村長が被災者の申請を受けて交付します。
被災者が税の減免手続きや火災保険の請求など、各種申請をする際に、添付が求められる場合があります。
被災証明書との違い
罹災証明書は、具体的な被害の程度を詳細に記載し、罹災者支援制度などの申請に必要です。
一方、被災証明書は被害を受けた事実を証明するだけで、被害の詳細な評価は含まれません。そのため、罹災証明書の方が多くの場面で必要とされます。
被害認定基準
罹災証明書の被害認定は、内閣府の「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」に基づいて行われます。被害の程度は、全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、一部損壊の6段階に分類されます。
損害割合が50%以上を全壊、40%以上50%未満を大規模半壊などと定められています。浸水被害の場合は、床上浸水と床下浸水に区分されます。
罹災証明書の発行で受けられる可能性のある支援
罹災証明書の発行で受けられる可能性のある支援には、主に以下の4つがあります。
- 税金・保険料などの減免
- 優遇金利の適用
- 支援金の給付
- 住宅応急修理制度
ひとつずつ解説していきます。
税金・保険料などの減免
罹災証明書を提示することで、所得税や固定資産税、国民健康保険料などの税金や保険料が一時的に減免または猶予される場合があります。
被害の程度によって減免率が異なりますが、経済的な負担を軽減する効果が期待できます。
優遇金利の適用
金融機関によっては、罹災証明書を提示することで有利な条件での融資を受けられる場合があります。
災害復興住宅融資では、被害程度に応じて金利が優遇されることがあり、住宅の再建を支援します。
支援金の給付
罹災証明書を提出すると、見舞金や支援金を受け取ることができます。生活再建のための一時的な支援として提供されるもので、自治体や国からの支給となります。
支援金の額や条件は、被災の程度や家庭の状況によって異なります。
住宅応急修理制度
一定の被害基準を満たせば、住宅応急修理制度を利用することができます。被災した住宅の応急的な修理費用を支援することで、被災者が安全な住環境を確保できるようサポートするものです。
具体的には、屋根や窓、ドアなどの修理が対象となり、費用の一部が補助されます。
罹災証明書発行の流れ
罹災証明書の発行手続きは、以下の流れで行います。
- 写真撮影
- 申請
- 調査
- 罹災証明書発行
順番に見ていきましょう。
1.写真撮影
被災した建物の損壊状況を示す写真は、罹災証明書の申請時に必要となります。
申請前に、外観だけでなく内部の被害状況も分かるよう、様々な角度から写真を撮影しておくことが重要です。写真には日付や場所が分かるよう、付帯情報を残すのがよいでしょう。
2.申請
罹災証明書の発行申請は、被災した住宅の居住者または所有者が行います。
申請期限は自治体により異なりますが、通常は被災後2週間から半年程度が目安です。期限を過ぎると支援が受けられなくなる可能性があるため、早めの申請が賢明です。
申請時には、申請書に加え本人確認書類の提出が求められます。代理人が申請する場合は委任状が必要となります。
3.調査
申請後、調査員による現地調査が行われます。調査では主に外観目視と傾き計測により、建物の損壊程度を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」などに判定します。
内部被害がある場合は、被災者からの申し出で内部調査も実施されます。調査方法は内閣府が定めた統一基準に従います。
4.罹災証明書発行
現地調査の結果を踏まえ、市町村長から罹災証明書が交付されます。証明書には、被災年月日、場所、住居の被害状況などが記載されます。
発行までに要する期間は自治体や被害状況により異なりますが、通常1週間から1ヶ月程度を見込む必要があります。罹災証明書は、被災者支援制度の申請時に添付が求められる重要書類です。
罹災証明書の注意点
罹災証明書について、主に以下の点に注意しましょう。
- 有効期限がある
- 自己判定方式は写真が必要
- 持っているだけで支援が受けられるわけではない
それぞれ解説していきます。
有効期限がある
罹災証明書には有効期限があり、発行日から1年間しか有効ではありません。有効期限を過ぎた場合は、再度申請して新しい罹災証明書を取得する必要があります。
支援制度を受けるためには、有効な罹災証明書が不可欠です。災害から時間が経過しても、支援を受けたい場合は有効期限に注意しましょう。
自己判定方式は写真が必要
一部の自治体では、被災者自身が撮影した写真のみで罹災証明書を発行する「自己判定方式」を導入しています。
この場合、被害状況がわかるように、外観だけでなく内部の様子も写真に収めることが重要です。適切な被害認定を受けるためには、できるだけ詳細な写真を撮影しておく必要があります。
持っているだけで支援が受けられるわけではない
罹災証明書を取得できただけでは、自動的に支援が受けられるわけではありません。 各種支援制度を利用するには、別途申請が必要な場合があります。
また、罹災証明書の被害認定の程度によっては、支援の対象外となることもあります。罹災証明書は支援を受ける際の重要な書類ですが、制度の内容を確認し、適切に申請を行う必要があります。
まとめ
罹災証明書は、災害で被災した住宅などの被害の程度を証明する書類です。罹災証明書を提出することで税金や保険料の減免、優遇金利の適用、支援金の給付、住宅の応急修理制度の利用など、さまざまな支援を受けられる場合があります。
ただし、罹災証明書には有効期限があり、自己判定方式の場合は写真が必須となるなど、注意点もあります。事前に注意点を押さえておくと、スムーズに発行申請を行えるでしょう。
この記事のポイント
- 罹災(りさい)とはなんですか?
罹災(りさい)とは、自然災害によって住宅などが損害を受けたことを指します。災害の種類は、暴風、豪雨、洪水、地震、津波、噴火など、異常な自然現象によるものが対象となります。
詳しくは「罹災(りさい)とは?」をご覧ください。
- 罹災証明書とはどのようなものですか?
罹災証明書(りさいしょうめいしょ)とは、災害で被災した住宅などの被害の程度を証明する書類です。
被災者が税金の減免手続きや火災保険の請求など、各種申請をする際に、添付が求められる場合があります。
詳しくは「罹災証明書とは?」をご覧ください。
- 罹災証明書を発行することで受けられる可能性のある支援には何がありますか?
罹災証明書の発行で受けられる可能性のある支援には、主に以下の4つがあります。
- 税金・保険料などの減免
- 優遇金利の適用
- 支援金の給付
- 住宅応急修理制度
詳しくは「罹災証明書の発行で受けられる可能性のある支援」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
罹災されたばかりのときは、諸手続きについて考える余裕はないかもしれません。しかし、被災者支援のさまざまな制度を利用する際には、罹災証明書が必要です。
日常を取り戻すためにかかる経済的負担を軽減するため、必要な時期にあわせて罹災証明書を申請することをおすすめします。
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