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公図とは?地積測量図との違い・見方・取得方法を解説

執筆者プロフィール

悠木まちゃ
宅地建物取引士

ライター・編集者。ハウスメーカー勤務時に、新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの営業・設計を経験。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動を開始。実務経験を活かし、不動産・金融系を中心に執筆から編集まで行う。ブックライターとしても活動するほか、ライター向けオンラインサロンの講師も担当している。

ざっくり要約!

  • 公図とは、法務局が管理する土地の形状や地番を示す地図で、不動産取引などに用いられます。
  • 公図は、必ずしも現地の状況と一致するわけではありません。
  • 公図は、法務局や一部の市町村役場のほか、オンラインでの閲覧・取得が可能です。

土地の購入や住宅の新築を検討する際、「公図」や「地積測量図」という言葉を耳にすることがあるでしょう。これらは土地に関する重要な図面ですが、その違いや見方について疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、公図の基本的な知識から、地積測量図との違い、見方や取得方法までを詳しく解説します。土地取引や新築を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

公図とは?地積測量図などとの違い

公図とは、法務局に備え付けられている地図のことで、土地の区画、地番、道路、水路などの情報が記載されています。主に不動産取引や相続、土地の境界に関する問題が発生した際に利用されます。

公図は土地の位置関係や大まかな形状を確認する際に役立ちますが、正確な測量結果を調べるには地積測量図などを確認する必要があります。

公図は2種類

公図には、下のように「地図」と「地図に準ずる図面」の2種類があります。

図面名特徴
地図(不動産登記法第14条第1項地図)    ・現代の測量技術を用いた図面
・正確性が高い
地図に準ずる図面(公図)・第14条1項地図が備え付けられるまでの代替
・「公図」と呼ばれる図面
・正確性が低い

「地図」は不動産登記法第14条第1項に基づいた図面で、「14条地図」とも呼ばれます。現代の測量技術を用いて作成された正確性の高い図面です。一方、「地図に準ずる図面」は、地図が備え付けられるまでの間、代替として使用される図面です。

本来、公図に該当するのは「地図に準ずる図面」ですが、一般的には2つを総称してどちらも公図と呼ばれています。

なお、1つの土地に両方の図面が存在することはありません。どちらか一方の図面が存在し、「地図に準ずる図面(公図)」が用いられている地域も多くあります。

地積測量図とは

地積測量図とは、一筆の土地の地積(面積)を正確に記載した公的な図面です。土地の形状や境界標の位置、境界線長さなどが詳細に示されています。

地積測量図は、土地家屋調査士によって作成され、法務局に登記されることで公的な証明力を持ちます。そのため、土地の取引や境界紛争の解決において不可欠です。

主に土地の分筆、地積更正、表題登記などの際に必要となり、土地の売買や相続の際にも重要な資料となります。

・「地積測量図」に関する記事はこちら
地積測量図とは?取得方法や確定測量図との違いを解説

現況測量図とは

現況測量図とは、土地の現況(建物の配置、地物の種類、高低差など)を測量して作成された図面です。

隣接地との境界について合意を得ていないため、法的な効力はありませんが、土地の形状や建物の位置関係を把握するのに役立ちます。実務上の重要な資料であり、主に土地の造成計画や建築設計の初期段階で利用されます。

確定測量図とは

確定測量図とは、隣接地所有者の立会いや同意を得て、境界を確定した上で作成された測量図です。土地の正確な境界や面積を示すもので、土地取引や境界紛争の解決において重要な役割を果たします。

ただし、確定測量図は土地所有者が個別に作成する図面であり、必ず存在するものではありません。

公図はどう見ればいいの?

土地を購入したり、新築を計画したりする際、公図は重要な資料のひとつです。しかし、どのように読み解けばよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。ここでは、公図の見方を分かりやすく解説します。

図面の下に記載されているのは何?

公図の下部には、その公図に関する以下の情報が記載されています。

項目内容
所在・地番対象となる土地の所在や地番
出力縮尺・図面の縮尺
・縮尺不明の場合もあり
精度区分・図面の精度を「甲1」から「乙3」で表記
・記載がない場合もあり
座標系番号または記号使用されている平面直角座標系の記号と番号
分類以下いずれかの図面の種類を記載
・地図(法第14条第1項)
・地図に準ずる図面
種類・図面の作成目的や由来
・例:旧土地台帳附属地図など
作成年月日図面が作成された日付
備付年月日法務局に備え付けられた日付
補記事項その他の特記事項

「公図は2種類」の章で説明した地図の種類は、「分類」の欄に記載されています。

図面はどう見る?

公図は、その土地の全体像を把握する際に活用し、主に以下のようなポイントを確認します。

  • 方位
  • 土地の形状
  • 道路や水路の配置
  • 隣接地との関係
  • 敷地境界線の形状や角度
  • 地番

通常、公図の上部が北を指し、方位記号が記載されています。また、地番は土地を特定するための情報であり、登記簿と照合する際にも使用されます。

敷地の境界線は必ずしも一直線とは限らず、折れ曲がっている場合もあります。隣接地との接し方を確認し、土地の形状を正確に把握しておくことが大切です。

道路や水路の配置は、建築基準法に定められた接道要件を満たしているかどうかを判断するうえでポイントになります。接道要件とは、建物を建てる際に敷地が道路に2m以上接している必要があるという規定です。

なかには、敷地と道路の間に水路が流れているため、接道要件を満たさないケースもあります。こうした土地を購入する際は、建築の可否について事前に不動産会社へ確認しておくと安心です。

公図の取得方法と取得費用

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公図の取得方法には、法務局での請求やオンラインサービスを利用する方法などがあり、それぞれ手順や費用が異なります。以下で、主な取得方法を紹介します。

法務局で取得する

最寄りの法務局の窓口で公図を取得できます。窓口で申請書に必要事項を記入し、手数料として450円分の収入印紙を貼付して提出します。

収入印紙は法務局内や郵便局で購入可能です。申請後、その場で公図を受け取ることができます。法務局の窓口対応時間は平日9:00~17:00です。

なお、郵送で取得することも可能です。その場合は、法務局のホームページから申請書をダウンロードし、450円分の収入印紙を貼り付けます。返信用の切手を貼った封筒を同封し、郵送することで取り寄せられます。

参考:法務省|登記手数料について
参考:法務局|法務局の窓口対応時間について

登記情報提供サービスを利用する

インターネットを利用して、公図のデータを取得することも可能です。登記情報提供サービス」を利用することで、オンライン上で公図を閲覧・ダウンロードできます。

利用方法は、利用者としてあらかじめ申込手続きを行う方法と、利用当日に事前登録を行い一時利用をする方法の2パターンです。

手数料は、サービスの登録費用が300円、公図の請求費用が1通あたり361円(2024年4月改定)かかります。決済方法は、個人の場合はクレジットカード決済、法人の場合は口座引き落としとなります。

なお、登記情報提供サービスで取得した公図には公印等がなく、証明書としての効力はありません。「閲覧」と同等程度の扱いとなります。証明書が必要な場合は、法務局で取得するか、次に説明する「登記・供託オンライン申請システム」を利用しましょう。

参考:法務省|登記情報提供サービスの利用料金等一覧
参考:法務省|申込方法利用者別一覧
参考:法務省|サービス概要

登記・供託オンライン申請システムを利用する

法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム」を利用して、公図をオンラインで請求できます。電子納付により手数料を支払うことで、証明書として効力のある公図を郵送または窓口で受け取れます。

電子納付は、インターネットバンキングまたは電子納付対応のATMを利用して行います。公図の請求情報を入力後、電子納付情報が発行されるので、納付ボタンを押して支払いをしてください。

手数料は、郵送受取の場合450円、窓口受取の場合430円です。法務局へ郵送で申し込んだ場合は返送の切手代がかかりますが、登記・供託オンライン申請システムでは郵送料がかかりません。なお、初回利用時は、事前に申請者情報の登録が必要です。

市町村役場で閲覧・写しの請求も可能

一部の市町村役場でも、公図の閲覧や写しの取得が可能で、主に税務課などの部署で取り扱っています。手数料は自治体によって異なり、法務局より安い場合があります。

ただし、市町村役場の公図は毎年1月1日時点のものであり、その後の変更が反映されていない可能性があるため、最新の情報を得るには法務局での取得が推奨されます。

公図は正しいとは限らない?

公図(地図に準ずる図面)は、明治時代の地租改正図をもとに作成されたため、現地の状況と一致しない場合があります。

当時の測量技術では正確な測量が難しかったことや、税金徴収の参考資料であるため土地の区画を厳密に特定する目的ではなかったことが背景にあります。そのため、公図は土地の大まかな配置や区画を示すものという位置づけになっています。

さらに、公図作成後の変化が反映されていないこともあります。例えば、道路や水路が公図に記載されていなかったり、土地の形状が変更されていたりするケースも少なくありません。

土地の売買や建築計画を進める際には、公図だけで判断せず、現況測量図や確定測量図などとあわせて確認することが不可欠 です。

まとめ

公図と地積測量図は、どちらも土地に関する図面ですが、目的や内容、正確性に違いがあります。公図は、法務局が管理する地図で、土地の大まかな位置関係や形状を示すものです。

一方、地積測量図は土地の正確な面積や境界を示す公的な図面で、不動産取引や登記申請の際に必要となります。

土地の購入や住宅の新築を検討している場合は、それぞれの図面の役割や内容を理解しておきましょう。トラブルを未然に防ぎ、安心して取引を進められます。

この記事のポイント

公図とはなんですか?

公図とは、法務局に備え付けられている地図のことで、土地の区画、地番、道路、水路などの情報が記載されています。主に不動産取引や相続、土地の境界に関する問題が発生した際に利用されます。

詳しくは「公図とは?地積測量図などとの違い」をご覧ください。

公図の見方を教えてください。

土地を購入したり、新築を計画したりする際、公図は重要な資料のひとつです。しかし、どのように読み解けばよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。

詳しくは「公図はどう見ればいいの?」をご覧ください。

公図はどのようにして取得できますか?

公図の取得方法には、法務局での請求やオンラインサービスを利用する方法などがあり、それぞれ手順や費用が異なります。

詳しくは「公図の取得方法と取得費用」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

公図は、必ずしも現地の状況と一致するとは限りません。不動産取引を行う際は、公図だけで判断せず、地積測量図などの正確な資料を確認しながら慎重に進めることが大切 です。特に、境界線を明確にする必要がある場合は、測量士による境界確定測量を依頼するのも有効です。土地の境界を曖昧にしたまま購入すると、後々トラブルが発生し、余計なコストや手間がかかる可能性があります。安心して取引を進めるためにも、購入前にしっかりと確認し、不明点があれば専門家に相談することをおすすめします。

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