ざっくり要約!
- 家鳴りとは、家の中で鳴る「パシッ」「ピキッ」といった音のこと
- 家鳴りは建材の収縮が主な原因だが、窓サッシの熱膨張、ウォーターハンマー、床鳴りなど様々な原因がある
- 家鳴りの多くは心配のないものだが、中には注意すべき危険な家鳴りもある
突然、家の中で鳴る「パシッ」「ピキッ」といった音。思わず、ドキッとしてしまった経験のある方も多いのではないでしょうか。この現象の正体は「家鳴り」です。建材の収縮が主な原因となっており、怪奇現象ではありません。
この記事では、家鳴りの原因を音の違いに分けて解説。対策法や注意すべき家鳴りについても解説していきます。
記事サマリー
家鳴りとは?
家鳴りとは、建物で使われている木材が水分を含んで膨張したり、乾燥して収縮したりする時に発生する音のことで、読み方は「やなり」と読みます。水分の含有量が多い木材程、家鳴りが起きやすい傾向にあります。
また、家鳴りが起きるのは木造建物に限りません。窓のサッシも温度変化の影響で音を発する場合があり、コンクリート造の建物でも家鳴りが起きることはあります。
多くの場合、家鳴りは心配の必要はない現象ですが、中には建物の耐久性や耐震性の問題から生じているケースもあるので、家鳴りが長く続く場合には注意が必要です。
家鳴りの原因は?
「ドン」「パキッ」など、家鳴りには様々な音がありますが、音の種類とその原因を解説します。
「ドン」という大きな音
「ドン」という大きな音は、ウォーターハンマー現象によるものです。使っていた水道を急に止めることで、配管内の圧力が急激に上がり、衝撃音が発生します。
ウォーターハンマーを防ぐには、水を止める際にゆっくりレバーを操作すること、止水栓を少し絞って水量を調節することなどが挙げられます。ただし、改善されない場合は水道業者に相談しましょう。
「パキッ」という軽い音
家鳴りで最も多いのが「パキッ」「バキッ」という音ではないでしょうか。これらの音は、木材の膨張と収縮が主な原因です。
建材として使われた後も、木は膨張と収縮を続けているので、家鳴りが起きることがあります。特に、木材が湿気を含みやすい夏や乾燥して収縮しやすい冬に、家鳴りは起きやすいといえるでしょう。
「ギギッ」という低い音
「ギギッ」という低い音は、建物の柱や壁が外的な要因を受けている可能性があります。
地震が起きたり、大型トラックが通ったりするなど地面に揺れが生じると、柱や壁が動いて順応しようとするため、家鳴りが起きることがあります。
また、歩いた時に「ギギッ」と鳴る場合は、「床鳴り」と呼ばれる現象です。床材の下にある構造材が傷んでいると考えられます。床鳴りは、床の修繕によって解消することができます。
新築住宅の家鳴り
建物に使われた木材は、周囲の温度・湿度に時間をかけて順応していきます。また、接着剤や塗料の硬化、構造材や部材が馴染んでいく過程においても、音が発生することがあります。
使用された木材の含水率が安定し、各部材が馴染んで落ち着くまでには、数年の期間が必要です。そのため、新築してから数年間は家鳴りは起きやすい状態といえるでしょう。
マンションの家鳴り
マンションでも、室内には木材が使われているので家鳴りが起きる可能性があります。
また、コンクリート造の骨格となる鉄骨・鉄筋、窓サッシといった部材の熱膨張によって家鳴りが起きるケースも考えられるでしょう。
家鳴りの対策

家鳴りの対策には、温度・湿度の調整、家具配置の見直しが挙げられます。
室外との温度差を小さくし、湿度を調整する
木材の膨張や収縮は、急激な温度・湿度の変化によって生じます。緩和するためには、できるだけ家の中と外の温度差を小さくし、湿度を調節することが大切です。
特に湿度は、60%程度に保つことがポイントです。湿度が上がりやすい石油ストーブやガスストーブは、定期的に換気しながら使うと良いでしょう。
家具の配置を変える
家鳴りの原因のひとつとして、家具の配置が問題になっているケースもあります。特定の場所に荷重が集中していると、その場所に大きな負荷がかかり、軋みが生じることに。それが家鳴りとして現れるケースもあります。
いつも同じ場所から家鳴りが起きている場合は、家具の配置を変えてみると家鳴りが収まるかもしれません。また、本棚や大きな家具は、1階に置いたほうが建物の揺れを抑えることができるので、可能であれば検討してみましょう。
通気口・24時間換気を掃除する
家鳴りの対策としては、温度・湿度の調整が重要ですが、換気においては窓を開けるだけでなく、常時換気に目を向けることもポイントです。
通気口や24時間換気システムがある場合は、埃や汚れが付いていると換気を妨げてしまうことも。定期的に清掃するように心掛けましょう。
・「24時間換気」に関する記事はこちら
24時間換気システムとは?気になる電気代や種類による違いを解説
こんな家鳴りには注意!専門家に相談を
家鳴りは心配のないケースが大半ですが、中には注意すべき家鳴りもあります。以下のようなサインがあれば、できるだけ早急に専門家に相談しましょう。
頻繁に音がする
築年数を経た古い住宅で、家鳴りが頻繁に起きる場合は注意が必要です。
原因は様々ですが、雨漏りや経年による構造材の劣化、シロアリ被害、地盤変動など、家の耐久性に問題が起きている可能性があります。
一刻も早い対応が望まれるケースもあるので、できるだけ速やかに建築士や構造診断の専門家に相談したほうが良いでしょう。
地震後に家鳴りが増えた
家鳴りは、家の歪みや地盤の不安定さによっても引き起こされます。地震後に家鳴りの回数や音の大きさが急激に変化した場合は、建物が構造的な損傷を受け、歪んでしまった可能性も否定できません。
家鳴りが収まることなく悪化する一方であれば、耐震性が低下している可能性も。早めに専門家に建物診断を依頼しましょう。
家鳴りに加えてヒビ・傾きが見られる
家鳴りに加えて建物の基礎にヒビが見られる場合は、基礎の耐久性が低下している可能性があり、大きな地震に耐えるのが難しい状態かもしれません。
家に傾きが見られる場合は、ドアや窓が締めにくかったり、平衡感覚の乱れから目まいが起きたり、生活上の支障を伴うこともあります。何より倒壊の恐れを否定できないので、早急に専門家の診断を受けることが重要です。
まとめ
家の中で鳴る「パキッ」「バキッ」といった音の正体は「家鳴り」です。木材の収縮が主な原因ですが、窓サッシの熱膨張で起こることもあり、戸建て・マンションを問わず、家鳴りが起きる可能性はあります。
家鳴りのほとんどは心配の必要はないものですが、頻繁な家鳴りや家にヒビや傾きが見られる場合は注意が必要です。専門家に相談して必要な修繕を行いましょう。
この記事のポイント
- 家鳴りとはなんですか?
家鳴りとは、建物で使われている木材が水分を含んで膨張したり、乾燥して収縮したりする時に発生する音のことで、読み方は「やなり」と読みます。
詳しくは「家鳴りとは?」をご覧ください。
- 家鳴りはなぜ起こるのですか?
「ドン」「パキッ」など、家鳴りには様々な音がありますが、音の種類とその原因を「家鳴りの原因は?」で解説します。
- 家鳴り対策にはどのようなことをしたら良いでしょうか?
家鳴りの対策には、温度・湿度の調整、家具配置の見直しが挙げられます。
詳しくは「家鳴りの対策」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
頻繁な家鳴りや家にヒビや傾きが見られる場合は、倒壊の恐れも否定できません。早急に専門家へ住宅診断を依頼しましょう。特に、旧耐震基準(1981年6月1日以前)で建てられた住宅は、一刻も早い対応が必要です。また、インスペクション(建物検査)をすると、家鳴りの原因を特定できるだけでなく、他の部位に問題がないか知ることもできます。
・「インスペクション」に関する記事はこちら

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