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スケルトンリフォームとは?費用やメリット・デメリットを紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • スケルトンリフォームは床・壁・天井の内装やキッチン・バス・トイレ等の住宅設備をすべて取り払った状態にして行うリフォーム
  • 建物によっては間取りが変更でき、耐震性・断熱性の向上も期待できる

リフォームを検討している人の中には、せっかくなら大胆なリフォームをしたいと考えている方もいらっしゃると思います
フルリフォームやリノベーションは大規模改修を意味する用語ですが、同様に大規模改修を指す用語として「スケルトンリフォーム」があります。
スケルトンリフォームとは、一体どのようなリフォームのことをいうのでしょうか。
この記事では、「スケルトンリフォーム」について解説します。

スケルトンリフォームとは?

スケルトンリフォームとは、床・壁・天井の内装やキッチン・バス・トイレ等の住宅設備をすべて取り払った状態にしてから行うリフォームのことです。
スケルトンとは、骨組みや骨格の意味になります。

街の中を歩いていると、例えばコンビニ等の店舗が撤退した後にコンクリートがむき出しの状態でテナント募集がされている物件を見たことがある人もいると思います。このコンクリートがむき出しになっている状態のことを「スケルトン」と呼びます。

店舗区画の賃貸は一般的に「スケルトン貸し」と呼ばれ、借主はスケルトンの状態で借り、内装工事を行った後に営業を開始します。スケルトンリフォームも、スケルトンの状態にしてから内装工事を行うため、広い意味でスケルトン貸しの内装工事と同じです。

また、新築の工事は前半で躯体工事を行い、いったんスケルトンの状態を作り上げてから後半に内装工事を行います。

スケルトンリフォームは、この新築工事の中間地点であるスケルトンの状態まで逆戻りし、ふたたびスケルトンの状態から工事を行うリフォームということになります。

住居の内装や設備をすべて解体して行う大規模なリフォーム

スケルトンリフォームでは、現在の家の内装や設備をすべて撤去してから行います。

とはいえ、建物内部の内装や設備は重機などを使って一気に壊すわけにはいきません。内装や設備の解体工事は、基本的には人の作業で行う「手壊し」が中心となります。

手壊しの場合、時間とコストがかかることが特徴です。

マンションまたは戸建てで可能な範囲が変わる

スケルトンリフォームの範囲は、マンションと戸建てで異なることもあります。

マンションの場合、基本的には隣接住戸や共用廊下、バルコニーとの間にある壁は壊しません。床・壁・天井の内装やキッチン・バス・トイレ等の住宅設備を取り壊し、コンクリートの床と壁・天井がむき出しになった状態からリフォーム工事を開始します。

マンションのスケルトンリフォームは、床や壁、天井にコンクリートが残っている状態から始めるため、店舗のスケルトン貸しで行う内装工事とほとんど同じです。

一方で、戸建ての場合は壁や床、天井も壊して柱と梁(柱と柱をつなぐ横架材)の骨組みまで戻してからリフォーム工事を開始することもあります。

床・壁・天井まで撤去するという意味では、戸建てのスケルトンリフォームの方がマンションよりも工事の範囲は広いです。

スケルトンリフォームのメリット・デメリット

スケルトンリフォームのメリット・デメリットを紹介します。

メリット

スケルトンリフォームの主なメリットは以下の通りです。

間取りが変更できる

スケルトンリフォームは、部屋の間仕切り壁もすべて撤去するため、間取りも変更できる点がメリットです。

例えば、3DKのようなリビングのない間取りを、2LDKのようなリビングのある間取りにすることもできます。他にも、リモートワーク用の仕事部屋を確保するためにもう一部屋作るといったことも可能です。

ただし、すべての家で間取りを完全に変更できるとは限りません。建物の建て方によっては、家の中に「構造壁」と呼ばれる壊せない壁が存在する場合もあります。

構造壁とは建物の荷重を支える役割を果たしている壁であり、撤去してはいけません。構造壁がある場合には、構造壁が残っているという制限の中で間取りなどを変更することになります。

耐震性・断熱性を上げられる

スケルトンリフォームは、戸建てであれば耐震性を上げる改修をすることもできます。
マンションの場合、基本的に専有部だけの工事で耐震性を向上させることができないため、耐震性の向上が期待できるのは戸建てのみです。

1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認申請を通した建物のことを旧耐震基準の建物と呼びます。旧耐震基準の建物であっても、耐震設計を行ってリフォームすることで新耐震基準並みの耐震性を有する建物に改修することは可能です。
新耐震基準とは、1981年(昭和56年)6月1日以後に建築確認申請を通した建物のことを指します。

耐震リフォームを行う場合、具体的には耐震ブレースと呼ばれる斜めに支える柱を加えていくことで、耐震性を向上させることができます。

また、スケルトンリフォームは断熱性も向上させることが可能です。断熱性に関しては、戸建てでもマンションでも向上が期待できます。

断熱性の工事に関しては、外断熱工法と内断熱工法の2種類があります。外断熱工法とは建物全体を外側から断熱材で覆ってしまう工法のことで、内断熱工法は建物を内側から断熱材で覆っていく工法になります。断熱効果は、外断熱工法の方が高いです。

スケルトンリフォームでは、戸建てなら外断熱工法も内断熱工法も選択することができますが、一方でマンションは原則として内断熱工法しか選択できません。そのため、戸建ての方がスケルトンリフォームで高い断熱効果を期待できます。

給排水管や配線を一新できる

給排水管や配線を一新できる点もメリットです。給排水管も経年とともに劣化しますので、給排水管ごと交換できるスケルトンリフォームを行えば住宅設備の寿命を延ばすことができます。

また、電気やLANの配線も組み直すことが可能です。昨今は充電が必要な電子機器が増えたため、以前にも増してコンセントの需要が高まっています。

コンセントの数を増やすことで、タコ足配線を減らすこともできますし、光ケーブルのジャックを各部屋に配置すれば、インターネットの通信環境も大きく向上させることができます。

なお、マンションの場合、スケルトンリフォームでも水回り(キッチンやバス、トイレ等)の配置は変更できないことが多いです。

マンションには上下階に排水管を通すパイプスペースと呼ばれる箇所があります。パイプスペースへ排水管を接続するルートは新築時の設計が最適となっていることがほとんどです。

スケルトンリフォームでもパイプスペースの位置は変更できないことから、自ずと水回りの最適な場所は新築時の場所とほぼ同じとなってしまいます。

再建築不可物件でも新築のようになる

戸建ての中には、再建築不可の物件も存在します。具体的には、何らかの理由で接道義務を満たさずに建てられた建物が再建築不可物件に該当します。
接道義務とは、家を建てるには幅員4メートル以上の道路に間口が2メートル以上接していなければならないという規定のことです。

接道義務を満たしていない土地に建っている建物は、再建築をすることができません。しかしながら、建築確認申請を不要とするスケルトンリフォームなら実施することができます。

建築確認申請とは、新築や一定の増築において着工前に行う図面審査のことです。一般的な木造2階建て住宅で、増築を伴わないようなスケルトンリフォームであれば、実施することができます。

デメリット

スケルトンリフォームには以下のようなデメリットもあります。

工期が長く一時的な引っ越しが必要

スケルトンリフォームは、工期が長くなる点がデメリットです。まず、スケルトンにする工事だけでも手壊しによる解体作業が発生することから時間がかかります。

次に、スケルトンの状態にしてからの工事も相応の時間が必要です。

スケルトンリフォームは、マンションなら2~3ヶ月、戸建てなら3~5ヶ月程度かかります。その間、仮住まいが必要となり、2回分の引っ越し費用も発生することになります。

新築より費用がかさむ場合も

スケルトンリフォームは、特に戸建ての場合、内容によっては新築よりも費用がかかるケースがあります。

取り壊して新築に建て替えても、コストはほとんど変わらないことも多いです。新築は設計の自由度が高いため、場合によっては新築の方が満足できる建物が建てられることもあります。

一方で、マンションの場合は新築物件を買うよりもコストが抑えられることが多いといえます。コスト面のメリットに関しては、戸建てよりもマンションの方に軍配が上がります。

金銭面で売却しにくくなることもある

売却を目的にスケルトンリフォームをすることは、おすすめしません。理由としては、スケルトンリフォームは費用が高いため、売却代金にリフォーム費用を上乗せすることができないケースがほとんどだからです。

スケルトンリフォームをすることで売却自体はしやすくなりますが、金銭面では損をしてしまうことになります。スケルトンリフォームは、今後も長期間に渡って住み続ける人に適したリフォームといえるでしょう。

マンションによっては施工できない

マンションは、管理規約によってリフォーム工事の内容が制限されていることが一般的です。
例えば、下階へ音を反響させてしまうような床材を使ったリフォームはできないといったことがよくあります。リフォームの規制が厳しいマンションの場合、スケルトンリフォームができない物件も存在します。

マンションでは、リフォームを行う場合、スケルトンリフォームか否かに関わらず、事前に管理組合(理事)の承認を得なければならないとされていることが一般的です。

よって、マンションでリフォームを行う場合には、まずはどのようなリフォームを行うことができるのか管理組合に確認することをおすすめします。

種類別・スケルトンリフォームの費用相場

スケルトンリフォームの費用相場を種類別に紹介します。

内部のみスケルトンリフォーム

スケルトンリフォームは、マンションの場合、家の内部のみを行うことが通常です。
戸建ての場合は、内部だけ、もしくは内部と外部の両方を行うことがあります。

内部のみスケルトンリフォームの相場は、マンションなら「800~1,200万円」程度、戸建てなら「900~1,500万円」程度です。ただし、施工面積によって費用も異なります。

外部スケルトンリフォーム

一般的に外壁は塗装だけを行う人も多いですが、既存の仕上材を撤去して張り替えるケースもあります。
このように外装材を一度剥がして張り替える工事のことを、外部スケルトンリフォームと表現することもあります。

外部スケルトンリフォームの費用は、「200~300万円」程度です。

内部及び外部スケルトンリフォーム

戸建ては内部と外部のスケルトンリフォームを行うこともあります。
屋根や外壁も含めてスケルトンリフォームをする場合は「2,500~3,000万円」程度が相場です。

内部と外部を同時に行うスケルトンリフォームは、新築とほぼ同じか、もしくはやや安い程度の相場となります。

この記事のポイント

スケルトンリフォームとは何ですか?

スケルトンリフォームとは、床・壁・天井の内装やキッチン・バス・トイレ等の住宅設備をすべて取り払った状態にしてから行うリフォームのことです。

スケルトンリフォームができる範囲は、マンションと戸建てで異なることもあります。

詳しくは「スケルトンリフォームとは?」をご覧ください。

スケルトンリフォームのメリット・デメリットは?

部屋の間仕切り壁もすべて撤去するため、間取りも変更できる点などがメリットです。

一方、戸建ての場合は内容によっては新築よりも費用がかかるケースがあるのがデメリットといえます。

詳しくは「スケルトンリフォームのメリット・デメリット」をご覧ください。

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