ざっくり要約!
- ウッドショックはコロナ禍の物流停滞やロシア・ウクライナ紛争など複合的な要因によって引き起こされた
- 木材価格は下落傾向にあるものの、輸入木材は減少傾向にあることから、ウッドショックは今後、一定期間、継続するものと考えられる
木材の不足・高騰の要因となっているウッドショックは、2023年現在も続いています。しかし、2022年と比較すれば、木材の価格は下落傾向に。一方、一戸建ての価格は高騰基調が継続しています。
本記事では、最新のウッドショックの状況と一戸建ての価格について解説します。
記事サマリー
ウッドショックとは?
ウッドショックとは、木材が高騰・不足し、木造住宅の建築やリフォームなどに影響を与えている問題です。
ウッドショックが始まったのは、コロナ禍真っ只中の2021年。木材価格は徐々に高騰し、特に集成材や製材の価格は2021年初頭から年末にかけて、2倍ほどに跳ね上がりました。
なぜウッドショックが引き起こされた?
ウドショックは、ある一つの事象が要因となって引き起こされたわけではありません。
- コロナ禍の物流停滞
- 世界的な建築需要の拡大
- カーボンニュートラル推進による木材の需要拡大
- ロシア・ウクライナ紛争
これらの要因が複合的に作用し、世界的なウッドショックを引き起こしました。
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そもそも日本の木材自給率は低い
木材供給量及び木材自給率の推移
山や森林の多い日本ですが、木材自給率は決して高くありません。1955年頃までほぼ100%でしたが、そこから徐々に減少していき、近年は40%前後で推移しています。海外の木材に依存している中で起こったコロナ禍やロシア・ウクライナ紛争、そして国内での木材需要の拡大により、今も続く慢性的な木材不足に陥ってしまったのです。
【2023年最新情報】ウッドショックは落ち着いた?
ウッドショックが引き起こされてから、約2年。木材価格は下落傾向にありますが、輸入木材が増加する兆しは見られません。
木材の価格は下落傾向に
全国の素材価格の推移(左)と木材製品価格の推移(右)
木材価格は、2021年から2022年にかけて高止まりの様相を見せていましたが、素材価格は2023年度から、木材製品は2022年後半から下落傾向にあります。
これは、2021年から続くウッドショックを受け、輸入材から国産材への転換と安定供給に向けた日本の取り組みが奏功していることによるものと考えられます。林野庁によれば、地区別受給情報連絡協議会の開催や立木販売物件の前倒し販売、木材乾燥施設の整備など、具体的な対策が取られているようです。
輸入木材は増加せず
木材輸入量の推移(2021年〜2023年における1〜3月累計)
木材の価格は下落傾向にあるものの、輸入木材は大幅に減少しています。1月〜3月期の輸入額累計は、前年同期比-13%。依然として続くロシア・ウクライナ紛争により、2021年3月からロシアの一部木材が輸入できなくなったことによる影響が大きいものと考えられます。
製材(左)・構造用集成材(右)の輸入平均単価
とはいえ、輸入平均単価は、集成材、製材ともに下落傾向にあります。カナダ製材、ロシア製材、EU製材、EU集成材ともに、2021年前半頃の価格にまで戻っているようです。
ウッドショックの影響
ウッドショックは、新築着工数の減少や一戸建ての価格高騰など、日本の不動産市場に大きな影響を与えています。
持家の新設住宅着工数は減少傾向のまま
新設住宅着工戸数
木材価格は下落傾向にありますが、2022年末時点では持家の着工数は伸びていません。
諸外国とは異なり、いまだに住宅ローン金利が低い日本。新築マンション価格は大幅に高騰しており、中古住宅も高騰していることを考えると、住宅需要の縮小ではなく、やはりこれはウッドショックによる影響だと考えられます。
三大都市圏&福岡県の新築一戸建て住宅平均価格推移
一方、新築一戸建ての価格は、若干の下落が見られます。とくに東京都は、2023年に入ってから5〜6%ほど下落しました。首都圏の平均価格も下落傾向にあります。しかし、近畿圏や福岡県では下落の兆候は見られません。
中古戸建は高騰傾向が続く
首都圏 中古戸建住宅価格の推移
新築価格に引っ張られるように、中古戸建も高騰傾向にあります。首都圏の平均価格は、2020年11月から2023年4月まで30ヶ月連続で前年同月を上回っています。ただ、2023年に入ってからは上昇幅が小さくなりつつあるようです。
ウッドショックはいつまで続く?
新築着工数が伸びず、一戸建ての価格も高騰が続いていますが、木材の価格には落ち着きが見られ始めています。とはいえ、輸入木材は減少しており、国内自給率も一朝一夕に大幅に上げられるものではないため、今後も一定期間、ウッドショックとその影響は続くものと考えられます。
流通している木材が少ないことはもちろん、近年の非住宅の木造化もまた、木材不足に拍車をかけているものと推測されます。仕入れ価格が販売価格に転嫁されるまでには一定のタイムラグもあることから、木材価格の下落や国内材の供給が市場に反映されるまでには、もう少し時間がかかるのではないでしょうか。
まとめ
不動産の価格は、基本的に需要と供給のバランスによって決まります。ウッドショックにより木材供給数の減少が継続している今、一戸建ての価格は新築、中古ともに高騰傾向にあります。一方で、住宅ローン金利も低い今は、売り手市場でもあり、買い手市場でもあるという稀有な時期です。
不動産の売り時・買い時を考えるときには、国内外の情勢などマクロな視点で市場を見ることも大切ですが、ご家族のライフプランやニーズ、地域の需要などミクロな視点も併せて持つようにしましょう。
この記事のポイント
- ウッドショックの原因は?
コロナ禍の物流停滞や世界的な建築需要の拡大など、さまざまなことが複合的に作用してウッドショックを引き起こしたものと考えられます。
詳しくは「ウッドショックとは?」をご覧ください。
- ウッドショックの2023年の状況は?
木材価格は下落傾向にあるものの、輸入木材は減少しており、安定供給にはいたっていません。
詳しくは「【2023年最新情報】ウッドショックは落ち着いた?」をご覧ください。
- ウッドショックの影響は?
ウッドショックが、新築着工数の減少や一戸建ての価格高騰などに影響しているものと考えられます。
詳しくは「ウッドショックの影響」をご覧ください。
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