妻名義で住宅ローンを組むことは可能です。しかし、住宅ローンを組む際に、なぜ妻名義にするのかという理由を尋ねられることがあり、理由次第では組めない可能性もあります。
どのような理由であれば、妻名義で住宅ローンを組めるのか、また、妻名義で住宅ローンを組む際に条件を課せられることがあるのかについて解説します。
また、夫と妻の共同名義で住宅ローンを組むメリットとデメリット、夫婦で組むペアローンについても紹介します。妻名義や共同名義の住宅ローンをご検討の方は、ぜひご覧ください。
記事サマリー
妻名義でも住宅ローンを組むことは可能
住宅ローンは男性や世帯主が組むものと決まっているわけではないので、妻名義あるいは非世帯主名義で住宅ローンを組むことは可能です。
しかし、住宅ローンを組むときは、年収における年間返済額の割合、つまり返済負担率が確認されるため、収入が少ない場合は組めない可能性もあります。
妻の収入が多くはなく、返済負担率が高いにもかかわらず妻名義で住宅ローンに申し込むと、金融機関では「名義を夫にしない理由」を調査するかもしれません。
夫が連帯保証人になることを条件とするケースが多い
妻名義で住宅ローンを組む場合、金融機関側は夫が連帯保証人になることを条件として承認することが少なくありません。
このような場合は、連帯保証人である夫の収入なども調査されることになります。夫が無職である、あるいは借金を滞納している、収入が不安定であるなどの状況の場合は、住宅ローン審査に通過できない可能性があるでしょう。
夫が連帯保証人にならなくても妻名義で住宅ローンを組めるケース
妻の方が夫よりも収入が多く返済能力が高いと判断されると、妻名義での申し込みが通る可能性もあります。
また、妻一人だけで住宅ローンを返済できると考えられるケースでは、夫を連帯保証人にすることを条件にしなくても、審査に通過することがあります。
妻名義で住宅ローンを組むならフラット35も検討する
連帯保証人をつけずに住宅ローンを利用したい場合は、フラット35も検討してみましょう。
フラット35は基本的に連帯保証人不要の住宅ローンなので、妻名義でも組みやすいと考えられます。
フラット35と金融機関の住宅ローンとの違い
フラット35とは、民間の金融機関と住宅金融支援機構が協力して提供している住宅ローンの名称です。原則として全期間固定金利型のローンなので、借入期間中に金利が上がり、返済負担が増えるということはありません。返済計画が立てやすいというメリットもあります。
また、ローンを利用するときは、途中で繰り上げ返済をすると、借入残高が早く減り、総返済額も減ることもあります。
しかし、繰り上げ返済の際に手数料が発生する場合には、利息を削減する効果も減ってしまいます。
フラット35は、繰り上げ返済の際に手数料がかからない住宅ローンです。そのため、気軽に繰り上げ返済を実施して、借入残高を減らすことができます。ボーナスや余剰資金を使ってこまめに繰り上げ返済をしたいと考えている方は、繰り上げ返済手数料に注目して住宅ローンを選ぶようにしましょう。
妻名義の場合団体信用生命保険は妻が対象になる
妻名義で住宅ローンを組む場合、妻が団体信用生命保険に加入することになります。
団体信用生命保険とは、ローン返済中に被保険者が死亡や高度障害などの特定の状態になったときに以後の返済が免除される保険です。団体信用生命保険に加入することで、妻に何かがあったときも、家族に住宅を残すことができます。
しかし、当然ではありますが、被保険者ではない夫が亡くなったときや高度障害などの特定の状態になったときは、住宅ローンの支払いは免除されません。
妻名義で住宅ローンを借りてはいるけれど、食費などの家計は夫の収入が基盤となっているので夫がいなくなると生活が成り立たないなどの場合であっても、団体信用生命保険の被保険者が妻である限りは、夫が亡くなっても支払いは続きます。
夫が亡くなったときに住宅ローンの返済に影響が出そうな場合は、夫を被保険者とした生命保険を掛け、死亡時にまとまった保険金を受け取れるようにしておくこともできるでしょう。
また、適用金利は高くなりますが、フラット35などであれば、団体信用生命保険に加入しないという選択肢もあります。
そのほかにも、夫と妻のいずれが死亡・高度障害などの特定の状態になっても住宅ローンの返済を免除される夫婦連生団体信用生命保険への加入も検討できます。
夫婦それぞれがローンを組むペアローンという方法もある
夫婦がそれぞれ別の住宅ローンに契約し、お互いがお互いの連帯保証人になる「ペアローン」も検討できます。それぞれが団体信用生命保険に加入でき、また、住宅ローン控除もそれぞれが申請・適用することが可能です。
ペアローンでは夫婦が別のローン契約を結ぶため、収入などに合わせてそれぞれが自由に返済期間や毎月の返済額を決定できます。
借入額も同額にする必要はないので、育休や出産などの働けない期間を考慮して、借入額に差を付けることもできるでしょう。
しかし、それぞれが別のローン契約を結ぶので、契約書の印紙税や手数料も2倍かかることになります。登記手続きも別に行うため、司法書士に支払う報酬も増えることがあります。
共有名義、単独名義のメリットとデメリット
住宅を共有名義にすると、それぞれが住宅ローン控除を受けられます。
2021年10月現在の税制においては、所得税や住民税に対し年間最大40万円(長期優良住宅や低炭素住宅の場合は年間最大50万円)の節税ができます。借入額にもよりますが、2人で最大80万円(長期優良住宅・低炭素住宅の場合は年間最大100万円)もの節税が可能です。
しかし、共有名義にするとどちらか一方の意思だけでは住宅を売却できないため、売却しにくくなります。住宅ローンの返済途中で住宅を手放すときには、少し手間がかかるかもしれません。
一方、単独名義にすると、住宅ローンを借りていないほうは借入額がないため、マイカーローンなどのほかのローンを組みやすくなることがあります。
しかし、住宅ローン控除を利用できるのは1人のみであること、団体信用生命保険に加入できるのも1人のみであることなどのデメリットもあります。
妻名義も共有名義も無理のない資金計画を立てよう
妻の勤務先や勤務形態、収入によっては、妻名義で住宅ローンを利用することは可能です。また、夫との共有名義で住宅ローンを借り、返済していくこともできます。
いずれにしても住宅の購入の際は無理のない資金計画を立てることが大切です。借り入れる前に夫婦で話し合い、納得できる形で住宅ローンを利用しましょう。
この記事のポイント
- 妻名義でも住宅ローンを組むことは可能?
妻名義で住宅ローンを組むことは可能です。しかし、住宅ローンを組むときは、年収における年間返済額の確認が必要で、妻の収入が少ない場合は住宅ローンを組むことができないケースがあります。しかし、その場合は夫を連帯保証人にするなどの方法があります。
詳しくは「妻名義でも住宅ローンを組むことは可能」 「夫が連帯保証人になることを条件とするケースが多い」をご確認ください。
- 単独名義で住宅ローンを組むメリットを教えてください
住宅ローンの借り入れを単独名義にすると、住宅ローンを借りていないほうは借り入れがないため、マイカーローンなど、そのほかのローンが組みやすくなるといったメリットがあります。その一方で、単独名義にするデメリットも存在します。
詳しくは「共有名義、単独名義のメリットとデメリット」をご確認ください。
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