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盛り土とは?切り土との違いや宅地造成に関する注意点も解説

最近のニュースで「盛り土」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。

「盛り土」とは「もりど」「もりつち」と発音する、土木や建築で使用されている用語です。
地面に土を盛って造成する盛り土は、地面を削って造成する切り土(きりど)に比べ地盤が弱く、土砂災害などが発生する可能性が高くなります。ただし、盛り土は特別なことではなく一般的な土地でも多く実施されている工法でもあり、それ自体に問題はありません。

盛り土であっても、適切に処理をされていれば問題がないことがほとんどで、適切に処理されているのかを把握することが重要なのです。

特に、これから家を購入するという方は、盛り土とは何か?何が問題なのか?を理解しておくことが大切です。

本記事では、盛り土の特徴や切り土との違い、注意点を分かりやすく解説します。

盛り土とは用途に合わせて土を盛った土地

盛り土とは、言葉の通り「土を盛って土地を作ること」です。斜面や周辺よりも低い土地に土を盛ることで、平坦にならすことや周辺よりも高く土地を造成することをいいます。

盛り土で地盤を高くすることで、次のようなメリットがあります。

  • 水害に備えられる
  • 周辺からの視線を遮れる

地盤を高くすることで、浸水などの災害時でも地盤の高さ分被害を防げる可能性があります。極端な大雨や津波は耐え切れなくても、ある程度の雨量であれば浸水被害を防げるでしょう。

また、周辺よりも高い位置に住宅を建設すれば、道路や近隣住宅からの視線を遮ることも可能です。すぐそばに住宅がある、行き来の多い道路があるという場合でもプライバシーを保つのに有効でしょう。

しかし、盛り土で問題となるのが元の地盤に土を盛るため、地盤が弱くなる傾向があるという点です。

そのため、地震や大雨などによる地盤の崩壊や土砂災害などの危険性もあります。ただし、盛り土であってもきちんと処理がされていれば、それらのリスクを抑えることが可能な場合もあります。

切り土との違い

地面を平らに造成するには「切り土」という方法もあります。切り土は、言葉の通り土を切り取って土地を造成する方法です。斜面などを切り取って、土地を平坦にすることや周辺と高さを合わせるために行われるのが一般的です。

盛り土が土をもって土地を高くするのに対し、切り土は土を削って土地を低くするという違いがあります。切り土では、元の地盤を削るだけなので地盤の強度は変わりません。

一般的に、盛り土よりも切り土のほうが地盤は安定しており、災害のリスクが少ないといわれているのです。

盛り土の種類

盛り土といっても、何を盛るのかによって種類が異なります。盛り土の種類には、次のようなものがあります。

  • 山砂
  • 根切り
  • 再生コンクリート砂

・山砂

山砂とは、山にある砂のことをいいます。一般的に、砂というと河川や海の砂のことをイメージするでしょう。川砂は、水の流れにもまれるため角が取れ丸みがあり、粒も細かいものが多いという特徴があります。

それに対し、山砂は山で採取された砂のため、角が削れておらず見た目が荒々しく大きさも大小さまざまなものが混じっています。

そのため、土に近い性質があり、固まりやすく保水性が高いという特徴があります。固めることで強固になる傾向があるので、盛り土でもよく利用されています。

・根切り

根切りとは、建築物の基礎を作るために地面を掘る工事のことをいいます。根切りで採取した土も盛り土として利用されるのです。

ただし、ゴミやコンクリートなどが含まれている場合は、盛り土に使ってしまうと強度が保てなくなるため、良質な土の場合のみ利用されます。

・再生コンクリート砂

コンクリートを破砕して粒度の調整や補足材を加えた再生資源を、再生コンクリート砂といいます。再生コンクリート砂は、資源の有効利用につながるため利用が推進されています。

宅地造成とは

盛り土と関連性が高いのが「宅地造成」という言葉です。

宅地造成とは、森林や丘・農地と言った宅地以外の土地を宅地にするために、地盤を造成することです。

地盤の改良工事や排水施設の設置工事・擁壁設置などが宅地造成に該当し、この中に盛り土と切り土工事も含まれます。また、宅地造成で作られた土地のことは「造成地」と呼ばれます。

注意すべきポイント

宅地造成された土地は、大きな問題があるというわけではありません。一般的に、日本の土地は森林が多く傾斜もあるので造成地は多く存在します。

ただし、問題がないからといって何も確認せずに購入を検討するのはおすすめしません。宅地造成された土地を購入する際には、次のような点に注意することが大切です。

  • 造成前がどんな土地だったのか
  • 造成工事はどんな内容なのか

宅地造成する前に、どのような土地だったのかは把握しておく必要があります。元が沼や池・田んぼの場合は、もともとの地盤が緩い可能性もあるでしょう。

このような土地では、地震による崩落や液状化・土砂災害などの危険性もあるので、地盤補強が必要になる可能性もあります。液状化リスクなどは、自治体の発行するハザードマップでも確認できるので、購入前にはリスクを確認することが大切です。

また、造成工事の内容を把握することも重要です。先述した通り、盛り土は切り土よりも地盤地盤が弱いケースもあります。工事の内容や地盤対策など、住宅を建てるうえで安全なのかをしっかりと確認するようにしましょう。

盛り土関連の法規制を確認する

盛り土には、安全性を保つためさまざまな法規制があります。違反していると、後々大きなトラブルに巻き込まれるだけでなく、住宅や命の危険性もあるのです。

トラブルに巻き込まれないためには、法規制や土地の資料などを事前にしっかりと確認しておく必要があります。

宅地造成では「宅地造成等規制法」が大きく関わってくるので、ある程度の内容を把握しておくと良いでしょう。宅地造成等規制法では、崖崩れや土砂災害が懸念される地域での宅地造成工事に関する規制を定めています。

この法規制により、危険性のある「宅地造成工事規制区域」に指定されている地域では、一定の基準を超える盛り土や切り土の工事は、都道府県知事の許可が必要になります。

すでに造成済みの土地でも、危険だと判断された場合には、改善の勧告を受ける場合もあります。

規制区域かどうかは、自治体の窓口やホームページ・不動産会社で確認できます。検討している土地がある場合は、事前に確認するようにしましょう。

また、盛り土では「がけ条例」の規制が掛かる場合があるので注意が必要です。がけ条例とは、がけ地に家を建てる場合の条例のことをいい、各自治体によって定められています。

例えば、「3メートルを超えるがけがある場合、がけの高さから2倍以上離れた場所に住宅を建設する」といった規定が定められているのです。

盛り土では、土を盛った分だけ高低差が生まれ、がけ条例が適用される可能性があります。該当エリアのがけ条例についても、事前に確認しておくようにしましょう。

宅地造成に欠かせない盛り土を正しく理解しておく

盛り土は、土を盛って土地を平らにする工法のことをいいます。特に、造成宅地では盛り土が実施されていることが多いので、購入前には工事内容や工事前の土地の状態などを確認したうえで検討することが大切です。

斜面の多い日本では盛り土は多く実施されているもので、適切に処理がされていれば問題がないことが多いです。

処理が適切なのか、法規制に違反していないのかを把握しておくことが重要です。これから土地を購入する方は、どのような土地だったのかを含めて検討するようにしましょう。

この記事の監修

逆瀬川 勇造
資格情報: 宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事。
2018年より独立し、不動産に特化したライターとして活動している。

この記事のポイント

盛り土とは?何が問題?

盛り土とは、斜面や周辺よりも低い土地に土を盛ることで、平坦にならすことや周辺よりも高く土地を造成することを指します。
元の地盤に土を盛るため、地盤が弱くなり、地震や大雨などによる地盤の崩壊や土砂災害などの可能性が高まります。

詳しくは「盛り土とは用途に合わせて土を盛った土地」をご確認ください。

盛り土をする場合の注意点とは?

盛り土には、安全性を保つためのさまざまな法規制がありますので、法規制や土地の資料などを事前にしっかりと確認しておく必要があります。
宅地造成では「宅地造成等規制法」のほか、「がけ条例」の規制を受ける可能性もありますので、注意しましょう。

詳しくは「盛り土関連の法規制を確認する」をご確認ください。

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