アパート,マンション,違い
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アパートとマンションの違いは?定義やメリット・デメリット、物件選びのポイントを解説

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • アパートとマンションに明確な定義はないが、構造や規模で呼び方が分かれるのが一般的
  • アパートとマンションの特徴やメリット・デメリットの違いは近年なくなりつつある

「アパート」にするか「マンション」にするかは、物件選びの最初の判断の分かれ目になるのではないでしょうか?しかし、両者に明確な定義はなく、近年ではアパートの性能も向上していることから、先入観だけで物件を選ぶことはおすすめしません。

本記事では、アパートとマンションの違いとメリット・デメリット、物件選びのポイントを解説します。

アパートとマンションの違い

「アパート」と「マンション」は、いずれも集合住宅の種類を表す名称です。

「アパートは木造のコンパクトな集合住宅」
「マンションは、ある程度、規模が大きくて頑丈」

こういったイメージをお持ちの方も少なくないでしょうこれらの印象は間違いではありません、アパートとマンションに明確な定義はありません

アパートとマンションに明確な定義はない

「アパート」と「マンション」の要件は、法律などで定められているわけではありません。アパートの語源である「apartment(アパートメント)」は「共同住宅の1室」を指す英語です。一方「マンション」は、英語の「mansion(マンション)」が語源となっていますが、英語では「豪邸」を表す言葉として使われています。

アパートもマンションも、正確に英語で表すとすれば、いずれも「apartment(アパートメント)」です。日本で使われている「アパート」や「マンション」は、それぞれ語源は英語ですが、いわゆる和製英語であり、明確に定義されている用語ではないのです。

建物の構造で区別されることが多い

アパートもマンションも、定義されている意味はありませんが、次のように構造や規模で使い分けられるのが一般的です。

名称構造規模
アパート木造・軽量鉄骨造2〜3階建て
マンション鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造3階建て以上

とはいえ、これは目安にすぎません。近年では、木造のマンションが見られたり、鉄筋コンクリート造のアパートが建築されたりすることも珍しくないことから、ますます両者の用語の定義は難しくなっているといえるでしょう。

持ち家か賃貸住宅かの違いも大きい

アパートの多くは、賃貸住宅として提供されています。アパート一棟を所有するオーナーが、住戸を貸し出している形です。この場合の管理は、所有者であるオーナーに委ねられます。

一方、マンションは、賃貸住宅もあれば分譲住宅もあります。分譲住宅は総じて、賃貸専用の住宅と比べて造りがしっかりしており、遮音性や断熱性が高い傾向にあります。分譲住宅は複数の区分所有者がいるため、共用部の管理や修繕については管理組合が担います。

コスパはどちらが高い?

賃料ということでいえば、アパートよりマンションのほうが総じて高額です。ただ、マンションは賃料が高い分、遮音性や断熱性、防犯性などが高い傾向にあります。

物件によって異なるものの、コスト面を重視するならアパート、居住快適性を求めるならマンションが適しているといえるでしょう。

アパートとマンションの防犯性能の違い

続いて、アパートとマンションの防犯性能の違いを見ていきましょう。

セキュリティが高いのはマンション

マンションは、オートロックやセキュリティカメラなどの防犯設備が充実している物件が多く見られます。エントランスから各住戸までの動線も、エレベーターや階段、廊下などで区切られており、部外者の侵入を防ぎやすい構造となっています。

分譲・賃貸でも防犯性能は分かれる

一般的に、分譲マンションのほうが賃貸マンションよりも防犯設備が充実しています。これは、分譲マンションは所有者が長期的な居住を前提としているため、セキュリティ面により投資がなされるためです。ただし、最近の賃貸マンションでも防犯設備が充実した物件が増えてきています。

集合住宅の防犯対策

集合住宅の防犯対策としては、オートロックやセキュリティカメラの設置、防犯ガラスの採用、24時間管理人の常駐などが一般的です。また、各住戸の玄関ドアも、ダブルロックや防犯センサーの設置など、高い防犯性能を備えていることが多くなっています。

近年は、アパートや賃貸住宅も防犯性能の向上に力を入れている傾向にあります。「アパートだから」「賃貸だから」という理由で諦めず、防犯性能の高い住宅を探してみましょう。

アパートとマンションの生活環境・近所づきあいの違い

アパートとマンションは、生活環境や近居づきかいにも違いが見られます。

遮音性能は総じてマンションが高い

構造的に、遮音性は木造や鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造が勝ります。マンションは鉄筋コンクリート造が主流で、床や壁が厚いため、上下左右の住戸からの生活音が伝わりにくいという特徴があります。

とくに分譲マンションは、遮音性能に配慮した構造や材質が採用されていることが多いです。

プライバシーが確保されやすいのもマンション

マンションは総じて遮音性が高いことに加え、エレベーターホールや廊下などの共用部分が広く設計されており、各住戸の独立性が高くなっています。また、メールボックスや宅配ボックスなどの共用設備も充実しているため、他の居住者と必要以上に接触することなく、快適な生活を送りやすい環境となっています。

部屋の間取りも、玄関からプライベート空間までの動線が工夫されており、プライバシーへの配慮が行き届いているのが特徴です。

集合住宅の防音対策

遮音性が高い傾向にあるマンションも、一戸建てと比べると騒音トラブルが起きやすいといえるでしょう。小さなお子さんがいるご家庭やペットを飼っているご家庭、生活スタイルが一般の方と異なる方などは、とくに防音対策が不可欠です。

仕様・構造としては、鉄筋コンクリート造や壁式構造、二重サッシ、防音フローリングなどを採用している集合住宅は高い防音性能に期待できます。また、角住戸や最上階、1階の住戸は、隣接する住宅が少ない分、他の住戸と比べて騒音トラブルが起きにくいといえるでしょう。

入居後に防音マットを敷いたり、家具の配置を考慮したりすることも、防音対策として効果的です。

アパートのメリット・デメリット

ここからは、アパートとマンションのメリット・デメリットを見ていきましょう。まずは、アパートのメリット・デメリットです。

メリットデメリット
マンションに比べて賃料が安価な傾向騒音問題につながりやすい
閑静なエリアに多い設備や耐震構造が不安な場合もある

アパートのメリット

アパートは一般的に木造が多いため、鉄筋コンクリート造に比べ建築費が安く抑えられます。そのため、賃料設定もマンションに比べて安価な物件が多いです。

また、マンションより規模が小さいため閑静エリアに多く、静かな環境で暮らことがきます。

一人暮らしで家賃を抑えたい、住宅街に住みたいなどの希望がある場合は、アパートの方が選択の幅が広い可能性があります。

アパートのデメリット

一般的にアパートは、構造や材質の関係で音や振動が伝わりやすい傾向にあります。

とくに、木造の場合は音が伝わりやすいので、騒音問題につながりやすいというデメリットがあります。小さな子供がいる家庭などは、生活音からトラブルになる可能性もあるので注意が必要です。

また、構造上の問題として、耐火や耐震性への不安というデメリットもあります。築年数が古い物件の場合は、内覧時に物件の状態をしっかり確認するようにしましょう。

マンションのメリット・デメリット

マンションのメリット・デメリット

次に、マンションのメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリットデメリット
耐震性や耐火性に優れている建築費が高くアパートと比べて賃料も高くなりやすい
防音性が高い気密性が高いため結露しやすい
セキュリティがしっかりしている

マンションのメリット

マンションは、構造や材質の関係で耐震性や耐火性に優れており、安心して暮らせるというメリットがあります。同時に、防音性も高いので近隣の生活音があまり気にならないケースが多いのはうれしいポイントです。

また、マンションはアパートと比べて立地が良く、共用設備やセキュリティーも充実していることから、防犯面や暮らしの快適性、利便性を重視したいという人にもおすすめです。

マンションのデメリット

マンションはアパートよりも階数が多く、建材も鉄筋コンクリートで造るため、建築費が高くなりやすいです。建築費が高い分、賃料設定も上がる傾向にあります。セキュリティーがしっかりしていると、その分管理費もかかるでしょう。

また、鉄筋コンクリート造の場合は木造に比べて気密性が高いため、気温差による結露が発生しやすいというデメリットもあります。

ただし、換気をしっかり行えば結露はある程度防ぐことができます。また、気密性が高いということは、断熱性が高く冷暖房が効きやすいというメリットでもあります。

アパート、マンションはどんな人に向いている?

明確に定義されていない「アパート」と「マンション」ですが、ここまで紹介してきたような特徴やメリット・デメリットがあります。以上のことから、それぞれの物件種別に向いているのは次のような人と考えられます。

アパートに向いている人の傾向

アパートは、マンションと比べて賃料が安価であることから、住宅にかける費用を抑えたい人に向いています。たとえば、初めて一人暮らしする人や収入が安定していない人、学生などが該当するでしょう。賃料が抑えられるということは、入居時の初期費用を抑えられることにも直結します。賃貸住宅の初期費用にあたる敷金や礼金、仲介手数料は「賃料の◯ヶ月分」という基準で設定されていることが多いためです。したがって、初期費用を抑えたい人にもアパートは向いているものと考えられます。

また、アパートはマンションと比べて1棟あたりの世帯数が少なく、規模も小さい傾向にあります。居住者同士が身近に感じられることから、ご近所付き合いに抵抗がない方もアパートに向いているでしょう。

マンションに向いている人の傾向

賃料が低い点はアパートのメリットですが、マンションと比べると遮音性やセキュリティ、快適性が劣る物件が多い傾向にあります。賃料以上に性能を重視するファミリー世帯や高所得者、セキュリティ面を重視する女性の単身者などは、マンションに向いているといえるでしょう。

また、近年では在宅勤務をする会社員やオンラインで授業を受ける学生も増えています。こういった方は住まいが静かな環境であることが求められるため、マンションが適しているものと考えられます。

アパート・マンションの物件選びのポイント

アパート、マンション、それぞれに特徴があり、向き・不向きがあります。しかし、昨今では住宅性能が高いアパートも多数でてきており、今回お伝えした特徴が当てはまらない物件も少なからず見られます。賃貸物件を選ぶ際には、先入観や賃料だけではなく、個々の物件の性能や管理状況などを比較することが大切です。

アパートでも防音性・防犯性・性能に優れる物件はある

総じて、アパートは防音性や防犯性、断熱性、気密性などがマンションに劣りますが、これはあくまで「傾向」の話です。

築年数が浅い物件や大手ハウスメーカー施工のものを中心に、アパートのデメリットといわれる点が見られない物件も増えています。物件種別による特性を理解することは大切ですが、その特性がすべての物件にあてはまるわけではないということは認識しておきましょう。

どちらにも共通する「管理」の重要性

共同住宅にあたるアパート、マンションを選ぶうえでは、居住スペースばかり見るのではなく、共用部や管理状況にも目を向けましょう。管理状況が良くないと、ゴミ置き場が汚かったり、共用部であるはずの廊下やエントランスに私物が置かれてしまったりする要因にもなります。

管理状況の良し悪しは、物件種別や築年数に起因するものでなく、物件ごとに異なります。内見の際には、共用部の清潔さなどから管理状況もチェックしましょう。

いずれも内見してみる

「家賃の予算が低いからアパートから物件を探す」
「静かに暮らしたいから絶対マンションがいい」

このように決めつけてしまうと、良い物件を見落としてしまう可能性があります。物件選びにはさまざまなこだわりがあるでしょうが、物件種別ではなく、築年数や住宅性能で選んだほうが自分にあった物件が見つかりやすいはずです。

条件が気に入った物件があれば、それがたとえマンションであろうとアパートであろうと、まずは内見してみましょう。最近ではオンライン内見ができる物件も増えていますが、性能や管理状況は、現地で担当者の説明を受けながら内見しなければ把握しづらいものです。

アパートとマンションの違いと個々の物件の特性を知って物件を選ぼう

アパートとマンションには明確な定義はないものの、構造や規模で呼び方が変わるのが一般的です。アパートは、家賃が安い一方で遮音性などの性能がマンションに劣る傾向があります。しかし、このような特徴はあくまで傾向であり、アパートであっても住宅性能が高い物件もあります。築年数によっても、だいぶアパートやマンションの印象も変わってくるはずです。暮らし方の多様化に伴い、シェアハウスやテラスハウスといった賃貸住宅も少なからず見られ始めています。アパートとマンションの違いとともに、個々の物件の特性を知ったうえで物件を選びましょう。

この記事のポイント

アパートとマンションの違いって何?

アパートとマンションの違いは定義されていませんが、2〜3階建ての木造や軽量鉄骨造の集合住宅をアパート、3階建て以上の鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の集合住宅をマンションと呼ぶのが一般的です。

詳しくは「アパートとマンションの違い」をご覧ください。

アパートとマンション、それぞれに向いている人の特徴は?

アパートは賃料を抑えたい人、マンションは賃料以上に住宅性能にこだわりたい人に向いている傾向があります。

詳しくは「アパート、マンションはどんな人に向いている?」をご覧ください。

物件選びのポイントを教えてください。

物件種別ごとの特徴とともに、個々の物件の性能や管理状況を把握することです。

詳しくは「アパート・マンションの物件選びのポイント」をご覧ください。

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