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第二種中高層住居専用地域とは?第一種との違いやメリット・デメリットを解説

土地は、エリアごとに用途に応じた区分に分けられ、建築物にさまざまな制限がかけられます。このエリアごとに制限を掛けた「用途地域」という制度は、住む際の重要なポイントとなります。

第二種中高層住居専用地域も、用途地域の一つです。

土地選びの際には、用途地域の特徴を理解しどのような制限があるのかを把握することが大切です。

この記事では、第二種中高層住居専用地域の制限やメリット・デメリット、注意点をわかりやすく解説します。

第二種中高層住居専用地域とは用途地域の一つ

第二種中高層住居専用地域とは、「中高層住宅のための生活環境を優先した地域」を指します。都市計画を進めるうえで、住居や工場といった用途の異なる建物が混ざってしまうと、その地域の生活環境や利便性が悪くなります。

そのため、土地活用の目的に応じて「住居系」、「商業系」、「工場系」に分けて「用途地域」が定められています。用途地域では、地域ごとに建てられる物件に細かな規制を設け、用途に合わせ便利で暮らしやすい環境作りができるようにしています。

用途地域は全部で13種類の区分に分かれており、第二種中高層住居専用地域もその用途地域のなかの一つです。「中高層」とあるように、5階程度までの高さのマンションやアパートなどの集合住宅をメインとして、そこで生活する人たちが暮らしやすい環境作りを目指しています。

第二種中高層住居専用地域で建てられる建物

第二種中高層住居専用地域は、第一種中高層住居専用地域に比べ、建築できる建物への規制が緩和されています。

第二種中高層住居専用地域で建てられない建物は、下記のとおりです。

  • パチンコやカラオケ・劇場などの遊戯施設や娯楽施設
  • 工場
  • ホテルや旅館
  • 自動車教習所
  • 3階以上の部分で、第一種中高層住居専用地域で建築できない用途のもの
  • 第一種中高層住居専用地域で建築できない用途のもので、1,500㎡以上のもの

第二種中高層住居専用地域は、住居環境を優先するため遊戯施設や娯楽施設の建設はできませんが、店舗や飲食店は1,500㎡以下と比較的大きな規模の建物を建てることが可能です。

ただし、3階以上の部分では建設できないため、ビルやマンションの1,2階部分や地下階のみとなる点には注意しましょう。

また、第一種中高層住居専用地域では建設できない事務所も2階以下であれば建設可能です。

第二種中高層住居専用地域で受ける制限

低層住居専用地域には建物の高さの制限である「絶対高さ制限」がありますが、中高層住居専用地域には絶対高さ制限がないという特徴があります。

ただし、建ぺい率などの制限があるので、いくらでも高い建物を建てられるというわけではありません。建築前にはそれらの基準をしっかりと理解しておくことが大切です。

第二種中高層住居専用地域では、下記の制限があります。

  • 建ぺい率(敷地面積に対する建設面積の割合):30%~60%
  • 容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合):100%~500%
  • 高さ制限(道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限・日影規制)

同じ第二種中高層住居専用地域であっても、場所によって制限内容が異なるので規制値には大きく幅があります。また、絶対高さ制限はありませんが、高さを規制するために「道路斜線制限」、「隣地斜線制限」、「北側斜線制限」、「日影規制」があります。

これらは生活環境を保護するために日当たりや風通しを確保する制限であり、一定の高さや勾配内でしか建築できません。

第二種中高層住居専用地域では、第一種や低層住居専用地域に比べ緩和されているものの、さまざまな規制があります。事前に購入を検討している地域の規制を理解しましょう。

第二種中高層住居専用地域を選ぶメリット

ここでは、第二種中高層住居専用地域を選ぶメリットを紹介します。メリットとしては、次の点があげられます。

  • 通学に便利なことが多い
  • 買い物施設が近くにあることが多い
  • マンションやアパート経営に適している

通学に便利なことが多い

第二種中高層住居専用地域では、学校の建設が可能です。エリア内に学校があれば、通学に便利という特徴があります。

また、図書館や病院なども建設できるため、子育て世帯におすすめといえるでしょう。

買い物施設が近くにあることが多い

比較的大きな店舗が建設できる地域のため、生活しやすいというメリットがあります。第二種中高層住居専用地域では、2階以下で1,500㎡までの店舗が建てられるため、広めの商業施設なども多いことが特徴です。

低層住居専用地域や第一種中高層住居専用地域よりも建設できる店舗の規制が緩和されており、生活に便利な施設がエリア内にある可能性が高くなります。

マンションやアパート経営に適している

3階建ての建物を建設できるため、マンションやアパート経営を検討している人にもおすすめのエリアといえるでしょう。

マンションやアパート自体の建設が可能なだけでなく、エリア内で学校や買い物施設も充実しやすい地域という点も、賃貸経営のメリットとなります。実際に第二種中高層住居専用地域では、賃貸物件が多く建設されているエリアが多い傾向にあります。

第二種中高層住居専用地域を選ぶデメリット

第二種中高層住居専用地域には、デメリットも存在します。

第二種中高層住居専用地域では比較的大きな店舗は建設できますが、ゲームセンターやパチンコといった遊戯施設や娯楽施設は建設できません。

比較的静かな地域というメリットはありますが、遊戯施設や娯楽施設からは離れていることが多いため、利用する機会が多い人はどのくらいの距離があるのかを確認しておくといいでしょう。

第二種中高層住居専用地域を選ぶ際の注意点

ここでは、第二種中高層住居専用地域を選ぶ際の注意点を見ていきましょう。注意点としては、次の2つがあげられます。

  • 道路の道幅が比較的広くなりやすい
  • 郊外に設定されることの多い用途地域である

道路の道幅が比較的広くなりやすい

第二種中高層住居専用地域では、比較的大きな店舗などの施設が建設されるため、道路の幅が広くなる傾向があります。車移動がしやすい、歩道と車道がわかれているところが多いというメリットはありますが、エンジン音や排気ガスが気になる方には不向きかもしれません。

また、車の通りが多くなるため、子供がいる場合は、通学や遊びの際に注意する必要があります。

郊外に設定されることの多い用途地域である

第二種中高層住居専用地域は、郊外に設定されることが多い用途地域でもあります。都心や栄えた駅の近くなどで設定されることがあまりないため、アクセスが不便な場合もあるでしょう。

そのため、公共交通機関を利用する方などは、移動手段に注意が必要です。

ただし、郊外でも駅近くに設定される事例もあるため、不自由しない立地もあります。また、車を利用することが多い方は不便さを感じることは少ないでしょう。

また、郊外であれば都心に比べ土地代を安く抑えられるため、ご自身で事業を営む方には固定費削減のメリットにもなるでしょう。

住居や店舗、オフィスなどが建つ地域

第二種中高層住居専用地域のメリット・デメリットや注意点をお伝えしました。第二種中高層住居専用地域は、住居専用地域でありながら比較的大きな店舗や事務所、ガソリンスタンドなどを建設できます。

そのため、住居や店舗、オフィスなどが入り乱れる場所になりやすいですが、その分生活に便利なエリアともいえるでしょう。子育て世帯やアパート・マンション経営を行いたい人にはおすすめのエリアでもあります。

この記事を参考に、第二種中高層住居専用地域の特徴や制限などを理解し、理想の土地に出合えるようにしましょう。

この記事のポイント

第二種中高層住居専用地域とは?

第二種中高層住居専用地域は都市計画法で13種類に区分された用途地域の1つで、高さのあるマンションやアパートといった集合住宅を中心に暮らしやすい環境を優先している地域です。
詳しくは「第二種中高層住居専用地域とは用途地域の一つ」をご確認ください。

第二種中高層住居専用地域を選ぶメリットとは?

第二種中高層住居専用地域のメリットとして学校や図書館・病院が建設できるエリアであるため子育て世代におすすめです。
詳しくは「第二種中高住居専用地域を選ぶメリット」をご確認ください。

この記事の監修

逆瀬川 勇造
資格情報: 宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事。
2018年より独立し、不動産に特化したライターとして活動している。

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